包括的基本権と法の下の平等 ── 問題
基礎
- 次の判例について、尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭和 48 年)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 尊属殺の重罰規定は違憲であるが、刑罰法規であるため遡って無効とはならず、当該事件には適用されるとした イ 尊属への敬愛・報恩という立法目的は合理的であり、法定刑の加重の程度も立法府の裁量の範囲内であるため合憲である ウ 尊属殺の重罰規定は刑罰の内容の問題であって 14 条の平等の問題ではなく、死刑または無期懲役に限る点が 36 条の残虐な刑罰の禁止に反するため違憲である エ 尊属への敬愛・報恩という立法目的は合理的だが、法定刑を死刑・無期懲役に限る加重の程度が著しく、目的達成の手段として合理性を欠くため違憲である undefined 尊属を特別に扱うこと自体が封建的な身分制度の名残であり、立法目的そのものが不合理であるため違憲である)
- プライバシーの権利に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 前科照会事件で最高裁は、前科は公開の裁判で確定した事実であるためプライバシーとして保護されないとした イ 京都府学連事件で最高裁は、容ぼうを撮影されない自由は憲法上の権利ではないとした ウ 「宴のあと」事件の東京地裁判決は、プライバシー権を「私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利」と認めた エ 早稲田大学名簿提出事件で最高裁は、氏名・住所は公開情報であるためプライバシーとして保護されないとした undefined 住基ネット事件で最高裁は、自己情報コントロール権が 13 条で保障されることを明言し、住基ネットを違憲とした)
- 最高裁判所が 14 条違反を理由に法律の規定を違憲と判断した例として妥当なものはどれですか。 (ア 給与所得者に必要経費の実額控除を認めない所得税法の規定 イ 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする民法の規定 ウ 外国籍の職員を管理職選考の受験から除外する東京都の措置 エ 障害福祉年金と児童扶養手当の併給を禁止する児童扶養手当法の規定 undefined 夫婦が婚姻の際に夫または妻の氏を称するとする民法の規定)
- 夫婦は婚姻の際に夫又は妻の氏を称すると定める民法の規定について、最高裁判所が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 14 条に反し違憲 イ 100 日を超える部分に限って 14 条・24 条に反し違憲 ウ 14 条に反し違憲だが、事情判決の法理により選挙は有効 エ 合憲 undefined 違憲状態にあるが合理的期間内であるため違憲とはいえない)
- 13 条の幸福追求権の性格に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 13 条は、個別の人権規定では保障されない利益を保障する包括的な規定であり、プライバシー権や自己決定権のような「新しい人権」の根拠となる イ 13 条の幸福追求権は経済的自由の一種であるため、その規制は明白性の原則で審査される ウ 13 条の幸福追求権は、14 条以下に列挙された個別の人権を総称するものにすぎず、プライバシー権など列挙されていない権利の根拠にはならない エ 13 条は環境権を明文で保障しており、最高裁判所も大阪空港訴訟で環境権を根拠に夜間飛行の差止めを認めた undefined 13 条は国の政治的な目標を宣言したプログラム規定であり、裁判で具体的な権利を主張する根拠にはならない)
標準
- 次の事例について、最高裁判所の判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。ある市が、公立図書館の利用者の貸出履歴を、本人の同意なく地域の商店街に販売促進の資料として提供した。 (ア 提供は適法である。貸出履歴は秘匿性の高い情報ではないため、13 条の保護の対象とはならない イ 提供は違法である。ただしその根拠は 13 条ではなく、21 条の通信の秘密の侵害にある ウ 提供は適法である。市が保有する情報の利用方法は行政の裁量に委ねられ、司法審査の対象にならない エ 提供は適法である。地域振興という公益目的がある以上、本人の同意は不要である undefined 提供は違法となる可能性が高い。貸出履歴はプライバシーに係る情報として法的保護の対象となり、本人の同意なく目的外に提供することは許されない)
