刑法総論③(責任:故意・過失・錯誤・責任能力) ── 問題
基礎
- 故意と過失について、刑法 38 条 1 項の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めて故意犯と過失犯を同等に処罰することを原則とし、過失犯の刑は故意犯の刑を減軽して定められる イ 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めているため、故意も過失もない行為が処罰されないのはもちろん、過失による行為もすべて処罰されない ウ 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めているため、行為が違法であることを知らなかった場合にも故意がないものとして処罰されない エ 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めて故意犯の処罰を原則とし、過失犯は「法律に特別の規定がある場合」に限って処罰される undefined 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めているが、これは刑法典の罪にだけ適用され、特別法の罪については過失で足りるのが原則である)
- 責任能力について、責任能力の判断の主体に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 責任能力の有無は精神医学上の判断であり、精神科医の鑑定結果に裁判所は拘束されるため、鑑定が心神喪失と判断すれば裁判所はその判断に従って無罪としなければならない イ 責任能力の有無は法律判断であるため、裁判所は精神科医の鑑定を行うことなく、被告人の供述や犯行の態様、犯行前後の行動だけから独自に判断しなければならず、鑑定を尊重する必要はない ウ 責任能力の有無は精神の障害の有無という生物学的要素だけで判断され、精神の障害があれば弁識能力や制御能力を問わず心神喪失とされる エ 責任能力の有無は法律判断であり、精神科医の鑑定結果に裁判所が拘束されるわけではないが、鑑定の前提や推論に問題がなければ裁判所は鑑定を十分に尊重すべきとされている undefined 責任能力の有無は検察官が起訴の段階で判断する事項であり、起訴された以上は裁判所が改めて責任能力を判断することはない)
- 事実の錯誤の分類に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行為者が法律を知らなかった場合を事実の錯誤、事実を誤認した場合を違法性の錯誤といい、前者は刑法 38 条 3 項で処理される イ 認識と事実が同じ構成要件の中で食い違う場合を抽象的事実の錯誤、異なる構成要件にまたがって食い違う場合を具体的事実の錯誤といい、前者は刑法 38 条 2 項で処理される ウ 事実の錯誤はすべて故意を阻却するため、認識と事実が食い違った場合には常に過失犯の成否だけが問題となる エ 対象の同一性を取り違えた場合を方法の錯誤、狙いがそれて別の対象に結果が生じた場合を客体の錯誤といい、両者は法定的符合説では結論が異なる undefined 認識と事実が同じ構成要件の中で食い違う場合を具体的事実の錯誤、異なる構成要件にまたがって食い違う場合を抽象的事実の錯誤といい、後者は刑法 38 条 2 項で処理される)
- 責任主義に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、責任能力・故意または過失・違法性の意識の可能性・期待可能性がそろってはじめて行為者を非難できる イ 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、法益侵害の結果が発生した以上は行為者の故意・過失や責任能力を問わず責任を負わせるという結果責任の考え方を意味する ウ 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、法人には責任能力がないため法人が処罰されることはないという意味である エ 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、責任能力があれば故意・過失の有無を問わず責任が認められる undefined 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、憲法には根拠がなく刑法 38 条だけを根拠とする)
- 刑法 39 条・41 条の効果の組み合わせとして妥当なものはどれですか。 (ア 心神喪失:罰しない ── 心神耗弱:刑を減軽する ── 18 歳未満:罰しない イ 心神喪失:刑を免除する ── 心神耗弱:刑を減軽する ── 14 歳未満:刑を減軽する ウ 心神喪失:罰しない ── 心神耗弱:刑を減軽する ── 14 歳未満:罰しない エ 心神喪失:罰しない ── 心神耗弱:刑を減軽することができる ── 14 歳未満:罰しない undefined 心神喪失:刑を減軽する ── 心神耗弱:罰しない ── 14 歳未満:罰しない)
標準
