情報公開法と個人情報保護 ── 問題
基礎
- 情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)について、法の目的を定める 1 条の説明として正しいものはどれですか。 (ア 憲法 21 条から導かれる国民の知る権利を具体化し、これを保障することを目的とすると明記している イ 国民の知る権利を保障するとともに、行政機関の意思決定への国民参加を促進することを目的とする ウ 行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に資することを目的とする エ 国民主権の理念にのっとり、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする undefined 個人の権利利益を保護しつつ、行政文書の適正な管理と歴史公文書の保存を図ることを目的とする)
- 情報公開・個人情報保護の制度について、情報公開法における公務員の職務遂行に関する情報の取扱いとして正しいものはどれですか。 (ア 公務員の職と職務遂行の内容は不開示とされるが、氏名は常に開示しなければならない イ 公務員の職務遂行に関する情報は法人等に関する情報として扱われ、行政機関の長が支障がないと認めたときに限り開示される ウ 公務員の職と職務遂行の内容に関する部分は個人に関する情報の不開示事由から除かれ、開示の対象となる エ 公務員の職務遂行に関する情報は、当該公務員本人の同意がある場合に限り開示することができる undefined 公務員に関する情報はすべて個人に関する情報として不開示とされ、職名や職務の内容も開示されない)
- 情報公開法の不開示情報に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不開示情報が記録されている行政文書については、その一部に不開示情報がある場合でも全部を不開示としなければならない イ 行政機関の長は、不開示情報が記録されていても、公益上特に必要があると認めるときは開示することができる ウ 国の安全に関する情報は、公にすることにより国の安全が害されることが客観的に証明された場合に限って不開示となる エ 個人に関する情報は、公にすることによりプライバシーが害されると個別に認められる場合に限って不開示情報にあたる undefined 審議・検討に関する情報は、意思決定の前後を問わず、行政機関内部の情報である限りすべて不開示となる)
- 情報公開法と個人情報保護法の関係に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 情報公開法に基づく開示請求では、請求者本人の個人情報は請求者に対しても不開示情報として扱われるため、本人が自己の情報を得る手段は存在しない イ 情報公開法は何人にも行政文書の開示請求権を認める制度であり、個人情報保護法は本人に自己の保有個人情報の開示・訂正・利用停止を求める権利を認める制度である ウ 情報公開法も個人情報保護法も、開示請求ができるのは当該文書に記録された情報の本人又はその代理人に限られ、利害関係のない第三者は請求することができない エ 個人情報保護法に基づく開示請求は、情報公開法に基づく開示請求と異なり、審査請求や取消訴訟によって争うことができない undefined 情報公開法と個人情報保護法の不開示情報は全く異なる基準で定められており、両者に共通する類型はない)
標準
- 次の事例について、情報公開法の規定に照らした結論として妥当なものはどれですか。F は、ある省庁の政務三役の海外出張に関する文書の開示を請求したところ、文書は過去に作成されたものの、その後廃棄されたとして不存在を理由とする不開示決定を受けた。F はこれを争う取消訴訟を提起した。 (ア 開示請求の時点で行政機関がその文書を保有していたことの立証責任は F の側にある。過去に作成された事実があっても、その後の保有が推認できない事情があれば請求は認められない イ 文書の存否は裁判所がインカメラ審理によって確かめなければならず、行政機関は関係する文書をすべて裁判所に提示する義務を負う ウ 文書が不存在であることの立証責任は行政機関の側にある。行政機関は文書の廃棄の日時と経緯、廃棄を決裁した職員を具体的に立証しなければ、不開示決定は取り消される エ 文書の不存在は行政機関の長の判断に委ねられ、裁判所はその判断が著しく不合理でない限り審査することができない undefined 過去に作成された事実さえ立証されれば、その後も保有が継続していることは反証を許さない推定を受けるため、F の請求は認められる)
