助動詞②(き・けり・つ・ぬ・たり・り・べし・らむ・けむ・めり・なり・らし・たし) ── 問題
基礎
- 次の助動詞の接続(上にくる活用形)はどれですか。「む・むず」 (ア 体言 イ 未然形 ウ 終止形(ラ変型には連体形) エ サ変の未然形・四段の已然形(e 段))
- 次の文の傍線部の助動詞「けむ」の意味はどれですか。「いかなる人なりけむ。」 (ア 詠嘆 イ 強意 ウ 過去推量 エ 打消(ず))
- 過去の助動詞「き」の活用はどれですか。 (ア な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね イ けら・○・けり・ける・けれ・○ ウ (せ)・○・き・し・しか・○ エ て・て・つ・つる・つれ・てよ)
- 終止形接続の助動詞がラ変型の語(あり・なり・たり・けり など)につくとき、どの活用形につきますか。 (ア 已然形(あれべし・なれめり) イ 未然形(あらべし・ならめり) ウ 終止形(ありべし・なりめり) エ 連体形(あるべし・なるめり))
標準
- 次の文の「べし」の意味として最も適当なものはどれですか。「我はこの道を行くべし。」 (ア 命令 イ 当然 ウ 意志 エ 適当)
- 次の「なり」(「なる」「なれ」)の文法的な説明として正しいものはどれですか。「これは月なり。」(傍線部:なり) (ア 断定の助動詞(〜である) イ 形容動詞ナリ活用の活用語尾 ウ 伝聞・推定の助動詞(〜ようだ・〜と聞く) エ 動詞「成る」の連用形)
- 次の傍線部の識別として正しいものはどれですか。「花散りなむ。」(傍線部:なむ) (ア 願望の終助詞 イ 係助詞 ウ 強意「ぬ」の未然形+推量「む」 エ 過去推量「けむ」)
- 助動詞の意味と用法について、「まじ」の意味はどれですか。 (ア 反実仮想(もし〜だったら〜だろうに):「まし」と同じく事実に反する仮定を表す イ 過去の打消(〜なかった):「き」「けり」に打消がついたもので、連用形に接続する ウ 希望の打消(〜たくない):「まほし」「たし」の打消で、未然形に接続する エ 「べし」の打消:打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止・不適当)
- 「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」(竹取物語)の「けり」の意味と、物語で「けり」が多用される理由はどれですか。 (ア 詠嘆。語り手が昔話に感動していることを示すから イ 伝聞過去。人から伝え聞いた昔のこととして語るから ウ 完了。物語の出来事が今ちょうど終わったから エ 直接体験の過去。語り手が自分の目で見たことだから)
- 「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山」(持統天皇)の「来にけらし」の品詞分解として正しいものはどれですか。 (ア 来(カ変連用形)+に(完了「ぬ」連用形)+けらし(過去+推定) イ 来(カ変終止形)+にけ(完了)+らし(推量) ウ 来(カ変連用形)+に(格助詞)+けらし(形容詞の終止形) エ 来(カ変未然形)+にけらし(一語の推定の助動詞))
- 次は『竹取物語』の一節です。「その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。」この中の「ける」の文法的な説明として正しいものはどれですか。 (ア 詠嘆の助動詞「けり」の已然形(「なむ」の結び) イ 過去の助動詞「けり」の終止形(文末だから) ウ 過去の助動詞「けり」の連体形(「なむ」の結び) エ 過去の助動詞「き」の連体形(「なむ」の結び))
- 『竹取物語』の「あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。」の「たり」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア 推定(〜ようだ) イ 伝聞過去(〜たそうだ) ウ 断定(〜である) エ 存続(〜ている))
