刑法各論②(社会的法益・国家的法益:放火・文書偽造・公務執行妨害・賄賂) ── 問題
基礎
- 次の判例について、裁判官が私的な目的で拘置所の身分帳簿を閲覧した事案(最決昭和 57 年)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 職権濫用罪の職権とは公務員の一般的職務権限のすべてをいい、裁判官が地位を利用して閲覧した以上、公務員職権濫用罪が成立する イ 裁判官が私的な目的で拘置所の帳簿を閲覧する行為は拘置所職員の職務執行を妨害するものであるため、公務執行妨害罪が成立する ウ 職権濫用罪の職権とは相手方に法律上・事実上の負担や不利益を生じさせるに足りる特別の職務権限をいい、本件の閲覧はこれにあたらないため公務員職権濫用罪は成立しない エ 裁判官が私的な目的で公務所の帳簿を閲覧する行為は公務所の用に供する文書の毀棄にあたり、公用文書毀棄罪が成立する undefined 裁判官は裁判の職務を行う者であるため、職権を濫用して閲覧した本件には特別公務員職権濫用罪が成立する)
- 刑法の条文の定めについて、犯人蔵匿罪(103 条)の客体となる「罪を犯した者」の範囲として正しいものはどれですか。 (ア 拘禁刑以上の刑に当たる罪を犯した者 イ 死刑または無期拘禁刑に当たる罪を犯した者 ウ 科料以上の刑に当たる罪を犯した者 エ 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者 undefined 有罪判決が確定した者)
- 放火罪の焼損の意義に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 火が媒介物を離れて目的物が独立して燃焼を継続する状態に達した時点で焼損となり、天井板の一部が燃えた程度でも既遂となる イ 目的物が全焼した時点で焼損となり、それ以前は未遂にとどまる ウ 火が媒介物に燃え移った時点で焼損となり、目的物に火が移っていなくても既遂となる エ 目的物がその効用を失った時点で焼損となり、建物の一部が燃えただけでは住居として使用できる以上既遂とならない undefined 目的物の重要部分が燃え始めた時点で焼損となり、天井板の一部が燃えた程度では既遂とならない)
- 通貨偽造の罪と賭博の罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 常習賭博罪は真正身分犯であり、非常習者が常習者の賭博に加担した場合は 65 条 1 項により常習賭博罪の刑で処断される イ 通貨偽造罪は行使の目的がなくても成立し、収集の目的で精巧な偽札を作った場合も通貨偽造罪となる ウ 賭博罪は財物を賭けた場合に成立し、一時の娯楽に供する物を賭けた場合も含めて例外なく処罰される エ 偽造通貨を受け取った後にそれが偽造であると知って行使した場合は、収得後知情行使罪として額面価格の 3 倍以下の罰金または科料という軽い刑が定められている undefined 金銭を賭けた場合でも少額であれば一時の娯楽に供する物を賭けたものとして賭博罪は成立しない)
- 賄賂罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 賄賂は金銭に限らず、饗応や地位の提供など人の需要・欲望を満たす一切の利益を含む イ 賄賂は金銭その他の財産上の利益に限られ、饗応や異性間の情交のような財産的価値のないものは含まれない ウ 収賄罪は賄賂を現実に収受した場合に限って成立し、要求や約束をしただけでは成立しない エ 収賄罪が成立するには公務員が実際に不正な行為をしたことが要り、職務を適正に行った場合は成立しない undefined 中元や歳暮の名目で贈られた物は社交儀礼にあたるため、職務との対価関係があっても賄賂にならない)
標準
- 次の事例について、A に成立する放火の罪として妥当なものはどれですか。A は、月極駐車場に止めてあった他人の自動車に火をつけて全焼させ、隣に止めてあった自動車に燃え移る危険を生じさせた。 (ア 非現住建造物等放火罪(109 条 1 項) イ 現住建造物等放火罪(108 条) ウ 器物損壊罪(261 条) エ 建造物等以外放火罪(110 条 1 項) undefined 自己所有建造物等以外放火罪(110 条 2 項))