- 情報公開法の開示請求手続に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 開示請求は口頭ですることができ、行政機関の長は請求を受けた日から 14 日以内に開示決定等をしなければならない イ 開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されているとき、行政機関の長は当該第三者に例外なく意見書を提出する機会を与えなければならず、第三者が開示に反対する意見書を提出した場合には当該第三者の同意を得ない限り開示決定をすることができない ウ 開示請求には請求手数料はかからず、開示の実施の際にのみ実費の範囲内で手数料を納めればよい エ 開示請求に係る行政文書が著しく大量である場合、行政機関の長は開示請求を却下することができる undefined 開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されているとき、行政機関の長は当該第三者に意見書を提出する機会を与えることができ、人の生命等を保護するために開示する場合には与えなければならない)
- 情報公開法に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不開示決定の取消訴訟では、裁判所は明文の規定がなくても、当該行政文書を非公開で見分するインカメラ審理を行うことができる イ 不存在を理由とする不開示決定の取消訴訟では、開示請求の時点で行政機関が当該文書を保有していたことについて、開示請求者が立証責任を負う ウ 過去のある時点で行政文書が作成された事実が認められれば、その後も保有が継続していることは反証を許さない法律上の推定を受ける エ 不存在を理由とする不開示決定の取消訴訟では、文書が存在しないことについて行政機関が立証責任を負い、廃棄の経緯を立証できなければ請求が認容される undefined 地方公共団体の長の交際費に関する文書は、相手方が識別されうる場合であっても、公金の使途に関する情報である以上すべて公開しなければならない)
- 個人情報保護法における行政機関等の義務に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政機関等は、法令の定める所掌事務の遂行に必要な場合に限り、利用目的をできる限り特定して個人情報を保有しなければならない イ 行政機関等は、本人の同意がない限り、いかなる場合も利用目的以外の目的で保有個人情報を利用し、又は提供してはならない ウ 行政機関等は、保有個人情報の漏えいが発生した場合、個人情報保護委員会への報告を要せず、本人への通知のみを行えばよい エ 行政機関等は、個人情報ファイルを保有するときは個人情報保護委員会の許可を受けなければならず、個人情報ファイル簿の公表は任意である undefined 行政機関等は、本人から直接書面で個人情報を取得するときであっても、利用目的を本人に明示する必要はない)
- 個人情報・プライバシーに関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 住基ネットによる本人確認情報の管理・利用は、行政目的の範囲を超えて個人情報を集積するものであり、憲法 13 条に反して違憲である イ 住基ネットによる本人確認情報の管理・利用は、法令の根拠を欠くものであるが、漏えいの具体的な危険がないため憲法 13 条には反しない ウ 大学が講演会参加者の学籍番号・氏名・住所・電話番号を本人の同意なく警察に提出したことは、プライバシーに関する情報を無断で開示したものとして不法行為にあたる エ 大学が講演会参加者の氏名・住所等を警察に提出したことは、これらの情報が秘匿の必要性の低い単純な情報であるため、不法行為にはあたらない undefined みだりに指紋の押捺を強制されない自由は憲法 13 条により保障されるが、その保障は日本国民のみに及び、在留外国人には及ばないため、外国人登録法の指紋押捺制度は憲法上の問題を生じない)
発展
- 情報公開法に基づく不開示決定に対する救済に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 情報公開・個人情報保護審査会は内閣府に置かれ、その答申は行政機関の長を法的に拘束する イ 不開示決定について取消訴訟を提起するには、まず審査請求をして情報公開・個人情報保護審査会の答申を経なければならない ウ 不開示決定について審査請求をせずに直ちに取消訴訟を提起することができ、訴訟は原告の普通裁判籍所在地を管轄する高等裁判所の所在地の地方裁判所にも提起できる エ 審査請求を受けた行政機関の長は、行政不服審査法の原則どおり審理員を指名して審理させ、審理員意見書を受けて行政不服審査会に諮問しなければならない undefined 情報公開・個人情報保護審査会は不開示情報該当性を判断するため行政文書の提示を求めることができるが、諮問庁は国の安全や公共の安全に関する情報についてはこれを拒むことができる)
- 個人情報保護法に基づく開示請求に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 開示請求に対する決定は、請求があった日から 60 日以内にしなければならず、延長は認められない イ 開示決定等に不服がある者は審査請求をすることができるが、行政機関の長は情報公開・個人情報保護審査会に諮問する必要はない ウ 開示請求は本人のほか、未成年者や成年被後見人の法定代理人、本人の委任による任意代理人もすることができる エ 開示請求の対象となる保有個人情報には、死亡した個人に関する情報も含まれ、遺族は死者の情報の開示を請求することができる undefined 開示請求は本人のみがすることができ、代理人による請求は本人が心身の故障により自ら請求できない場合に限られる)
