行政契約・行政指導・行政調査 ── 問題
基礎
- 行政手続法の行政指導に関する次のルールを定めているのはどの条文ですか。── 許認可等の権限を行使できない場合や行使する意思がない場合に、権限を行使し得る旨を殊更に示して行政指導に従わせてはならない (ア 36 条(複数の者を対象とする行政指導) イ 33 条(申請に関連する行政指導) ウ 35 条(行政指導の方式) エ 34 条(許認可等の権限に関連する行政指導) undefined 32 条(行政指導の一般原則))
- 次の行政活動は、行政調査の分類ではどれに当たりますか。── 交通違反の多発する地域で、走行中の車両を短時間停止させて行う自動車の一斉検問 (ア 即時強制 イ 直接強制調査(裁判官の許可状を得て実力で行う) ウ 行政指導 エ 任意調査 undefined 間接強制調査(拒否に罰則を科す))
- 行政契約に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政契約は当事者の合意に基づくものであるから、法律が定める規制を契約によって緩和することも当事者の自由である イ 行政契約は行政主体が優越的な地位に立って結ぶものであるから、行政行為と同じく公定力や自力執行力が認められる ウ 行政契約は行政主体が当事者となる契約であるため、私人間の契約と異なり、締結にはすべて法律の個別の根拠が必要である エ 行政契約は相手方との合意によって成立するため、法律の根拠は原則として不要であるが、法律に反する内容の契約を結ぶことはできない undefined 行政契約には法律による行政の原理が及ばないため、平等原則や比例原則などの一般原則によって制約されることもない)
- 行政指導に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 地方公共団体の機関が行う行政指導にも行政手続法の行政指導に関する規定がそのまま適用されるため、各地方公共団体が条例で定める必要はない イ 行政指導は相手方の任意の協力を求める行為であり法的拘束力をもたないため、行政機関の所掌事務の範囲内であれば法律の個別の根拠がなくても行うことができる ウ 行政指導は処分に該当しない行為であるため、いかなる場合も取消訴訟の対象となる処分性が認められることはない エ 行政指導に従わなかった者に対しては、行政指導の実効性を確保するため、そのことを理由として不利益な取扱いをすることが認められている undefined 行政指導は相手方に一定の作為・不作為を求める行為であるため、行政行為と同じく法律の個別の根拠がなければ行うことができない)
- 行政調査に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 拒否や妨害に罰則が設けられている調査では、罰則の存在から実力行使の権限も当然に導かれるため、相手方の抵抗を排して調査を行うことができる イ 国税犯則事件の調査として行われる臨検・捜索・差押えは、行政調査であるため裁判官の許可状を得ることなく行うことができる ウ 任意調査は相手方の協力によって行われるものであるから、行政機関はその所掌事務の範囲外の事項についても自由に調査を行うことができる エ 拒否や妨害に罰則が設けられている間接強制調査であっても、法律の明文の根拠がなければ、相手方の抵抗を排して実力で調査を行うことはできない undefined 行政調査によって収集された情報は、調査の目的にかかわらず、行政機関が他の目的のために自由に利用することができる)
- 行政契約の種類と例に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 地方公共団体が事業者との間で結ぶ公害防止協定は、規制行政の分野における行政契約の例であり、法律に規制の定めがない事項についても締結することができる イ 行政契約は給付行政の分野に限って認められ、規制行政の分野で私人と規制の具体的な内容を取り決める契約を結ぶことは、法律による行政の原理に反して許されない ウ 水道の給水契約は権力的な行為であるため行政行為に分類され、契約としての性質はもたない エ 公共工事の請負契約や物品の購入契約は私法上の契約であり、地方自治法などの公法上の規律は一切及ばない undefined 行政主体相互の間で結ばれる事務の委託の契約は、行政組織内部の行為であるため行政契約には含まれない)
標準
