刑法各論①(個人的法益:生命・身体・自由・名誉・財産) ── 問題
基礎
- 次の判例について、公園のベンチにポシェットを置き忘れ、約 27 m 離れて約 2 分後にこれを持ち去られた事案(最決平成 16 年)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 公園は公共の場所であり管理者の占有に属するため、持ち去った者には公園管理者に対する窃盗罪が成立する イ 置き忘れた場所と距離・時間からみて被害者の占有はなお失われていないため、持ち去った者には窃盗罪が成立する ウ 置き忘れた時点で被害者の占有は失われているため、持ち去った者には占有離脱物横領罪が成立する エ 被害者が置き忘れに気づいていなかった以上、占有の意思がなく、持ち去った者には遺失物等横領罪が成立する undefined 置き忘れた物を持ち去っただけでは不法領得の意思が認められず、持ち去った者にはいかなる罪も成立しない)
- 個人的法益に対する罪の条文について、未遂を処罰する規定がある罪はどれですか。 (ア 横領罪 イ 器物損壊罪 ウ 窃盗罪 エ 傷害罪 undefined 暴行罪)
- 傷害罪と暴行罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 暴行罪が成立するには相手の身体に有形力が現実に接触することが要り、石を投げてぶつからなかった場合は暴行罪にならない イ 傷害とは外部的な傷を負わせることをいい、病気にかからせたり精神的な障害を生じさせたりしても傷害にあたらない ウ 傷害罪の故意は暴行の故意で足り、殴るつもりで殴ったところ相手が骨折すれば傷害罪が成立する エ 傷害罪が成立するには傷害の結果についての認識が要り、殴るつもりで殴って骨折させただけでは暴行罪にとどまる undefined 傷害罪には未遂処罰規定があり、傷害の故意で殴ったが傷害に至らなかった場合は傷害未遂罪となる)
- 器物損壊罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 器物損壊罪には未遂処罰規定があり、壊そうとして果たせなかった場合は器物損壊未遂罪となる イ 損壊とは物を物理的に破壊することをいい、食器に放尿して使えなくしただけでは物が壊れていないため損壊にあたらない ウ 他人の飼い犬を殺した場合は、動物は物ではないため器物損壊罪は成立しない エ 器物損壊罪は親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても公訴を提起できる undefined 損壊とは物理的に壊す場合に限らず物の効用を害する一切の行為をいい、食器に放尿して使えなくする行為も損壊にあたる)
- 遺棄の罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 保護責任は親権者のように法令に定めのある者にのみ生じ、契約や先行行為からは生じない イ 保護責任者遺棄罪は要保護者を危険な場所に移す作為によってのみ成立し、置き去りや不保護の不作為では成立しない ウ 遺棄の罪には結果的加重犯の規定がなく、遺棄によって要保護者が死亡しても遺棄罪のほかに別罪は成立しない エ 保護責任者遺棄罪は、保護責任のある者が要保護者を遺棄した場合だけでなく、その生存に必要な保護をしなかった不作為によっても成立する undefined 単純遺棄罪の主体は保護責任のある者に限られ、保護責任のない者が要保護者を遺棄しても処罰されない)
標準
- 次の事例について、判例の考え方に照らして A に成立する罪として妥当なものはどれですか。A は、B の店で商品を買った際、店員が渡した釣り銭が多いことにその場で気づいたが、黙って受け取った。 (ア 占有離脱物横領罪 イ 窃盗罪 ウ 恐喝罪 エ 詐欺罪 undefined 横領罪)
- 次の事例について、判例の考え方に照らして A に成立する罪として妥当なものはどれですか。A は、B を「送ってやる」とだまして自動車に乗せ、B が降りることのできない速度で走行を続けた。 (ア 逮捕罪 イ 強要罪 ウ 脅迫罪 エ 監禁罪 undefined 誘拐罪)
