助詞・係り結び・敬語(尊敬・謙譲・丁寧・二方面・絶対敬語) ── 問題
基礎
- 次の敬語動詞の種類と意味はどれですか。「仕る・仕うまつる」 (ア 尊敬語:お仕えする・して差し上げる イ 最高敬語(二重敬語):お仕えする・して差し上げる ウ 謙譲語:お仕えする・して差し上げる エ 丁寧語:お仕えする・して差し上げる)
- 次の文の係助詞「かは」の結びの語の活用形と、この文の意味はどれですか。「誰かは知らむ。」 (ア 連体形(反語:誰が知ろうか、いや誰も知らない) イ 已然形(反語:誰が知ろうか、いや誰も知らない) ウ 連体形(疑問:誰が知ろうか、いや誰も知らない) エ 連体形(強調:誰が知ろうか、いや誰も知らない))
- 係り結びで、結びが已然形になる係助詞はどれですか。 (ア なむ イ こそ ウ ぞ エ や・か)
- 「な〜そ」の形で、カ変・サ変の動詞につくときの活用形はどれですか。 (ア 連用形(な来(き)そ・なしそ) イ 連体形 ウ 未然形(な来(こ)そ・なせそ) エ 終止形)
標準
- 次の文の敬語「奏し」は、誰から誰への敬意ですか。地の文:「中納言、帝に奏し給ふ。」 (ア 中納言から帝へ(謙譲) イ 作者から自分自身へ(謙譲) ウ 作者から帝へ(尊敬) エ 作者から帝へ(謙譲))
- 次の文の「の」の用法として正しいものはどれですか。「春の山」 (ア 主格 イ 連用修飾格 ウ 連体修飾格 エ 準体格)
- 次の文の現代語訳として最も適当なものはどれですか。「よき友もがな。」 (ア よい友がいない イ よい友がいるだろう ウ よい友はいらない エ よい友がいればいいなあ)
- 敬語の応用について、「奉る」「参る」が尊敬語になるのはどのような意味のときですか。 (ア 補助動詞として動詞の下についたときで、「〜申し上げる」ではなく「お〜になる」の意味になる イ 「着る・乗る・食ふ・飲む」の意味(お召しになる・お乗りになる・召し上がる)のとき ウ 「差し上げる・参上する」の意味のときで、動作の受け手が天皇なら尊敬語に転じる エ 会話文で使われたときで、話し手が目上の人物なら尊敬語として読む)
- 「白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ」(伊勢物語)の最初の「の」の用法と訳はどれですか。 (ア 主格:「白い鳥が、くちばしと脚が赤く」 イ 同格:「白い鳥で、くちばしと脚が赤い(鳥)が」 ウ 準体格:「白い鳥のものが」 エ 連体修飾格:「白い鳥のくちばしと脚」)
- 「中納言こそ参り給ひしか、大納言は参り給はず。」の「こそ〜しか、」の用法はどれですか。 (ア 強調:「中納言が参上なさった。」で文が切れる イ 疑問:「中納言は参上なさったか、大納言はなさらない」 ウ 反語:「中納言が参上なさろうか、いやなさらない」 エ 逆接:「中納言は参上なさったが、大納言はなさらない」)
- 次は『源氏物語』桐壺の巻の冒頭です。「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」この中の「あらぬが」の「が」の用法として正しいものはどれですか。 (ア 準体格(〜のもの) イ 逆接(〜けれども) ウ 同格(〜で) エ 連体修飾格(〜の))
- 次は『徒然草』第百九段の一節です。「高名の木登りといひし男、人をおきてて、高き木に登せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、降るる時に、軒長ばかりになりて、『あやまちすな。心して降りよ』と言葉をかけ侍りしを、」この中の「かけ侍りし」の「侍り」の敬語の種類と敬意の方向として正しいものはどれですか。 (ア 尊敬語で、筆者から名人への敬意 イ 謙譲語で、筆者から木登りへの敬意 ウ 丁寧語で、名人から登る人への敬意 エ 丁寧語で、筆者から読者への敬意)
