漢文の基礎(返り点・書き下し文・故事成語) ── 問題
基礎
- 返り点に従って読む順番として正しいものはどれですか。「温レ 故 知レ 新(①温 ②故 ③知 ④新)」(返り点は直前の字の左下についたもの。置き字は読まない) (ア ③ → ① → ④ → ② イ ① → ④ → ③ → ② ウ ② → ① → ④ → ③ エ ④ → ③ → ② → ① undefined ① → ② → ③ → ④)
- 故事成語「完璧」の意味はどれですか。 (ア 欠点がまったくないこと イ 仲の悪い者どうしが同じ場所にいる・協力すること ウ 周りが敵ばかりで孤立すること エ つじつまが合わないこと)
- レ点の読み方として正しいものはどれですか。 (ア 下の 1 字を先に読み、上の字に返る イ 読まない(置き字) ウ 2 字以上はなれた字に返る エ 返らずに上から順に読む)
- 書き下し文にするとき読まない字(置き字)の組み合わせはどれですか。 (ア 之・者・所 イ 未・当・将 ウ 不・可・如・也 エ 而・於・于・焉・矣)
- 「未」のように 1 つの字を 2 回読む字を何といいますか。 (ア 置き字 イ 送りがな ウ 返読文字 エ 再読文字)
- 『論語』はだれの言行を記録した書物ですか。 (ア 老子 イ 韓非子 ウ 孟子 エ 孔子とその弟子)
標準
- 漢文「有朋自遠方来」の書き下し文として正しいものはどれですか。 (ア 朋有り遠方より来たる イ 朋有り遠方に行く ウ 朋有り遠方より来たらず エ 朋無し遠方より来たる)
- 1 句が 5 字で、全体が 8 句からなる漢詩の形式を何といいますか。 (ア 七言絶句 イ 七言律詩 ウ 五言律詩 エ 五言絶句)
- 漢詩の押韻(韻をふむ)の位置として正しいものはどれですか。 (ア 奇数句の末(第 1・3 句など) イ 第 1 句と最後の句だけ ウ 偶数句の末(七言は第 1 句も) エ すべての句の頭の字)
- 「春眠暁を覚えず」で始まる漢詩「春暁」の作者と形式はどれですか。 (ア 李白・七言絶句 イ 白居易・七言律詩 ウ 杜甫・五言律詩 エ 孟浩然・五言絶句)
- 夏目漱石のペンネームの由来となった故事成語と、その意味はどれですか。 (ア 漱石枕流・負け惜しみが強いこと イ 推敲・文章を練り直すこと ウ 杞憂・必要のない心配 エ 温故知新・古いことから新しい知識を得ること)
- 「有レ備無レ患」(レ点は直前の字の左下についたもの)の書き下し文として正しいものはどれですか。 (ア 有りて備へ患ひ無し イ 有る備へ患ひ無し ウ 備へ無ければ患ひ有り エ 備へ有れば患ひ無し)
- 次は『韓非子』の「守株」の書き下し文です。「宋人に田を耕す者有り。田中に株有り。兎走りて株に触れ、頸を折りて死す。因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ。兎復た得べからずして、身は宋国の笑ひと為る。」農夫が国中の笑いものになった理由として適切なものはどれですか。 (ア 偶然手に入れた兎を、近所の人々に少しも分けずに独り占めしたから イ 兎を追いかけて走り、切り株につまずいて大けがをしたから ウ 偶然の幸運がまた起こると思い、耕すのをやめて切り株を見張ったから エ 兎をつかまえようとして、大切な切り株を切り倒してしまったから)
- 『論語』の「子曰はく、学びて思はざれば則ち罔し、思ひて学ばざれば則ち殆し。」の内容として適切なものはどれですか。 (ア 学ぶことより自分で考えることのほうが大切だ イ 学んだことは時々くり返して身につけるのが大切だ ウ 学ぶことと自分で考えることの両方が大切だ エ 自分で考えることより学ぶことのほうが大切だ)
発展
- 上下点を使うのはどのような場合ですか。 (ア 1 字だけ返るとき イ 一二点をはさんで上に返るとき ウ 送りがなをつけるとき エ 置き字を示すとき)
- 「己所不欲、勿施於人」に込められた教えはどれですか。 (ア 他人にされたことは自分もしてよい イ 他人の望みを自分も望むべきだ ウ 自分の望みは必ず他人に伝えるべきだ エ 自分がされたくないことを他人にしてはいけない)
- 前の問題の「守株」の中の「兎復た得べからず」の意味として適切なものはどれですか。 (ア 兎を二度手に入れても役に立たなかった イ 兎を二度と手に入れることはできなかった ウ また兎を手に入れたにちがいなかった エ もう一度兎を手に入れるべきではなかった)
