行政行為(効力・瑕疵・取消しと撤回・附款) ── 問題
基礎
- 次の行為は、行政行為の学問上の分類(効果による分類)ではどれに当たりますか。── 公有水面埋立ての免許 (ア 公証 イ 認可 ウ 許可 エ 特許 undefined 確認)
- 行政行為の効力のうち、次の説明に当たるものはどれですか。── 義務が履行されないとき、裁判を経ずに行政庁が自ら義務内容を実現できる (ア 公定力 イ 拘束力 ウ 不可変更力 エ 不可争力 undefined 自力執行力)
- 行政行為の公定力に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 違法な行政処分によって損害を受けた者は、処分の取消判決を得た後でなければ、国家賠償を請求することができない イ 刑事裁判所は行政行為の公定力に拘束されるので、行政処分の違法を理由に被告人を無罪とすることはできない ウ 違法な行政処分によって損害を受けた者は、処分の取消判決を得ていなくても、その違法を理由として国家賠償を請求できる エ 公定力は行政庁が自ら行政行為を取り消すことも妨げるので、処分庁は違法な行政行為を職権で取り消すことができない undefined 公定力は行政行為に当然に備わる効力であるから、重大かつ明白な瑕疵のある無効の行政行為にも生じる)
- 許可・特許・認可の区別に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 認可を受けずにした法律行為は、罰則の対象にはならないが、私法上は当然に有効なものとして扱われる イ 特許は一般的な禁止を特定の場合に解除する行為であり、運転免許や飲食店の営業許可がその典型である ウ 認可は特定人に新たな権利や地位を設定する行為であり、公有水面埋立ての免許がその典型である エ 許可を受けずにした取引行為は、罰則の対象にはなり得るが、私法上の効力は原則として否定されない undefined 許可・特許・認可はいずれも準法律行為的行政行為であるため、行政庁の判断で附款を付けることはできない)
- 行政行為の自力執行力に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政行為には当然に自力執行力が備わっているため、行政行為の根拠法があれば、それとは別の法律の根拠がなくても強制執行できる イ 行政代執行法は、行政上の義務の履行確保について、各行政庁が独自に手続を定めることができると規定している ウ 行政行為によって課された義務を強制的に実現するには、民事上の債権と同じく、裁判所の判決を得て民事執行の手続によらなければならない エ 行政行為によって課された義務を行政庁が強制的に実現するには、行政行為の根拠法とは別に、執行を認める法律の根拠が要る undefined 自力執行力は準法律行為的行政行為にだけ認められ、許可や特許などの法律行為的行政行為には認められない)
標準
- 次の事例で行政庁が行った「取消し」の法的性質と効果の説明として妥当なものはどれですか。── 法定の要件を欠いていたのに担当者の誤認で許可がされていたことが分かり、行政庁が許可を取り消した。 (ア 撤回に当たり、効果は将来に向かって生じる イ 職権取消しに当たり、効果は処分時に遡って生じる ウ 無効であり、はじめから効力が生じていない エ 撤回に当たり、効果は処分時に遡って生じる undefined 職権取消しに当たり、効果は将来に向かって生じる)
- 行政行為に付けられた次の定めは、附款の分類ではどれに当たりますか。── 「令和 X 年 3 月 31 日まで占用を許可する」 (ア 法律効果の一部除外 イ 条件 ウ 期限 エ 撤回権の留保 undefined 負担)
- 行政行為の無効と取消しに関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 無効の行政行為であっても公定力は生じるため、出訴期間内に取消訴訟を提起しなければ、その効力を争うことはできなくなる イ 重大な瑕疵のある行政行為は、その瑕疵が明白であるかどうかにかかわらず、常に無効となる ウ 瑕疵が明白であるとは、行政庁が通常尽くすべき調査をすれば誤りに気づけたことをいい、調査義務を怠った場合には明白性が認められる エ 瑕疵が明白であるとは、処分成立の当初から誤りが外形上客観的に明白であることをいい、行政庁が怠慢で調査を尽くさなかったかどうかは関係がない undefined 課税処分が無効となるのは重大かつ明白な瑕疵がある場合に限られ、瑕疵が明白でない限り、第三者の行為による課税などの例外的事情があっても無効とはならない)
