古文と漢文の読み取り(出題は少ない・最低限) ── 問題
基礎
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 今は昔、ある山里に、年老いたる翁ありけり。子もなく、ただ一人住みけるが、朝ごとに門の前を掃き、道行く人に水をすすめけり。人々あやしみて、「何のためにかくはし給ふ」と問ひければ、翁笑ひて、「人のためにはあらず。掃けば我が心の塵も払はるる心地して、めでたきなり」と言ひけり。これを聞きて、里の人々、おのおの門の前を掃くやうになりにけり。 本文中の「あやしみて」の意味として最も妥当なものはどれか。 (ア 腹を立てて イ 不思議に思って ウ うらやましく思って エ 感心して undefined 気味悪がって)
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 月のいと明かき夜、庭に出でて見れば、木の葉の影、地に映りて、絵に描きたるやうなり。風少し吹きて、影のうごくさま、いとをかし。人はみな、花の盛りをのみめづれど、かやうに何もなき夜こそ、心はのどかなれ。おのづから、思ふことなくて、ただ見てゐるばかりなり。かかる時は、明日のことも忘れられて、ありがたき心地ぞする。 本文中の「いとをかし」の意味として最も妥当なものはどれか。 (ア とても騒がしい イ とても不思議だ ウ とても恐ろしい エ とてもおかしくて笑える undefined とても趣がある)
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】或人好棋、終日不休。妻曰、田不耕、家将飢。何為好之若此。其人曰、吾非好棋也、好勝也。妻曰、然則勝而何得。其人黙然、遂棄棋而耕。 【書き下し文】或る人棋を好み、終日休まず。妻曰はく、「田耕さずんば、家将に飢ゑんとす。何為れぞ之を好むこと此くのごとき」と。其の人曰はく、「吾棋を好むに非ざるなり、勝つことを好むなり」と。妻曰はく、「然らば則ち勝ちて何をか得ん」と。其の人黙然として、遂に棋を棄てて耕す。 (注)棋=碁。耕=田を耕すこと。 本文中の「何為れぞ之を好むこと此くのごとき」の句形として最も妥当なものはどれか。 (ア 限定(ただ〜だけである) イ 使役(〜に〜させる) ウ 比較(〜よりも〜である) エ 受身(〜に〜される) undefined 疑問(どうして〜なのか))
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】王問臣曰、国何以治。臣対曰、使民信上而已。王曰、何以使民信。対曰、令出而不改、賞罰不私。王行之三年、民莫不信、而国遂治。 【書き下し文】王臣に問ひて曰はく、「国何を以て治まるか」と。臣対へて曰はく、「民をして上を信ぜしむるのみ」と。王曰はく、「何を以て民をして信ぜしめん」と。対へて曰はく、「令出でて改めず、賞罰私せず」と。王之を行ふこと三年、民信ぜざる莫く、国遂に治まる。 (注)上=君主・お上。令=法令。私す=えこひいきする。 本文中の「民をして上を信ぜしむ」の句形として最も妥当なものはどれか。 (ア 受身(〜に〜される) イ 反語(〜だろうか、いや〜ない) ウ 詠嘆(なんと〜であることか) エ 使役(〜に〜させる) undefined 否定(〜しない))
- 次の古語の意味として最も妥当なものはどれか。 「ありがたし」 (ア 早朝 イ めったにない ウ 目を覚ます エ かわいらしい undefined しみじみとした趣がある)
標準
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 今は昔、ある山里に、年老いたる翁ありけり。子もなく、ただ一人住みけるが、朝ごとに門の前を掃き、道行く人に水をすすめけり。人々あやしみて、「何のためにかくはし給ふ」と問ひければ、翁笑ひて、「人のためにはあらず。掃けば我が心の塵も払はるる心地して、めでたきなり」と言ひけり。これを聞きて、里の人々、おのおの門の前を掃くやうになりにけり。 翁が朝ごとに門の前を掃いていた理由として、本文の内容に合うものはどれか。 (ア 子がなく一人暮らしなので、することがなく朝の時間をもてあましていたから。 イ 水をすすめる商売の客を集めるために、門の前をいつもきれいにしていたから。 ウ 掃くことで自分の心の汚れも払われる気がして、よいことだと思っていたから。 エ 道行く人に感謝され、里の人々から尊敬される老人になりたいと願っていたから。 undefined 里の人々に頼まれて、門の前を掃く役目を長年にわたって引き受けていたから。)