- 次の事例について、判例(法定的符合説・数故意犯説)の立場からの結論として妥当なものはどれですか。A は B を殺すつもりで B に向けて拳銃を発射したが、弾がそれて近くにいた C に命中し、C は死亡した。B は無傷であった。 (ア A の故意は B に対する 1 個しかないため故意犯は 1 つしか成立せず、法定的符合説により C に対する殺人既遂罪だけが成立して B に対する殺人未遂罪は成立しない イ 「人を殺す」という認識と「人が死んだ」という事実が構成要件の範囲で符合するため C に対する殺人既遂罪が成立し、B に対しても殺人未遂罪が成立する ウ A は C を殺す認識をもっていなかったため C に対する故意は認められず、B に対する殺人未遂罪と C に対する過失致死罪が成立し、両罪は観念的競合となる エ A の故意は B に向けられていたため、B に対する殺人未遂罪だけが成立し、C の死亡については故意も過失も認められず不可罰である undefined C の死亡は A の認識と異なる客体に生じた結果であり、38 条 2 項により重い殺人罪では処断できず、傷害致死罪が成立する)
- 違法性の錯誤について、むささび・もま事件(大判大正 13 年 4 月 25 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 狩猟法で捕獲が禁じられていた「たぬき」を「むじな」という別の動物だと思って捕獲した事案で、たぬきを捕獲しているという認識がなかったとして事実の錯誤により故意を否定し無罪とした判例である イ 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、違法性の意識を欠いたことに相当の理由があるとして犯罪の成立を否定した ウ 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、捕獲した動物が何であるかは正しく認識していたため違法性の錯誤にあたるとして故意を認め有罪とした エ 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、もまがむささびであることを知らなかった以上は捕獲対象の認識を欠く事実の錯誤にあたるとして故意を否定し無罪とした undefined 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、地方の慣習上もまの捕獲は許されていたとして正当行為により違法性を否定した)
- 過失犯について、過失の構造(注意義務)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 注意義務は結果の発生を予見すべき結果予見義務だけからなり、結果を予見することができた以上は、結果の回避が不可能であった場合でも予見義務の違反として過失が認められる イ 注意義務は法令に明文で定められたものに限られ、法令に定めのない場合には結果を予見できても過失は認められない ウ 注意義務は結果の発生を予見すべき結果予見義務と、予見した結果を避けるための措置をとる結果回避義務からなり、それぞれ予見可能性と回避可能性を前提とする エ 注意義務は行為者の職業や地位にかかわらず一律に定まり、業務者であっても一般人と同じ程度の注意を払えば足りる undefined 注意義務は結果を避けるための措置をとる結果回避義務だけからなり、結果の予見可能性がまったくなかった場合でも、客観的に回避措置を怠っていれば過失が認められる)
- 原因において自由な行為に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合に、原因行為の時点で責任能力があれば完全な責任を問うという理論であり、判例は飲酒運転の意思で飲酒し心神耗弱状態で運転した事案で 39 条 2 項の減軽を適用しなかった イ 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合には、責任能力は実行行為の時点で必要であるから 39 条により罰せられず、判例も飲酒運転の意思で飲酒し心神耗弱状態で運転した事案で 39 条 2 項による減軽を認めている ウ 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合には、責任能力のない状態で行った行為は不可罰であるため、原因行為を独立の犯罪として処罰する理論である エ 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合には、原因行為の時点の意思の内容が故意か過失かを問わず常に故意犯が成立するという理論であり、判例は病的酩酊の性癖を自覚しながら飲酒し殺人を犯した事案で殺人罪の成立を認めた undefined 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合には、実行行為時が心神耗弱であれば 39 条 2 項により常に刑が減軽されるという理論である)