- 13 条・14 条の考え方について、議員定数不均衡訴訟で最高裁が用いた判断の枠組みとして妥当なものはどれですか。 (ア 選挙区ごとの人口比例が厳密に実現されているかどうかを審査し、わずかでも偏りがあれば違憲とする枠組み イ 投票価値の不平等が認められれば直ちに選挙を無効とし、再選挙を命じる枠組み ウ 投票価値の不平等が合理性を欠くほどに至っているか(違憲状態)を判断し、次に合理的期間内に是正されなかったか(違憲)を判断する 2 段階の枠組み エ 最大格差が 2 倍を超えているかどうかのみで機械的に違憲・合憲を判断する枠組み undefined 定数配分は立法府の完全な裁量事項であるとして、司法審査の対象から除外する枠組み)
- 尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭和 48 年 4 月 4 日)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア この判決は 14 条ではなく 36 条の残虐な刑罰の禁止を根拠に、尊属殺の法定刑を違憲とした イ 最高裁が法律の規定を違憲と判断した最初の判決であり、多数意見は尊属を卑属や他の者と区別して特別に扱う立法目的そのものが不合理であることを理由として違憲とした ウ この判決は尊属殺の法定刑を違憲としたため、同じ論理により尊属傷害致死の刑の加重も後の判例で違憲とされた エ 最高裁が法律の規定を違憲と判断した最初の判決であり、多数意見は立法目的は合理的としつつ法定刑の加重の程度が極端であることを理由に違憲とした undefined この判決を受けて刑法の尊属殺の規定は直ちに削除され、判決の翌年には尊属傷害致死の規定も違憲とされた)
- 議員定数不均衡に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 衆議院議員選挙について投票価値の不平等を違憲とした判決では、事情判決の法理により選挙自体は無効とされなかった イ 衆議院議員選挙について投票価値の不平等を違憲とした判決では、当該選挙は無効とされ、再選挙が行われた ウ 定数配分は国会の裁量事項であるため、最高裁は投票価値の不平等について違憲の判断を示したことがない エ 参議院議員選挙については地域代表的な性格が認められるため、最高裁は投票価値の不平等を違憲状態と判断したことが一度もない undefined 選挙権の平等は投票の機会の平等を意味するにとどまり、投票価値の平等は憲法上の要請ではないとされている)
- 平成 27 年 12 月 16 日に出された 2 つの最高裁大法廷判決に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 夫婦同氏を定める民法 750 条を違憲とし、選択的夫婦別氏制度の導入を国会に義務づけた イ 女性の再婚禁止期間のうち 100 日を超える部分を違憲としたが、夫婦同氏を定める民法 750 条は合憲とした ウ 女性の再婚禁止期間を定める規定全体を違憲とし、夫婦同氏を定める民法 750 条も違憲とした エ 女性の再婚禁止期間のうち 100 日を超える部分を憲法違反とし、国会の立法不作為について国の国家賠償責任も認めた undefined 女性の再婚禁止期間を定める規定を合憲としたが、夫婦同氏を定める民法 750 条は違憲とした)
- ある市の職員が、市民 A の犯罪経歴について、民間企業からの電話による問い合わせに対し、必要性を確かめないまま回答した。この事例に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 回答が違法となるのは、問い合わせをした民間企業に A を害する目的があった場合に限られる イ 市の職員の回答は表現の自由の行使であり、真実の事実を伝えたにすぎないため違法とはならない ウ 前科・犯罪経歴はみだりに公開されない法律上の保護に値する利益であり、必要性を検討せずに回答した市の行為は違法となる可能性が高い エ 前科・犯罪経歴は公開の法廷で確定した事実であるため、市が回答しても A の法的利益を侵害することにはならない undefined 前科・犯罪経歴は秘匿性の高い情報ではないため、13 条の保護の対象とはならず、回答は適法である)