- 殺人罪と同意殺人罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 心中を装い自分も後を追うとだまして相手に毒を飲ませて死亡させた場合、相手の承諾は真意に基づかないため同意殺人罪ではなく殺人罪が成立する イ 同意殺人罪の法定刑は殺人罪と同じであり、被害者の承諾は量刑で考慮されるにすぎない ウ 殺人罪には予備を処罰する規定がなく、殺人を決意して凶器を準備しただけでは処罰されない エ 心中を装い自分も後を追うとだまして相手に毒を飲ませて死亡させた場合、相手が自ら毒を飲んでいる以上、自殺関与罪が成立するにとどまる undefined 被害者の承諾があれば違法性が阻却されるため、承諾を得て人を殺しても犯罪は成立しない)
- 名誉毀損罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 名誉毀損罪は親告罪ではなく、被害者の告訴がなくても公訴を提起できる イ 名誉毀損罪と侮辱罪の違いは摘示した内容の悪質さの程度であり、事実の摘示の有無は区別の基準にならない ウ 名誉毀損罪は公然と事実を摘示して人の名誉を毀損すれば成立し、摘示した事実が真実であっても原則として成立する エ 特定の少数人に対して事実を告げた場合は、そこから不特定多数に伝わるおそれがあっても公然性は認められない undefined 名誉毀損罪は摘示した事実が虚偽である場合に限って成立し、真実の事実を摘示した場合は成立しない)
- 住居侵入罪に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 侵入とは管理権者の意思に反する立入りをいい、平穏な態様で立ち入った場合でも管理権者の意思に反すれば侵入にあたる イ 要求を受けたにもかかわらず住居から退去しない行為は、住居侵入罪ではなく強要罪として処罰される ウ 侵入とは住居の平穏を害する態様での立入りをいい、平穏な態様で立ち入った場合は管理権者の意思に反しても侵入にあたらない エ 政治的なビラを配布する目的で集合住宅の共用部分に立ち入る行為は、表現の自由の行使であるため住居侵入罪にあたらない undefined 住居侵入罪には未遂を処罰する規定がなく、侵入しようとして果たせなかった場合は処罰されない)
- 窃盗罪における不法領得の意思に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 校長を困らせる目的で教育勅語を隠した行為は、権利者を排除する意思があるため窃盗罪にあたる イ 他人の自動車を数時間乗り回して元の場所に戻すつもりであった場合は、返還の意思がある以上不法領得の意思はなく常に不可罰である ウ 不法領得の意思は毀棄・隠匿の目的で他人の物を奪った場合にも認められる エ 校長を困らせる目的で教育勅語を隠した行為は、経済的用法に従って利用・処分する意思がないため窃盗罪にあたらない undefined 不法領得の意思は窃盗罪の成立要件ではなく、他人の占有を侵害すれば窃盗罪が成立する)
- 強盗罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 強盗致死傷罪は強盗の手段である暴行から直接生じた死傷に限って成立し、逃走中に追跡者を負傷させた場合には成立しない イ 事後強盗罪は窃盗が既遂に達した後に暴行・脅迫をした場合に限って成立し、窃盗が未遂に終わった場合は成立しない ウ 強盗罪の暴行・脅迫は相手の反抗を抑圧する程度のものであることが要り、その程度に至らない暴行・脅迫で財物を交付させた場合は恐喝罪となる エ 強盗罪の暴行・脅迫は相手が現実に反抗を抑圧されたかどうかを基準に判断され、被害者が気丈で反抗を抑圧されなかった場合は恐喝罪となる undefined 強盗罪にも親族相盗例が準用され、同居の親族に対する強盗の刑は免除される)
- 事後強盗罪に関する判例(最判平成 16 年 12 月 10 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 窃盗の後、犯行現場の天井裏に約 3 時間潜んでいたところを家人に発見され暴行した場合は、時間の経過により窃盗の機会は終了しており事後強盗罪は成立しない イ 窃盗の後、誰にも追跡されずにいったん現場を離れ、約 30 分後に別の目的で現場に戻って暴行した場合は、窃盗の機会の継続中とはいえず事後強盗罪は成立しない ウ 窃盗の後、誰にも追跡されずにいったん現場を離れ、約 30 分後に別の目的で現場に戻って暴行した場合でも、同じ場所での暴行である以上事後強盗罪が成立する エ 事後強盗罪が成立するには、窃盗の被害者に対して暴行・脅迫をすることが要り、被害者以外の者に対する暴行・脅迫では成立しない undefined 事後強盗罪は窃盗の機会の継続を問わず、窃盗犯人が窃盗の当日中に暴行・脅迫をすれば成立する)
