小説・随筆の読み方(心情・情景・語り手・表現技法) ── 問題
基礎
- 次の自作の一文に使われている表現技法はどれですか。「私は、何を待っていたのだろう。」 (ア 体言止め(名詞で終えて余韻を残す) イ 倒置(語順を変えて強調・余韻) ウ 問いかけ・反語(疑いや心の揺れを読者に向ける) エ 擬人法(ものに人の動作・感情を与える))
- 小説の情景描写について正しいものはどれですか。 (ア 情景描写は場面の飾りで、人物の心情とは無関係 イ 雨はいつも悲しみ、晴れはいつも喜びを表すと決まっている ウ 情景描写は作者の趣味や好みを示すためのもの エ 天候や光は心情を映すが、決まった対応はなく文脈で読む)
- 「水はしばらく流れ続けた」(合格を告げられた母が台所で水を出し続ける場面)の「水」の働きはどれですか。 (ア 直喩。水を涙にたとえると明言している イ 単なる事実の報告で、心情とは無関係 ウ 擬人法。水に意志を与えている エ 象徴。涙や言葉にできない感情を重ねている)
標準
- 次の自作の場面で、傍線部の行動から読み取れる人物の心情として最も適切なものはどれですか。 「『大丈夫だから』と彼女は笑った。笑ったまま、テーブルの上の砂糖の袋を、意味もなく何度も折り曲げていた。(傍線部:砂糖の袋を、意味もなく何度も折り曲げていた)」 (ア 本当は大丈夫ではないのに強がって笑い、不安や動揺を手の動きに逃がしている イ 本当に大丈夫で、退屈して手遊びをしている ウ 相手の話がつまらなくて聞いていない エ 砂糖の袋の折り方を工夫して楽しんでいる)
- 次の自作の情景描写が表している場面の空気・人物の心情として最も適切なものはどれですか。 「雲が切れて、濡れた校庭に光が差した。水たまりの一つ一つが、空を映していた。」 (ア 深まる不安と、どうにもならない絶望に押しつぶされそうな気持ち イ 退屈で何も起きない日常への倦怠と、変化を求めるいらだち ウ 沈んでいた気持ちが晴れ、前を向き始める予感 エ 収まらない怒りと、相手を許せないまま立ちつくすいらだち)
- 次の自作の一文の表現の効果として最も適切なものはどれですか。「見えなかった、何も。」 (ア 反復で「見えない」を繰り返し、暗闇の中で目が慣れていく過程を描く イ 倒置で「何も」を文末に置き、見えなかったことの衝撃と余韻を強める ウ 体言止めで「何も」を強調し、何もない空間の明るさとすがすがしさを残す エ 直喩で暗さを何かにたとえ、見えない状態を具体的に想像させる)
- 次の自作の随筆で、筆者の「気づき(抽象)」にあたる文はどれですか。 「①久しぶりに会った友人が、私の口癖をまねして笑った。②自分では気づいていなかった言い回しだった。③人は自分の姿を、他人の目を借りて初めて見るのだろう。」 (ア ① イ ② ウ ③)
- 小説の読み方について、人物像を問う設問の解き方はどれですか。 (ア 選択肢のうち最も長く詳しいものを選び、書かれている要素が多いほど正解に近いと考えるというのが読解の基本である イ 名前の漢字や響きの印象で決め、作者が名前に込めた意味から性格を推測すると本文から判断できる ウ 行動・発言・他の人物の反応・外見の描写を場面をまたいで集め、一言でまとめる。一つの場面だけで決めない エ 最初の場面の印象で決め、そのあとの行動はすべて最初の印象に合わせて解釈するという考え方が一般的である)
- 心情説明の選択肢を外す基準として適切でないものはどれですか。 (ア 本文の言葉がそのまま入っていない選択肢は外す イ 「絶望」「憎悪」など本文の描写より強すぎる言い方は外す ウ 視点人物以外の内面を断定しているものは外す エ 本文に描写の根拠がない心情は外す)
- 随筆と評論の違いとして適切なものはどれですか。 (ア 評論は論証し、随筆は体験から感じ方を語る イ 随筆は体験だけを書き、筆者の考えは書かない ウ 随筆は事実だけを書き、評論は感想を書く エ 評論はいつも一人称で体験を語る)
- 図の場面で「水はしばらく流れ続けた」という一文の役割として最も適切なものはどれですか。 (ア 娘に対する怒りを、行動で表している イ 祝う気持ちを、言葉に加えて行動でも強めている ウ 時間が翌日に変わったことを、行動で表している エ 言葉とは別の寂しさを、行動で表している)
