中2〜3 国語 / 古典 / k-11

更新 2026-09-12

漢文の基礎(返り点・書き下し文・故事成語)

この単元でできるようになること

入試での位置づけ

返り点に従って読む順番を数字で示す問題と書き下し文を選ぶ問題が定番。レ点(1 字返る)・一二点(2 字以上返る)・上下点(一二点をはさんで返る)の 3 つで 9 割が解ける。故事成語は意味と由来の対応、漢詩は絶句(4 句)・律詩(8 句)、五言(1 句 5 字)・七言(1 句 7 字)と押韻の位置(偶数句末)。


1. 返り点

まずここだけ

漢文は中国語の語順(主語−動詞−目的語:我読書)なので、日本語(我書を読む)に直すには返って読む。その順序を示す記号が返り点(漢字の左下につく)。

返り点読み方例
レ点すぐ下の 1 字を先に読み、上に返る読レ書 → 書を読む
一・二(三)点二 のついた字はとばし、一 を読んでから 二 へ返る(2 字以上はなれて返る)読二漢文一 → 漢文を読む
上・下(中)点一二点をはさんでさらに大きく返る。上 を読んでから 下 へ有下朋自二遠方一来上 → 朋の遠方より来たる有り(朋 → 遠方 → 自 → 来 → 有)
一レ点一点とレ点が重なる。まずレ点で 1 字返り、一の働きで二へ
甲乙点上下点でも足りないとき

読む順番の手順:

  1. 返り点のない字は上から順に読む
  2. レ点は「下の 1 字 → 自分」
  3. 二・三・下の字はとばして、一・上を読んだあとに戻る
  4. 返り点が重なる(一レ・上レ)ときは、レ点を先に処理

「不レ知」→ 知らず(知 → 不) 「学而時習レ之」→ 学びて時に之を習ふ(学 → 而(置き字・読まない)→ 時 → 之 → 習) 「欲レ読レ書」→ 書を読まんと欲す(書 → 読 → 欲。レ点が続くときは一番下から順に返る)

典型例:


2. 書き下し文の決まり

まずここだけ

書き下し文:漢文を返り点・送りがなに従って漢字かな交じりの日本語の文に直したもの。

決まり例
送りがな(漢字の右下の片仮名)はひらがなにして漢字のあとに続ける読ム → 読む
助詞・助動詞に当たる漢字はひらがなに直す不(ず・ざる)・也(なり)・之(の・これ)・可(べし)・如(ごとし)・与(と)・而(て・も)・耳(のみ)・乎(か・や)
置き字は読まない而(順接・逆接のつなぎ)・於・于(〜に・〜より)・焉(文末)・矣
再読文字は2 回読む(1 回目は副詞的に、返ってもう一度助動詞的に)未(いまだ〜ず)・当(まさに〜べし)・将(まさに〜んとす)・応(まさに〜べし)・宜(よろしく〜べし)・須(すべからく〜べし)・猶(なほ〜ごとし)
歴史的仮名遣いで書く思ふ・言ふ・なほ

返読文字(必ず下から返って読む字):不・非・無・有・自・従・与・多・少・難・易・如・若。 訓読の定番:「曰」=いはく、「矣・焉」=読まない、「所」=ところ、「者」=もの・は、「安・何」=いづくんぞ・なんぞ(疑問・反語)。


3. 故事成語

ここまでできれば十分

故事成語意味由来
矛盾つじつまが合わないことどんな盾も突き通す矛と、どんな矛も通さない盾を売る商人(韓非子)
五十歩百歩大差がないこと50 歩逃げた兵が 100 歩逃げた兵を笑う(孟子)
推敲詩や文章を何度も練り直すこと賈島が「推す」か「敲く」かで迷った
蛇足よけいなつけたし蛇の絵を早く描けた者が足まで描いて負けた(戦国策)
温故知新古いことを研究して新しい知識を得る論語「故きを温めて新しきを知る」
四面楚歌周りが敵ばかりで孤立項羽が漢軍に囲まれ、四方から楚の歌が聞こえた(史記)
臥薪嘗胆目的のために苦労に耐える呉王夫差が薪の上に寝、越王勾践が苦い胆をなめて復讐を誓った
呉越同舟仲の悪い者が同じ場所にいる・協力する敵国の呉と越の人が同じ舟に乗る(孫子)
杞憂必要のない心配杞の国の人が天が落ちてくると心配した(列子)
朝三暮四目先のちがいにだまされる・ごまかす猿にとちの実を朝 3 つ夕 4 つ → 朝 4 つ夕 3 つで喜ばせた(荘子)
背水の陣退路を断って全力で事にあたる韓信が川を背にして陣を敷き勝った(史記)
画竜点睛最後の仕上げ(「画竜点睛を欠く」=仕上げが足りない)竜の絵に瞳を描き入れると飛び去った
登竜門出世・成功への関門黄河の竜門をのぼった鯉が竜になる
完璧欠点がまったくないこと(もとは「璧を完うす」)藺相如が璧(玉)を無事に持ち帰った(史記)
漱石枕流負け惜しみの強いこと「石に枕し流れに漱ぐ」を言い間違えて強弁した(夏目漱石の名の由来)
塞翁が馬人生の幸不幸は予測できない塞翁の馬が逃げたり戻ったりした
他山の石他人の誤りも自分の参考になる詩経
守株古い習慣にこだわり進歩がない切り株にぶつかった兎を待ち続けた農夫(韓非子)

4. 論語と漢詩

ここまでできれば十分

『論語』:孔子(紀元前 6〜5 世紀・春秋時代)と弟子の言行録。儒教の基本。「子曰く」で始まる。

漢詩の形式:

形式句数1 句の字数
五言絶句4 句5 字
七言絶句4 句7 字
五言律詩8 句5 字
七言律詩8 句7 字

5. よくある間違い


6. 自己チェック

  1. レ点=1 字返る、一二点=2 字以上返る、上下点=一二点をはさんで返る
  2. 書き下し:送りがなはひらがな、不・也・之・可・如 はひらがな、而・於・焉 は読まない、未・当・将 は 2 回
  3. 故事成語:矛盾・五十歩百歩・推敲・蛇足・四面楚歌・臥薪嘗胆・呉越同舟・杞憂・朝三暮四・背水の陣
  4. 論語:子曰く・温故知新・己の欲せざる所
  5. 漢詩:絶句 4 句・律詩 8 句、五言 5 字・七言 7 字、押韻は偶数句末

7. 小テストへ

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参考資料

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