- 盗品等関与罪(256 条)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 盗品等関与罪が成立するには、行為の時点で盗品であることを確定的に知っていることが要り、未必的な認識では足りない イ 窃盗犯人が自ら盗んだ物を売却する行為は、不可罰的事後行為であり盗品等有償処分あっせん罪にはあたらない ウ 本犯の被害者に盗品を買い戻させるようにあっせんする行為は、被害者に物が戻るため盗品等有償処分あっせん罪にあたらない エ 窃盗犯人が自ら盗んだ物を売却する行為は、窃盗罪とは別に盗品等有償処分あっせん罪となり両罪は併合罪となる undefined 257 条の親族間の特例は、盗品等関与犯人と本犯の被害者との間に親族関係がある場合に適用される)
発展
- 次の事例について、判例の考え方に照らして A に成立する罪として妥当なものはどれですか。A は、B の店で店員の目を盗んで商品をかばんに入れ、代金を支払わずに店を出た。 (ア 1 項詐欺罪 イ 占有離脱物横領罪 ウ 窃盗罪 エ 横領罪 undefined 2 項詐欺罪)
- 230 条の 2(公共の利害に関する場合の特例)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公務員または公選による公務員の候補者に関する事実については、公益を図る目的があったかどうかを問わず、真実であることの証明があれば罰しない イ 真実であることの証明は検察官が行い、証明に失敗すれば無罪となる ウ 私人の私生活上の行状は、その者の社会的活動の性質や影響力にかかわらず、公共の利害に関する事実にはあたらない エ 公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実にあたらないものとみなされる undefined 真実であることの証明ができなかった場合は、真実と信じたことに相当の理由があっても名誉毀損罪の故意が認められ処罰される)
- 親族相盗例(244 条)に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 配偶者・直系血族・同居の親族との間の窃盗は親告罪となり、それ以外の親族との間の窃盗は刑が免除される イ 親族相盗例が適用されるには、財物の占有者と所有者の双方との間に所定の親族関係があることが要る ウ 親族相盗例が適用されるには、財物の所有者との間に所定の親族関係があれば足り、占有者との親族関係は要らない エ 親族相盗例は親族でない共犯にも適用され、親族とともに窃盗を行った者の刑も免除される undefined 家庭裁判所が選任した未成年後見人が被後見人の財産を横領した場合、後見人が被後見人の親族であれば親族相盗例が適用され刑が免除される)
- 横領罪と背任罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 横領罪には未遂処罰規定があり、横領しようとして果たせなかった場合は横領未遂罪となる イ 横領罪の不法領得の意思には窃盗罪と同じく経済的用法に従って利用・処分する意思が要り、毀棄・隠匿の意思では横領罪は成立しない ウ 銀行の支店長が回収の見込みがないと知りながら親しい会社に無担保で貸し付けて銀行に損害を与えた行為は、物の領得ではないため業務上横領罪ではなく背任罪となる エ 銀行の支店長が回収の見込みがないと知りながら親しい会社に無担保で貸し付けて銀行に損害を与えた行為は、銀行の金銭を処分したものであるため業務上横領罪となる undefined 土地の売主が買主への所有権移転登記を済ませる前に第三者に二重に売却して登記を移した場合、売主には背任罪が成立し横領罪は成立しない)