- 行政指導・行政契約に関する次の判例で、最高裁判所が示した結論として妥当なものはどれですか。── 武蔵野市マンション事件(最決平成元年) (ア 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は、水道事業者の経営判断に属する事項であり、裁判所の審査の対象にならない イ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は、住環境の保全という公益目的に基づくため水道法 15 条の「正当の理由」にあたる ウ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は、要綱に従わせるための手段であって水道法 15 条の「正当の理由」にあたらない エ 水道の給水契約は私法上の契約であるため、水道事業者は正当な理由がなくても給水の申込みを拒むことができる undefined 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は違法だが、刑罰の対象にはならず、国家賠償の問題が生じるにとどまる)
- 行政調査に関する次の判例で、最高裁判所が示した結論として妥当なものはどれですか。── 自動車一斉検問事件(最決昭和 55 年) (ア 自動車の一斉検問は、道路交通法に明文の根拠がない以上、警察法 2 条 1 項の組織規範を根拠として行うことは許されず、相手方の承諾があっても違法である イ 自動車の一斉検問は行政調査ではなく犯罪捜査であるため、刑事訴訟法に基づく令状がなければ行うことができない ウ 自動車の一斉検問は、運転者の承諾がなくても、必要があれば車内の捜索を含めて強制的に行うことができる エ 自動車の一斉検問は、外観上不審な事由のある車両に限って行うことができ、走行中のすべての車両を無差別に停止させることは任意活動の限度を超え許されない undefined 交通違反の多発する地域での短時間の一斉検問は、相手方の任意の協力を求める形で、自由を不当に制約しない方法・態様で行われる限り適法である)
- 地方公共団体の契約に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 地方公共団体の売買・請負などの契約は一般競争入札によることが原則であり、指名競争入札や随意契約は政令で定める場合に限って認められる イ 地方公共団体の売買・請負などの契約は随意契約によることが原則であり、一般競争入札は政令で定める一定規模以上の大規模な契約に限って行われる ウ 随意契約の制限に違反して締結された契約は、地方自治法に反する以上、相手方の認識にかかわらず私法上も当然に無効である エ 地方公共団体が事業者と結ぶ公害防止協定は、法律に明文の根拠がないため、法的拘束力をもたない紳士協定にとどまる undefined 契約の性質や目的が競争入札に適しないかどうかの判断には地方公共団体の裁量は認められず、裁判所が独自に判断する)
- 行政手続法の行政指導の中止等の求め(36 条の 2)と処分等の求め(36 条の 3)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 処分等の求めがあった場合、行政庁は求められた処分または行政指導を行う義務を負い、調査の結果として処分をしない旨の判断をすることは許されない イ 法令違反の事実がありその是正のための処分や行政指導がされていないと思料する者は、誰でも、権限を有する行政庁や行政機関に対してその処分や行政指導をすることを求めることができる ウ 行政指導の中止等の求めは、法律の根拠の有無を問わず、すべての行政指導について、その相手方が法律の要件に適合しないと思料するときに申し出ることができる エ 処分等の求めは、法令違反によって直接に自己の権利または法律上の利益を侵害された者に限って行うことができ、それ以外の第三者は申し出ることができない undefined 行政指導の中止等の求めがあった場合、行政機関は直ちにその行政指導を中止しなければならず、調査の上で継続することは許されない)
- 行政指導と独占禁止法の関係に関する石油カルテル事件(最判昭和 59 年)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政指導に法的拘束力はないため、行政指導に従って行われた価格協定であっても、その事実は違法性の判断に一切影響しない イ 行政指導に従って行われた価格協定は、事業者が行政の意向に従ったにすぎず自主的な競争制限とはいえないため、独占禁止法違反の違法性は常に阻却される ウ 行政指導に従った価格協定は、行政指導が法律の根拠に基づいて行われたものである限り、その内容や態様を問わず独占禁止法違反にはならない エ 行政指導に従っただけでは違法性は阻却されないが、行政指導が社会通念上相当で、これに従った行為が独占禁止法の究極の目的に実質的に反しない場合には違法性が阻却される余地がある undefined 価格に関する行政指導は独占禁止法に反するため、通商産業省がそのような行政指導を行うこと自体が違法であり、これに従った事業者は責任を負わない)