- 行政行為の不可争力と不可変更力に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不可争力が生じた行政行為は、処分庁であっても職権で取り消すことができなくなる イ 無効確認訴訟にも取消訴訟と同じ出訴期間の制限があるため、期間経過後は無効の行政行為も争えなくなる ウ 不可争力は、行政不服審査法や行政事件訴訟法の期間制限とは無関係に、行政行為の性質から当然に生じる エ 不可争力が生じた行政行為であっても、処分庁はその瑕疵を理由として職権で取り消すことができる undefined 不可変更力は、行政行為一般に備わる効力であり、処分庁は一度した行政行為をいかなる場合も変更できない)
- 違法性の承継に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 先行する行政行為と後行の行政行為が結合して 1 つの法的効果の実現を目指している場合には、先行行為の違法を後行行為の取消訴訟で主張できる イ 課税処分とそれに基づく滞納処分は結合して 1 つの法的効果を目指す関係にあるため、滞納処分の取消訴訟で課税処分の違法を主張できる ウ 最高裁は、建築確認に先行する安全認定の違法を建築確認の取消訴訟で主張することは、安全認定に不可争力が生じている以上できないとした エ 先行する行政行為に不可争力が生じている以上、後行の行政行為の取消訴訟で先行行為の違法を主張することは、両者の関係を問わず認められない undefined 違法性の承継は、先行行為が無効である場合には認められず、取り消しうる瑕疵にとどまる場合にのみ認められる)
- 行政行為の撤回に関する最高裁判所の判例(菊田医師事件)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 指定医師の指定の撤回は、処分庁である医師会ではなく、その監督庁である厚生大臣だけが行うことができる イ 指定医師の指定の撤回は、相手方の不利益が大きいため、あらかじめ相当の損失補償をしなければ行うことができない ウ 指定医師が義務に反する行為を行い、指定を存続させることが公益に適合しない状態が生じた場合には、法律に明文の根拠がなくても指定を撤回できる エ 指定医師の指定は成立時から瑕疵があったものとして遡って効力を失い、撤回前に行われた医療行為も無効となる undefined 行政行為の撤回は相手方の既得の地位を奪うものであるから、法律に明文の根拠がない限り、公益上の必要が生じた場合であってもこれを撤回することはできない)
- 行政行為の効力と裁判所の判断に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 民事裁判所は、行政処分の無効を前提問題として判断することができず、常に無効確認訴訟の判決を待たなければならない イ 行政処分の違法を理由とする国家賠償請求訴訟では、裁判所は処分の公定力に拘束され、処分が違法であるとの判断をすることができない ウ 刑事裁判所は、違法な行政処分の効力を前提とせずに違法性を判断できるため、著しく違法な認可を前提とする処罰を認めないことができる エ 取消訴訟の出訴期間が経過した行政処分については、無効であっても、その効力を他の訴訟の前提問題として争うことはできない undefined 刑事裁判所は、行政処分に公定力がある以上、取消判決が確定するまでは処分が適法であることを前提に有罪・無罪を判断しなければならない)
発展
- 行政行為の瑕疵の治癒・違法行為の転換に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 瑕疵の治癒は成立時の欠陥が後の事情で補われることをいい、行政行為の相手方に不利益がある場合にこそ広く認められる イ 死者を名宛人としてされた農地買収計画は、相続人に対する計画として有効と扱う余地はなく、常に無効となる ウ 違法行為の転換は、本来の行為として違法な行政行為を別の行政行為として有効と扱うもので、行政手続法に明文の規定がある エ 更正処分の理由付記に不備がある場合、後の審査裁決で処分の理由が明らかにされても、その瑕疵は治癒されない undefined 更正処分の理由付記に不備がある場合でも、後の審査裁決で処分の理由が明らかにされれば、その瑕疵は治癒される)
