精神的自由①(思想・良心・信教・学問の自由) ── 問題
基礎
- 次の判例について、東大ポポロ事件(最大判昭和 38 年)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 学生は教授その他の研究者と並ぶ大学の自治の主体であるため、大学公認の学生団体が学内で行う集会には、その内容や目的を問わず警察官はいかなる場合も立ち入ることができず、立入りは大学の自治を侵す イ 大学の自治は教授の人事についてのみ認められ、施設や学生の管理については大学に自治は認められない ウ 学生の集会は大学の許可を得ている限り学問の自由の保障を受け、警察官が情報収集のために立ち入ることは大学の自治を侵す エ 学生の集会が真に学問的な研究やその発表のためのものではなく実社会の政治的社会的活動にあたる場合は、大学の学問の自由と自治の保障を受けない undefined 学問の自由は研究の自由と研究発表の自由に限られ、大学における教授の自由は 23 条では保障されない)
- 精神的自由の基本的な考え方について、政教分離原則の法的性格について判例(津地鎮祭事件)が示した考え方はどれですか。 (ア 政教分離は国と宗教との完全な分離を要求するものであり、宗教とのいかなるかかわりも許されない イ 政教分離は憲法上の原則ではなく、宗教法人法などの法律によって定められた立法政策上の原則である ウ 政教分離はそれ自体が個人の権利ではなく、信教の自由を間接的に保障するための制度的保障である エ 政教分離は信教の自由と並ぶ個人の基本的人権であり、その侵害は直ちに個人の権利侵害となる undefined 政教分離は 89 条の公金支出の制限に限られ、20 条 3 項は政教分離とは別の原則を定めたものである)
- 思想・良心の自由に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 企業が採用にあたって応募者の思想・信条を調査し、それを理由に雇入れを拒むことは、19 条が私人間に直接適用される結果として違法である イ 高校入試の内申書に生徒の学生運動への参加などを記載したことは、生徒の思想・信条を推知させ、それを理由に入学選抜で不利益に扱うことを可能にするものであるため、19 条に反し違憲である ウ 裁判所が名誉毀損の加害者に謝罪広告の掲載を命じることは、内容のいかんを問わず良心の自由を侵害するものとして許されない エ 高校入試の内申書に生徒の学生運動への参加などを記載したことは、生徒の外部的行為を記載したもので思想・信条そのものを記載したものではなく、19 条に反しない undefined 音楽教諭に入学式での君が代のピアノ伴奏を命じる職務命令は、教諭の歴史観・世界観を否定し特定の思想を強制するものとして 19 条に反する)
- 政教分離に関する憲法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 何人も宗教上の行為・祝典・儀式に参加することを強制されないが、国が主催する儀式への参加は公務員の職務として義務づけることができる イ 国およびその機関は宗教的活動をしてはならないが、公の財産を宗教上の組織のために利用することは法律で定めれば認められる ウ 宗教団体は国から特権を受けてはならないが、宗教団体が政治上の権力を行使することは信教の自由として保障される エ 政教分離は 20 条にのみ定められており、89 条の公金支出の制限は財政民主主義の原則から導かれるもので政教分離とは無関係である undefined 国は宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならず、公金その他の公の財産を宗教上の組織・団体のために支出・利用してはならない)
- 信教の自由の限界に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 信仰の自由も宗教的行為の自由も内心の自由として絶対的に保障され、いかなる場合も公共の福祉による制約を受けない イ 宗教的行為は宗教的な動機に基づく限り正当業務行為として違法性が阻却されるため、刑法によって処罰されることはない ウ 信仰の自由は内心にとどまる限り絶対的に保障されるが、宗教的行為の自由は外部的行為であるため、他人の生命・身体などを害する場合には制約を受ける エ 宗教的結社の自由は法人格の取得を含むため、宗教団体は法律上の要件を満たさなくても宗教法人としての認証を求めることができる undefined 信教の自由は日本国民にのみ保障され、外国人には性質上及ばないとするのが判例である)