- 次の文章(この問題のために書いた小説の一場面)を読んで答えなさい。「駅の改札の前で、祖父は私の切符を二度確かめた。『大丈夫だよ、もう子どもじゃないんだから』と私が笑うと、祖父は『そうか』とだけ言って、私のリュックの肩ひもをきゅっと引いて直した。電車が動き出しても、ホームの端に立つ祖父の姿はなかなか小さくならなかった。いや、小さくなっていたのだろう。ただ、私がいつまでも窓に顔を寄せていたのだ。」 祖父が「私のリュックの肩ひもをきゅっと引いて直した」ときの気持ちとして最も適当なものはどれですか。 (ア 孫のリュックが古くなったので、新しく買ってやりたい気持ち イ 大丈夫だと認めつつ、まだ心配で世話を焼かずにいられない気持ち ウ 子ども扱いするなと言われて腹を立て、わざと乱暴にふるまう気持ち エ 孫がいなくなって身軽になることを、ひそかに喜ぶ気持ち)
- 次の文章(この問題のために書いた小説の一場面)を読んで答えなさい。「駅の改札の前で、祖父は私の切符を二度確かめた。『大丈夫だよ、もう子どもじゃないんだから』と私が笑うと、祖父は『そうか』とだけ言って、私のリュックの肩ひもをきゅっと引いて直した。電車が動き出しても、ホームの端に立つ祖父の姿はなかなか小さくならなかった。いや、小さくなっていたのだろう。ただ、私がいつまでも窓に顔を寄せていたのだ。」 この文章の語り方の説明として最も適当なものはどれですか。 (ア 祖父が語り手で、孫である「私」の気持ちを細かく説明している イ 物語の外にいる語り手が、すべての人物の心の中を説明している ウ 「私」が語り手で、祖父の気持ちは言葉や動作から読ませている エ 「私」が祖父の日記を読み、その内容を読者に紹介している)
発展
- 「転校の朝、机の中を空にしてから、私はもう一度引き出しを開けて、閉めた。何も入っていないのはわかっていた。」この描写の読み方として最も適切なものはどれですか。 (ア 新しい学校へ行くのを楽しみにする、はずむ気持ちを表す イ 空とわかっていて開ける動作に、別れへの名残惜しさが表れている ウ 忘れ物がないか何度も確かめる、筆者の几帳面な性格を表している エ 引き出しの開け閉めの手順を、順を追って説明している)
- 共通テストの文学的文章で、本文のあとに「批評文」や「作者のエッセイ」が付いて比較させる設問が出たときの解き方はどれですか。 (ア 資料の筆者の経歴や立場から、答えを判断する イ 資料は読まずに、本文の描写だけを根拠にして答える ウ 資料の主張と、本文のどの描写が対応するかを結びつける エ 資料の言葉が多く入った選択肢を、そのまま選ぶ)
- 次の文章(この問題のために書いた小説の一場面)を読んで答えなさい。「駅の改札の前で、祖父は私の切符を二度確かめた。『大丈夫だよ、もう子どもじゃないんだから』と私が笑うと、祖父は『そうか』とだけ言って、私のリュックの肩ひもをきゅっと引いて直した。電車が動き出しても、ホームの端に立つ祖父の姿はなかなか小さくならなかった。いや、小さくなっていたのだろう。ただ、私がいつまでも窓に顔を寄せていたのだ。」 「なかなか小さくならなかった。いや、小さくなっていたのだろう。」という表現の効果として最も適当なものはどれですか。 (ア 電車がゆっくり走っていたことを、正確に言い直して読者に伝えている イ 見え方を言い直して、祖父を見つめ続けた「私」の名残惜しさを示す ウ 祖父の背が高いことを強調して、祖父の力強さを印象づけている エ 「私」の記憶があいまいなことを示して、この話全体が作り話だと伝えている)
- 次の文章(この問題のために書いた小説の一場面)を読んで答えなさい。「駅の改札の前で、祖父は私の切符を二度確かめた。『大丈夫だよ、もう子どもじゃないんだから』と私が笑うと、祖父は『そうか』とだけ言って、私のリュックの肩ひもをきゅっと引いて直した。電車が動き出しても、ホームの端に立つ祖父の姿はなかなか小さくならなかった。いや、小さくなっていたのだろう。ただ、私がいつまでも窓に顔を寄せていたのだ。」 次は、この文章について書かれた短い批評(自作)です。「この作品では、人物の思いは言葉よりも手の動きに表れている。」批評の指摘に最もよく当てはまる描写はどれですか。 (ア 祖父がリュックの肩ひもをきゅっと引いて直す イ 電車が動き出して駅を離れていく ウ 祖父が「そうか」とだけ答える エ 「私」が「もう子どもじゃない」と笑って言う)
小説・随筆の読み方(心情・情景・語り手・表現技法) ── 解答
基礎
- ウ 問いかけ・反語(疑いや心の揺れを読者に向ける) 技法の名前は入口。設問では「何を表し、読者にどう伝わるか」まで答える。答え:問いかけ・反語(疑いや心の揺れを読者に向ける)。
