地方上級 / 古文・漢文 / zb-06
古文と漢文の読み取り(出題は少ない・最低限)
この単元でできるようになること
- 古文の短い文章(説話・随筆)を、現代語と意味が違う語に注意して大意をつかめる
- 主語の省略を、敬語(給ふ・侍り)と会話文の切れ目から補える
- 係り結び(ぞ・なむ・や・か → 連体形、こそ → 已然形)と、主な助動詞(けり・ぬ・む・る・ず・なり)の意味を見分けられる
- 漢文の書き下し文を読み、使役・受身・反語・否定・限定・仮定の句形から文の意味を決められる
- 内容合致の選択肢を、現代文と同じ「逆・言い過ぎ・無関係」の型で切れる
試験での位置づけ
地方上級・国家一般職の教養試験で、古文・漢文はまったく出ない年や自治体もあり、出ても多くはありません。したがって、この単元に多くの時間を割く必要はありません。ここでやることは、出たときに捨てずに済む最低限です。具体的には、①現代語と意味の違う古語をひと通り思い出す、②係り結びと主な助動詞を確認する、③漢文の句形(使役・受身・反語・否定・限定・仮定)を確認する、の 3 つです。文章の読み方そのものは現代文(zb-01・zb-02)と同じで、選択肢は本文に戻って切ります。高校で古典を学んだ人は、jg-01〜jg-08(古文)・jk-01〜jk-04(漢文)を見直せば十分です。
1. 古文 ── 現代語と意味が違う語
まずここだけ
古文の問題で問われるのは、ほとんどが現代語と形は同じで意味が違う語です。次の語は、出てきたら「現代語の意味ではない」と考えてください。
| 古語 | 意味 | 現代語との違い |
|---|---|---|
| あやし | 不思議だ・疑わしい(/身分が低い・粗末だ) | 「気味が悪い」ではない |
| をかし | 趣がある・美しい・すばらしい | 「笑える」ではない |
| あはれ | しみじみと心を動かされる | 「かわいそう」だけではない |
| うつくし | かわいらしい | 「美しい」より「小さくてかわいい」 |
| ありがたし | めったにない | 「感謝」の意味は後の時代 |
| おどろく | はっと気づく・目を覚ます | 「びっくりする」だけではない |
| つとめて | 早朝・その翌朝 | 「努めて」ではない |
| ゆかし | 心ひかれる・見たい・知りたい | 「懐かしい」ではない |
| めでたし | すばらしい・立派だ | 「祝うべき」だけではない |
| やがて | そのまま・すぐに | 「しばらくして」ではない |
ここまでできれば十分
意味を思い出せないときは、文脈で決めます。「人々あやしみて、『何のために〜』と問ひければ」なら、直後に理由を尋ねているので「不思議に思って」です。選択肢に現代語の意味(気味悪がって)が並んでいたら、それは誤答として用意された選択肢だと考えてください。
主語の省略は、次の 2 つで補います。
- 敬語:「給ふ」がついた動作は、身分の高い人・話し手が敬う相手の動作。会話文「何のためにかくはし給ふ」の「給ふ」は、話し手(里の人々)から聞き手(翁)への敬意
- 会話文の切れ目:「〜と問ひければ、翁笑ひて、『〜』と言ひけり」のように、「と」の直後に動作の主が書かれる
もう一歩(発展)
係り結びは、文中の係助詞で文末の形が決まります。
| 係助詞 | 結び | 例 |
|---|---|---|
| ぞ・なむ・や・か | 連体形 | ありがたき心地ぞする |
| こそ | 已然形 | 何もなき夜こそ、心はのどかなれ |
「なぜ已然形になっているか」と問われたら、文中の「こそ」を探します。「ぞ」なら連体形です。「や・か」は疑問・反語の意味を加えます。
主な助動詞は、接続(前の語の形)と文脈で見分けます。
| 助動詞 | 意味 | 見分け方 |
|---|---|---|
| けり | 過去(詠嘆) | 物語の書き出し「昔、男ありけり」 |
| ぬ | 完了 | 連用形につく「日暮れぬ」。未然形につく「ぬ」は打消「ず」の連体形 |
| む | 意志・推量 | 主語が自分なら意志「行かむ」、他人なら推量 |
| る・らる | 受身・尊敬・自発・可能 | 「人に〜る」なら受身 |
| ず | 打消 | 「行かず」 |
| なり | 断定/伝聞・推定 | 体言・連体形につけば断定、終止形につけば伝聞・推定 |
2. 漢文 ── 句形で文の意味が決まる
まずここだけ
漢文の問題は、白文(元の漢字だけの文)と書き下し文の両方、または書き下し文だけが示されます。読むのは書き下し文で十分です。問われるのは、次の句形が分かるかどうかです。
| 句形 | 書き下しの形 | 意味 |
|---|---|---|
| 使役 | A をして B しむ | A に B させる |
| 受身 | A に B る(らる)/B せらる | A に B される |
| 反語 | 豈に〜んや/何をか〜ん | どうして〜だろうか、いや〜ない |