- 李白の漢詩「静夜思」の書き下し文です。「牀前月光を看る 疑ふらくは是れ地上の霜かと 頭を挙げて山月を望み 頭を低れて故郷を思ふ」この詩に表れている作者の心情として適切なものはどれですか。 (ア 故郷に帰る日が決まり、うれしくて眠れずにいる気持ち イ 霜がおりるほど寒い夜に、早く春が来ることを願う気持ち ウ 山の上の美しい月を、友と見られた喜びをかみしめる気持ち エ 月の光を見て、遠く離れた故郷をなつかしく思う気持ち)
漢文の基礎(返り点・書き下し文・故事成語) ── 解答
基礎
- ウ ② → ① → ④ → ③ レ点が 2 つ:故 → 温、新 → 知 → 故きを温めて新しきを知る。レ点=すぐ下の 1 字を先に読んで返る。一二点=二をとばし、一を読んでから二へ。上下点=一二点をはさんで上 → 下。置き字(而・於・矣・焉)は読まない。
- ア 欠点がまったくないこと 由来:藺相如が璧(玉)を無事に持ち帰った。→「完璧」=欠点がまったくないこと。
- ア 下の 1 字を先に読み、上の字に返る レ点はすぐ下の 1 字を先に読んでから、レ点のついた字に返る。「不レ知」→ 知らず。2 字以上返るときは一二点、一二点をはさんで返るときは上下点。
- エ 而・於・于・焉・矣 不・可・如・也はひらがなに直して読む助詞助動詞相当の字。未・当・将は再読文字(2 回読む)。
- エ 再読文字 未(いまだ〜ず)・当(まさに〜べし)・将(まさに〜んとす)・猶(なほ〜ごとし)。返読文字は下から返って読む字(不・有・無・自)。
- エ 孔子とその弟子 春秋時代の思想家。儒教の基本となる書。「子曰く」の「子」は孔子。
標準
- ア 朋有り遠方より来たる 決まり:有は返読文字(下から返る)、自 → より。書き下し文は歴史的仮名遣いで、助詞・助動詞に当たる漢字(不・之・也・可・如)はひらがなにする。
- ウ 五言律詩 五言=1 句 5 字、七言=1 句 7 字。絶句=4 句(起承転結)、律詩=8 句(3・4 句と 5・6 句が対句)。押韻は偶数句の末(七言は第 1 句末も)。
- ウ 偶数句の末(七言は第 1 句も) 同じ響きの字を偶数句の句末にそろえる。七言では第 1 句の末も押韻することが多い。律詩では対句(3・4 句、5・6 句)も特徴。
- エ 孟浩然・五言絶句 4 句・各 5 字。李白は「静夜思」、杜甫は「春望」「絶句」が教科書の定番。
- ア 漱石枕流・負け惜しみが強いこと 「石に枕し流れに漱ぐ」と言うべきところを言い間違え、「石で歯を磨き流れで耳を洗う」と強弁した。
- エ 備へ有れば患ひ無し レ点は下の 1 字を先に読んで上に返る。「備→有」「患→無」の順で、備え(準備)があれば心配はないという意味。出典は中国の古典『書経』。
- ウ 偶然の幸運がまた起こると思い、耕すのをやめて切り株を見張ったから 兎が株にぶつかって死んだのは一度きりの偶然なのに、すき(耒)を捨てて株を見張り続けた。そこから「守株」は古いやり方にこだわって進歩がないことを言う。出典:『韓非子』五蠹篇(古代中国の書物)。
- ウ 学ぶことと自分で考えることの両方が大切だ 学ぶだけで考えなければはっきりせず(罔し)、考えるだけで学ばなければ危うい(殆し)と、両方を並べている。出典:『論語』為政篇(孔子と弟子の言行録)。
発展
- イ 一二点をはさんで上に返るとき 「有下 朋 自二 遠方一 来上」=朋の遠方より来たる有り。上下点でも足りないときは甲乙点。
- エ 自分がされたくないことを他人にしてはいけない 論語。「己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ」。思いやり(仁)の教え。
- イ 兎を二度と手に入れることはできなかった 「べからず」はここでは不可能(〜できない)を表す。「復た」はふたたび。農夫は二度と兎を得られなかった。
- エ 月の光を見て、遠く離れた故郷をなつかしく思う気持ち 床の前の月光を霜かと見まちがえ、顔を上げて月を見たあと、うつむいて故郷を思っている。結びの「故郷を思ふ」が心情の中心。出典:李白(唐の詩人・8 世紀)「静夜思」。
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