行政組織と官僚制 ── 問題
基礎
- 官僚制の逆機能の研究について、グールドナーが石膏工場の研究で指摘した官僚制の逆機能の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 階層組織では人は自分の無能のレベルまで昇進し、組織は無能な人で満たされる イ 上から一方的に規則を押しつけると職員は最低限しか働かなくなり、規則がさらに増える ウ 職場の非公式集団の規範が公式の目標よりも職員の行動を左右してしまう エ 組織が反対勢力を取り込んで安定を図るうちに、本来の目的がゆがめられてしまう undefined 規則を守る訓練が状況の変化への対応力を失わせ、規則の遵守そのものが目的になってしまう)
- ウェーバーの官僚制論について、「合法的支配」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 君主が家来を私的に使役し、職務と私生活が分かれていない支配である イ 支配者の非日常的な資質や英雄性を信じるがゆえに命令に従う支配である ウ 昔から続いてきた慣習や秩序が神聖であると信じられているがゆえに命令に従う支配である エ 正しい手続きで定められた規則にもとづくがゆえに命令に従う支配で、近代官僚制はその最も純粋な型である undefined 支配者と被支配者の間の契約によって成り立ち、契約に反すれば従う義務がなくなる支配である)
- ウェーバーが描いた近代官僚制の特徴として妥当でないものはどれですか。 (ア 職務は文書にもとづいて処理され、記録が保存される イ 職員は専門的な訓練を受けた者の中から任命される ウ 職務の範囲と権限は規則によって明確に定められている エ 職員は選挙によって選ばれ、任期ごとに住民の信任を受ける undefined 上下関係のはっきりした階統制(ヒエラルヒー)をとる)
- 稟議制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 末端の担当者が起案した文書を関係者が順に回覧して押印し、最後に決裁権者が決裁する方式で、合意は得やすいが時間がかかり責任があいまいになりやすい イ 住民の投票によって政策を決定する方式で、民主的だが専門的な判断がしにくい ウ 関係者が会議に集まって多数決で決定する方式で、決定は速いが少数意見が切り捨てられやすい エ 外部の専門家に判断を委ねる方式で、専門性は高いが行政の責任が不明確になりやすい undefined トップが決定した方針を文書で下位の職員に伝達する方式で、迅速だが末端の職員の意見が反映されにくい)
標準
- 日本の中央行政組織について、内閣官房の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 大臣から独立して職権を行使する合議制の機関で、規則制定や審判の権限をもつものがある イ 2001 年の中央省庁再編で新設され、他の省より一段高い位置づけで特命担当大臣が置かれる ウ 内閣の補助機関として閣議事項の整理や内閣の重要政策の企画立案・総合調整を担い、その長は内閣官房長官である エ 省の外局として置かれる機関で、その長は長官と呼ばれる undefined 国家行政組織法にもとづいて設置され、その長である大臣を副大臣と大臣政務官が補佐する)
- 日本の官僚制に関する学説について、井上誠一の主張として妥当なものはどれですか。 (ア 官僚像は国士型から調整型を経て吏員型へと変化したとし、政治の決定に従う執行者としての官僚を描いた イ 実際の決定が稟議書の回覧だけで行われるとは限らないとし、決定方式を順次回覧型・持ち回り型・非稟議書型に分けた ウ 日本の役所は課や係の単位で仕事を分担する大部屋主義をとり、個人の職務範囲を厳密に決めないと指摘した エ 戦前の官僚制の特権的・閉鎖的な性格は戦後も連続しているとし、稟議制を非民主的な決定様式として批判した undefined 戦後の官僚制は政党との関係の中で変化したとし、戦前との断絶と政官の相互依存を重視した)
- ウェーバーの官僚制論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 官僚制は非能率で硬直的な組織形態であり、近代国家はこれを廃止すべきだとした イ 近代官僚制は合法的支配の最も純粋な型であり、技術的に最も優れた組織形態だとした一方で、その民主的統制の難しさも指摘した ウ 近代官僚制は伝統的支配の最も純粋な型であり、慣習にもとづく安定した組織形態だとした エ 官僚制は行政機関に固有の組織形態であり、企業や政党には見られないとした undefined 官僚制の逆機能を実証的に研究し、目的の転移や訓練された無能力を指摘した)