- 抽象的事実の錯誤に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 軽い罪の認識で重い罪の事実を実現した場合、刑法 38 条 2 項により重い罪では処断できず、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い罪の故意犯が成立する イ 軽い罪の認識で重い罪の事実を実現した場合、刑法 38 条 2 項により重い罪の故意犯が成立するが、重い罪にあたる事実を知らなかったことを考慮して情状により刑を減軽することができる ウ 重い罪の認識で軽い罪の事実を実現した場合、認識した重い罪の既遂が成立し、実際に生じた軽い罪の結果は量刑で考慮されるにとどまる エ 抽象的事実の錯誤の場合には認識と事実が異なる構成要件にまたがるため、常に故意が阻却され過失犯の成否だけが問題となる undefined 軽い罪の認識で重い罪の事実を実現した場合、両罪の構成要件が重なり合うかどうかを問わず、認識していた軽い罪の既遂が常に成立し、実際に生じた重い結果は量刑で考慮される)
- 期待可能性に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行為の状況から見て行為者に適法な行為を期待することができなかった場合には、構成要件に該当しても違法性を欠くという理論で、刑法 35 条の正当行為の一類型として明文で認められている イ 期待可能性の理論は道義的責任論ではなく社会的責任論から生まれたもので、行為者の性格の危険性が低い場合に責任を否定する ウ 行為の状況から見て行為者に適法な行為を期待することができなかった場合には、故意が阻却されるという理論で、刑法 38 条 1 項を根拠とする エ 行為の状況から見て行為者に適法な行為を期待することができなかった場合には、故意・過失と責任能力があっても責任を欠くという理論で、明文はなく超法規的責任阻却事由として認められている undefined 期待可能性の理論は明文の根拠がないため、判例はこれを一切認めておらず、学説上も少数説にとどまる)
- 信頼の原則に関する最高裁の判例(最判昭和 41 年 12 月 20 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 交差点を右折する自動車の運転者は、自らも法規に違反していたが、相手方の違反の方が重大であるとして信頼の原則を適用し過失を否定した イ 交差点を右折する自動車の運転者は、相手が幼児であっても交通法規を守ると信頼して運転すれば足りるとして過失を否定した ウ 交差点を右折する自動車の運転者について、信頼の原則は民事上の過失相殺の問題であって刑事責任には適用されないとして過失を認めた エ 交差点を右折する自動車の運転者は、後方から法規に違反して追い越しをかけてくる車両のあることまで予想して注意する義務はなく、他の車両が交通法規を守ると信頼して運転すれば足りるとして過失を否定した undefined 交差点を右折する自動車の運転者は、後方から法規に違反して追い越しをかけてくる車両のあることまで予想して注意すべき義務があり、他の車両が交通法規を守ると信頼して運転したことは注意義務違反として過失にあたるとした)
- 少年の刑事責任に関する説明として妥当なものはどれですか(2026 年 9 月時点)。 (ア 18 歳以上の者は成年であるため少年法の適用をまったく受けず、18 歳・19 歳の者は成人と同じ手続で刑事裁判を受ける イ 14 歳以上 20 歳未満の者には刑事責任能力があるが、少年法により家庭裁判所の審判を経ることが原則であり、18 歳・19 歳は特定少年として原則逆送の範囲が広げられている ウ 14 歳以上 20 歳未満の者には刑事責任能力がなく、少年法により家庭裁判所の審判を経て保護処分だけを受け、殺人などの重大な罪を犯した場合であっても刑事裁判を受けることはない エ 14 歳未満の者であっても、殺人など重大な罪を犯した場合には例外的に刑事責任を問われ、刑事裁判を受けることがある undefined 少年法の適用対象は 16 歳未満の者に限られ、16 歳以上の者は成人と同じ手続で刑事裁判を受ける)
発展
- 方法の錯誤に関する最高裁の判例(最判昭和 53 年 7 月 28 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、故意は 1 個しかないとして警察官に対する強盗殺人未遂罪だけの成立を認め、通行人については過失傷害罪とした イ 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、具体的符合説により通行人に対する故意を否定し、通行人については業務上過失傷害罪とした ウ 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、通行人に対する強盗殺人未遂罪だけの成立を認め、警察官については公務執行妨害罪にとどめた エ 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、通行人に対しては 38 条 2 項により重い罪で処断できないとして傷害罪にとどめた undefined 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、警察官に対する強盗殺人未遂罪と通行人に対する強盗殺人未遂罪の両方の成立を認めた)