- 13 条・14 条をめぐる学説について、次の説明に当てはまる考え方の名称として妥当なものはどれですか。13 条の幸福追求権は、個人の人格的生存に不可欠な利益に限って保障するとする考え方。 (ア 法内容平等説 イ 一般的自由説 ウ 人格的利益説 エ 特別意味説 undefined 補充的保障説)
- 13 条に関する最高裁判所の判例の趣旨として妥当なものはどれですか。 (ア 住民基本台帳ネットワークによる本人確認情報の管理について、自己情報コントロール権が 13 条で保障されることを明言したうえで、目的外利用の危険があるとして違憲とした イ 自己消費目的の酒類製造を禁止する酒税法の規定は、13 条の自己決定権を不当に制約するものとして違憲である ウ 大学が講演会参加者の学籍番号・氏名・住所・電話番号を無断で警察に提供したことは、秘匿性の高い情報でなくても、法的保護の対象となるプライバシーの侵害として不法行為にあたる エ 弁護士会からの照会に区長が前科を回答したことについて、弁護士会には法律上の照会権限があるため、照会の必要性を検討せずに回答しても違法にはならない undefined 警察官がデモ参加者の容ぼうを本人の承諾なく撮影することは、現に犯罪が行われ証拠保全の必要性・緊急性がある場合であっても、裁判官の令状がない限り 13 条に反し違法である)
- 14 条に関する最高裁判所の判例の趣旨として妥当なものはどれですか。 (ア 外国籍の職員を管理職選考の受験から除外する東京都の措置は、国籍による不合理な差別であり、14 条に反し違憲である イ 給与所得者に必要経費の実額控除を認めない所得税法の規定は、租税立法に広い立法裁量が認められることから、区別が著しく不合理であることが明らかとはいえず合憲である ウ 尊属傷害致死について通常の傷害致死より法定刑を重くする規定は、尊属殺重罰規定と同じ論理により 14 条に反し違憲である エ 日本人父から出生後に認知された子に父母の婚姻を国籍取得の要件とする規定は、立法当時から合理性を欠いていたものとして、制定時にさかのぼって違憲である undefined 障害福祉年金と児童扶養手当の併給を禁止する規定は、障害者である母とそうでない母との間に不合理な差別を生じさせるものであり、14 条に反し違憲である)
- 非嫡出子相続分違憲決定(最大決平成 25 年 9 月 4 日)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定を、平成 7 年の合憲決定以降の社会の変化を踏まえて違憲とし、既に確定した相続には影響しないとした イ 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定について違憲と判断し、この決定より前に確定した相続についてもさかのぼって効力を失うとした ウ 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定について、法律婚の尊重という立法目的そのものが今日では不合理であるとして違憲と判断した エ 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定は、立法府の広い裁量の範囲内にあるとして、平成 7 年の決定と同様に合憲と判断した undefined 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定について違憲状態にあるとしたが、合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして違憲とはしなかった)
発展
- 14 条に関する最高裁判所の違憲判断について、違憲とした理由づけの説明として妥当なものはどれですか。 (ア 非嫡出子相続分違憲決定では、家族形態の多様化などの事情の変化を踏まえ、子が自ら選択・修正できない事柄を理由とする不利益は許されないとした イ 再婚禁止期間違憲判決では、父性推定の重複を避けるという目的そのものが今日では合理性を失ったとして、規定全体を違憲とした ウ 国籍法違憲判決では、国籍取得に父母の婚姻を要件とすることは立法当時から合理性を欠いていたとして、制定時に遡って違憲とした エ 尊属殺重罰規定違憲判決では、尊属を特別に扱う立法目的が封建的で不合理であることを理由に違憲とした undefined 非嫡出子相続分違憲決定では、この決定より前に確定した相続についても遡って効力を失うとした)
