和歌の修辞(枕詞・掛詞・序詞・縁語・本歌取り)と古典常識 ── 問題
基礎
- 次の枕詞が導く(かかる)語はどれですか。「ひさかたの」 (ア 神 イ 引く・張る ウ 天・光・月 エ 大宮)
- 和歌で掛詞になる語「み」がもつ 2 つの意味はどれですか。 (ア 身・実 イ 憂き・浮き ウ 音・根・寝 エ 降る・経る(時が経つ))
- 旧暦 11 月の異名はどれですか。 (ア 皐月 イ 師走 ウ 霜月 エ 神無月)
- 十二支で表す時刻・方位について、「卯の刻」が表すものはどれですか。 (ア 午前 6 時ごろ イ 夜明け前のまだ暗い時間 ウ 正午ごろ(前後 2 時間) エ 午前 4 時ごろ)
- 枕詞と序詞の違いとして正しいものはどれですか。 (ア 枕詞は 7 音以上でその歌独自、序詞は 5 音で特定の語を導く定型 イ 枕詞は 5 音で特定の語を導く定型、序詞は 7 音以上でその歌独自のもの ウ 長さも働きも同じで、呼び名が違うだけ エ 序詞は訳さず、枕詞は比喩として訳に出す)
- 「本歌取り」が特に盛んに用いられた歌集はどれですか。 (ア 古今和歌集 イ 新古今和歌集 ウ 金槐和歌集 エ 万葉集)
- 図は十二支で時刻と方位を表した円盤です。「午の刻」はおよそ何時ですか。 (ア 18 時ごろ イ 6 時ごろ ウ 12 時ごろ エ 0 時ごろ)
標準
- 次の和歌に使われている修辞と、その説明として正しいものはどれですか。 「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」 (ア 枕詞(5 音の固定表現が特定の語を導く) イ 本歌取り(古歌の句を取り入れる) ウ 折句(各句の頭に語を置く) エ 掛詞(「いなば」= 因幡・往なば、「まつ」= 松・待つ))
- 古典常識について、「摂政」と「関白」の違いはどれですか。 (ア 摂政は成人した天皇を補佐し、関白は幼い天皇の代わりに政治を行う イ 摂政は武官の最高位、関白は文官の最高位で、藤原氏が両方を独占した ウ 摂政は幼い天皇の代わりに政治を行い、関白は成人した天皇を補佐する エ 摂政は地方の政治、関白は中央の政治を担当し、藤原道長は関白になった)
- 「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」(在原行平)の掛詞を正しく訳したものはどれですか。 (ア 因幡の山の峰の松を待ち続けて、いつか都へ帰ろう イ 別れて因幡へ行っても、峰の松のようにあなたが待つと聞けばすぐ帰ろう ウ いなばの山の峰の松が、立ち別れるように枝を分けて伸びる エ 別れて稲葉山に行けば、峰の松の木の音を聞いてすぐ帰ってくる)
- 「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに」(小野小町)の「ふる」「ながめ」の掛詞の訳はどれですか。 (ア 「ふる」= 古る・振る、「ながめ」= 景色・眺め イ 掛詞はなく、「ふる」「ながめ」は一つの意味だけ ウ 「ふる」= 振る・触る、「ながめ」= 長い目・遠くを眺める エ 「ふる」= 降る・経る、「ながめ」= 長雨・眺め(物思い))
- 図の円盤で「戌亥(いぬゐ)」の方角はどれですか。 (ア 北西 イ 北東 ウ 南西 エ 南東)
- 次の和歌(『金葉和歌集』小式部内侍)の掛詞の説明として正しいものはどれですか。「大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立」 (ア 「いく」に「幾」と「行く」、「ふみ」に「踏み」と「見」 イ 「いく」に地名の生野と「行く」、「ふみ」に「踏み」と「文」 ウ 「大江山」に地名と「多い」、「天の橋立」に「橋」と「立つ」 エ 「まだ」に「未だ」と「待つ」、「ふみ」に「文」と「船」)