- 官僚制の逆機能に関する研究者と内容の組み合わせとして妥当なものはどれですか。 (ア クロジェ ── 役人の数は仕事の量と無関係に増えるという法則 イ マートン ── 規則の遵守が自己目的化する「目的の転移」と、変化に対応できない「訓練された無能力」 ウ グールドナー ── TVA の調査から、反対勢力を取り込む包摂によって組織目的がゆがむこと エ ウェーバー ── 階層組織では人は無能のレベルまで昇進するという法則 undefined セルズニック ── 石膏工場の調査から、規則の押しつけが職員の最低限の働きと規則の増加を招く悪循環)
- 独立行政委員会と審議会に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 独立行政委員会は行政権が内閣に属するとする憲法 65 条に反するため、現在の日本には置かれていない イ 独立行政委員会は大臣から独立して職権を行使する合議制の機関で決定権をもつのに対し、審議会は諮問機関で答申に法的拘束力はない ウ 審議会は国会に置かれる機関で、法律案の審査を担当する エ 独立行政委員会は諮問機関で答申に法的拘束力がないのに対し、審議会は大臣から独立して職権を行使し決定権をもつ undefined 独立行政委員会も審議会も国家行政組織法 8 条にもとづく機関で、いずれも決定権をもたない)
- 2001 年の中央省庁再編に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国の行政組織を廃止して都道府県に移管し、道州制への移行を実現した イ 1 府 12 省庁を 1 府 22 省庁に分割し、各省の専門性を高めることで行政の細分化を図った ウ 1 府 22 省庁を 1 府 12 省庁に統合し、内閣府の新設や副大臣・大臣政務官の導入によって内閣機能の強化を図った エ 省庁の数は変えずに、すべての省の外局を独立行政法人に移行させた undefined 内閣府を廃止して内閣官房に統合し、政務次官を新設して大臣の補佐体制を強化した)
- セクショナリズムの説明として妥当なものはどれですか。 (ア 部門ごとの利益や権限を優先し、他部門との調整や協力を嫌う縄張り意識のことで、官僚制の逆機能の一つとされる イ 上司の命令を疑わずに受け入れる範囲のことで、バーナードが組織の権威を説明するために用いた概念である ウ 前例に従うことを優先し、新しい状況に応じた判断を避ける態度のことで、官僚制の順機能の一つとされる エ 責任を避けるために決定を先送りし、問題が起きても対応しない態度のことで、稟議制の長所とされる undefined 組織の目的を達成するために部門間で積極的に人員を融通し合うことで、大部屋主義の利点とされる)
発展
- 日本の官僚制に関する学説の記述として妥当なものはどれですか。 (ア 大森彌は日本の役所が個人ごとに職務記述書をもつ個室主義をとると指摘し、欧米の大部屋主義と対比した イ 辻清明は戦後の官僚制が政党との関係で変化したとする断絶説をとり、村松岐夫は戦前の官僚制の性格が続いているとする連続説をとった ウ 真渕勝は官僚像が吏員型から調整型を経て国士型へと変化したと描き、官僚の自負が強まったとした エ 村松岐夫は稟議制を非民主的な決定様式として批判し、政治家による官僚統制の強化を求めた undefined 辻清明は戦前の官僚制の特権的性格が戦後も続いているとする連続説をとり、村松岐夫は戦後の官僚制は政党との関係で変化したとする断絶説をとった)
- 日本の中央行政組織の変遷に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア こども家庭庁は厚生労働省の内部部局として設置され、独自の大臣は置かれていない イ 2001 年の再編以降、新たな省庁の設置は法律で禁止され、組織の変更は行われていない ウ 2001 年の再編後も、防衛庁の省への移行、消費者庁・復興庁・デジタル庁・こども家庭庁の設置など組織の見直しが続いている エ 内閣人事局は 2001 年の再編と同時に内閣府に設置され、幹部職員の人事を一元管理してきた undefined デジタル庁は総務省の外局として設置され、その長は総務大臣が兼ねる)
- グールドナーの官僚制の 3 類型に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 規則を重視する法規型、人間関係を重視する人間型、成果を重視する成果型に分けた イ 伝統的支配・カリスマ的支配・合法的支配の 3 つの支配類型に対応する官僚制に分けた ウ 規則が上から一方的に押しつけられる懲罰型、労使双方の合意で規則が作られる代表型、規則が形だけで守られない模擬型に分けた エ 中央集権型・地方分権型・融合型の 3 つの中央地方関係に対応する官僚制に分けた undefined 国益を担うと自負する国士型、政治家と利益集団を調整する調整型、政治の決定に従う吏員型に分けた)