- 行政手続法 35 条(行政指導の方式)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政指導は相手方の権利保護のため書面によって行わなければならず、口頭で行われた行政指導は行政手続法 35 条に反して効力を生じない イ 行政指導の趣旨・内容・責任者を明確に示す義務は、相手方が複数である行政指導に限って課され、特定の一人に対する行政指導には課されない ウ 行政指導に携わる者が許認可等の権限を行使し得る旨を示すときは、その権限の根拠となる法令の条項を示す必要はあるが、当該権限の要件や行政指導の内容がその要件に適合する理由まで示す必要はない エ 行政指導の趣旨・内容・責任者を明確に示さなければならず、口頭で行った場合に相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これらを記載した書面を交付しなければならない undefined 行政指導の書面の交付を求められた場合、行政機関は行政上の支障の有無を問わずこれを拒むことができ、交付するかどうかは行政機関の自由な裁量に委ねられる)
- 水道法 15 条 1 項の給水義務と「正当の理由」に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否も、水不足を理由とする大規模開発への給水拒否も、水道事業者の裁量の範囲内としていずれも「正当の理由」にあたる イ 給水契約は私法上の契約であるため、水道事業者は「正当の理由」の有無にかかわらず、給水の申込みを自由に拒むことができる ウ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は「正当の理由」にあたらないが、水源が乏しく深刻な水不足にある町が大規模開発の給水申込みを拒むことは「正当の理由」にあたる エ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は「正当の理由」にあたるが、水不足を理由とする大規模開発への給水拒否は「正当の理由」にあたらない undefined 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否も、水不足を理由とする大規模開発への給水拒否も、給水義務の重要性からいずれも「正当の理由」にあたらない)
- 次の事例で、相手方または第三者がとり得る手段として妥当なものはどれですか。── E 町は産業廃棄物処理業者 F との間で、処分場の使用期限を定めた公害防止協定を結んだ。F は期限を過ぎても処分場の使用を続けている。 (ア 公害防止協定には法的拘束力が認められるため、E 町は協定に基づき F に対して民事訴訟で処分場の使用の差止めを求めることができる イ 使用期限の定めは廃棄物処理法の許可制度に反して無効であるため、E 町は F の使用を止めさせることができない ウ E 町は協定違反を理由に行政代執行法に基づき処分場を閉鎖することができる エ E 町は協定違反を理由に F の産業廃棄物処理業の許可を取り消すことができる undefined 公害防止協定は紳士協定にすぎず法的拘束力をもたないため、E 町は F に対して協定の遵守を求める行政指導を行うことができるにとどまり、訴訟で使用の差止めを求めることはできない)
- 税務調査で得た資料と犯則事件の関係に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 犯則事件の調査には裁判官の許可状が要るため、質問検査で得た資料を用いるときも裁判官の許可を得なければならない イ 質問検査権は犯則事件の証拠収集を目的として行使することも認められており、両者を区別する必要はない ウ 質問検査で得た資料を犯則事件の証拠として用いることは、令状なしの捜索・押収にあたり憲法 35 条に反して許されない エ 質問検査権を犯則事件の証拠収集のために行使することは許されないが、適法な質問検査で得た資料を後に犯則事件の証拠とすることは許される undefined 質問検査で得た資料は行政目的にのみ利用できるため、犯則事件の証拠とするには改めて相手方の同意を得なければならない)
- 行政指導と法律の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 規制的な行政指導は相手方の権利を事実上制約するため、法律の個別の根拠がなければ行うことができない イ 行政指導は法律の個別の根拠を要しないが、法律が定める規制を回避したり、法律の趣旨に反する目的で行ったりすることは許されない ウ 地方公共団体の指導要綱は条例と同じ効力をもつため、要綱に従わない者に対して制裁を科すことができる エ 行政指導は行政手続法により書面で行うことが義務づけられており、口頭で行った行政指導は無効である undefined 行政指導に従わない者の氏名を公表することは、行政指導の実効性を確保する手段として法律の根拠なしに、いつでも自由に行うことができる)