- 次の事例について、判例の考え方に照らして A に文書偽造罪が成立するかどうかの結論として妥当なものはどれですか。密入国者 A は、長年社会的に通用してきた通称名を用いて、再入国許可申請書を作成し提出した。 (ア 通称名を用いた文書は名義人が実在しないため、文書としての性質を欠き、私文書偽造罪は成立しない イ 旅券のように本名でなければ意味のない文書では、通用している通称名を用いても名義人と作成者の同一性が偽られるため、私文書偽造罪が成立する ウ 通称名が社会的に通用している以上、その名で作成した文書の名義人と作成者は一致しているため、私文書偽造罪は成立しない エ 通称名で作成した申請書は内容が虚偽である点で無形偽造にあたるが、私文書の無形偽造は処罰されないため、私文書偽造罪は成立しない undefined 通称名で作成した申請書は公務員に提出する文書であるため、公文書偽造罪が成立する)
- 次の事例について、A に成立する賄賂の罪として妥当なものはどれですか。来年度から市の建築課に採用されることが内定している A は、業者 B から「採用後に便宜を図ってほしい」と依頼されて現金を受け取り、その後実際に採用された。 (ア 事後収賄罪 イ 第三者供賄罪 ウ 事前収賄罪 エ 受託収賄罪 undefined あっせん収賄罪)
- 放火罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 現住建造物等放火罪は抽象的危険犯であり、公共の危険が現実に発生したことは成立要件ではない イ 建造物等以外放火罪(110 条 1 項)が成立するには、行為者が公共の危険の発生を認識していることが要る ウ 公共の危険とは 108 条・109 条 1 項に規定する建造物等に延焼するおそれに限られ、隣の自動車に燃え移る危険は含まれない エ 現住建造物等放火罪が成立するには、放火の時点で建造物の中に現に人がいることが要る undefined 住人全員を殺害した後にその家に放火した場合も、殺害前は住居として使用されていたため現住建造物等放火罪が成立する)
- 文書偽造罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 文書偽造罪が成立するには行使の目的は要らず、練習のために他人の名前で署名した場合も偽造罪となる イ 秘書が社長の指示に基づいて社長名義の手紙を作成した場合、物理的に作成したのは秘書であるため私文書偽造罪が成立する ウ 有形偽造とは作成権限のある者が内容の虚偽な文書を作成することをいい、私文書については原則として処罰されない エ 私文書偽造罪の客体は権利・義務に関する文書に限られ、履歴書や答案のような事実証明に関する文書は含まれない undefined 有形偽造とは作成権限のない者が他人名義の文書を作成することをいい、名義人と作成者の人格の同一性を偽る点に本質がある)
- 公務執行妨害罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公務執行妨害罪が成立するには公務員に対する暴行・脅迫によって公務が現実に妨害されたことが要る イ 公務執行妨害罪の暴行は公務員の身体に直接加えられる有形力に限られ、公務員の持ち物を壊す行為は暴行にあたらない ウ 公務執行妨害罪が成立するには公務員の職務執行が適法であることが要り、適法かどうかは裁判所が行為時の状況を基礎に客観的に判断する エ 公務執行妨害罪が成立するには公務員の職務執行が適法であることが要り、適法かどうかは職務を執行した公務員自身の判断を基準にする undefined 公務員が休憩中である場合は、職務と時間的に接着していても職務を執行するに当たりとはいえず、公務執行妨害罪は成立しない)
- 偽証罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 偽証罪を犯した者がその証言をした事件の裁判が確定する前に自白した場合、その刑は免除される イ 偽証罪の「虚偽の陳述」とは客観的事実に反する陳述をすることをいい、証人が記憶どおりに述べても客観的事実と異なれば偽証罪が成立する ウ 偽証罪の「虚偽の陳述」とは証人が自己の記憶に反する陳述をすることをいい、記憶どおりに述べた陳述が客観的事実と異なっていても偽証罪は成立しない エ 虚偽告訴罪の「虚偽」も偽証罪と同じく申告者の記憶に反することをいう undefined 偽証罪は刑事事件の被告人が法廷で虚偽の供述をした場合にも成立する)
