歴史的仮名遣いと古文単語(現代と意味が違う語・多義語) ── 問題
基礎
- 次の歴史的仮名遣いの語を現代仮名遣いに直したものはどれですか。「かは」 (ア かは イ かあ ウ かわん エ かわ)
- 次の古文単語の意味として最も適当なものはどれですか。「むつかし」 (ア 騒々しい イ すさまじい・激しい ウ 不快だ・うっとうしい エ 眺める)
- 次の呼応の副詞を含む表現の意味として正しいものはどれですか。「つゆ知らず」 (ア よくまったく知らない イ その通りにまった…(副詞を無視した訳) ウ まったく知らない エ 露を知らない)
- 歴史的仮名遣いで、現代仮名遣いに直さずそのままにするものはどれですか。 (ア 「ゐ」「ゑ」(例:ゐる・こゑ) イ 「くわ」「ぐわ」(例:くわし・ぐわん) ウ 助詞の「は」「へ」「を」(例:われは・花を) エ 語中・語尾の「は」(例:あはれ・かは))
- 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは」の「やうやう」の現代仮名遣いと意味はどれですか。 (ア ようよう・だんだん イ やうやう・やっと ウ ようよう・ようやく エ やうやう・そのまま)
標準
- 次の文の傍線部「あやし」の意味として最も適当なものはどれですか。 あやしき小家の門に立ち寄りぬ。 (ア 現代語と同じ意味で「あやし」 イ 怪しい・疑わしい ウ 身分が低い・粗末な エ 不思議だ)
- 次の古文単語のうち、プラスの評価(よい意味)で使われることが多い語はどれですか。 (ア おぼつかなし イ なつかし ウ うたてし エ あさまし)
- 「ありがたきもの。舅にほめらるる婿。」(枕草子)の「ありがたき」の意味はどれですか。 (ア 感謝すべき イ 手に入れにくい高価な ウ めったにない エ ありそうな)
- 「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(古今集・藤原敏行)の「おどろかれぬる」の意味はどれですか。 (ア (秋の訪れに)はっと気づかされた イ びっくりして飛び上がった ウ 風の音に驚いて逃げた エ 目が覚めて眠れなくなった)
- 次は『竹取物語』の一節です。「あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」この中の「うつくしう」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア 弱々しく痛ましい様子で イ かわいらしい様子で ウ きれいに着飾った姿で エ 立派で堂々とした様子で)
- 次は『徒然草』第九十二段の一節です。「ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師の言はく、『初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、始めの矢になほざりの心あり。』」この中の「なほざりの心」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア 師の教えに素直に従う気持ち イ いっそう真剣になる気持ち ウ いいかげんにする気持ち エ あとまで大事にとっておく気持ち)
- 次の文章(この問題のために書いた古文ふうの文章)の「ののしる」の意味として最も適当なものはどれですか。「夜更けて、門のあたりにいみじうののしる声しければ、家の人々あやしと思ひて出でて見るに、隣の犬の、迷ひ来たる猫を追ひてほえけるなりけり。」 (ア 悪口を言う イ すすり泣く ウ ひそひそとささやく エ 大声で騒ぐ)
- 次は『枕草子』第一段の一節です。「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。」この中の「さらなり」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア ありふれている イ 言うまでもない ウ いっそうよくなる エ まだ物足りない)
発展
- 「いみじ」が文脈によって正反対の訳になる理由として正しいものはどれですか。 (ア 本来「すばらしい」の意味だったが、平安末期に「ひどい」の意味へ変わったから イ 本来「程度がはなはだしい」意で、文脈により良い意味にも悪い意味にもなるから ウ 作者が「すばらしい」と「ひどい」を取り違えて使った例が多く残ったから エ 都では「すばらしい」、地方では「ひどい」の意味で使われていたから)
- 「世を捨つ」「世を背く」「世を厭ふ」「世を遁る」に共通する意味はどれですか。 (ア 都を離れる イ 出家する ウ 死ぬ エ 恋人と別れる)
- 次の文章(この問題のために書いた古文ふうの文章)の「家の人々あやしと思ひて出でて見るに」の現代語訳として最も適当なものはどれですか。「夜更けて、門のあたりにいみじうののしる声しければ、家の人々あやしと思ひて出でて見るに、隣の犬の、迷ひ来たる猫を追ひてほえけるなりけり。」 (ア 家の人々が身分の低い者だと思って出て見ると イ 家の人々が不思議に思って外に出て見ると ウ 家の人々がみっともないと思って出ずにいると エ 家の人々が恐ろしいと思って中に隠れていると)