- 次のうち、情報公開法の規定に照らして、行政機関の長の対応として誤っているものはどれですか。 (ア 特定の個人を名指しした文書の開示請求について、文書の存否を答えるだけで当該個人の犯罪歴の有無が分かってしまうため、文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否した イ 法人の正当な利益を害するおそれのある情報について、公益上特に必要があると認め、当該法人に意見書を提出する機会を与えた上で開示した ウ 開示に反対する意見書を提出した第三者がいる文書について開示決定をし、決定の日と開示を実施する日との間に 2 週間以上の期間を置いた エ 審議・検討に関する情報が含まれる文書の開示請求に対し、当該部分を容易に区分して除くことができたが、行政機関の長の裁量により文書の全部を不開示とした undefined 開示請求に係る文書が著しく大量であったため、相当の部分について 60 日以内に開示決定をし、残りの部分について相当の期間内に開示決定をした)
- 次の事例のうち、情報公開法・個人情報保護法の規定に照らして、開示請求者の主張が認められる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア 地方公共団体が保有する文書について、情報公開法に基づく開示請求を当該地方公共団体の長にしたところ、法の対象でないとして受け付けられなかった請求者が、条例によらず情報公開法が直接適用されるべきだと主張している イ 審議中の法案に関する省内の検討資料の開示を請求し、率直な意見交換を損なうおそれがあるとして不開示とされた請求者が、意思決定前であっても無条件に開示されるべきだと主張している ウ ある省庁の課長級職員が出席した会議の議事録について、出席した職員の職名と発言内容の部分を「個人に関する情報」として不開示とされた請求者が、その部分の開示を求めている エ 国会の委員会の速記録の開示を、情報公開法に基づき衆議院事務局に請求したところ、対象機関でないとして受け付けられず、その取消しを求めている undefined 亡くなった親の診療記録の開示を、個人情報保護法に基づく本人の開示請求として国立の医療機関に請求したところ、対象となる保有個人情報でないとされた遺族が、その取消しを求めている)
情報公開法と個人情報保護 ── 解答
基礎
- エ 国民主権の理念にのっとり、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする 国民主権の理念にのっとり、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。情報公開法は「何人も」「行政文書」「原則開示」「30 日」のような 1 語・1 数字の入れかえで誤答が作られる(zg-07 解説 §1・§3)。
- ウ 公務員の職と職務遂行の内容に関する部分は個人に関する情報の不開示事由から除かれ、開示の対象となる 公務員の職と職務遂行の内容に関する部分は個人に関する情報の不開示事由から除かれ、開示の対象となる。審査会への諮問(情報公開法 19 条)、個人情報の定義(個人情報保護法 2 条)、2021 年改正、訂正・利用停止請求の開示前置、公務員情報の例外(情報公開法 5 条 1 号ハ)を整理する(zg-07 解説 §4・§5)。
- イ 行政機関の長は、不開示情報が記録されていても、公益上特に必要があると認めるときは開示することができる 裁量的開示(7 条)。部分開示は容易に区分できるときは義務(6 条)。個人情報は個人識別型で、プライバシー型ではない。国の安全等の情報は「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」であり、客観的証明までは求められていない。審議・検討情報は率直な意見交換等を損なうおそれがある場合に限られる。
- イ 情報公開法は何人にも行政文書の開示請求権を認める制度であり、個人情報保護法は本人に自己の保有個人情報の開示・訂正・利用停止を求める権利を認める制度である 情報公開法は「何人も」、個人情報保護法の開示請求は「本人(代理人可)」。情報公開法では請求者本人の情報も個人識別情報として不開示になりうるため、自己情報は個人情報保護法の開示請求で得る。個人情報保護法の開示決定等も審査請求・取消訴訟の対象になる。不開示情報の類型は両法でほぼ対応している。
標準
- ア 開示請求の時点で行政機関がその文書を保有していたことの立証責任は F の側にある。過去に作成された事実があっても、その後の保有が推認できない事情があれば請求は認められない 開示請求の時点で行政機関がその文書を保有していたことの立証責任は F の側にある。過去に作成された事実があっても、その後の保有が推認できない事情があれば請求は認められない。部分開示(6 条・義務)、存否応答拒否(8 条)、第三者の意見書(13 条)、不存在の立証責任(沖縄返還密約事件 最判平成 26 年 7 月 14 日)、裁判所のインカメラ審理否定(最決平成 21 年 1 月 15 日)を事例から見分ける(zg-07 解説 §2〜§4)。
