行政手続法 ── 問題
基礎
- 行政手続法上、処分基準(12 条)について行政庁に課されている義務の説明として正しいものはどれですか。 (ア 定めるのは努力義務だが、定めたときは公にしておく法的義務がある イ 定めることも、公にしておくことも努力義務にとどまる ウ 定めて公表する法的義務がある(行政上特別の支障がある場合を除く) エ 定めることも、公にしておくことも法的義務である undefined 定めるのは法的義務だが、公にするかどうかは行政庁の裁量に委ねられている)
- 行政庁が医師の免許を取り消して資格を剥奪する処分をしようとする場合、行政手続法上、原則として必要となる手続はどれですか。 (ア 聴聞 イ 意見公募手続 ウ 公聴会の開催 エ 弁明の機会の付与 undefined 意見陳述の手続は不要(理由の提示のみ))
- 行政手続法の目的と対象に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国民の権利利益の救済を目的とし、処分に対する不服申立てと取消訴訟の手続について定めている イ 処分・行政指導・届出のほか、行政計画の策定手続と行政契約の締結手続についても一般的な定めを置いている ウ 行政運営の効率化と迅速化を図り、行政に要する費用を削減して財政の健全化に資することを目的とする エ 行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に資することを目的とする undefined 行政指導は相手方に法的義務を課さないため、行政手続法は行政指導について何の定めも置いていない)
- 申請に対する処分の手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 申請書を受理するかどうかは行政庁の合理的な判断に委ねられており、行政庁が申請を正式に受理するまでは、審査を開始する法的義務は生じない イ 申請者に対する審査の進行状況や処分の時期の見通しの情報提供は、標準処理期間を定めた場合に限って義務づけられている ウ 申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始し、形式上の要件に適合しない申請は速やかに補正を求めるか拒否しなければならない エ 申請者以外の者の利害を考慮すべきことが要件とされている処分について、公聴会を開催することは法律上の義務である undefined 申請を拒否する処分をするときは、申請者から理由の開示を求められた場合に限り、その求めに応じて理由を示せば足りる)
標準
- 市長が条例に基づいて行う施設の使用許可に対する行政手続法の適用について、正しいものはどれですか。 (ア 3 条 3 項の適用除外に当たり、46 条の努力義務(行政手続条例など)による イ 3 条 1 項の適用除外に当たり、行政手続法は適用されない ウ 行政手続法が適用される エ そもそも行政手続法が定めを置く行為形式ではない undefined 行政手続法が適用されるが、聴聞と弁明の機会の付与の規定だけは除外される)
- 行政指導に関する行政手続法の規律について、行政指導に相手方が従わなかった場合の扱いとして正しいものはどれですか。 (ア 従わなかった事実を公表することは、法律の根拠がなくても常に認められている イ 従わなかったことを理由として、次回以降の許認可の申請を拒否することが法律上認められている ウ 従わなかった場合、過料を科すことができる エ 従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない undefined 従わなかった場合は、その時点で行政指導が不利益処分に転換するので、相手方は取消訴訟によって争わなければならない)
- 処分の理由の提示に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 理由の提示は行政庁内部の事務処理を適正にするための要請にすぎず、名あて人はその不備を処分の取消事由として主張することができないとした イ 一級建築士の免許取消処分について、処分の原因となる事実と根拠法条を示していれば理由提示として十分であり、公にされた処分基準のどの部分をどう適用したかまで示す必要はないとした ウ 一級建築士の免許取消処分について、原因事実と根拠法条を示しても、公にされた処分基準の適用関係が示されていなければ理由提示として不十分で、処分は取り消されるとした エ 旅券の発給拒否について、拒否の根拠となる条文を示せば理由付記として十分であり、いかなる事実に当てはめたかを記載する必要はないとした undefined 理由の提示に不備があっても、それは手続上の軽微な瑕疵にすぎず、処分の内容が実体的に正当であれば処分が取り消されることはないとした)