- 13 条に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 住基ネット事件では、行政機関が保有する個人情報の一元管理はそれ自体で 13 条に反するとして、違憲と判断した イ エホバの証人輸血拒否事件では、生命の保護が優先されるため、患者の輸血拒否の意思を無視して輸血した医師に責任はないとした ウ 大阪空港訴訟では、環境権が 13 条・25 条によって保障されることを認め、夜間飛行の差止めを認容した エ 検索事業者に検索結果の削除を求めることができるのは、その事実を公表されない法的利益が公表する理由に優越することが明らかな場合であるとした undefined どぶろく裁判では、自己消費目的の酒類製造の自由が 13 条の自己決定権として保障されるとして、酒税法の規定を違憲とした)
- 次の区別のうち、最高裁判所の判例の考え方に照らして、14 条に反すると判断される可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア 給与所得者には概算による控除のみを認め、事業所得者には必要経費の実額控除を認める区別 イ 公権力の行使にあたる地方公務員の管理職への昇任について、日本国籍を有する職員に限る区別 ウ 尊属に対する傷害致死について、通常の傷害致死より法定刑を重くする区別 エ 障害福祉年金の受給者には児童扶養手当を支給しないとする併給調整による区別 undefined 外国人母から生まれ日本人父に出生後認知された子に、父母の婚姻がない限り届出による国籍取得を認めない区別)
- 14 条の平等原則について、最高裁判所の審査の仕方に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 平等原則違反の審査は、常により制限的でない他の選びうる手段があるかどうかという基準で行われる イ 平等原則違反の審査は、常に規制が著しく不合理であることが明白かどうかという明白性の原則によって行われ、区別の事由や対象となる権利によって厳しさが変わることはない ウ 区別の合理性は目的の正当性と目的・手段の合理的関連性で判断されるが、区別される権利の重要性や、本人の意思で変えられない事由かどうかによって審査の厳しさが変わる エ 平等原則違反の審査は、区別の目的が正当であれば足り、目的と区別との関連性や手段の合理性を問うことなく合憲とされる、というのが判例の一貫した立場である undefined 14 条 1 項後段に列挙された事由は限定列挙であり、列挙されていない事由による区別は 14 条の審査の対象にならない)
- 次の事例について、最高裁判所の判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。 ある新聞社が、20 年以上前に有罪判決を受け服役後は平穏に社会生活を送っている A について、当時の事件を実名を用いてノンフィクション作品として出版した。A はこれによりプライバシーを侵害されたとして損害賠償を求めた。 (ア 前科を公表されない利益は法律上の保護に値しないため、公務員による前科の照会回答と同様に、私人による公表も違法とはならない イ ノンフィクション作品は表現の自由として保障されるため、公表の目的や A の現在の生活状況を問わず、実名での公表は常に適法である ウ 前科の公表は憲法 13 条の保障するプライバシー権に対する事前の検閲にあたるため、実名か匿名かを問わず、その出版そのものが憲法により絶対的に禁止される エ 前科を公表されない利益と実名で公表する理由とを比較衡量し、長期間が経過し平穏な生活を送る A の利益が優越する場合は、実名での公表は違法となりうる undefined 前科は公開の法廷で確定した事実であるため、いつどのような形で公表されても A の法的利益を侵害することにはならず、損害賠償は認められない)
包括的基本権と法の下の平等 ── 解答
基礎