- 具体的符合説と法定的符合説の比較として妥当なものはどれですか。 (ア 具体的符合説は判例・通説の立場であり、法定的符合説は少数説にとどまる イ A を狙って発砲した弾がそれて B に命中し死亡した場合、法定的符合説では A に対する殺人未遂罪と B に対する過失致死罪が成立するが、具体的符合説では B に対する殺人既遂罪が成立する ウ A を狙って発砲した弾がそれて B に命中し死亡した場合、法定的符合説と具体的符合説のいずれによっても B に対する殺人既遂罪だけが成立し、A に対する殺人未遂罪は成立しない エ B を A だと思って殺害した場合、法定的符合説では B に対する殺人既遂罪が成立するが、具体的符合説では A に対する殺人未遂罪と B に対する過失致死罪が成立する undefined A を狙って発砲した弾がそれて B に命中し死亡した場合、法定的符合説では B に対する殺人既遂罪が成立するが、具体的符合説では A に対する殺人未遂罪と B に対する過失致死罪が成立する)
- 因果関係の錯誤に関する判例(大判大正 12 年 4 月 30 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、砂浜に放置した時点では殺意がなかったとして殺人未遂罪と死体遺棄罪の成立を認めた イ 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、首を絞めた行為については殺人未遂罪、砂浜に放置した行為については過失致死罪が成立するとした ウ 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、認識した経路と実際の経路の食い違いは故意を阻却しないとして殺人既遂罪の成立を認めた エ 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、首を絞めた行為と死亡との間に因果関係がないとして殺人未遂罪にとどめた undefined 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、死亡の直接の原因は放置行為であり殺意がなかったとして傷害致死罪の成立を認めた)
- 故意・過失に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 故意の対象は構成要件に該当する客観的事実であり、自分の行為が処罰されることや違法であることの認識は、判例の基本的な立場では故意の要素とされていない イ 過失犯は刑法上すべての犯罪について処罰され、故意犯の刑を減軽した刑が科される ウ 業務上過失致死傷罪の「業務」とは法律上の免許や資格に基づく仕事に限られ、無免許で自動車を運転した者には業務上過失は成立しない エ 重過失とは業務上の過失のうち注意義務違反の程度が著しいものをいい、業務者以外の者には重過失は認められない undefined 故意の対象は構成要件に該当する客観的事実に加えて自分の行為が違法であることの認識を含み、判例は違法性の意識がなければ常に故意を否定し無罪としている)
刑法総論③(責任:故意・過失・錯誤・責任能力) ── 解答
基礎
- エ 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めて故意犯の処罰を原則とし、過失犯は「法律に特別の規定がある場合」に限って処罰される 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定めて故意犯の処罰を原則とし、過失犯は「法律に特別の規定がある場合」に限って処罰される。
- エ 責任能力の有無は法律判断であり、精神科医の鑑定結果に裁判所が拘束されるわけではないが、鑑定の前提や推論に問題がなければ裁判所は鑑定を十分に尊重すべきとされている 責任能力の有無は法律判断であり、精神科医の鑑定結果に裁判所が拘束されるわけではないが、鑑定の前提や推論に問題がなければ裁判所は鑑定を十分に尊重すべきとされている。
- undefined 認識と事実が同じ構成要件の中で食い違う場合を具体的事実の錯誤、異なる構成要件にまたがって食い違う場合を抽象的事実の錯誤といい、後者は刑法 38 条 2 項で処理される 具体的事実の錯誤(客体の錯誤・方法の錯誤・因果関係の錯誤)と抽象的事実の錯誤(38 条 2 項)。客体の錯誤=取り違え、方法の錯誤=狙いがそれる。
- ア 「責任なければ刑罰なし」の原則をいい、責任能力・故意または過失・違法性の意識の可能性・期待可能性がそろってはじめて行為者を非難できる 憲法 31 条・13 条に根拠。結果責任の否定。責任の要素:責任能力・故意過失・違法性の意識の可能性・期待可能性。
- ウ 心神喪失:罰しない ── 心神耗弱:刑を減軽する ── 14 歳未満:罰しない 39 条 1 項「罰しない」、2 項「その刑を減軽する」(必要的)、41 条「14 歳に満たない者の行為は、罰しない」。
標準