- 詐欺罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 詐欺罪が成立するには欺罔行為があれば足り、相手が欺罔を見抜いていても財物の交付があれば詐欺既遂罪となる イ 詐欺罪が成立するには欺罔行為・錯誤・処分行為・財産の移転の間に因果関係が要り、相手が欺罔を見抜いて憐れみから財物を交付した場合は詐欺未遂罪にとどまる ウ 相当の対価を支払って商品を購入した場合は、購入にあたって重要な事項を偽っていても相手に損害がないため詐欺罪は成立しない エ 詐欺罪の欺罔は作為によるものに限られ、告知義務があるのに黙っていただけでは欺罔にあたらない undefined 他人になりすまして航空会社から搭乗券の交付を受けた行為は、運賃を支払っている以上詐欺罪にあたらない)
刑法各論①(個人的法益:生命・身体・自由・名誉・財産) ── 解答
基礎
- イ 置き忘れた場所と距離・時間からみて被害者の占有はなお失われていないため、持ち去った者には窃盗罪が成立する 置き忘れた場所と距離・時間からみて被害者の占有はなお失われていないため、持ち去った者には窃盗罪が成立する。判例は「事案 → 結論 → 理由の言い回し」で覚える(zc-05 解説の表を参照)。
- ウ 窃盗罪 窃盗罪。親告罪=名誉毀損・侮辱・過失傷害・器物損壊・私用文書毀棄。親族相盗例は窃盗・詐欺・恐喝・横領に準用(強盗には準用なし)。傷害・暴行・横領・器物損壊には未遂処罰規定がない。詐欺・強盗・横領の法定刑は拘禁刑のみ。
- ウ 傷害罪の故意は暴行の故意で足り、殴るつもりで殴ったところ相手が骨折すれば傷害罪が成立する 傷害は生理的機能の障害で、病気や精神障害も含む。暴行は身体への接触を要しない(日本刀を振り回す・石を投げる)。傷害罪に未遂処罰規定はなく、傷害に至らなければ暴行罪(208 条)。
- undefined 損壊とは物理的に壊す場合に限らず物の効用を害する一切の行為をいい、食器に放尿して使えなくする行為も損壊にあたる 効用侵害説(大判明治 42 年 4 月 16 日)。器物損壊罪は親告罪(264 条)で未遂処罰規定はない。動物の殺傷は 261 条の「傷害」にあたる。
- エ 保護責任者遺棄罪は、保護責任のある者が要保護者を遺棄した場合だけでなく、その生存に必要な保護をしなかった不作為によっても成立する 218 条は遺棄と不保護の両方を処罰。保護責任は法令・契約・先行行為・条理から生じる(ひき逃げ事案 最判昭和 34 年 7 月 24 日)。217 条は主体を限定しない。219 条に遺棄等致死傷の規定がある。
標準
- エ 詐欺罪 詐欺罪。財産犯は「被害者の占有があったか → 自分がすでに占有していたか → 奪ったか交付させたか」の順に判定する。置き忘れ直後(最判昭和 32 年 11 月 8 日)は占有あり、電車が去った後は占有なし。釣り銭はその場で気づいて黙っていれば不作為の欺罔、後で気づけば占有離脱物横領。
- エ 監禁罪 監禁罪。頭髪を切るのは生理的機能を害さないので暴行(大判明治 45 年)、騒音で頭痛・睡眠障害にさせるのは傷害(最決平成 17 年)、だまして車に乗せ降りられなくするのは監禁(最決昭和 33 年)、ひき逃げで連れ回して放置は保護責任者遺棄(最判昭和 34 年)、盗撮目的の ATM コーナー立入りは管理権者の意思に反し建造物侵入(最決平成 19 年)。
- ア 心中を装い自分も後を追うとだまして相手に毒を飲ませて死亡させた場合、相手の承諾は真意に基づかないため同意殺人罪ではなく殺人罪が成立する 偽装心中事件(最判昭和 33 年 11 月 21 日)。同意殺人(202 条)は 6 月以上 7 年以下の拘禁刑で殺人(199 条)より軽いが、承諾は違法性を阻却しない。殺人予備は 201 条で処罰される。
- ウ 名誉毀損罪は公然と事実を摘示して人の名誉を毀損すれば成立し、摘示した事実が真実であっても原則として成立する 230 条「その事実の有無にかかわらず」。侮辱罪(231 条)との違いは事実の摘示の有無。伝播性の理論(最判昭和 34 年 5 月 7 日)。名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪(232 条)。