- 聴聞の手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 聴聞の主宰者は、手続の公正を確保するため、当事者が推薦する者の中から行政庁が指名しなければならず、当該処分に関与していない行政庁の職員であっても主宰者とすることはできない イ 当事者や参加人は、聴聞の通知の時から終結までの間、行政庁に対し当該事案についてした調査の結果に係る調書など処分の原因事実を証する資料の閲覧を求めることができる ウ 当事者が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書や証拠書類等も提出しなかったときであっても、主宰者は聴聞を終結することができない エ 行政庁は聴聞調書と報告書の内容に法的に拘束されるため、報告書に記載された主宰者の意見と異なる内容の不利益処分をすることはできない undefined 聴聞の期日における審理は、行政運営の透明性を確保するため公開が原則とされ、非公開とするには当事者の同意を要する)
- 弁明の機会の付与に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 弁明は口頭で行うのが原則であり、書面によることは当事者が書面によることを申し出た場合に限って認められる イ 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出して行う ウ 弁明の機会の付与においても、聴聞と同様に、当事者は処分の原因事実を証する資料の閲覧を求めることができる エ 弁明の機会の付与は、許認可等を取り消す不利益処分や名あて人の資格を剥奪する不利益処分をしようとする場合に用いられる undefined 弁明の機会の付与では、行政庁は予定される処分の内容や根拠法令を事前に通知する必要がなく、処分後に示せば足りる)
- 建築確認申請を留保して行政指導を続けた事案(品川マンション事件)に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政指導は相手方の任意の協力を求めるものにすぎないから、行政指導を行うために建築確認を留保することは、留保の期間の長短や建築主の意思を問わず、当初から一切許されない イ 建築主が行政指導に従わない意思を真摯かつ明確に表明し、確認申請に直ちに応答すべきことを求めているときは、特段の事情がない限り、それ以上の確認留保は違法になる ウ 建築主が任意に行政指導に応じて周辺住民と話し合いを続けている間であっても、確認申請への応答を留保することは違法である エ 確認の留保が違法になるのは、行政指導が法律の明文の根拠を欠く場合に限られ、法律に根拠があれば建築主の意思にかかわらず留保できる undefined 建築主が行政指導に従わない意思を表明していても、周辺住民との紛争が解決する見込みがある間は、行政庁は確認を留保し続けることができる)
- 意見公募手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 命令等を定めようとするときは、案と関連資料を公示し、原則として 60 日以上の意見提出期間を定めなければならず、これを下回ることはできない イ 命令等を定めようとするときは、案と関連資料を公示し、原則として 30 日以上の意見提出期間を定めて広く意見を求めなければならない ウ 地方公共団体の機関が規則や審査基準を定める場合にも、行政手続法の意見公募手続の規定が直接適用され、30 日以上の期間を要する エ 意見公募手続の対象となる命令等には、政令・省令などの法規命令は含まれるが、審査基準・処分基準・行政指導指針は含まれない undefined 提出された意見には法的な拘束力があり、命令等制定機関は提出意見のうち多数を占めた意見に従って命令等を定めなければならない)
- 不利益処分の理由の提示に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 不利益処分の理由は、名あて人が処分に対して審査請求または取消訴訟を提起した時点で、審査庁または裁判所に示せば足りる イ 不利益処分の理由の提示は行政庁の努力義務にとどまり、理由を示さなかったとしても処分の効力には何ら影響しない ウ 不利益処分の理由は、名あて人から理由の開示を求める請求があった場合に限り、その請求を受けた日から相当の期間内に書面で示せば足りる エ 不利益処分を書面でする場合であっても、理由は処分の際に口頭で示せば足り、書面に記載することまでは求められていない undefined 不利益処分をする場合は、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合を除き、名あて人に対し処分と同時に理由を示さなければならない)
発展