- 行政行為の附款に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 法律効果の一部除外は、行政庁の裁量で法律の効果の一部を発生させないものであるから、法律の根拠がなくても自由に付けることができる イ 附款は行政行為の効果を制限するものであるから、羈束行為・裁量行為を問わず、法律の明文の根拠がなければ付けることができない ウ 附款は行政行為と一体のものであるから、負担のように本体から分離できる場合であっても、附款だけを対象とする取消訴訟は提起できない エ 負担が履行されなくても行政行為の効力は当然には失われないが、解除条件が成就すれば行政行為の効力は当然に消滅する undefined 負担が履行されなければ行政行為の効力は当然に失われるが、解除条件が成就しても行政行為の効力は当然には消滅しない)
- 授益的行政行為の取消し・撤回に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 都有地の使用許可が公益上の必要から撤回された場合、使用権を失う相手方には、撤回の理由を問わず常に損失補償をしなければならない イ 侵害的行政行為の職権取消しは、相手方に利益をもたらすものであるが、法律の明文の根拠がなければ行うことができない ウ 授益的行政行為の職権取消しは、相手方の信頼を害するため、相手方に詐欺などの帰責事由がある場合であっても認められない エ 授益的行政行為の撤回は、処分庁だけでなく、その監督庁も法律の根拠なしに行うことができる undefined 都有地の使用許可が公益上の必要から撤回された場合、使用権は本来その制約を内包しているため、特別の事情がない限り損失補償は不要である)
行政行為(効力・瑕疵・取消しと撤回・附款) ── 解答
基礎
- エ 特許 公有水面埋立ての免許は「特許」。許可=一般的な禁止の解除、特許=新たな権利・地位の設定、認可=私人の法律行為の効力の補充、確認=事実・法律関係の認定、公証=存在の公的証明。法律上の名前ではなく効果で分類する。
- undefined 自力執行力 自力執行力の説明。公定力は無効の行政行為には生じない。不可争力は私人が争えなくなるだけで行政庁は職権で取り消せる。不可変更力は裁決など争訟裁断的行為にだけ生じる。自力執行力には執行を認める別の法律の根拠が要る。
- ウ 違法な行政処分によって損害を受けた者は、処分の取消判決を得ていなくても、その違法を理由として国家賠償を請求できる 国家賠償請求は処分の効力を否定するものではないので、取消判決を得る必要はない(最判昭和 36 年 4 月 21 日)。公定力は無効の行政行為には生じず、処分庁の職権取消しも妨げない。余目町個室付浴場事件(最判昭和 53 年 6 月 16 日)では、違法な認可を前提とする処罰を認めなかった。
- エ 許可を受けずにした取引行為は、罰則の対象にはなり得るが、私法上の効力は原則として否定されない 無許可の行為(無免許営業での売買など)は私法上は原則有効。無認可の行為(農地法の許可のない農地の売買など)は効力が完成せず無効。一般的禁止の解除が許可、権利設定が特許。許可・特許・認可は法律行為的行政行為で、附款を付けられる。
- エ 行政行為によって課された義務を行政庁が強制的に実現するには、行政行為の根拠法とは別に、執行を認める法律の根拠が要る 行政代執行法 1 条は、行政上の義務の履行確保は「別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」とする。自力執行力は行政行為に当然備わるものではなく、法律の根拠があって初めて認められる。
標準
- イ 職権取消しに当たり、効果は処分時に遡って生じる 職権取消しに当たり、効果は処分時に遡って生じる。成立時に瑕疵があれば職権取消し(遡及効)、成立時には瑕疵がなく後発的な事情で維持できなくなったなら撤回(将来効)。法律の条文上はどちらも「取消し」と書かれることが多い。