- 次の文(この問題のために書いた古文ふうの文)の現代語訳として最も適当なものはどれですか。「かかる荒れたる所に、いかでか人の住まむ。」 (ア こんな荒れた所に、どうして人が住まないのだろうか イ こんな荒れた所に、なんとかして人に住んでほしい ウ こんな荒れた所にも、きっと人が住んでいるだろう エ こんな荒れた所に、どうして人が住もうか、いや住まない)
発展
- 会話文「かしこにて、かの君を見給へしかば、…」の「給へ」について正しいものはどれですか。 (ア 尊敬の補助動詞(四段)の命令形:「ご覧なさい」 イ 尊敬の補助動詞(四段活用)の已然形:「ご覧になったので」 ウ 丁寧の補助動詞(四段)の連用形:「見ましたので」 エ 謙譲の補助動詞(下二段)の連用形:「拝見しましたので」)
- 「帝、御衣を奉りて出でさせ給ふ。」の「奉り」の種類と意味はどれですか。 (ア 謙譲語「いただく」(「受く」の意味) イ 丁寧語「着ます」(「着る」の意味) ウ 尊敬語「お召しになる」(「着る」の意味) エ 謙譲語「差し上げる」(「与ふ」の謙譲の意味))
- 次は『源氏物語』桐壺の巻の冒頭です。「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」この中の「さぶらひ給ひける」の「さぶらひ」と「給ひ」が表す敬意の対象の組み合わせとして正しいものはどれですか(地の文なので、敬意は語り手からのものです)。 (ア 「さぶらひ」も「給ひ」も女御・更衣へ イ 「さぶらひ」は帝へ、「給ひ」は女御・更衣へ ウ 「さぶらひ」も「給ひ」も帝へ エ 「さぶらひ」は女御・更衣へ、「給ひ」は帝へ)
- 『徒然草』第百九段で、筆者が「どうしてそんなことを言うのか」と尋ねると、高名の木登りは「その事に候ふ。目くるめき、枝危きほどは、己れが恐れ侍れば申さず。」と答えています。「申さず」の主語と、「候ふ」が表す敬意の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 主語は木登りの名人で、「候ふ」は名人から筆者への敬意 イ 主語は筆者で、「候ふ」は筆者から名人への敬意 ウ 主語は木登りの名人で、「候ふ」は筆者から読者への敬意 エ 主語は木に登った人で、「候ふ」は名人から登る人への敬意)
- 次は『枕草子』の一節です。「雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などして集まりさぶらふに、『少納言よ、香炉峰の雪いかならむ』と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。」この中の「御簾を高く上げたれば」と「笑はせ給ふ」の主語の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 「上げたれば」も「笑はせ給ふ」も作者(清少納言) イ 「上げたれば」は中宮、「笑はせ給ふ」は作者(清少納言) ウ 「上げたれば」は作者(清少納言)、「笑はせ給ふ」は中宮 エ 「上げたれば」も「笑はせ給ふ」も中宮)
助詞・係り結び・敬語(尊敬・謙譲・丁寧・二方面・絶対敬語) ── 解答
基礎
- ウ 謙譲語:お仕えする・して差し上げる 尊敬語は動作をする人を、謙譲語は動作を受ける人を、丁寧語は聞き手を高める。答え:謙譲語:お仕えする・して差し上げる。
- ア 連体形(反語:誰が知ろうか、いや誰も知らない) ぞ・なむ・や・か → 連体形、こそ → 已然形。や・か は疑問か反語(「やは」「かは」「めや」は反語が多い)。答え:連体形(反語:誰が知ろうか、いや誰も知らない)。
- イ こそ ぞ・なむ・や・か は連体形。「こそ〜已然形、」で文が続くと逆接(〜けれども)。
- ウ 未然形(な来(こ)そ・なせそ) ふつうは連用形(な泣きそ)だが、カ変・サ変は未然形につく。
標準
- エ 作者から帝へ(謙譲) 誰から:地の文は作者から、会話文は話し手から。誰へ:尊敬 → 動作主、謙譲 → 動作の受け手、丁寧 → 聞き手。「奏し給ふ」は二方面(奏し → 帝、給ふ → 中納言)。答え:作者から帝へ(謙譲)。