- 次の和歌(『後撰和歌集』文屋朝康)に使われている修辞の説明として最も適当なものはどれですか。「白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける」 (ア 「白露」が枕詞として「秋の野」を導いている イ 草の上の露を、糸に通していない玉に見立てている ウ 第三句までが序詞となって「玉」を導いている エ 「玉」に「魂」を掛けて、亡くなった人をしのんでいる)
- 次の文(この問題のために書いた古文ふうの文)の場面の時間帯として最も適当なものはどれですか。「男、有明の月の残れるを見つつ、女のもとより帰りけり。」 (ア 真夜中を少し過ぎたころ イ 夜が明けかかるころ ウ 日が沈んだ直後のころ エ 昼を少し過ぎたころ)
発展
- 古文の場面で「暁、男帰りぬ。やがて文あり。」と書かれていたら、何が起こっていると読み取れますか。 (ア 男が遠い旅に出ることになり、別れの手紙を残していった イ 男が明け方に亡くなり、あとから遺書が見つかった ウ 通い婚で、泊まった男が夜明け前に帰り、すぐ後朝の文を送ってきた エ 男が暁に宮中へ出勤し、すぐに仕事の用件を書いた手紙を届けさせた)
- 贈答歌を読むときの基本として正しいものはどれですか。 (ア 返歌は贈歌をそのまま繰り返すので、贈歌だけ読めばよい イ 返歌が贈歌の語をどう受けたかを見て、受け入れか拒みかを読む ウ 返歌は贈歌とは別の題材で作るので、語のつながりは見なくてよい エ 贈答歌はいつも男が贈り女が返すので、男の歌だけ読めばよい)
- 次の和歌(『古今和歌集』紀貫之)は、久しぶりに訪ねた宿の主人から「宿はこのとおり変わらずにあるのに(あなたはずっと来なかった)」と言われて詠んだものです。歌の解釈として最も適当なものはどれですか。「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」 (ア あなたの心は昔と同じだが、この里の梅の香りは昔とはすっかり変わってしまったことだ イ 人の心はわからないので、昔と変わらない梅の花だけを頼りに生きていこう ウ あなたの心がわからないので、この里にはもう二度と来ないことにしよう エ あなたの心は変わったかわからないが、この里の梅は昔の香りのまま咲いている)
- 次は、この問題のために作った贈答歌です。男が「いつしかとまつの葉ごとに置く露の消えぬ思ひを君は知らずや」と贈ると、女は「松の葉に置く露ならばほどもなく消えなむものをなにか頼まむ」と返しました。女の返歌の意図として最も適当なものはどれですか。 (ア 男の「消えぬ思ひ」を、すぐ消える露だと切り返して退けている イ 男の「消えぬ思ひ」を信じて、松のようにいつまでも待つと答えている ウ 露が消える前に会いに来てほしいと、男をせかしている エ 男が自分を忘れたことを、松の葉の露にたとえて嘆いている)
和歌の修辞(枕詞・掛詞・序詞・縁語・本歌取り)と古典常識 ── 解答
基礎
- ウ 天・光・月 枕詞は 5 音で特定の語を導く固定表現。訳さない。答え:天・光・月。
- ア 身・実 掛詞は自然の語と心情の語を同音で重ねる。訳は両方の意味を出す。答え:身・実。
- ウ 霜月 睦月・如月・弥生(春)、卯月・皐月・水無月(夏)、文月・葉月・長月(秋)、神無月・霜月・師走(冬)。答え:霜月。
- ア 午前 6 時ごろ 子 = 0 時・北、午 = 12 時・南、卯 = 6 時・東、酉 = 18 時・西。2 時間ずつ。丑寅(北東)が鬼門。答え:午前 6 時ごろ。
- イ 枕詞は 5 音で特定の語を導く定型、序詞は 7 音以上でその歌独自のもの 枕詞はふつう訳さない。序詞は比喩や同音で本題を導く。「あしひきの」は枕詞、「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の」全体は序詞。
- イ 新古今和歌集 藤原定家らが撰んだ新古今和歌集の時代に盛ん。古歌の句を取り入れて新しい情趣を重ねる技法。定家の「駒とめて…」は万葉集の歌を本歌とする。