- undefined 開示請求に係る行政文書に第三者に関する情報が記録されているとき、行政機関の長は当該第三者に意見書を提出する機会を与えることができ、人の生命等を保護するために開示する場合には与えなければならない 13 条。第三者への意見聴取は原則任意、人の生命等の保護のための開示や裁量的開示のときは義務。請求は書面(4 条)、期限は 30 日(10 条)。大量請求は 11 条の特例で「相当の部分を 60 日以内、残りは相当の期間内」であり却下事由ではない。反対意見書に拘束力はなく、開示するときは 2 週間の猶予を置く(13 条 3 項)。手数料は開示請求手数料と開示実施手数料の 2 段階(16 条)。
- イ 不存在を理由とする不開示決定の取消訴訟では、開示請求の時点で行政機関が当該文書を保有していたことについて、開示請求者が立証責任を負う 沖縄返還密約事件(最判平成 26 年 7 月 14 日)。過去の作成事実から保有継続が推認される場合はあるが、法律上の推定ではなく、廃棄の可能性などの事情で推認が働かないこともある。裁判所のインカメラ審理は最決平成 21 年 1 月 15 日が否定。大阪府知事交際費事件(最判平成 6 年 1 月 27 日)は、相手方が識別されうる交際費は非公開情報にあたるとした。
- ア 行政機関等は、法令の定める所掌事務の遂行に必要な場合に限り、利用目的をできる限り特定して個人情報を保有しなければならない 61 条。目的外利用・提供は原則禁止だが、本人の同意のほか、法令に基づく場合、行政機関内部で相当の理由がある場合、他の行政機関等に提供する相当の理由がある場合などの例外がある(69 条)。直接書面取得時は利用目的の明示が必要(62 条)。漏えい等は委員会への報告と本人通知(68 条)。個人情報ファイル簿は作成・公表が義務(75 条)で、許可制ではない。
- ウ 大学が講演会参加者の学籍番号・氏名・住所・電話番号を本人の同意なく警察に提出したことは、プライバシーに関する情報を無断で開示したものとして不法行為にあたる 早稲田大学講演会名簿事件(最判平成 15 年 9 月 12 日)。個々の情報は単純でも、本人が開示を望まない情報として法的保護の対象になる。住基ネット事件(最判平成 20 年 3 月 6 日)は、法令の根拠に基づき正当な行政目的の範囲内で行われ、漏えいの具体的危険もないとして合憲。指紋押捺の自由は外国人にも及ぶ(最判平成 7 年 12 月 15 日)。
発展
- ウ 不開示決定について審査請求をせずに直ちに取消訴訟を提起することができ、訴訟は原告の普通裁判籍所在地を管轄する高等裁判所の所在地の地方裁判所にも提起できる 審査請求前置ではなく自由選択。管轄の特例は 21 条(特定管轄裁判所)。情報公開法の審査請求では審理員・行政不服審査会の手続に代えて情報公開・個人情報保護審査会に諮問する(19 条)。審査会のインカメラ審理の求めを諮問庁は拒めない(審査会設置法 9 条)。審査会は総務省に置かれ、答申に法的拘束力はない。
- ウ 開示請求は本人のほか、未成年者や成年被後見人の法定代理人、本人の委任による任意代理人もすることができる 76 条 2 項。死者の情報は「生存する個人」の情報ではないので個人情報にあたらない(遺族自身の情報にもあたる場合は別)。決定期限は 30 日以内・30 日以内の延長可(83 条)。審査請求があれば原則として審査会に諮問しなければならない(105 条)。
- エ 審議・検討に関する情報が含まれる文書の開示請求に対し、当該部分を容易に区分して除くことができたが、行政機関の長の裁量により文書の全部を不開示とした 部分開示は、容易に区分して除くことができるときは義務であり(6 条)、裁量で全部不開示にすることはできない。他の肢は、存否応答拒否(8 条)、裁量的開示と義務的な意見聴取(7 条・13 条 2 項)、大量請求の特例(11 条)、第三者反対時の猶予期間(13 条 3 項)として適法な対応。
- ウ ある省庁の課長級職員が出席した会議の議事録について、出席した職員の職名と発言内容の部分を「個人に関する情報」として不開示とされた請求者が、その部分の開示を求めている 公務員の職と職務遂行の内容は個人に関する情報の不開示事由から除かれる(5 条 1 号ハ)ので、職名と発言内容の不開示は違法となる可能性が高い。地方公共団体には情報公開法は直接適用されず各団体の条例による(25 条は努力義務)。国会は情報公開法の対象外、死者の情報は個人情報にあたらず、審議・検討情報は意思決定前には不開示となりうる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zg-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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