- 賄賂罪の職務関連性に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 「職務に関し」の職務は公務員が現に担当している事務に限られず、その公務員の一般的職務権限に属する事項であれば足りる イ 職務行為が正当に行われた場合には、その職務に関して賄賂を受け取っても職務の公正は害されていないため収賄罪は成立しない ウ 「職務に関し」の職務は公務員が現に担当している具体的な事務に限られ、同じ部署でも担当していない事務は含まれない エ 公務員が転職して一般的職務権限を異にする職務に就いた後、転職前の職務に関して賄賂を受け取った場合は、いかなる収賄罪も成立しない undefined 法令上の職務そのものでなくても職務と密接に関連する行為は職務に含まれるが、行政指導のような法令上の根拠のない行為は含まれない)
- わいせつの罪と公務員職権濫用罪に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公然わいせつ罪の「公然」は現実に不特定多数の人が見たことが要り、見られる可能性があるだけでは足りない イ 特別公務員職権濫用罪の主体はすべての公務員であり、職権を濫用して人を逮捕・監禁すればいかなる公務員でも成立する ウ 公務員職権濫用罪は、公務員が職権を濫用して人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した場合に成立する エ 公務員職権濫用罪は、公務員が職権を濫用して自己または第三者の利益を図った場合に成立し、相手方に義務のないことを行わせたかどうかは問わない undefined わいせつ物頒布等罪は、わいせつな文書を特定の 1 人に販売した場合には成立せず、不特定多数への頒布に限って成立する)
発展
- 文書偽造罪に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公務員が職務に関し内容の虚偽な公文書を作成した場合、作成権限があるため公文書偽造罪も虚偽公文書作成罪も成立しない イ 実在しない団体名義で国際運転免許証に似せた文書を作成した場合、一般人が真正な文書と誤信する外観があれば、名義人が実在しなくても私文書偽造罪が成立する ウ 偽造した文書を行使した場合、偽造罪と行使罪は 1 個の行為が 2 個の罪名に触れるため観念的競合となる エ 実在しない団体名義で文書を作成した場合、名義人が実在しない以上、名義人と作成者の同一性を偽ることはありえず私文書偽造罪は成立しない undefined 公務員に虚偽の申立てをして登記簿に不実の記載をさせた場合、記載したのは公務員であるため申立人には何らの罪も成立しない)
- 犯人蔵匿罪と証拠隠滅罪に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 犯人が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させた場合、犯人自身が逃げ隠れする行為は不可罰であるが、他人を教唆した点で犯人蔵匿・隠避罪の教唆犯が成立する イ 真犯人の身代わりとして自ら警察に出頭する行為は、真犯人をかくまうものではないため犯人隠避罪にあたらない ウ 犯人が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させた場合、犯人自身の蔵匿が不可罰である以上、その教唆も不可罰である エ 自己の刑事事件の証拠を隠滅する行為は証拠隠滅罪として処罰され、他人の刑事事件の証拠を隠滅する行為は処罰されない undefined 犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」は有罪判決を受けた真犯人に限られ、犯罪の嫌疑を受けて捜査中の者は含まれない)
- 賄賂罪の類型に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 事後収賄罪は、公務員が在職中に請託を受けて不正な行為をし、在職中にその見返りの賄賂を収受した場合に成立する イ 事前収賄罪は、公務員になろうとする者が請託を受けて賄賂を収受した時点で成立し、その後公務員にならなくても処罰される ウ あっせん収賄罪は、公務員が請託を受け、自己の職務について不正な行為をすることの報酬として賄賂を収受した場合に成立する エ あっせん収賄罪は、公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるようにあっせんすることの報酬として賄賂を収受した場合に成立する undefined 第三者供賄罪は、公務員が請託を受けずに第三者に賄賂を供与させた場合にも成立する)