- ウ 12 時ごろ 子が 0 時ごろ(北)で、時計回りに 2 時間ずつ進む。子から 6 番目の午は 12 時ごろ(正午)。方位では南。
標準
- エ 掛詞(「いなば」= 因幡・往なば、「まつ」= 松・待つ) 枕詞は 5 音の固定表現で訳さない。序詞は 7 音以上でその歌独自。掛詞は同音で 2 つの意味。縁語は関連語の散布。本歌取りは古歌を踏まえる。答え:掛詞(「いなば」= 因幡・往なば、「まつ」= 松・待つ)。
- ウ 摂政は幼い天皇の代わりに政治を行い、関白は成人した天皇を補佐する 答え:摂政は幼い天皇の代わりに政治を行い、関白は成人した天皇を補佐する。
- イ 別れて因幡へ行っても、峰の松のようにあなたが待つと聞けばすぐ帰ろう 「いなば」= 因幡・往なば、「まつ」= 松・待つ。掛詞は両方の意味を訳に出す。
- エ 「ふる」= 降る・経る、「ながめ」= 長雨・眺め(物思い) 訳は「桜の色は色あせてしまった。長雨が降る間に、私がむなしく年を取り物思いにふけっている間に」。「いたづらに」は「むなしく」(jg-01)。自然(長雨で花が色あせる)と心情(年を取る)が重なる典型。
- ア 北西 子=北・卯=東・午=南・酉=西。戌と亥は酉(西)と子(北)の間なので北西。丑寅(北東)は鬼門、未申(南西)は裏鬼門。
- イ 「いく」に地名の生野と「行く」、「ふみ」に「踏み」と「文」 「いく野」は地名の生野と「行く」、「ふみ」は「踏み(まだ行ったこともない)」と「文(母からの手紙も見ていない)」。母の和泉式部に歌を代わりに作ってもらっているのだろうとからかわれて詠んだと伝わる。出典:『金葉和歌集』(12 世紀前半。著作権の保護期間外の古典)。
- イ 草の上の露を、糸に通していない玉に見立てている 風に吹かれて飛び散る露を、糸を通して留めていない玉(真珠)が散るようだと見立てている。「ぞ〜ける」は係り結びで、詠嘆の「けり」。出典:『後撰和歌集』(10 世紀後半。著作権の保護期間外の古典)。
- イ 夜が明けかかるころ 「有明の月」は夜が明けてもまだ空に残っている月(陰暦 20 日以降の月)。男が女の家から暁に帰る通い婚の場面なので、明け方とわかる。
発展
- ウ 通い婚で、泊まった男が夜明け前に帰り、すぐ後朝の文を送ってきた 「暁に帰る」「後朝(きぬぎぬ)の文(和歌)」は平安の恋の定型。すぐ文を送るのは男の誠意の表れで、文が遅ければ女は不安になる、という心情も読み取れる。
- イ 返歌が贈歌の語をどう受けたかを見て、受け入れか拒みかを読む 返歌は贈歌の語(掛詞・縁語)を受けて同じ題材で返すので、その語の使われ方で受け入れたか拒んだか、皮肉か慰めかがわかる。詞書と本文の場面に戻して、歌が場面で何をしているか(求愛・拒絶・約束・別れ)を決める。
- エ あなたの心は変わったかわからないが、この里の梅は昔の香りのまま咲いている 「いさ」は下に「知らず」をともない「さあ、どうだか」。「人の心は変わったかもしれないが、花(梅)は昔のままの香りだ」と、主人の皮肉に軽く切り返している。「ふるさと」は昔なじみの土地、「にほふ」は香る。出典:『古今和歌集』(905 年ごろ。著作権の保護期間外の古典)。
- ア 男の「消えぬ思ひ」を、すぐ消える露だと切り返して退けている 女は贈歌の「まつ(松・待つ)」「露」をそのまま受けて、「露ならすぐに消えてしまうのだから、どうして頼りにできようか(いや、できない)」と返している。「なにか頼まむ」は反語。贈歌の語を受けて切り返すのは、求愛を退ける返歌によくある形。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jg-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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