| 疑問 | 何為れぞ〜/何を以て〜か | どうして〜か/何によって〜か |
| 否定 | 〜ず/〜莫し/未だ〜ず | 〜ない/〜がない/まだ〜ない |
| 二重否定 | 〜ざる莫し/〜ざるは無し | 〜しない者はいない(=皆〜する) |
| 限定 | 唯だ〜のみ/〜而已 | ただ〜だけ |
| 仮定 | 如し〜ば/苟くも〜ば | もし〜ならば |
ここまでできれば十分
いちばん差がつくのは、反語と疑問の区別です。形は同じ「何をか〜ん」でも、反語は「いや〜ない」という強い否定です。文脈で決めます。「勝ちて何をか得ん」と妻が言い、夫が黙って碁をやめた、という流れなら、妻は「何も得られないではないか」と反論したのであって、質問したのではありません。直後の反応(黙る・従う・改める)が反語の目印です。
もう 1 つは二重否定です。「民信ぜざる莫し」を「民は誰も信じなかった」と取ると、直後の「国遂に治まる」とつながりません。「〜ざる莫し」は「皆〜する」と読みかえてください。
もう一歩(発展)
再読文字(未・将・当・応・宜・須・猶・盍)は、書き下し文では 2 回読まれています。「未だ嘗て見ず」の「未」は「いまだ〜ず」、「家将に飢ゑんとす」の「将」は「まさに〜んとす」です。書き下し文が示されていれば、意味だけ分かれば十分です。
- 未だ〜ず:まだ〜ない
- 将に〜んとす:今にも〜しそうだ
- 当に〜べし:当然〜すべきだ
- 宜しく〜べし:〜するのがよい
- 須らく〜べし:〜する必要がある
3. 内容合致の解き方 ── 現代文と同じ
まずここだけ
古文・漢文の内容合致は、現代文の内容把握(zb-02)とまったく同じ型で解きます。
- 設問と選択肢に先に目を通し、人物名・行動のキーワードに印をつける
- 本文を読みながら、誰が・何をした・どう言ったを段落ごとにメモする
- 選択肢を「逆」「言い過ぎ」「無関係」で切る
古文・漢文の誤答は、主語の入れかえ(黙ったのは夫なのに「妻を説き伏せた」)と結末の入れかえ(国は治まったのに「乱れた」)で作られることが多く、現代文の「一部だけ正しい」型は少なめです。誰が・どうなったかを確かめれば切れます。
ここまでできれば十分
古文の随筆では、「人はみな〜けれど、〜こそ〜なれ」のように、世間の見方と筆者の見方を対比する文が主張です。現代文の「〜と思われがちだが、実は〜」と同じ型で、世間の見方のほうを述べた選択肢は「逆」の誤答になります。
4. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 「をかし」を「おかしい」、「ありがたし」を「ありがたい」と読む | 現代語と違う意味の語は、選択肢に現代語の意味が並んでいたら疑う |
| 「給ふ」の敬意を作者からのものと決める | 会話文の中なら話し手から。地の文なら作者から |
| 「何をか〜ん」をいつも疑問と読む | 直後に相手が黙る・従う流れなら反語 |
| 「〜ざる莫し」を「〜しない」と読む | 二重否定=強い肯定「皆〜する」 |
| 古文・漢文だからと最初から捨てる | 語と句形の最低限で、内容合致は現代文と同じ型で切れる |
5. 解き方の型
- 古語:現代語と意味が違う語(あやし・をかし・ありがたし・おどろく など)に印をつけ、文脈で意味を決める
- 主語:「給ふ」の有無と「〜と言ひて」の切れ目で補う
- 係り結び・助動詞:「こそ」→已然形、「ぞ・なむ・や・か」→連体形。助動詞は接続と主語で見分ける
- 漢文:書き下し文を読み、句形(使役・受身・反語・疑問・否定・二重否定・限定・仮定)を当てはめる。反語は直後の反応で確かめる
- 内容合致:誰が・何をした・どうなったをメモし、主語と結末の入れかえを切る
6. 小テストへ
→ 小テスト(zb-06)
関連する単元
- 前提:k-10 歴史的仮名遣いと古文の基礎(中学国語)、k-11 漢文の基礎(中学国語)
- 同じ考え方を使う:zb-02 内容把握(選択肢の切り方は同じ)、zb-01 要旨把握(世間の見方と筆者の見方の対比)
- くわしく学ぶ:jg-01 古文単語、jg-03・jg-04 助動詞、jg-05 助詞・係り結び・敬語、jg-08 古文読解の型、jk-01 返り点・書き下し文・再読文字、jk-02・jk-03 句形(高校古典)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(文章理解)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 高等学校「言語文化」「古典探究」の教科書レベルの古文単語・助動詞・係り結び・漢文句形
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/bunsho/zb-06/ / 更新 2026-09-14