- エ 尊属への敬愛・報恩という立法目的は合理的だが、法定刑を死刑・無期懲役に限る加重の程度が著しく、目的達成の手段として合理性を欠くため違憲である 尊属への敬愛・報恩という立法目的は合理的だが、法定刑を死刑・無期懲役に限る加重の程度が著しく、目的達成の手段として合理性を欠くため違憲である。
- ウ 「宴のあと」事件の東京地裁判決は、プライバシー権を「私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利」と認めた 住基ネット事件は合憲で「自己情報コントロール権」の語は使っていない。前科照会事件は保護に値する利益とし違法。京都府学連事件は 13 条による自由を認めた。早稲田大学事件は法的保護の対象とし不法行為を認めた。
- イ 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする民法の規定 最大決平成 25 年 9 月 4 日。他はサラリーマン税金訴訟・夫婦同氏合憲判決・堀木訴訟・東京都管理職選考事件で、いずれも合憲。
- エ 合憲 夫婦は婚姻の際に夫又は妻の氏を称すると定める民法の規定は合憲。14 条の違憲判決は尊属殺(昭和 48)・定数配分(昭和 51・60)・国籍法(平成 20)・非嫡出子相続分(平成 25)・再婚禁止期間(平成 27・一部)。サラリーマン税金訴訟・堀木訴訟・夫婦同氏は合憲。
- ア 13 条は、個別の人権規定では保障されない利益を保障する包括的な規定であり、プライバシー権や自己決定権のような「新しい人権」の根拠となる 判例は 13 条を根拠に、みだりに容ぼうを撮影されない自由(京都府学連事件)や個人情報をみだりに開示されない自由(住基ネット事件)を認めている。環境権は明文になく、大阪空港訴訟も認めていない。
標準
- undefined 提供は違法となる可能性が高い。貸出履歴はプライバシーに係る情報として法的保護の対象となり、本人の同意なく目的外に提供することは許されない 提供は違法となる可能性が高い。貸出履歴はプライバシーに係る情報として法的保護の対象となり、本人の同意なく目的外に提供することは許されない。対応する判例:再婚禁止期間違憲判決・夫婦同氏合憲判決(いずれも最大判平成 27 年 12 月 16 日)・京都府学連事件・早稲田大学名簿提出事件・サラリーマン税金訴訟。
- ウ 投票価値の不平等が合理性を欠くほどに至っているか(違憲状態)を判断し、次に合理的期間内に是正されなかったか(違憲)を判断する 2 段階の枠組み 投票価値の不平等が合理性を欠くほどに至っているか(違憲状態)を判断し、次に合理的期間内に是正されなかったか(違憲)を判断する 2 段階の枠組み。
- エ 最高裁が法律の規定を違憲と判断した最初の判決であり、多数意見は立法目的は合理的としつつ法定刑の加重の程度が極端であることを理由に違憲とした 目的を不合理とするのは少数意見。尊属傷害致死は合憲(最判昭和 49 年 9 月 26 日)。刑法旧 200 条の削除は平成 7 年(1995 年)の改正で、判決から 20 年以上あとである。
- ア 衆議院議員選挙について投票価値の不平等を違憲とした判決では、事情判決の法理により選挙自体は無効とされなかった 最大判昭和 51 年 4 月 14 日(4.99 倍)・最大判昭和 60 年 7 月 17 日(4.40 倍)は違憲だが選挙は有効。投票価値の平等は憲法の要請。参議院も 5.00 倍の選挙について違憲状態とした(最大判平成 24 年 10 月 17 日)。
- イ 女性の再婚禁止期間のうち 100 日を超える部分を違憲としたが、夫婦同氏を定める民法 750 条は合憲とした 再婚禁止期間は 100 日超過部分のみ違憲で、国家賠償請求は棄却。夫婦同氏は合憲(令和 3 年 6 月 23 日の大法廷決定も合憲を維持)。再婚禁止期間は令和 6 年 4 月に廃止された。
- ウ 前科・犯罪経歴はみだりに公開されない法律上の保護に値する利益であり、必要性を検討せずに回答した市の行為は違法となる可能性が高い 前科照会事件(最判昭和 56 年 4 月 14 日)の考え方。弁護士会という法律上の照会権限をもつ団体からの照会でさえ「漫然と回答」は違法とされたので、民間企業からの問い合わせへの安易な回答はなおさら違法とされやすい。