行政組織と官僚制 ── 解答
基礎
- イ 上から一方的に規則を押しつけると職員は最低限しか働かなくなり、規則がさらに増える 上から一方的に規則を押しつけると職員は最低限しか働かなくなり、規則がさらに増える。逆機能は「人名 1 つにキーワード 1 つ」で結びつける(zq-02 解説 2 節)。
- エ 正しい手続きで定められた規則にもとづくがゆえに命令に従う支配で、近代官僚制はその最も純粋な型である 正しい手続きで定められた規則にもとづくがゆえに命令に従う支配で、近代官僚制はその最も純粋な型である。
- エ 職員は選挙によって選ばれ、任期ごとに住民の信任を受ける 近代官僚制の職員は任命制(選挙ではない)。規則・階統制・文書主義・専門性・公私分離・定額俸給が特徴。
- ア 末端の担当者が起案した文書を関係者が順に回覧して押印し、最後に決裁権者が決裁する方式で、合意は得やすいが時間がかかり責任があいまいになりやすい 稟議制はボトムアップ型の決定方式。辻清明が日本の行政の特徴として指摘し、非民主的・責任があいまいと批判。井上誠一は実際の決定は会議で行われることも多いと分類した。
標準
- ウ 内閣の補助機関として閣議事項の整理や内閣の重要政策の企画立案・総合調整を担い、その長は内閣官房長官である 内閣の補助機関として閣議事項の整理や内閣の重要政策の企画立案・総合調整を担い、その長は内閣官房長官である。「3 条か 8 条か」「合議制か独任制か」「決定権があるか」で分ける。
- イ 実際の決定が稟議書の回覧だけで行われるとは限らないとし、決定方式を順次回覧型・持ち回り型・非稟議書型に分けた 実際の決定が稟議書の回覧だけで行われるとは限らないとし、決定方式を順次回覧型・持ち回り型・非稟議書型に分けた。
- イ 近代官僚制は合法的支配の最も純粋な型であり、技術的に最も優れた組織形態だとした一方で、その民主的統制の難しさも指摘した ウェーバーは官僚制を合法的支配の純粋型・技術的に優れた形態として描いた(順機能)。大規模組織一般に見られる。逆機能の実証はマートンら。
- イ マートン ── 規則の遵守が自己目的化する「目的の転移」と、変化に対応できない「訓練された無能力」 セルズニックとグールドナーの内容が入れかわっている。パーキンソンの法則・ピーターの法則はそれぞれ別の人物。
- イ 独立行政委員会は大臣から独立して職権を行使する合議制の機関で決定権をもつのに対し、審議会は諮問機関で答申に法的拘束力はない 独立行政委員会は 3 条機関(合議制・決定権あり・準立法・準司法機能)、審議会は 8 条機関(諮問・拘束力なし)。独立行政委員会は内閣の任命権や国会の監督が及ぶことから合憲とするのが一般的。
- ウ 1 府 22 省庁を 1 府 12 省庁に統合し、内閣府の新設や副大臣・大臣政務官の導入によって内閣機能の強化を図った 橋本行革の成果として 2001 年に実施。1 府 22 省庁 → 1 府 12 省庁、内閣府新設、首相の発議権の明文化、副大臣・大臣政務官の導入(政務次官は廃止)。
- ア 部門ごとの利益や権限を優先し、他部門との調整や協力を嫌う縄張り意識のことで、官僚制の逆機能の一つとされる セクショナリズム=縄張り主義。前例主義・事なかれ主義とともに官僚制の逆機能として挙げられる。無関心圏はバーナード。
発展
- undefined 辻清明は戦前の官僚制の特権的性格が戦後も続いているとする連続説をとり、村松岐夫は戦後の官僚制は政党との関係で変化したとする断絶説をとった 辻=連続説・官僚優位論、村松=断絶説・政党優位論。真渕は国士型 → 調整型 → 吏員型。大森は日本=大部屋主義、欧米=個室主義。稟議制批判は辻。
- ウ 2001 年の再編後も、防衛庁の省への移行、消費者庁・復興庁・デジタル庁・こども家庭庁の設置など組織の見直しが続いている 防衛省(2007 年)・消費者庁(2009 年)・復興庁(2012 年)・内閣人事局(2014 年・内閣官房)・デジタル庁(2021 年・内閣直属)・こども家庭庁(2023 年・内閣府の外局)。
- ウ 規則が上から一方的に押しつけられる懲罰型、労使双方の合意で規則が作られる代表型、規則が形だけで守られない模擬型に分けた グールドナーは石膏工場の研究から、規則のあり方を懲罰的・代表的・模擬的の 3 型に分けた。国士型・調整型・吏員型は真渕勝、支配の 3 類型はウェーバー。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zq-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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