- ウ 期限 「令和 X 年 3 月 31 日まで占用を許可する」は「期限」。条件=将来の不確実な事実、期限=将来の確実な事実、負担=作為・不作為の義務(履行しなくても当然には失効しない)、撤回権の留保、法律効果の一部除外(法律の根拠が要る)。
- エ 瑕疵が明白であるとは、処分成立の当初から誤りが外形上客観的に明白であることをいい、行政庁が怠慢で調査を尽くさなかったかどうかは関係がない 外観上一見明白説(最判昭和 36 年 3 月 7 日)。他方、第三者の行為によって課税の原因が作られ本人に何の関与もないなどの例外的事情があれば、明白でなくても課税処分は無効となり得る(最判昭和 48 年 4 月 26 日)。無効の行政行為には公定力も不可争力もない。
- エ 不可争力が生じた行政行為であっても、処分庁はその瑕疵を理由として職権で取り消すことができる 不可争力は私人の側から争えなくなる効力で、行政庁の職権取消しは妨げない。不可変更力は審査請求の裁決など争訟裁断的行為にだけ生じる。不可争力は出訴期間(行政事件訴訟法 14 条)等の制度から生じ、無効確認訴訟には期間制限がない。
- ア 先行する行政行為と後行の行政行為が結合して 1 つの法的効果の実現を目指している場合には、先行行為の違法を後行行為の取消訴訟で主張できる 原則は承継しない(課税処分と滞納処分は独立)。土地収用の事業認定と収用裁決のように一体の効果を目指す場合は承継する。たぬきの森事件(最判平成 21 年 12 月 17 日)は、安全認定と建築確認の一体性と、安全認定の段階で住民が争いにくいことを理由に承継を認めた。先行行為が無効なら承継を論じるまでもなく主張できる。
- ウ 指定医師が義務に反する行為を行い、指定を存続させることが公益に適合しない状態が生じた場合には、法律に明文の根拠がなくても指定を撤回できる 最判昭和 63 年 6 月 17 日。撤回すべき公益上の必要性が相手方の不利益を上回る場合、法律の根拠がなくても撤回できるとした。撤回は将来に向かって効力を失わせ、処分庁のみが行える。
- ウ 刑事裁判所は、違法な行政処分の効力を前提とせずに違法性を判断できるため、著しく違法な認可を前提とする処罰を認めないことができる 余目町個室付浴場事件(最判昭和 53 年 6 月 16 日)。公定力は取消訴訟の排他的管轄から導かれるもので、国家賠償請求や刑事事件での違法性判断、無効の主張を妨げない。
発展
- エ 更正処分の理由付記に不備がある場合、後の審査裁決で処分の理由が明らかにされても、その瑕疵は治癒されない 理由付記は行政庁の判断の慎重さを担保し、相手方に不服申立ての便宜を与えるためのものなので、後から理由を示しても目的を果たせない(最判昭和 47 年 12 月 5 日)。死者名義の買収計画を相続人に対するものとして有効とした判例(最大判昭和 29 年 7 月 19 日)が転換の例。治癒・転換は相手方の不利益にならない範囲で限定的に認められ、行政手続法に明文はない。
- エ 負担が履行されなくても行政行為の効力は当然には失われないが、解除条件が成就すれば行政行為の効力は当然に消滅する 負担違反は撤回や強制の理由になるだけで当然失効しない。裁量行為には明文がなくても附款を付けられるが、法律効果の一部除外は法律の根拠が要る。本体と分離できる附款(負担など)は附款だけの取消訴訟が可能。
- undefined 都有地の使用許可が公益上の必要から撤回された場合、使用権は本来その制約を内包しているため、特別の事情がない限り損失補償は不要である 東京都中央卸売市場事件(最判昭和 49 年 2 月 5 日)。授益的行政行為の取消し・撤回は公益と相手方の不利益の比較衡量で決まり、帰責事由があれば認められやすい。侵害的行政行為の取消しは原則自由。撤回できるのは処分庁のみ。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zg-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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