- エ 天候や光は心情を映すが、決まった対応はなく文脈で読む 天候や光は人物の心情や場面の空気を映すが、「雨=悲しみ」のような決まった対応はない。雨は「沈む」にも「洗い流す・再生」にもなる。場面の前後の情景の変化を見る。
- エ 象徴。涙や言葉にできない感情を重ねている 「ようだ」を使わず、具体物が抽象的な意味を背負うのが象徴。
標準
- ア 本当は大丈夫ではないのに強がって笑い、不安や動揺を手の動きに逃がしている 心情は、直前の出来事(原因)→ 行動・身体反応(表れ)→ 後の行動(確認)の順で読む。複数の感情が混じる選択肢が正解になりやすく、常識だけで選んだ単純な心情や、本文に根拠のないものは外す。答え:本当は大丈夫ではないのに強がって笑い、不安や動揺を手の動きに逃がしている。
- ウ 沈んでいた気持ちが晴れ、前を向き始める予感 情景は決まった意味ではなく、その場面の文脈(誰もいない・光が差す・目をそらす など)で読む。情景の変化は心情の変化。答え:沈んでいた気持ちが晴れ、前を向き始める予感。
- イ 倒置で「何も」を文末に置き、見えなかったことの衝撃と余韻を強める 表現の効果は、技法の名前+表している心情・空気+読者への伝わり方の 3 点。場面の雰囲気と合わない効果(暗い場面で「明るい」)は外す。答え:倒置で「何も」を文末に置き、見えなかったことの衝撃と余韻を強める。
- ウ ③ 随筆は「体験(具体)→ 気づき(抽象)」。気づきの文末は「〜のかもしれない」「〜だろう」「〜と思う」など柔らかい断定。気づきを先に置く型もある。①②は体験、③は「のだろう」で結ぶ気づき。答え:③。
- ウ 行動・発言・他の人物の反応・外見の描写を場面をまたいで集め、一言でまとめる。一つの場面だけで決めない 答え:行動・発言・他の人物の反応・外見の描写を場面をまたいで集め、一言でまとめる。一つの場面だけで決めない。
- ア 本文の言葉がそのまま入っていない選択肢は外す 正解の選択肢は本文を言い換えていることが多い。本文の言葉をそのまま多く含む選択肢が罠であることもある。
- ア 評論は論証し、随筆は体験から感じ方を語る 評論は「〜である」と論証し、随筆は体験から「〜と思えた」と感じ方を語るので、随筆で「筆者は断定している」という選択肢は外れやすい。随筆の構造は「体験(具体)→ 気づき(抽象)」。文末の「〜かもしれない」「〜気がする」が気づきの目印。
- エ 言葉とは別の寂しさを、行動で表している 母は「おめでとう」と言ったあと、顔を見せずに台所で水を流し続ける。祝う言葉と食い違う行動から、娘が家を出ることへの寂しさ(素直に喜べない気持ち)を読む。「水」は涙の象徴。心情は複数が混じる。
- イ 大丈夫だと認めつつ、まだ心配で世話を焼かずにいられない気持ち 「そうか」とだけ答えて孫の言葉を受け入れながら、肩ひもを直す手は止まらない。言葉と行動のずれから、口には出さない心配と愛情が読み取れる。「きゅっと」は丁寧に直す様子で、腹立ちの乱暴さではない。
- ウ 「私」が語り手で、祖父の気持ちは言葉や動作から読ませている 「私が笑うと」など、語り手は登場人物の「私」(一人称)。祖父の心の中は直接書かれず、「そうか」とだけ言う、肩ひもを直す、といった言葉と動作から読み取らせている。
発展
- イ 空とわかっていて開ける動作に、別れへの名残惜しさが表れている 頭では受け入れている別れを、心ではまだ受け入れきれていない。意味のない行動・繰り返しの動作は、言葉にならない感情の表れとして読む。
- ウ 資料の主張と、本文のどの描写が対応するかを結びつける 複数資料の型。資料の主張を一言でまとめ、共通点・相違点を言えるようにして本文の根拠に戻る。資料にない解釈を本文に当てはめない。
- イ 見え方を言い直して、祖父を見つめ続けた「私」の名残惜しさを示す 「小さくならなかった」と書いたあと「いや」と打ち消し、本当は自分がいつまでも見ていたのだと言い直す。祖父が小さく見えなかった理由を自分の側に見つけることで、別れがたい気持ちを直接言わずに表している。
- ア 祖父がリュックの肩ひもをきゅっと引いて直す 批評は「言葉より手の動き」と言っているので、会話(「もう子どもじゃない」「そうか」)ではなく動作を探す。肩ひもを直す手に、言葉にしない祖父の思いが表れている。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jn-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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