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 今は昔、ある山里に、年老いたる翁ありけり。子もなく、ただ一人住みけるが、朝ごとに門の前を掃き、道行く人に水をすすめけり。人々あやしみて、「何のためにかくはし給ふ」と問ひければ、翁笑ひて、「人のためにはあらず。掃けば我が心の塵も払はるる心地して、めでたきなり」と言ひけり。これを聞きて、里の人々、おのおの門の前を掃くやうになりにけり。 本文中の「かくはし給ふ」の「給ふ」は、誰から誰への敬意を表しているか。 (ア 作者から里の人々への敬意 イ 翁から里の人々への敬意 ウ 作者から翁への敬意 エ 里の人々から翁への敬意 undefined 翁から道行く人への敬意)
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 月のいと明かき夜、庭に出でて見れば、木の葉の影、地に映りて、絵に描きたるやうなり。風少し吹きて、影のうごくさま、いとをかし。人はみな、花の盛りをのみめづれど、かやうに何もなき夜こそ、心はのどかなれ。おのづから、思ふことなくて、ただ見てゐるばかりなり。かかる時は、明日のことも忘れられて、ありがたき心地ぞする。 筆者の考えとして、本文の内容に合うものはどれか。 (ア 人はみな月夜の美しさを知っているので、花より月を好む。 イ 花の盛りより、何もない月夜のほうが心が穏やかである。 ウ 月夜は美しいが、明日のことが気になって落ち着かない。 エ 木の葉の影は絵に描いたように見えるので、絵にして残しておきたい。 undefined 花の盛りを愛でる人の心は、月夜を見る人より深い。)
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】或人好棋、終日不休。妻曰、田不耕、家将飢。何為好之若此。其人曰、吾非好棋也、好勝也。妻曰、然則勝而何得。其人黙然、遂棄棋而耕。 【書き下し文】或る人棋を好み、終日休まず。妻曰はく、「田耕さずんば、家将に飢ゑんとす。何為れぞ之を好むこと此くのごとき」と。其の人曰はく、「吾棋を好むに非ざるなり、勝つことを好むなり」と。妻曰はく、「然らば則ち勝ちて何をか得ん」と。其の人黙然として、遂に棋を棄てて耕す。 (注)棋=碁。耕=田を耕すこと。 本文中の「勝ちて何をか得ん」の意味として最も妥当なものはどれか。 (ア 勝つためには何を身につければよいのか、夫に教えを求めている。 イ 勝ちさえすれば、望むものは何でも手に入れることができる。 ウ 勝ってから得たものをいったい何に使うつもりなのか、夫に問いただしている。 エ 勝ったら、何を手に入れようかと夫婦で相談をもちかけている。 undefined 勝ったところで、いったい何が得られるというのか(何も得られない)。)
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】王問臣曰、国何以治。臣対曰、使民信上而已。王曰、何以使民信。対曰、令出而不改、賞罰不私。王行之三年、民莫不信、而国遂治。 【書き下し文】王臣に問ひて曰はく、「国何を以て治まるか」と。臣対へて曰はく、「民をして上を信ぜしむるのみ」と。王曰はく、「何を以て民をして信ぜしめん」と。対へて曰はく、「令出でて改めず、賞罰私せず」と。王之を行ふこと三年、民信ぜざる莫く、国遂に治まる。 (注)上=君主・お上。令=法令。私す=えこひいきする。 本文中の「民信ぜざる莫し」の意味として最も妥当なものはどれか。 (ア 民が君主を信じるかどうかは、まだ分からなかった。 イ 民は君主を信じてはいけないと臣から言われた。 ウ 民は誰一人として君主を信じようとしなかった。 エ 民の中に信じない者はいなかった(皆が信じた)。 undefined 民は信じる者と信じない者とに二つに分かれた。)
