高1 / 古文 / jg-05
助詞・係り結び・敬語(尊敬・謙譲・丁寧・二方面・絶対敬語)
この単元でできるようになること
- 格助詞(主格・連体修飾の「の」「が」、同格の「の」)、接続助詞(ば・とも・ど・ども・が・に・を・て・で・ながら・つつ)の意味を訳せる
- 係り結び(ぞ・なむ・や・か → 連体形、こそ → 已然形)と、結びの省略・流れ、「こそ〜已然形、」の逆接を説明できる
- 副助詞(だに・すら・さへ・のみ・ばかり・など・し)、終助詞(ばや・なむ・てしがな・かな・な〜そ・かし・ぞ・か)を訳せる
- 敬語の 3 種(尊敬・謙譲・丁寧)と主な敬語動詞(給ふ・おはす・奉る・候ふ・参る など)を、誰から誰への敬意かで説明できる
- 二方面への敬語(奉り給ふ)、最高敬語(せ給ふ)、絶対敬語(奏す・啓す)、謙譲の「給ふ」(下二段)、自敬表現を見分けられる
入試での位置づけ
敬語は主語の判定の最大の手がかりで、共通テストの「傍線部の主体は誰か」に直結します(jg-08)。係り結びは結びの活用形から省略や逆接を読み取る問題、「の」の同格用法は訳の選択肢で問われます。敬語動詞 20 語と方向(誰に)を表で固めましょう。
1. 格助詞 ── 「の」「が」の用法
まずここだけ
| 用法 | 例 | 訳 |
|---|---|---|
| 主格 | 雪の降りたるは(雪が降っているのは)、人が来る | 〜が |
| 連体修飾格 | 春の山、我が身 | 〜の |
| 同格(最重要) | 白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる(白い鳥で、くちばしと脚が赤い、鴫ほどの大きさである鳥) | 「〜で」。名詞+の+連体形(+、)の形で、連体形の下に同じ名詞を補える |
| 準体格(体言の代用) | 山の(山のもの)、我が(私のもの) | 〜のもの |
| 連用修飾格(比喩) | 例の(いつものように)、玉のごとし | 〜のように |
同格の見つけ方:「名詞 + の + …(連体形)、」で、連体形の下に上の名詞が入る(白き鳥の…赤き〈鳥〉)。訳は「〜で、」。 その他の格助詞:を(対象・経過点:道を行く)、に(場所・時・対象・結果・原因:〜に・〜と・〜ので)、と(共同・引用・比較・結果)、へ(方向)、より(起点・経過点(〜を通って)・手段(〜で)・比較・即時(〜するとすぐに:「見るより」))、から、にて(場所・手段・原因・資格)。
2. 接続助詞
まずここだけ
| 助詞 | 接続 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| ば | 未然形+ば | 仮定(もし〜なら) | 行かば(もし行くなら) |
| 已然形+ば | 確定:①原因・理由(〜ので)②偶然(〜と・〜ところ)③恒常(〜といつも) | 行けば(行くので・行くと) | |
| とも | 終止形(形容詞は連用形)+とも | 逆接仮定(たとえ〜ても) | 降るとも行かむ |
| ど・ども | 已然形+ど・ども | 逆接確定(〜けれども) | 行けども(行くけれども) |
| が・に・を | 連体形+ | 単純接続(〜と・〜が)・逆接(〜のに)・順接(〜ので) | 言ふに、聞かず(言うのに) |
| て・して | 連用形 | 単純接続 | |
| で | 未然形+で | 打消接続(〜ないで) | 知らで(知らないで) |
| ながら | 連用形・体言 | ①〜ながら ②〜のまま ③〜けれども | |
| つつ | 連用形 | 反復・継続(〜しながら・〜し続けて) | 見つつ |
| ものの・ものを・ものから・ものゆゑ | 連体形 | 逆接(〜けれども) |
「ば」が最重要:a 段+ば → 仮定、e 段+ば → 確定(「〜ので」か「〜と」)。
3. 係り結び
まずここだけ
| 係助詞 | 結び | 意味 |
|---|---|---|
| ぞ・なむ | 連体形 | 強調(訳さない) |
| や・か | 連体形 | 疑問(〜か)・反語(〜か、いや〜ない) |
| こそ | 已然形 | 強調 |
- 結びの省略:文末の「ぞ」「か」「こそ」の下に「あらむ」「言ふ」などが省略される(「いかにぞ」)。「〜にこそ」「〜とぞ」「〜とか」「〜にや」「〜となむ」のあとに〈あらめ・言ふ・ありけむ〉を補う