発展
- 品川マンション事件(最判昭和 60 年)における最高裁判所の判断として妥当なものはどれですか。 (ア 建築主が任意に応じている間の留保は違法ではないが、行政指導に従わない意思を真摯かつ明確に表明し確認処分を求めているときは、特段の事情がない限り、それ以後の留保は違法となる イ 建築主が行政指導に従わない意思を表明した場合でも、建築主事は近隣住民の同意が得られるまで建築確認を留保する法的義務を負う ウ 近隣住民との紛争を調整することは建築主事の責務であるから、建築主が行政指導に従わない意思を表明した後であっても、紛争が解決するまで建築確認を留保することは適法である エ 建築確認の留保は行政指導ではなく行政処分の不作為にあたるため、建築主は不作為の違法確認訴訟によってのみ争うことができ、国家賠償を請求することはできない undefined 建築確認は法定の要件を満たせば行わなければならない羈束行為であるから、近隣住民との話し合いを求める行政指導を理由として建築確認を留保することは、留保した時点から直ちに違法である)
- 川崎民商事件(最大判昭和 47 年)における最高裁判所の判断として妥当なものはどれですか。 (ア 所得税法の質問検査は刑事責任の追及を直接の目的とするものであるが、公益上の必要性が高いため例外的に令状なしで行うことが許される イ 憲法 35 条・38 条は刑事手続に関する規定であり、行政手続である所得税法の質問検査には適用の余地がないため、令状の要否や黙秘権を論じるまでもなく合憲である ウ 所得税法の質問検査で得られた資料は後の刑事手続で証拠として利用され得るため、納税者は憲法 38 条 1 項に基づいて検査を拒むことができる エ 憲法 35 条・38 条の保障は刑事手続以外にも及び得るが、所得税法の質問検査は刑事責任追及を目的とせず、強制の程度も間接的で公益上の必要性が高いため、令状なしでも憲法に反しない undefined 所得税法の質問検査は罰則によって間接的に強制されるため実質的には強制処分であり、裁判官の令状なしに行うことは憲法 35 条に反する)
- 行政調査と行政手続法・処分の効力に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政調査に手続上の違法があった場合、その調査に基づいて行われた課税処分は、違法の程度にかかわらず常に無効となる イ 国税通則法上の質問検査権は犯罪捜査のために認められたものと解してはならないため、適法な質問検査で得た資料を後の犯則事件の証拠として用いることは一切許されない ウ 行政調査として行われる立入検査には、相手方の権利保護のため、行政手続法に基づき事前の聴聞または弁明の機会の付与が義務づけられている エ 荒川民商事件で最高裁判所は、質問検査を行う際には調査の理由を個別・具体的に告知することが法律上の要件であるとした undefined 報告や物件の提出を命じる処分など、職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的とする処分・行政指導には、行政手続法の処分・行政指導に関する規定は適用されない)
- 地方公共団体の契約に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 村外に主たる営業所をもつ業者を、村内業者で対応できる工事かどうかを考慮せず一律に指名競争入札から長年排除することは、国家賠償法上違法となり得る イ 地方公共団体の契約は私法上の契約であるため、一般競争入札によることを原則とする地方自治法の規定は訓示規定にすぎず、違反しても契約の効力に影響しない ウ 指名競争入札における業者の指名は地方公共団体の自由裁量に属するため、指名しなかったことが違法となる余地はない エ 随意契約の要件を満たさずに締結された契約は、相手方の善意・悪意を問わず常に私法上も無効である undefined 指名競争入札で指名されなかった業者は、指名しない旨の決定の取消訴訟を提起することができるが、国家賠償を請求することはできない)
行政契約・行政指導・行政調査 ── 解答
基礎
- エ 34 条(許認可等の権限に関連する行政指導) 34 条(許認可等の権限に関連する行政指導)。32 条=任意の協力・不利益取扱いの禁止、33 条=申請者が従わない意思を表明した後の継続の禁止、34 条=権限を殊更に示すことの禁止、35 条=趣旨・内容・責任者の明示と書面交付、36 条=行政指導指針の策定・公表。