- 平安神宮事件(最決平成元年 7 月 14 日)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 人が寝泊まりする社務所と人のいない本殿・拝殿は回廊でつながっていても別個の建造物であるため、人のいない部分への放火は非現住建造物等放火罪にあたる イ 人が寝泊まりする社務所などと人のいない本殿・拝殿が回廊でつながり、物理的にも機能的にも一体である建物群では、人のいない部分への放火も現住建造物等放火罪にあたる ウ 人のいない部分への放火は非現住建造物等放火罪にあたるが、社務所に延焼した時点で延焼罪が成立する エ 神社の本殿・拝殿は宗教施設であって住居ではないため、社務所に人が寝泊まりしていても全体として非現住建造物等放火罪にあたる undefined 人のいない部分への放火は建造物等以外放火罪にあたり、公共の危険が発生した場合に限って処罰される)
刑法各論②(社会的法益・国家的法益:放火・文書偽造・公務執行妨害・賄賂) ── 解答
基礎
- ウ 職権濫用罪の職権とは相手方に法律上・事実上の負担や不利益を生じさせるに足りる特別の職務権限をいい、本件の閲覧はこれにあたらないため公務員職権濫用罪は成立しない 職権濫用罪の職権とは相手方に法律上・事実上の負担や不利益を生じさせるに足りる特別の職務権限をいい、本件の閲覧はこれにあたらないため公務員職権濫用罪は成立しない。判例は「事案 → 結論 → 理由の言い回し」で覚える(zc-06 解説の表を参照)。
- エ 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者。公共の危険が要件なのは 109 条 2 項と 110 条。私文書の無形偽造は原則不可罰で、例外が医師の虚偽診断書等作成罪。犯人蔵匿の客体は罰金以上の刑に当たる罪を犯した者。105 条の親族の特例は任意的免除。偽証罪の主体は法律により宣誓した証人。
- ア 火が媒介物を離れて目的物が独立して燃焼を継続する状態に達した時点で焼損となり、天井板の一部が燃えた程度でも既遂となる 独立燃焼説(最判昭和 23 年 11 月 2 日)。効用喪失説は学説。判例の立場は既遂時期が早いため、中止犯の余地が狭いと批判される。
- エ 偽造通貨を受け取った後にそれが偽造であると知って行使した場合は、収得後知情行使罪として額面価格の 3 倍以下の罰金または科料という軽い刑が定められている 152 条。通貨偽造罪(148 条)は行使の目的が要件。185 条ただし書で一時の娯楽に供する物を賭けた場合は不可罰だが、金銭は少額でも賭博。常習賭博は不真正身分犯で、非常習者には 65 条 2 項により単純賭博の刑。
- ア 賄賂は金銭に限らず、饗応や地位の提供など人の需要・欲望を満たす一切の利益を含む 賄賂は人の需要・欲望を満たす一切の利益。収賄罪は職務の公正とそれへの信頼を守るもので、不正行為は要件でない(あれば加重収賄)。収受・要求・約束のいずれでも成立。社交儀礼の名目でも対価関係があれば賄賂。
標準
- エ 建造物等以外放火罪(110 条 1 項) 建造物等以外放火罪(110 条 1 項)。「人」は犯人以外の者。家族と同居の家は家族が不在でも住居に使用中で 108 条、ひとり暮らしの自宅は自己所有の非現住建造物で 109 条 2 項(公共の危険が要件)、他人の空き家は 109 条 1 項、自動車は 110 条 1 項(公共の危険が要件・最決平成 15 年 4 月 14 日)、一体性のある神社建物群は全体が現住建造物(平安神宮事件 最決平成元年 7 月 14 日)。
- イ 旅券のように本名でなければ意味のない文書では、通用している通称名を用いても名義人と作成者の同一性が偽られるため、私文書偽造罪が成立する 旅券のように本名でなければ意味のない文書では、通用している通称名を用いても名義人と作成者の同一性が偽られるため、私文書偽造罪が成立する。対応する判例:最判昭和 59 年 2 月 17 日(通称名)・最決昭和 56 年 4 月 8 日(交通反則切符)・最決昭和 45 年 9 月 4 日(代理名義の冒用)・最決平成 6 年 11 月 29 日(替え玉受験)・最判昭和 51 年 4 月 30 日(コピー)。名義人と作成者の同一性が偽られていれば有形偽造。
- ウ 事前収賄罪 事前収賄罪。賄賂の類型は「請託の有無 → 不正な行為の有無 → 受け取る人 → 時期(公務員になる前・在職中・退職後)→ 自分の職務か他の公務員へのあっせんか」の順で決める。