- 次は『方丈記』の冒頭です。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」この中の「かつ消えかつ結びて」の意味として最も適当なものはどれですか。 (ア 一方で消えながら、一方でできて イ かつては消えたが、今は結び合って ウ すぐに消えて、二度とできることなく エ やっと消えたかと思うと、また固まって)
- 『方丈記』の冒頭は、川の流れと泡(うたかた)のことを述べたあと「世の中にある人と栖と、またかくのごとし。」と続きます。筆者がこの比喩で言おうとしていることとして最も適当なものはどれですか。 (ア 住まいは川のそばに建てると、長くもたないこと イ 泡のようにはかないものほど、美しく見えること ウ 人も住まいも、絶えず移り変わってとどまらないこと エ 人は川の水のように、低い所へ流れて落ちぶれること)
歴史的仮名遣いと古文単語(現代と意味が違う語・多義語) ── 解答
基礎
- エ かわ 語頭以外のは行 → わ行、ゐゑを → いえお、ぢづ → じず、くわ → か、長音(au → ō、iu → yū、eu → yō)。答え:かわ。
- ウ 不快だ・うっとうしい 現代語と同じ意味を疑うのが古文単語の基本。答え:不快だ・うっとうしい。
- ウ まったく知らない え〜ず(不可能)、な〜そ(禁止)、つゆ・さらに・たえて・おほかた〜ず(全否定)、よも〜じ(まさか〜ないだろう)、いかで〜む(なんとかして/どうして)。答え:まったく知らない。
- ウ 助詞の「は」「へ」「を」(例:われは・花を) 「思ふ」は「おもう」に直すが、「われは行く」の「は」は助詞なのでそのまま。
- ア ようよう・だんだん au → ō の長音。『枕草子』冒頭。「やうやう」は「次第に」の意味。
標準
- ウ 身分が低い・粗末な 多義語は文脈で決める。プラスかマイナスか、誰が誰に、何について言っているかを見る。答え:身分が低い・粗末な。
- イ なつかし プラス:めでたし(すばらしい)・らうたし(かわいい)・きよらなり(美しい)・こころにくし(奥ゆかしい)・なつかし(心ひかれる)・ゆかし(心ひかれる)。マイナス:すさまじ・むつかし・にくし・わろし・あさまし・くちをし・なめし。答え:なつかし。
- ウ めったにない 「有り難し」= 存在するのが難しい = めったにない。舅にほめられる婿はめったにいない、という段。
- ア (秋の訪れに)はっと気づかされた 「おどろく」= はっと気づく。目には見えないが風の音で秋の到来に気づいた、という歌。
- イ かわいらしい様子で 古語の「うつくし」は、小さいものをかわいらしく思う気持ち。三寸(約 9 cm)ほどの小さな人を見ている場面なので「かわいらしい」。「うつくしう」は「うつくしく」のウ音便。出典:『竹取物語』(平安時代初期・作者未詳。著作権の保護期間外の古典)。
- ウ いいかげんにする気持ち 「なほざり」は物事をいいかげんにすること。二本目の矢があると思うと、一本目をおろそかにしてしまう、という師の戒め。「諸矢」は二本一組の矢。出典:兼好法師『徒然草』(鎌倉時代末。著作権の保護期間外の古典)第九十二段。
- エ 大声で騒ぐ 古語の「ののしる」は大声で騒ぐこと(評判になる、の意味もある)。現代語の「悪口を言う」とは違う。最後に犬がほえていたとわかるので、騒がしい声の場面。
- イ 言うまでもない 「さらなり」は「言へばさらなり」を縮めた形で「言うまでもない(すばらしい)」。月のころはもちろん、闇夜も蛍が飛びかってよい、と続く。出典:清少納言『枕草子』(平安時代中期。著作権の保護期間外の古典)。
発展
- イ 本来「程度がはなはだしい」意で、文脈により良い意味にも悪い意味にもなるから 修飾する語や文脈で「すばらしい」にも「ひどい」にもなる。同じ型の語に「ゆゆし」(不吉だ/すばらしい)、「あさまし」(驚きあきれる:善悪どちらも)がある。
- イ 出家する 「世」= 俗世。「いたづらになる」「はかなくなる」「消え入る」は「死ぬ」の婉曲表現。古典常識(jg-06)とあわせて。
- イ 家の人々が不思議に思って外に出て見ると 「あやし」は「不思議だ」と「身分が低い」の両方の意味をもつ多義語。夜中に正体のわからない騒ぎ声がした場面なので「不思議だ」。「出でて見るに」の「に」は「〜すると」。
- ア 一方で消えながら、一方でできて 「かつ〜かつ…」は「一方では〜、一方では…」。「結ぶ」はここでは泡(うたかた)ができること。泡が消えたりできたりして、同じままとどまらない様子。出典:鴨長明『方丈記』(1212 年。著作権の保護期間外の古典)。
- ウ 人も住まいも、絶えず移り変わってとどまらないこと 「かくのごとし」は「このようだ」。流れ続けて同じ水でない川、消えたりできたりする泡と同じように、人も住まいも移り変わる、という無常観。出典:鴨長明『方丈記』(1212 年。著作権の保護期間外の古典)。
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