- 結びの流れ(消滅):結びになるはずの語に接続助詞がついて文が続くと、係り結びが成立しない(「花こそ咲けども、…」)
- 「こそ〜已然形、」の逆接用法:「〜こそ〜已然形、〜」で「〜は〜けれども、〜」(中納言こそ参り給ひしか、大納言は参らず)
- 疑問・反語の判断:「や・か」は文脈で。「〜やは」「〜かは」「〜めや」「〜らめや」は反語が多い。「いかで」「など」+連体形 → 疑問か反語
- 「は」「も」も係助詞(結びは終止形で変わらない)。「は」が清音で助詞のときは仮名遣いを直さない
- 「だに」(副助詞)との組み合わせなどは下記
4. 副助詞・終助詞
ここまでできれば十分
副助詞:
| 助詞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| だに | ①最小限の希望(せめて〜だけでも:下に願望・命令・意志)②類推(〜さえ:打消と) | 声だに聞かばや(せめて声だけでも)、人だになし(人さえいない) |
| すら | 類推(〜さえ) | |
| さへ | 添加(〜までも。現代の「さえ」ではない) | 雨さへ降る(雨までも降る) |
| のみ | 限定(〜だけ)・強意(ひたすら) | |
| ばかり | 程度(〜ほど)・限定(〜だけ) | |
| など | 例示・引用 | |
| し・しも | 強意(訳さない。「しも〜ず」で「必ずしも〜ない」) | 今しも |
| まで | 限度・程度 |
終助詞:
| 助詞 | 接続 | 意味 |
|---|---|---|
| ばや | 未然形 | 自己の願望(〜したい) |
| なむ | 未然形 | 他への願望(〜してほしい) |
| てしが・てしがな・にしが・にしがな | 連用形 | 願望(〜したいものだ) |
| もが・もがな | 体言・連用形など | 願望(〜があればいいなあ) |
| な | 終止形(ラ変は連体形) | 禁止(〜するな)。「な〜そ」(連用形。カ変・サ変は未然形:な来そ・なせそ) |
| かな・か・な | 連体形・体言/文末 | 詠嘆(〜だなあ) |
| かし | 文末 | 念押し(〜よ・〜ね) |
| ぞ・か・や | 文末 | 強調・疑問 |
| ばや・や・よ | 呼びかけ・詠嘆 | |
| 間投助詞:や・を(詠嘆・整調:「あしひきの山鳥の尾の…」の「の」は格助詞)。 |
5. 敬語 ── 3 種と主な動詞
まずここだけ
| 種類 | 敬意の方向 | 主な動詞 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 動作をする人(主語)を高める | 給ふ(四段)(お与えになる/〜なさる)、おはす・おはします(いらっしゃる)、ます・います・いますがり、のたまふ・のたまはす(おっしゃる)、仰す(おっしゃる)、聞こす・聞こしめす(お聞きになる・召し上がる・お治めになる)、御覧ず(ご覧になる)、思す・思し召す(お思いになる)、大殿籠る(お休みになる)、召す(お呼びになる・召し上がる)、奉る・参る(召し上がる・お召しになる:尊敬の用法)、遊ばす(詩歌・管弦をなさる)、知る・治む → しろしめす、あそばす。補助動詞:〜給ふ・〜おはす・〜おはします |
| 謙譲語 | 動作を受ける人(目的語・相手)を高める | 奉る(差し上げる/〜申し上げる)、参る・まうづ(参上する・参詣する)、まかる・まかづ(退出する)、申す・聞こゆ・聞こえさす(申し上げる)、奏す(天皇・上皇に申し上げる)、啓す(皇后・皇太子に申し上げる)、承る(お受けする・お聞きする)、賜る(いただく)、仕る・仕うまつる(お仕えする・して差し上げる)、侍り・候ふ(お仕えする・おそばにいる:謙譲の用法)、給ふ(下二段)(いただく/〜ております:会話文のみ)。補助動詞:〜奉る・〜申す・〜聞こゆ・〜参る・〜給ふ(下二) |
| 丁寧語 | 聞き手(読み手)に対する丁寧 | 侍り・候ふ(さうらふ・さぶらふ)(あります・ございます/〜です・〜ます)。補助動詞:〜侍り・〜候ふ |
敬意の方向:誰から(地の文 → 作者から、会話文 → 話し手から)誰へ(尊敬 → 主語、謙譲 → 目的語・相手、丁寧 → 聞き手)。