- 不利益処分をしようとする場合に、行政手続法上、聴聞または弁明の機会の付与の手続を省略できる場合として妥当なものはどれですか。 (ア 名あて人が過去に同種の不利益処分を受けたことがあり、意見陳述の手続の内容をすでに知っていると認められるとき イ 処分庁の上級行政庁が意見陳述の手続の省略をあらかじめ承認したとき ウ 不利益処分の名あて人が個人ではなく法人であるとき エ 名あて人が処分基準の内容をあらかじめ知っていたと認められるとき undefined 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため意見陳述の手続を執ることができないとき)
- 行政手続法上の「不利益処分」と「届出」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 届出は、提出先の行政庁がその内容を審査したうえで受理した時点で初めて届出としての効力を生ずる イ 届出は、形式上の要件に適合していれば、提出先の事務所に到達したときに届出の義務が履行されたものとされる ウ 即時強制のような事実上の行為も、名あて人に不利益を及ぼす以上は不利益処分に当たり、聴聞または弁明の対象になる エ 申請に対する拒否処分は、申請者に不利益を与えるものであるから不利益処分に当たり、弁明の機会を付与しなければならない undefined 名あて人の同意を得てする処分であっても、その内容が権利を制限するものであれば不利益処分に当たる)
- 行政手続法と地方公共団体の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 地方公共団体の機関がする処分のうち、法律に根拠を置くものには行政手続法が適用され、条例・規則に根拠を置くものには適用されない イ 地方公共団体の機関が規則を定める場合については、国の省令と同様に行政手続法の意見公募手続の規定が直接適用される ウ 地方公共団体の機関がする処分・行政指導・届出・命令等には、その根拠が法律か条例かを問わず、行政手続法の規定はいっさい適用されない エ 地方公共団体の機関がする行政指導のうち、法律に根拠を置くものについては、行政手続法の行政指導に関する章の規定が適用される undefined 地方公共団体は、行政手続法 46 条により、同法の趣旨にのっとった行政手続条例を制定する法的義務を負い、制定しなければ違法となる)
行政手続法 ── 解答
基礎
- イ 定めることも、公にしておくことも努力義務にとどまる 処分基準(12 条)は「定めることも、公にしておくことも努力義務にとどまる」。審査基準は両方とも義務、標準処理期間は「定めるのは努力・定めたら公にするのは義務」、処分基準は両方とも努力義務、行政指導指針は定めて公表する義務(行政上特別の支障がある場合を除く)。
- ア 聴聞 医師の免許を取り消して資格を剥奪する処分に必要なのは「聴聞」。許認可等の取消し・資格や地位の剥奪・役員の解任等の命令は聴聞(13 条 1 項 1 号)、それ以外の不利益処分は弁明の機会の付与(同 2 号)。申請の拒否は不利益処分ではなく「申請に対する処分」なので、理由の提示(8 条)は要るが聴聞・弁明は不要。
- エ 行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に資することを目的とする 1 条。目的は公正の確保・透明性の向上・国民の権利利益の保護。対象は処分・行政指導・届出・命令等(意見公募手続)で、行政計画・行政契約・行政調査は対象外。不服申立ての手続は行政不服審査法。
- ウ 申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始し、形式上の要件に適合しない申請は速やかに補正を求めるか拒否しなければならない 7 条(到達主義・審査開始義務)。理由の提示は拒否と同時が原則(8 条)で、求めがあったときでよいのは要件が客観的に明らかな場合など。公聴会(10 条)・情報の提供(9 条)は努力義務。
標準
- ア 3 条 3 項の適用除外に当たり、46 条の努力義務(行政手続条例など)による 市長が条例に基づいて行う施設の使用許可は「3 条 3 項の適用除外に当たり、46 条の努力義務(行政手続条例など)による」。地方公共団体の機関がする処分は、法律に根拠があれば適用され、条例・規則に根拠があれば 3 条 3 項で除外。地方公共団体の行政指導と命令等は根拠を問わず除外(46 条の努力義務)。公務員の懲戒、外国人の出入国・帰化などは 3 条 1 項の除外。行政計画・行政契約・行政調査は行政手続法の対象外の行為形式。国の省令は「命令等」として意見公募手続の対象。
- エ 従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない 答え:従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない。行政指導は任意の協力(32 条)、不利益取扱い禁止(32 条 2 項)、申請に関連する行政指導の限界(33 条・品川マンション事件 最判昭和 60 年)、書面交付(35 条)、行政指導指針(36 条)、中止等の求めと処分等の求め(36 条の 2・36 条の 3、平成 26 年改正)。