- エ 任意調査 任意調査。罰則で間接的に協力を強制するのが間接強制調査、裁判官の許可状を得て抵抗を排して行うのが直接強制調査、どちらでもなく相手方の協力によるのが任意調査。任意調査・間接強制調査では、法律の明文なしに実力を行使することはできない。
- エ 行政契約は相手方との合意によって成立するため、法律の根拠は原則として不要であるが、法律に反する内容の契約を結ぶことはできない 行政契約は非権力的な行為なので法律の留保は原則不要だが、法律の優位は及び、法律の規制を契約で回避することはできない。公定力・自力執行力はない。一般原則も及ぶ。
- イ 行政指導は相手方の任意の協力を求める行為であり法的拘束力をもたないため、行政機関の所掌事務の範囲内であれば法律の個別の根拠がなくても行うことができる 行政手続法 2 条 6 号・32 条。地方公共団体の機関が行う行政指導には行政手続法の規定は適用されず(3 条 3 項)、行政手続条例で対応する。病院開設中止勧告(最判平成 17 年 7 月 15 日)には処分性が認められた。
- エ 拒否や妨害に罰則が設けられている間接強制調査であっても、法律の明文の根拠がなければ、相手方の抵抗を排して実力で調査を行うことはできない 罰則による間接強制と実力行使は別で、直接強制には法律の明文と(国税犯則調査のように)裁判官の許可状が要る。任意調査も所掌事務の範囲内に限られる。収集した情報の目的外利用は無制限ではない。
- ア 地方公共団体が事業者との間で結ぶ公害防止協定は、規制行政の分野における行政契約の例であり、法律に規制の定めがない事項についても締結することができる 行政契約には、調達契約(工事請負・物品購入)、給付行政の契約(給水・公営住宅の使用)、規制行政の契約(公害防止協定)、行政主体間の契約(事務の委託・境界に関する協議)がある。調達契約も地方自治法 234 条などの規律を受ける。公害防止協定の法的拘束力は福間町事件(最判平成 21 年 7 月 10 日)で認められた。
標準
- ウ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は、要綱に従わせるための手段であって水道法 15 条の「正当の理由」にあたらない 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は、要綱に従わせるための手段であって水道法 15 条の「正当の理由」にあたらない。行政指導は任意の協力が原則で、従わせる手段が強制にわたれば違法。行政指導でも事実上の効果が大きければ処分性が認められることがある。
- undefined 交通違反の多発する地域での短時間の一斉検問は、相手方の任意の協力を求める形で、自由を不当に制約しない方法・態様で行われる限り適法である 交通違反の多発する地域での短時間の一斉検問は、相手方の任意の協力を求める形で、自由を不当に制約しない方法・態様で行われる限り適法である。行政調査には憲法 35 条・38 条が及び得るが、間接強制の質問検査は令状なしでも違反しない。任意調査は相手方の自由を不当に制約しない限度で認められる。
- ア 地方公共団体の売買・請負などの契約は一般競争入札によることが原則であり、指名競争入札や随意契約は政令で定める場合に限って認められる 地方自治法 234 条。随意契約の要件該当性は地方公共団体の合理的な裁量による(最判昭和 62 年 3 月 20 日)。制限違反の契約も私法上は原則有効で、相手方が知り又は知り得たなど特段の事情がある場合に限り無効(最判昭和 62 年 5 月 19 日)。公害防止協定には法的拘束力が認められる(福間町事件)。
- イ 法令違反の事実がありその是正のための処分や行政指導がされていないと思料する者は、誰でも、権限を有する行政庁や行政機関に対してその処分や行政指導をすることを求めることができる 36 条の 3 は「何人も」申出ができる。36 条の 2 の中止等の求めの対象は、法律に根拠のある法令違反是正のための行政指導に限られる。いずれも行政機関は必要な調査を行い、必要と認めるときに措置をとる。
- エ 行政指導に従っただけでは違法性は阻却されないが、行政指導が社会通念上相当で、これに従った行為が独占禁止法の究極の目的に実質的に反しない場合には違法性が阻却される余地がある 最判昭和 59 年 2 月 24 日。行政指導に従ったことだけでは適法にならないが、行政指導が社会通念上相当と認められ、それに従った行為が独占禁止法の究極の目的に実質的に抵触しない場合は違法性が阻却され得るとした。