- ウ 人格的利益説 人格的利益説。13 条の範囲は人格的利益説(通説)と一般的自由説、14 条の「法の下に」は法内容平等説(通説・判例)と法適用平等説、後段列挙事由は例示説(判例)と特別意味説(有力説)の対で覚える。
- ウ 大学が講演会参加者の学籍番号・氏名・住所・電話番号を無断で警察に提供したことは、秘匿性の高い情報でなくても、法的保護の対象となるプライバシーの侵害として不法行為にあたる 早稲田大学名簿提出事件(最判平成 15 年 9 月 12 日)。京都府学連事件は現行犯性・必要性緊急性・相当性があれば令状なしでも適法とした。住基ネット事件は合憲で、「自己情報コントロール権」の語は使っていない。前科照会事件は漫然と回答した点を違法とした。どぶろく裁判は合憲。
- イ 給与所得者に必要経費の実額控除を認めない所得税法の規定は、租税立法に広い立法裁量が認められることから、区別が著しく不合理であることが明らかとはいえず合憲である サラリーマン税金訴訟(最大判昭和 60 年 3 月 27 日)。堀木訴訟・尊属傷害致死事件・東京都管理職選考事件はいずれも合憲。国籍法違憲判決は「立法当時は合理性があったとしても今日では合理的関連性を欠く」という理由づけで、制定時にさかのぼって違憲としたのではない。
- ア 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の 2 分の 1 とする規定を、平成 7 年の合憲決定以降の社会の変化を踏まえて違憲とし、既に確定した相続には影響しないとした 「子が自ら選択・修正する余地のない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されない」が理由づけの核心。法律婚の尊重という目的自体を否定したのではない。決定を受けて民法 900 条 4 号ただし書は平成 25 年 12 月の改正で削除された。
発展
- ア 非嫡出子相続分違憲決定では、家族形態の多様化などの事情の変化を踏まえ、子が自ら選択・修正できない事柄を理由とする不利益は許されないとした 国籍法は「立法当時は合理性があったが今日では合理的関連性を欠く」。尊属殺は目的は合理的、手段が過剰。再婚禁止期間は目的は合理的で 100 日超過部分のみ違憲。非嫡出子決定は既に確定した法律関係には影響しないとした。
- エ 検索事業者に検索結果の削除を求めることができるのは、その事実を公表されない法的利益が公表する理由に優越することが明らかな場合であるとした 最決平成 29 年 1 月 31 日。大阪空港訴訟は環境権を認めず差止めは不適法。どぶろく裁判は合憲。住基ネットは合憲。輸血拒否事件は損害賠償責任を認めた。
- undefined 外国人母から生まれ日本人父に出生後認知された子に、父母の婚姻がない限り届出による国籍取得を認めない区別 国籍法違憲判決(最大判平成 20 年 6 月 4 日)の類型。他はサラリーマン税金訴訟・東京都管理職選考事件・堀木訴訟・尊属傷害致死事件で、いずれも合憲とされた。
- ウ 区別の合理性は目的の正当性と目的・手段の合理的関連性で判断されるが、区別される権利の重要性や、本人の意思で変えられない事由かどうかによって審査の厳しさが変わる 国籍法違憲判決や非嫡出子相続分違憲決定は、国籍や相続分という重要な法的地位に関わり、かつ子が自分で変えられない事情による区別であることを重視して慎重に検討した。租税立法(サラリーマン税金訴訟)や社会保障立法(堀木訴訟)では立法府の広い裁量を認めている。後段列挙事由は例示的列挙。
- エ 前科を公表されない利益と実名で公表する理由とを比較衡量し、長期間が経過し平穏な生活を送る A の利益が優越する場合は、実名での公表は違法となりうる ノンフィクション「逆転」事件(最判平成 6 年 2 月 8 日)の考え方。前科照会事件(最判昭和 56 年)が前科を「みだりに公開されない法律上の保護に値する利益」としたことを、私人による出版の場面で比較衡量の枠組みに発展させた判例。検閲は行政権が主体(zh-04)で、出版は 13 条の問題として比較衡量で判断する。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zh-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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