- ウ 連体修飾格 「名詞+の+連体形、」で下に同じ名詞を補えるなら同格(〜で)。用言に続けば主格(〜が)、名詞に続けば連体修飾格(〜の)。答え:連体修飾格(春の)。
- エ よい友がいればいいなあ 未然形+ば(仮定)、已然形+ば(確定)、とも(逆接仮定)、ども(逆接確定)、で(〜ないで)、だに(せめて/〜さえ)、さへ(〜までも)、なむ(〜してほしい)、ばや(〜したい)、な〜そ(〜するな)、てしがな・もがな(願望)、かな(詠嘆)、かし(念押し)。答え:よい友がいればいいなあ。
- イ 「着る・乗る・食ふ・飲む」の意味(お召しになる・お乗りになる・召し上がる)のとき 答え:「着る・乗る・食ふ・飲む」の意味(お召しになる・お乗りになる・召し上がる)のとき。
- イ 同格:「白い鳥で、くちばしと脚が赤い(鳥)が」 「鳥の、…赤き、…なる、」と連体形で区切られ、下に「鳥」を補える → 同格(白い鳥で、くちばしと脚が赤く、鴫ほどの大きさである鳥が)。都鳥(ゆりかもめ)の描写。
- エ 逆接:「中納言は参上なさったが、大納言はなさらない」 「こそ〜已然形、」で文が続くときは逆接で訳す。「しか」は過去「き」の已然形。
- ウ 同格(〜で) 「いとやむごとなき際にはあらぬ(方)」と「すぐれて時めき給ふ(方)」は同じ人物(桐壺の更衣)。「たいして高い身分ではない方で、格別に帝の寵愛を受けていらっしゃる方」と訳す同格の「が」。下の連体形のあとに同じ名詞を補えるかで見分ける。出典:紫式部『源氏物語』(11 世紀初め。著作権の保護期間外の古典)。
- エ 丁寧語で、筆者から読者への敬意 地の文の補助動詞「侍り」は丁寧語「〜ました」で、書き手(筆者)から読み手への敬意。会話文(『 』の中)の外にあるので、名人が使った言葉ではない。出典:兼好法師『徒然草』(鎌倉時代末。著作権の保護期間外の古典)第百九段。
- エ こんな荒れた所に、どうして人が住もうか、いや住まない 係助詞「か」と推量「む」(連体形で結ぶ)の「いかでか〜む」は、多くが反語で「どうして〜だろうか、いや〜ない」。願望の「いかで」なら、下に「ばや・まほし」などがくる。「きっと住んでいるだろう」は、「か」の問いかけを落とした訳。
発展
- エ 謙譲の補助動詞(下二段)の連用形:「拝見しましたので」 「見給へ+しか(過去の已然形)」で、「しか」は連用形接続 → 「給へ」は連用形。四段の連用形は「給ひ」なので、これは下二段(連用形「給へ」)。会話文で話し手自身の「見る」につく → 謙譲(自分の動作を低める)。
- ウ 尊敬語「お召しになる」(「着る」の意味) 「奉る」は「差し上げる」なら謙譲だが、「着る・乗る・食ふ」の意味では尊敬。主語が帝で、「させ給ふ」の最高敬語とも合う。帝が自分の衣を誰かに差し上げるのは文脈に合わない。
- イ 「さぶらひ」は帝へ、「給ひ」は女御・更衣へ 「さぶらふ」はここでは「お仕え申し上げる」の謙譲語で、仕えられる側の帝への敬意。「給ふ」は尊敬語で、動作をする女御・更衣への敬意。謙譲語は動作を受ける人、尊敬語は動作をする人を高める(二方面への敬語)。出典:紫式部『源氏物語』(11 世紀初め。著作権の保護期間外の古典)。
- ア 主語は木登りの名人で、「候ふ」は名人から筆者への敬意 会話文の中の「申す」(謙譲語)と「候ふ」(丁寧語)は話し手の名人が使っている。目がくらむほど高い所では登る人が自分で用心するので「私は申し上げない」で、主語は名人。会話文の丁寧語は、話し手から聞き手(ここでは筆者)への敬意。出典:兼好法師『徒然草』(鎌倉時代末。著作権の保護期間外の古典)第百九段。
- ウ 「上げたれば」は作者(清少納言)、「笑はせ給ふ」は中宮 「上げたれば」には敬語がなく、作者自身の動作。「笑はせ給ふ」は最高敬語「せ給ふ」なので、その場でいちばん身分の高い中宮(定子)。白居易の詩句「香炉峰の雪は簾を撥げて看る」をふまえて、作者が御簾を上げて答え、中宮が満足して笑った場面。出典:清少納言『枕草子』(平安時代中期。著作権の保護期間外の古典)。
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