- イ 「人を殺す」という認識と「人が死んだ」という事実が構成要件の範囲で符合するため C に対する殺人既遂罪が成立し、B に対しても殺人未遂罪が成立する 「人を殺す」という認識と「人が死んだ」という事実が構成要件の範囲で符合するため C に対する殺人既遂罪が成立し、B に対しても殺人未遂罪が成立する。
- ウ 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、捕獲した動物が何であるかは正しく認識していたため違法性の錯誤にあたるとして故意を認め有罪とした 狩猟法で捕獲が禁じられていた「むささび」を地方の呼び名「もま」と呼んで捕獲した事案で、捕獲した動物が何であるかは正しく認識していたため違法性の錯誤にあたるとして故意を認め有罪とした。
- ウ 注意義務は結果の発生を予見すべき結果予見義務と、予見した結果を避けるための措置をとる結果回避義務からなり、それぞれ予見可能性と回避可能性を前提とする 注意義務は結果の発生を予見すべき結果予見義務と、予見した結果を避けるための措置をとる結果回避義務からなり、それぞれ予見可能性と回避可能性を前提とする。
- ア 責任能力があるうちに自らを責任能力のない状態にし、その状態で犯罪を実行した場合に、原因行為の時点で責任能力があれば完全な責任を問うという理論であり、判例は飲酒運転の意思で飲酒し心神耗弱状態で運転した事案で 39 条 2 項の減軽を適用しなかった 最決昭和 43 年 2 月 27 日(飲酒運転・心神耗弱でも減軽せず)。最大判昭和 26 年 1 月 17 日(病的酩酊の性癖を自覚しながら飲酒し殺人 → 過失致死罪)。原因行為時の意思内容に応じて故意犯・過失犯が成立する。
- ア 軽い罪の認識で重い罪の事実を実現した場合、刑法 38 条 2 項により重い罪では処断できず、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い罪の故意犯が成立する 38 条 2 項。重なり合いがあれば軽い罪の限度で故意犯(例:麻薬と覚醒剤、窃盗と占有離脱物横領)。重なり合いがなければ軽い罪の未遂(多くは不可罰)と重い罪の過失犯。
- エ 行為の状況から見て行為者に適法な行為を期待することができなかった場合には、故意・過失と責任能力があっても責任を欠くという理論で、明文はなく超法規的責任阻却事由として認められている 規範的責任論から生まれた理論。第五柏島丸事件(大判昭和 8 年 11 月 21 日)が先例として挙げられる。
- エ 交差点を右折する自動車の運転者は、後方から法規に違反して追い越しをかけてくる車両のあることまで予想して注意する義務はなく、他の車両が交通法規を守ると信頼して運転すれば足りるとして過失を否定した 交通事故における信頼の原則の代表判例。行為者自身の違反や、相手が幼児などの場合には適用されない。
- イ 14 歳以上 20 歳未満の者には刑事責任能力があるが、少年法により家庭裁判所の審判を経ることが原則であり、18 歳・19 歳は特定少年として原則逆送の範囲が広げられている 刑法 41 条(14 歳未満は不可罰)。少年法は 20 歳未満が対象。2022 年 4 月から 18・19 歳は特定少年(原則逆送の対象事件が拡大)。最新は e-Gov で確認。
発展
- undefined 警察官から拳銃を奪おうとして建設用のびょう打ち銃を発射し、警察官に傷害を負わせるとともに弾が通行人にも命中した事案で、警察官に対する強盗殺人未遂罪と通行人に対する強盗殺人未遂罪の両方の成立を認めた びょう打ち銃事件。法定的符合説+数故意犯説。狙った相手と当たった相手の両方に故意犯が成立する。
- undefined A を狙って発砲した弾がそれて B に命中し死亡した場合、法定的符合説では B に対する殺人既遂罪が成立するが、具体的符合説では A に対する殺人未遂罪と B に対する過失致死罪が成立する 結論が分かれるのは方法の錯誤。客体の錯誤ではいずれの説でも故意既遂。判例・通説は法定的符合説。
- ウ 被害者の首を絞めて死亡したと思い犯行を隠すため砂浜に運んで放置したところ被害者が砂を吸い込んで窒息死した事案で、認識した経路と実際の経路の食い違いは故意を阻却しないとして殺人既遂罪の成立を認めた 砂浜事件。ウェーバーの概括的故意の型。第 1 行為(首を絞める)と死亡の間の因果関係を認め、因果関係の錯誤は故意を阻却しないとした。
- ア 故意の対象は構成要件に該当する客観的事実であり、自分の行為が処罰されることや違法であることの認識は、判例の基本的な立場では故意の要素とされていない 違法性の意識不要説が判例の基本(38 条 3 項)。過失犯は明文がある場合のみ処罰。「業務」は社会生活上の地位に基づき反復継続する行為で免許は不要。重過失は業務者以外にも認められる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zc-03/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
📄 紙で解くなら プリント(レベルと問題数を選べます)。このページをそのまま印刷しても各レベル 10 問と解答が出ます。