- エ 行政指導の趣旨・内容・責任者を明確に示さなければならず、口頭で行った場合に相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これらを記載した書面を交付しなければならない 35 条 1 項・3 項。口頭でも可能。権限を行使し得る旨を示すときは、根拠法令の条項・要件・適合理由を示す(35 条 2 項)。書面交付は「行政上特別の支障がない限り」の義務。
- ウ 市の指導要綱に従わない事業者への給水拒否は「正当の理由」にあたらないが、水源が乏しく深刻な水不足にある町が大規模開発の給水申込みを拒むことは「正当の理由」にあたる 武蔵野市マンション事件(最決平成元年 11 月 8 日)は「正当の理由」を否定し、志免町給水拒否事件(最判平成 11 年 1 月 21 日)は肯定した。行政指導に従わせる手段としての給水拒否は許されない。
- ア 公害防止協定には法的拘束力が認められるため、E 町は協定に基づき F に対して民事訴訟で処分場の使用の差止めを求めることができる 公害防止協定には法的拘束力が認められるため、E 町は協定に基づき F に対して民事訴訟で処分場の使用の差止めを求めることができる。中止等の求め(36 条の 2)は「指導を受けた本人」、処分等の求め(36 条の 3)は「何人も」。地方公共団体の機関がする行政指導には行政手続法の行政指導の規定(36 条の 2 を含む)は適用されない(3 条 3 項)。勧告は病院開設中止勧告事件で処分性あり、確認留保は品川マンション事件で国家賠償、公害防止協定は福間町事件で法的拘束力あり(zg-04 解説 §1・§2)。
- エ 質問検査権を犯則事件の証拠収集のために行使することは許されないが、適法な質問検査で得た資料を後に犯則事件の証拠とすることは許される 最決平成 16 年 1 月 20 日。国税通則法上の質問検査権は犯則事件の調査・証拠収集のために行使することは許されないが、質問検査の結果得た資料を後に犯則事件の証拠として利用することは禁じられていない。犯則調査(臨検・捜索・差押え)には裁判官の許可状が要る(国税通則法 132 条)。
- イ 行政指導は法律の個別の根拠を要しないが、法律が定める規制を回避したり、法律の趣旨に反する目的で行ったりすることは許されない 行政指導は非権力的な事実行為で法律の留保は及ばないが、法律の優位は及び、所掌事務の範囲内で法律の趣旨に反しない限りで行える(行政手続法 32 条)。指導要綱は行政規則で法的拘束力をもたず、要綱に従わせるための給水拒否は違法(武蔵野市マンション事件)。制裁的な公表には法律・条例の根拠が要ると解されている。行政指導は口頭でもできる(35 条)。
発展
- ア 建築主が任意に応じている間の留保は違法ではないが、行政指導に従わない意思を真摯かつ明確に表明し確認処分を求めているときは、特段の事情がない限り、それ以後の留保は違法となる 最判昭和 60 年 7 月 16 日。任意の協力が続く間の留保は適法だが、真摯かつ明確な拒否の表明後は、留保による不利益を受忍させることが社会通念上正義の観念に反する特段の事情がない限り違法。国家賠償を認めた。
- エ 憲法 35 条・38 条の保障は刑事手続以外にも及び得るが、所得税法の質問検査は刑事責任追及を目的とせず、強制の程度も間接的で公益上の必要性が高いため、令状なしでも憲法に反しない 最大判昭和 47 年 11 月 22 日。行政手続にも 35 条・38 条の保障が及び得ることを認めた上で、質問検査の目的・強制の程度・公益上の必要性を総合し、令状なしでも 35 条に反せず、38 条 1 項の保障も及ばないとした。
- undefined 報告や物件の提出を命じる処分など、職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的とする処分・行政指導には、行政手続法の処分・行政指導に関する規定は適用されない 行政手続法 3 条 1 項 14 号。調査の違法は重大な場合に処分を違法にし得るにとどまる。適法な質問検査で得た資料を犯則事件の証拠に用いることは許される(最決平成 16 年 1 月 20 日)。荒川民商事件は事前通知・理由告知を法律上の要件ではないとした。
- ア 村外に主たる営業所をもつ業者を、村内業者で対応できる工事かどうかを考慮せず一律に指名競争入札から長年排除することは、国家賠償法上違法となり得る 最判平成 18 年 10 月 26 日。指名には裁量があるが、地元業者優先の運用も合理性の範囲内に限られ、考慮すべき事項を考慮しない一律の排除は違法となり得る。随意契約の制限違反の契約は原則有効で、相手方が制限違反を知りまたは知り得たなど特段の事情がある場合に限り無効(最判昭和 62 年 5 月 19 日)。
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