- 次は『平家物語』冒頭の一節です。「おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。」この中の「おごれる」の「る」の文法的な説明として正しいものはどれですか。 (ア 自発の助動詞「る」の連体形 イ 受身の助動詞「る」の終止形 ウ 完了の助動詞「ぬ」の連体形 エ 存続の助動詞「り」の連体形)
- 『土佐日記』の冒頭「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」の「すなる」の「なる」と、「するなり」の「なり」の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア どちらも伝聞 イ 「なる」は伝聞、「なり」は断定 ウ どちらも断定 エ 「なる」は断定、「なり」は伝聞)
発展
- 「散りぬべし」と「散らざるべし」の「べし」の意味の違いとして最も自然なものはどれですか。 (ア どちらも意志:「散ってしまおう」「散らないでおこう」 イ 前者は命令「散ってしまえ」、後者は禁止「散ってはならない」 ウ 前者は可能「散ることができる」、後者は不可能「散ることができない」 エ 前者は強意+推量「きっと散るだろう」、後者は打消+推量「散らないだろう」)
- 「人の来(く)なり」と「人の来(く)るなり」の違いとして正しいものはどれですか。 (ア 前者は推定・伝聞「来るようだ」、後者は断定「来るのである」 イ どちらも推定「来るようだ」で、違いは文体だけ ウ どちらも断定「来るのである」で、違いは文体だけ エ 前者は断定「来るのである」、後者は推定・伝聞「来るようだ」)
- 次の文(この問題のために書いた古文ふうの文)の「あるめり」の現代語訳として最も適当なものはどれですか。「簾のうちに人あまたあるめり。」 (ア 簾の内側に人がたくさんいたことだ イ 簾の内側に人がたくさんいるそうだ ウ 簾の内側に人がたくさんいるようだ エ 簾の内側に人がたくさんいるにちがいない)
- 次の和歌(『万葉集』山上憶良。宴席から先に帰るときの歌)の「子泣くらむ」の現代語訳として最も適当なものはどれですか。「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむぞ」 (ア (家では)子どもが泣いてしまったようだ イ (家では)子どもが泣いていたのだろう ウ (家では)子どもが今ごろ泣いているだろう エ (家では)子どもをこれ以上泣かせてはならない)
- 『徒然草』第九十二段で、師は弓を習う人に「毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と教えています。この「べし」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア 打消意志(〜まい) イ 意志(〜しよう) ウ 推量(〜だろう) エ 可能(〜できる))
助動詞②(き・けり・つ・ぬ・たり・り・べし・らむ・けむ・めり・なり・らし・たし) ── 解答
基礎
- イ 未然形 未然形:る・らる・す・さす・しむ・ず・む・むず・じ・まし・まほし。連用形:き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ。終止形:べし・まじ・らむ・めり・なり・らし。連体形・体言:なり・たり・ごとし。り:さみしい(サ未・四已)。答え:未然形。
- ウ 過去推量 き = 直接体験の過去、けり = 伝聞の過去・詠嘆(和歌・会話・なりけり)、つ・ぬ = 完了(推量が下につくと強意)、たり・り = 存続・完了、らむ = 現在推量、けむ = 過去推量、めり = 目の推定、なり = 耳の推定・伝聞、らし = 根拠ある推定。答え:過去推量:〜だったのだろう。
- ウ (せ)・○・き・し・しか・○ 連体形「し」・已然形「しか」が重要。「せば〜まし」の「せ」は「き」の未然形。
- エ 連体形(あるべし・なるめり) ラ変の終止形が「り」で u 段でないため。「けるなり」も同じ。その撥音便無表記が「あべし」「あめり」「あなり」。
標準
- ウ 意志 「すいかとめて」(推量・意志・可能・当然・命令・適当)。一人称 → 意志、二人称 → 命令・適当、三人称 → 推量・当然、打消をともなう → 可能。答え:意志(行こう)。
- ア 断定の助動詞(〜である) 体言・連体形+なり → 断定、終止形(ラ変型は連体形・撥音便無表記)+なり → 伝聞・推定、「〜に」の形で用言に続く → 形容動詞、「〜と」「〜く」+なり → 動詞「成る」。答え:断定の助動詞(〜である)。