- 次の文の「 」で示した助動詞の意味として最も妥当なものはどれか。 今日は行か「ず」。 (ア 過去 イ 意志 ウ 完了 エ 打消 undefined 受身)
- 次の書き下し文の句形として最も妥当なものはどれか。 如し雨降らば、家に留まらん。 (ア 受身 イ 否定 ウ 使役 エ 仮定 undefined 反語)
発展
- 次の古文を読んで、問いに答えなさい。 月のいと明かき夜、庭に出でて見れば、木の葉の影、地に映りて、絵に描きたるやうなり。風少し吹きて、影のうごくさま、いとをかし。人はみな、花の盛りをのみめづれど、かやうに何もなき夜こそ、心はのどかなれ。おのづから、思ふことなくて、ただ見てゐるばかりなり。かかる時は、明日のことも忘れられて、ありがたき心地ぞする。 本文中の「心はのどかなれ」が「のどかなり」の已然形になっている理由として最も妥当なものはどれか。 (ア 直前の「こそ」を受けて結びが已然形になっているから。 イ 直後に「ど」が省略されていて、逆接でつながるから。 ウ 直前の「ぞ」を受けて結びが連体形になっているから。 エ 「のどかなれ」が命令形で、読者に呼びかけているから。 undefined 形容動詞は文末では常に已然形で終わるから。)
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】或人好棋、終日不休。妻曰、田不耕、家将飢。何為好之若此。其人曰、吾非好棋也、好勝也。妻曰、然則勝而何得。其人黙然、遂棄棋而耕。 【書き下し文】或る人棋を好み、終日休まず。妻曰はく、「田耕さずんば、家将に飢ゑんとす。何為れぞ之を好むこと此くのごとき」と。其の人曰はく、「吾棋を好むに非ざるなり、勝つことを好むなり」と。妻曰はく、「然らば則ち勝ちて何をか得ん」と。其の人黙然として、遂に棋を棄てて耕す。 (注)棋=碁。耕=田を耕すこと。 本文の内容と合致するものはどれか。 (ア 妻は夫に碁を教わり、夫より強くなった。 イ 妻は碁で勝てば家が豊かになると考え、夫に碁を続けさせた。 ウ 男は一日中碁を打っていたが、家が飢えることはなかった。 エ 男は妻の問いに答えられず、碁をやめて田を耕すようになった。 undefined 男は碁を好きなのではなく勝つことが好きだと言い、妻を説き伏せた。)
- 次の漢文を読んで、問いに答えなさい。 【白文】王問臣曰、国何以治。臣対曰、使民信上而已。王曰、何以使民信。対曰、令出而不改、賞罰不私。王行之三年、民莫不信、而国遂治。 【書き下し文】王臣に問ひて曰はく、「国何を以て治まるか」と。臣対へて曰はく、「民をして上を信ぜしむるのみ」と。王曰はく、「何を以て民をして信ぜしめん」と。対へて曰はく、「令出でて改めず、賞罰私せず」と。王之を行ふこと三年、民信ぜざる莫く、国遂に治まる。 (注)上=君主・お上。令=法令。私す=えこひいきする。 本文の内容と合致するものはどれか。 (ア 王は臣の助言を聞き入れなかったため、三年後には民の信頼を失い、国は乱れてしまった。 イ 王は民の要望に応えて法令をたびたび改めたので、三年のうちに民は皆、王を深く信じるようになった。 ウ 臣は、厳しい罰を与えて民を恐れさせることこそが、民を従わせて国を治める近道だと説いた。 エ 臣は、民に土地と食糧を与えて暮らしを豊かにすることで、民の信頼を得られると説いた。 undefined 臣は、法令を出したら変えないことと、賞罰にえこひいきをしないことで民の信頼を得よと説いた。)
古文と漢文の読み取り(出題は少ない・最低限) ── 解答
基礎
- イ 不思議に思って 古語の「あやし」は「不思議だ・疑わしい」が中心の意味(ほかに「身分が低い・粗末だ」)。現代語の「怪しい=気味が悪い」とは重なりが小さい。直後に「何のためにかくはし給ふ」と理由を尋ねているので、「不思議に思って」が文脈にも合う。
- undefined とても趣がある 古語の「をかし」は「趣がある・美しい・すばらしい」が中心の意味で、現代語の「おかしい=笑える」とは異なる。「いと」は「とても」。風で葉の影が動く様子を愛でている場面なので、「趣がある」が合う。