- ア 現住建造物等放火罪は抽象的危険犯であり、公共の危険が現実に発生したことは成立要件ではない 108 条は住居に使用「または」現に人がいる建造物で、人がいなくても住居に使用していれば足りる。公共の危険の認識は不要(最判昭和 60 年 3 月 25 日)。公共の危険は不特定多数の生命・身体・財産への危険を含む(最決平成 15 年 4 月 14 日)。住人全員殺害後は非現住建造物。
- undefined 有形偽造とは作成権限のない者が他人名義の文書を作成することをいい、名義人と作成者の人格の同一性を偽る点に本質がある 有形偽造=名義の偽り、無形偽造=内容の偽り。行使の目的が要件。作成者は意思表示の主体なので、社長の指示で作った手紙の作成者は社長。159 条は権利・義務または事実証明に関する文書。
- ウ 公務執行妨害罪が成立するには公務員の職務執行が適法であることが要り、適法かどうかは裁判所が行為時の状況を基礎に客観的に判断する 職務の適法性は明文にないが要件とされ、裁判所が客観的に判断する。抽象的危険犯なので妨害の結果は不要。暴行は公務員に向けられた間接的な有形力でもよい(最決昭和 34 年 8 月 27 日)。休憩中でも職務と一体とみられる範囲なら含む(最決平成元年 3 月 10 日)。
- ウ 偽証罪の「虚偽の陳述」とは証人が自己の記憶に反する陳述をすることをいい、記憶どおりに述べた陳述が客観的事実と異なっていても偽証罪は成立しない 主観説。被告人は宣誓する証人にならないので主体にならない。裁判確定前の自白は任意的減免(170 条)。虚偽告訴罪の「虚偽」は客観的真実に反すること。
- ア 「職務に関し」の職務は公務員が現に担当している事務に限られず、その公務員の一般的職務権限に属する事項であれば足りる 一般的職務権限説(最決平成 17 年 3 月 11 日)。ロッキード事件は行政指導としての勧奨も職務権限に含めた。転職後は単純収賄(最決昭和 58 年 3 月 25 日)。正当な職務でも対価を受け取れば収賄。
- ウ 公務員職権濫用罪は、公務員が職権を濫用して人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した場合に成立する 193 条。特別公務員職権濫用罪(194 条)の主体は裁判・検察・警察の職務を行う者など。頒布は不特定または多数の者への交付で、その一環として特定人に販売しても頒布にあたる。公然は不特定または多数の人が認識できる状態で足りる。
発展
- イ 実在しない団体名義で国際運転免許証に似せた文書を作成した場合、一般人が真正な文書と誤信する外観があれば、名義人が実在しなくても私文書偽造罪が成立する 最決平成 15 年 10 月 6 日。公務員の虚偽公文書作成は 156 条。虚偽申立てによる登記簿の不実記載は 157 条。偽造と行使は牽連犯。
- ア 犯人が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させた場合、犯人自身が逃げ隠れする行為は不可罰であるが、他人を教唆した点で犯人蔵匿・隠避罪の教唆犯が成立する 最決昭和 40 年 2 月 26 日(教唆犯成立)。「罪を犯した者」は嫌疑で捜査中の者を含む(最判昭和 24 年 8 月 9 日)。身代わり出頭は隠避(最決平成元年 5 月 1 日)。証拠隠滅罪は他人の刑事事件の証拠が客体で、自己の事件の証拠隠滅は不可罰。
- エ あっせん収賄罪は、公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるようにあっせんすることの報酬として賄賂を収受した場合に成立する 197 条の 4。事前収賄は「公務員となった場合において」処罰(197 条 2 項)。第三者供賄は請託が要件(197 条の 2)。在職中の収受なら加重収賄(197 条の 3 第 2 項)で、事後収賄は公務員であった者が退職後に収受する場合(同 3 項)。
- イ 人が寝泊まりする社務所などと人のいない本殿・拝殿が回廊でつながり、物理的にも機能的にも一体である建物群では、人のいない部分への放火も現住建造物等放火罪にあたる 最決平成元年 7 月 14 日。建物群の一体性(物理的一体性と機能的一体性)から、全体を 1 個の現住建造物とみた。延焼罪は自己所有物への放火からの延焼に限られる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zc-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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