- ウ 強意「ぬ」の未然形+推量「む」 なむ:連用形+ → 強意+推量、未然形+ → 願望、文中で結びを取る → 係助詞。らむ:u 段(終止形)+ → 現在推量、e 段+ → り+む。に:連用形+に+けり → 完了、体言+に+あり → 断定。し:連用形+し+体言 → 過去「き」。答え:強意「ぬ」の未然形+推量「む」。
- エ 「べし」の打消:打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止・不適当 答え:「べし」の打消:打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止・不適当。
- イ 伝聞過去。人から伝え聞いた昔のこととして語るから 日記や和歌で作者自身の体験には「き」を使う。「けり」の詠嘆は和歌・会話で。
- ア 来(カ変連用形)+に(完了「ぬ」連用形)+けらし(過去+推定) 「けらし」は過去「けり」の連体形「ける」+推定「らし」がつづまった形で、「来てしまったらしい」。「衣を干している」という確かな根拠から「夏が来たらしい」と推定している。
- ウ 過去の助動詞「けり」の連体形(「なむ」の結び) 係助詞「なむ」があるので文末は連体形で結ぶ(係り結び)。「けり」の連体形が「ける」。物語の地の文の「けり」は、伝え聞いた過去を表す。出典:『竹取物語』(平安時代初期・作者未詳。著作権の保護期間外の古典)。
- エ 存続(〜ている) 「たり」は連用形「光り」についているので完了・存続の助動詞(断定の「たり」は体言につく)。翁が近寄って見たとき、筒の中が光っている状態なので存続。出典:『竹取物語』(平安時代初期・作者未詳。著作権の保護期間外の古典)。
- エ 存続の助動詞「り」の連体形 「り」は四段活用の已然形(命令形とも)とサ変の未然形につく。「おごれ」は四段「おごる」の已然形で、エ段の音につく「る」は「り」の連体形(下に名詞「人」)。受身・自発の「る」なら未然形「おごら」につく。出典:『平家物語』(13 世紀前半の成立とされる。著作権の保護期間外の古典)。
- イ 「なる」は伝聞、「なり」は断定 「すなる」は終止形「す」につくので伝聞・推定の「なり」(男も書くと聞いている日記)。「するなり」は連体形「する」につくので断定の「なり」(書くのである)。サ変のように終止形と連体形の形が違う語で見分けられる。出典:紀貫之『土佐日記』(935 年ごろ。著作権の保護期間外の古典)。
発展
- エ 前者は強意+推量「きっと散るだろう」、後者は打消+推量「散らないだろう」 「ぬべし」「つべし」は強意の型として覚える。「ざるべし」は「ず」のザリ活用連体形に「べし」がついた形(ラ変型なので連体形接続)で、「散らないだろう・散らないはずだ」。
- ア 前者は推定・伝聞「来るようだ」、後者は断定「来るのである」 前者は終止形「く」+推定・伝聞「なり」(来るようだ・来るそうだ)、後者は連体形「くる」+断定「なり」。カ変は終止形「く」と連体形「くる」が違うので接続で識別できる。四段は同形なので文脈で判断する。
- ウ 簾の内側に人がたくさんいるようだ 「めり」は目で見たことにもとづく推定で「〜ようだ」。簾越しに様子を見ている場面。終止形につく「めり」は、ラ変型の語には連体形「ある」につく。「〜そうだ」(伝聞)は「なり」。
- ウ (家では)子どもが今ごろ泣いているだろう 「らむ」は目の前にない今の様子をおしはかる現在推量で「今ごろ〜ているだろう」。宴席にいる作者が、家にいる子と妻の今の様子を思いやっている。初句の「罷らむ」の「む」は意志(退出しよう)。出典:『万葉集』巻三(8 世紀。著作権の保護期間外の古典)。
- イ 意志(〜しよう) 射る本人が「この一本で決めよう」と心に思う内容なので意志。全体で「毎回ただ当たり外れを考えず、この一本で決めようと思え」。命令は文末の「思へ」(命令形)が表しているので、「べし」まで命令と取る必要はない。出典:兼好法師『徒然草』(鎌倉時代末。著作権の保護期間外の古典)第九十二段。
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