- undefined 疑問(どうして〜なのか) 「何為れぞ(なんすれぞ)」は「どうして〜か」と理由を問う疑問の句形。妻が夫に、なぜこれほど碁を好むのかを問いただしている。使役なら「〜をして〜しむ」、受身なら「〜る・らる」、限定なら「〜のみ」の形になる。
- エ 使役(〜に〜させる) 「A をして B せしむ」は「A に B させる」という使役の句形(白文では「使 A B」)。臣は「民に君主を信じさせること」が国を治める方法だと答えている。受身なら「〜る・らる」「〜に〜せらる」の形になる。
- イ めったにない 「ありがたし」は「有り難し=存在するのが難しい」で、「めったにない」が本来の意味。感謝の意味は後の時代。
標準
- ウ 掃くことで自分の心の汚れも払われる気がして、よいことだと思っていたから。 翁の言葉「人のためにはあらず。掃けば我が心の塵も払はるる心地して、めでたきなり」が根拠。「人のためにはあらず」と自分で否定しているので、感謝や尊敬が目的だとする選択肢は逆。「暇だから」「頼まれて」「商売」は本文にない。
- エ 里の人々から翁への敬意 「給ふ」は尊敬の補助動詞で、動作をする人(ここでは掃いている翁)を高める。この言葉は会話文「何のためにかくはし給ふ」の中にあるので、敬意を向けているのは話し手である里の人々。地の文なら作者からの敬意になるが、ここは会話文なので話し手からの敬意になる。
- イ 花の盛りより、何もない月夜のほうが心が穏やかである。 「人はみな、花の盛りをのみめづれど、かやうに何もなき夜こそ、心はのどかなれ」が根拠。「〜こそ〜なれ」で「何もない夜」を強調している。「花を愛でる人の心が深い」は逆。「明日のことが気になる」は「明日のことも忘れられて」の逆。「絵にして残したい」は本文にない。「人はみな月を好む」は「人はみな花の盛りをのみめづれど」と食い違う。
- undefined 勝ったところで、いったい何が得られるというのか(何も得られない)。 「何をか〜ん」は反語の句形で、「何を〜しようか、いや何も〜しない」の意味。妻は「勝つことが好きだ」と言う夫に対し、勝っても何も得られないではないかと反論している。直後に夫が黙り込み碁をやめていることからも、問いかけではなく反論だと分かる。疑問(何を得ようか)と取ると、夫が黙って碁をやめる流れが説明できない。
- エ 民の中に信じない者はいなかった(皆が信じた)。 「〜ざる莫し(なし)」は「〜しない者はいない」という二重否定で、強い肯定「皆が〜する」を表す。「莫」は「無」と同じく「〜ない」。二重否定を単純な否定「誰も信じなかった」と取り違えると、直後の「国遂に治まる」とつながらない。
- エ 打消 「ず」は打消「〜ない」。「行かず」で「行かない」。
- エ 仮定 「如し〜ば」は仮定。「もし雨が降ったら、家にとどまろう」。
発展
- ア 直前の「こそ」を受けて結びが已然形になっているから。 係助詞「こそ」が文中にあると、文末(結び)は已然形になる(係り結び)。「かやうに何もなき夜こそ、心はのどかなれ」の「なれ」がその結び。「ぞ・なむ・や・か」の結びは連体形で、「こそ」だけが已然形。ここには「ぞ」はない(「ありがたき心地ぞする」の「ぞ」は別の文で、結びは連体形「する」)。形容動詞の文末が常に已然形になるという決まりはない。命令形と已然形は同じ形だが、ここは命令ではない。
- エ 男は妻の問いに答えられず、碁をやめて田を耕すようになった。 最後の「其の人黙然として、遂に棋を棄てて耕す」が根拠。「妻を説き伏せた」は、黙り込んだのは夫のほうなので逆。妻は「家将に飢ゑんとす」と心配しているので「豊かになる」は逆。「飢えることはなかった」「碁を教わった」は本文にない。
- undefined 臣は、法令を出したら変えないことと、賞罰にえこひいきをしないことで民の信頼を得よと説いた。 臣の答え「令出でて改めず、賞罰私せず」が根拠。「厳しい罰」「土地を与える」は本文にない。王は「之を行ふこと三年」で助言を実行し、「国遂に治まる」ので「聞かず」「乱れた」は逆。「法令をたびたび改めて」は「令出でて改めず」の逆。
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