6. 敬語の応用 ── 二方面・最高敬語・絶対敬語・識別
まずここだけ
- 二方面への敬語:「奉り給ふ」「申し給ふ」= 謙譲(受け手への敬意)+尊敬(主語への敬意)。「中将、帝に奏し給ふ」→ 「奏し」で帝、「給ふ」で中将への敬意
- 最高敬語(二重敬語):「せ給ふ・させ給ふ」「おはします」「思し召す」「のたまはす」「聞こしめす」「御覧ぜさせ給ふ」。天皇・皇族・摂関など最高位の人に(地の文では天皇・上皇・中宮・東宮などに限る)→ 主語の特定に使える
- 絶対敬語:奏す = 天皇・上皇(院)に申し上げる、啓す = 中宮・皇后・皇太子(東宮)に申し上げる → 相手が特定できる
- 「給ふ」の識別:四段(は・ひ・ふ・ふ・へ・へ)= 尊敬「〜なさる」/下二段(へ・へ・(ふる)・ふる・ふれ・○)= 謙譲「〜ております・〜させていただく」。下二段の「給ふ」は会話文で、「思ふ・見る・聞く・知る」+給へ(て)の形、終止形はほぼ使われない。「見給へ」→ 四段の命令形(ご覧なさい)か下二段の連用形(拝見して)か
- 「奉る」「参る」の識別:多くは謙譲(差し上げる・参上する)だが、「着る・乗る・食ふ・飲む」の意味では尊敬(お召しになる・お乗りになる・召し上がる)
- 「侍り・候ふ」の識別:本動詞「お仕えする・おそばにいる」→ 謙譲、「あります・おります」→ 丁寧、補助動詞「〜です・〜ます」→ 丁寧
- 自敬表現:天皇などが自分の動作に尊敬語、相手の動作に謙譲語を使う(「われ〜給はむ」)
- 敬語がないのも情報:身分の低い人・作者自身・動物には敬語がつかない → 主語判定(jg-08)
7. よくある間違い
- 同格の「の」を「〜の」と訳す(「〜で、」と訳し、連体形の下に名詞を補う)
- 已然形+「ば」を「もし〜なら」と訳す(〜ので・〜と。仮定は未然形+ば)
- 「さへ」を「〜さえ」と訳す(添加「〜までも」。「〜さえ」は「だに・すら」)
- 「こそ」の結びを連体形とする(已然形)
- 「や・か」を常に疑問で訳す(反語の可能性。「やは」「めや」は反語)
- 「給ふ」を全部尊敬とする(下二段は謙譲。会話文の「思ひ給ふる」「見給へて」)
- 「奉る」を全部謙譲とする(「着る・食ふ・乗る」の意味は尊敬)
- 「候ふ」を全部丁寧とする(「お仕えする」は謙譲)
- 「奏す」を誰にでも使うとする(天皇・上皇のみ。中宮・東宮には「啓す」)
- 「せ給ふ」を使役+尊敬だけとする(「〜に」がなければ最高敬語)
- 地の文の敬語を「話し手から」とする(地の文は作者から、会話文は話し手から)
- 謙譲語の敬意の方向を「主語」とする(目的語・相手。主語は尊敬語)
8. 自己チェック
- 「の」の 5 用法、特に同格の見つけ方と訳を言えるか
- 「ば」の仮定・確定、「ど・ども」「で」「とも」の接続と意味を言えるか
- 係り結びの結びの活用形、省略・流れ・「こそ〜已然形、」を言えるか
- だに・さへ・のみ と ばや・なむ・てしがな・な〜そ・かな を訳せるか
- 尊敬・謙譲・丁寧の敬語動詞を 5 つずつと敬意の方向を言えるか
- 二方面・最高敬語・絶対敬語(奏す・啓す)・「給ふ」「奉る」「候ふ」の識別を言えるか
9. 小テストへ
→ 小テスト(jg-05)
関連する単元
- 前提:jg-02 用言の活用、jg-03 助動詞①、jg-04 助動詞②、k-09 敬語(中学・現代語)
- 次に進む:jg-08 古文読解の型(敬語で主語を決める)
- ここで使う考え方が出てくる:jg-06 和歌(係り結び・終助詞)、jg-07 文学史(作品の文体)
参考資料
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 国語編』── 「言語文化」「古典探究」
- 『伊勢物語』九段「白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる」ほか著作権の切れた古典の一節
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/daigaku/japanese/jg-05/ / 更新 2026-09-13