- ウ 一級建築士の免許取消処分について、原因事実と根拠法条を示しても、公にされた処分基準の適用関係が示されていなければ理由提示として不十分で、処分は取り消されるとした 一級建築士免許取消事件(最判平成 23 年 6 月 7 日)。処分基準が公にされている以上、その適用関係が分からない理由提示は 14 条に反し、処分は取消しを免れない。旅券発給拒否事件(最判昭和 60 年 1 月 22 日)は根拠条文だけでは不十分とした。理由提示は行政庁の判断の慎重さの担保と不服申立ての便宜のためにあり、その不備は処分の取消事由になる。
- イ 当事者や参加人は、聴聞の通知の時から終結までの間、行政庁に対し当該事案についてした調査の結果に係る調書など処分の原因事実を証する資料の閲覧を求めることができる 18 条(文書等の閲覧)。主宰者は行政庁が指名する職員等で、当事者側の者は主宰者になれない(19 条)。行政庁は調書・報告書を「十分に参酌」するが拘束はされない(26 条)。審理は非公開が原則(20 条 6 項)。正当な理由なく出頭せず陳述書等も出さないときは終結できる(23 条)。
- イ 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出して行う 29 条。弁明は書面(弁明書)が原則。文書閲覧権は聴聞にだけ認められる(18 条)。許認可の取消し等は聴聞の対象(13 条)。弁明の機会の付与でも、予定される処分の内容・根拠法令・原因事実などを書面で通知する(30 条)。
- イ 建築主が行政指導に従わない意思を真摯かつ明確に表明し、確認申請に直ちに応答すべきことを求めているときは、特段の事情がない限り、それ以上の確認留保は違法になる 最判昭和 60 年 7 月 16 日。建築主が任意に指導に応じている間の留保は違法ではないが、従わない意思を真摯かつ明確に表明して応答を求めた後の留保は、特段の事情がない限り違法。行政手続法 33 条はこの考え方を条文化した。
- イ 命令等を定めようとするときは、案と関連資料を公示し、原則として 30 日以上の意見提出期間を定めて広く意見を求めなければならない 39 条。30 日以上(やむを得ない理由があれば下回ってよいが理由を公示)。意見は「十分に考慮」し、結果と理由を公示する(42 条・43 条)。命令等には政令・省令のほか審査基準・処分基準・行政指導指針が含まれる(2 条 8 号)。地方公共団体の命令等は 3 条 3 項で除外。
- undefined 不利益処分をする場合は、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合を除き、名あて人に対し処分と同時に理由を示さなければならない 14 条。処分と同時に示すのが原則で、差し迫った必要があるときは処分後相当の期間内に示す。処分を書面でするときは理由も書面で示す(14 条 3 項)。理由提示は法的義務で、不十分な理由提示は処分の取消事由になる(一級建築士免許取消事件)。
発展
- undefined 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため意見陳述の手続を執ることができないとき 13 条 2 項 1 号。ほかに、法令上必要な資格を欠くに至ったことが判明したとき、施設・設備の状況や検査結果から要件を欠くことが客観的に明らかなとき、金銭の納付を命ずる処分、軽微な処分で名あて人の権利利益を害するおそれがないと認められるとき、など。名あて人の属性や過去の処分歴、上級庁の承認は省略事由ではない。
- イ 届出は、形式上の要件に適合していれば、提出先の事務所に到達したときに届出の義務が履行されたものとされる 37 条(届出の到達主義)。不利益処分の定義(2 条 4 号)からは、事実上の行為、申請に対する拒否処分、名あて人の同意の下にする処分などが除かれる。行政手続法に「受理」の概念はない。
- ア 地方公共団体の機関がする処分のうち、法律に根拠を置くものには行政手続法が適用され、条例・規則に根拠を置くものには適用されない 3 条 3 項。処分・届出は根拠が条例・規則のものだけ除外され、法律根拠のものは適用。行政指導と命令等は根拠を問わず除外。46 条は「必要な措置を講ずるよう努めなければならない」という努力義務で、条例制定の法的義務ではない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zg-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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