- ア 侵入とは管理権者の意思に反する立入りをいい、平穏な態様で立ち入った場合でも管理権者の意思に反すれば侵入にあたる 最判昭和 58 年 4 月 8 日。立川反戦ビラ事件(最判平成 20 年 4 月 11 日)は住居侵入罪の成立を認め 21 条に反しないとした。未遂処罰あり(132 条)。不退去は 130 条後段。
- エ 校長を困らせる目的で教育勅語を隠した行為は、経済的用法に従って利用・処分する意思がないため窃盗罪にあたらない 大判大正 4 年 5 月 21 日。不法領得の意思=権利者排除意思+利用処分意思。自動車の乗り回しは権利者を排除する程度なら領得意思あり(最決昭和 55 年 10 月 30 日)。毀棄・隠匿目的では窃盗にならず毀棄罪。
- ウ 強盗罪の暴行・脅迫は相手の反抗を抑圧する程度のものであることが要り、その程度に至らない暴行・脅迫で財物を交付させた場合は恐喝罪となる 反抗抑圧の程度は社会通念による客観的基準。強盗致死傷は強盗の機会に行われた行為から生じれば足りる。事後強盗の主体は窃盗犯人で、未遂でもよい。親族相盗例は強盗に準用されない。
- イ 窃盗の後、誰にも追跡されずにいったん現場を離れ、約 30 分後に別の目的で現場に戻って暴行した場合は、窃盗の機会の継続中とはいえず事後強盗罪は成立しない 最判平成 16 年 12 月 10 日(不成立)と最決平成 14 年 2 月 14 日(天井裏・成立)の対比。暴行・脅迫の相手は被害者に限らず、追跡者や警察官でもよい。
- イ 窃盗犯人が自ら盗んだ物を売却する行為は、不可罰的事後行為であり盗品等有償処分あっせん罪にはあたらない 本犯者は主体にならない。知情は未必的認識で足りる。保護法益は追求権なので被害者への買戻しあっせんも成立する。257 条は本犯者と盗品等関与犯人との間の親族関係。
発展
- ウ 窃盗罪 窃盗罪。詐欺は「欺罔 → 錯誤 → 処分行為 → 移転」。注文時の欺罔で料理を交付させれば 1 項、食後にだまして支払を猶予させれば 2 項(最決昭和 30 年 7 月 7 日)、黙って逃げただけでは処分行為がなく利益窃盗として不可罰。
- ア 公務員または公選による公務員の候補者に関する事実については、公益を図る目的があったかどうかを問わず、真実であることの証明があれば罰しない 230 条の 2 第 3 項。真実と誤信したことに相当の理由があれば故意がなく無罪(夕刊和歌山時事事件 最大判昭和 44 年 6 月 25 日)。2 項は公訴提起前の犯罪行為に関する事実を公共の利害に関する事実とみなす。私人の私生活上の行状も社会的活動の性質・影響力によっては公共の利害に関する事実(月刊ペン事件)。真実性の証明は被告人側が行う。
- イ 親族相盗例が適用されるには、財物の占有者と所有者の双方との間に所定の親族関係があることが要る 最決平成 6 年 7 月 19 日(双方に親族関係が要る)。最決平成 20 年 2 月 18 日(未成年後見人には適用なし)。配偶者・直系血族・同居の親族は刑の免除、その他の親族は親告罪。親族でない共犯には適用されない(244 条 3 項)。
- ウ 銀行の支店長が回収の見込みがないと知りながら親しい会社に無担保で貸し付けて銀行に損害を与えた行為は、物の領得ではないため業務上横領罪ではなく背任罪となる 横領は自己の占有する他人の物の領得、それ以外の任務違背は背任(横領が優先し背任は補充的)。横領の不法領得の意思に利用処分意思は不要(最判昭和 24 年 3 月 8 日)。横領に未遂処罰規定なし。二重売買は登記名義を持つ売主の横領(最判昭和 30 年 12 月 26 日)。
- イ 詐欺罪が成立するには欺罔行為・錯誤・処分行為・財産の移転の間に因果関係が要り、相手が欺罔を見抜いて憐れみから財物を交付した場合は詐欺未遂罪にとどまる 錯誤に基づかない交付は詐欺未遂。判例は個別財産の喪失自体を損害とみるため対価を払っても詐欺は成立しうる。搭乗券のなりすましは詐欺(最決平成 22 年 7 月 29 日)。不作為の欺罔(釣り銭詐欺・誤振込)も欺罔にあたる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zc-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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