- 政教分離原則の性格と判断の仕方に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 政教分離違反を争う訴訟は、個人の権利侵害を要件とするため、住民訴訟や国家賠償の形で争うことはできない イ 政教分離の規定は 20 条 3 項のみであり、89 条は財政民主主義の規定であって政教分離とは無関係である ウ 判例は、国と宗教の完全な分離は不可能であることを前提に、国と宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超えるかどうかで違反の有無を判断する立場(限定分離)をとっている エ 判例は、政教分離をそれ自体が個人の権利であると解しており、政教分離違反があれば直ちに個人の信教の自由の侵害となる undefined 判例は、国と宗教のいかなるかかわり合いも許されないとする完全分離の立場をとっており、宗教系私立学校への助成や文化財である神社仏閣への補助も違憲となる)
標準
- 次の事例について、判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。公立高校の校長が、卒業式で国旗に向かって起立し国歌を斉唱するよう教諭に職務命令を出した。教諭は自らの歴史観に反するとして従わなかった。 (ア 職務命令は教諭の歴史観・世界観そのものを否定して特定の思想を強制するものであるため、19 条に反して無効である イ 職務命令は思想・良心の自由に対する間接的な制約となる面はあるが、式典の秩序確保などの目的と公務員の職務の公共性から必要性・合理性が認められ、19 条に反しない ウ 職務命令は起立斉唱という慣例上の儀礼的な所作を求めるにすぎず、教諭の歴史観・世界観とは無関係であるため、思想・良心の自由に対する制約は直接的にも間接的にも一切生じず、19 条の問題にならない エ 職務命令は思想・良心の自由に対する直接的な制約であるため、より制限的でない手段がない場合に限って許される undefined 職務命令は 19 条には反しないが、教諭の教育の自由を侵害するため 23 条に反する)
- 政教分離に関する判例について、富平神社事件(最大判平成 22 年 1 月)で最高裁が示した内容として妥当なものはどれですか。 (ア 市が神社の敷地となっている市有地を町内会に譲与したことは、公の財産を無償で宗教上の組織の便益のために与えるものであり、89 条および 20 条 1 項後段に反し違憲である イ 市有地の譲与は違憲であるが、既に登記が完了しているため譲与の効力は否定されない ウ 市が神社の敷地となっている市有地を町内会に譲与したことは、政教分離違反の状態を解消するための手段であり、宗教への援助にあたらず合憲である エ 市有地の譲与は合憲であるが、その後も町内会が神社を管理することは宗教団体への便益の供与として違憲となる undefined 市が神社の敷地となっている市有地を町内会に譲与したことは、目的効果基準に照らして宗教的活動にあたり 20 条 3 項に反する)
- 君が代の起立斉唱に関する最高裁判所の判例(最判平成 23 年)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 起立斉唱を命じる職務命令は、思想・良心の自由に対する直接的な制約であるため、厳格な基準で審査した結果として違憲とされた イ 起立斉唱を命じる職務命令は合憲であるが、これに従わなかった教諭に対する懲戒処分は、その種類や程度を問わずすべて裁量権の逸脱として違法となる ウ 起立斉唱を命じる職務命令は、19 条には反しないが、教諭の教授の自由を侵害するため 23 条に反する エ 起立斉唱を命じる職務命令は、慣例上の儀礼的な所作を求めるにすぎず、教諭の歴史観・世界観そのものを否定するものではないため、思想・良心の自由に対する制約は直接的にも間接的にもいかなる意味でも生じない undefined 起立斉唱を命じる職務命令は、個人の歴史観・世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求める点で思想・良心の自由への間接的な制約となる面があるが、必要性・合理性が認められ 19 条に反しない)
- 信教の自由に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 宗教法人に対する解散命令は、信者の宗教的結社の自由を直接に奪うものであるため、刑事事件で有罪が確定した後でなければ許されないとされた イ 加持祈祷によって精神疾患のある人を死亡させた僧侶を傷害致死罪で処罰することは、宗教的行為の自由を直接侵害するものとして 20 条に反するとされた ウ 牧師が警察に追われる少年をかくまって説得し自首させた行為について、下級審は牧会活動として正当な業務行為にあたり犯人蔵匿罪は成立しないとした エ 公立高専が信仰上の理由で剣道実技を拒否した学生に代替措置をとることは、特定の宗教を優遇するものとして政教分離に反するとされた undefined 信仰上の理由で剣道実技を拒否した学生に対する退学処分は、信教の自由を直接侵害する処分として 20 条に反し違憲とされた)
- 政教分離に関する最高裁判所の判例の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 富平神社事件では、神社敷地の市有地を町内会に譲与したことは政教分離違反の状態を解消する手段であり合憲とした イ 愛媛玉串料訴訟では、玉串料の奉納は地鎮祭のように習俗化した社会的儀礼とはいえず、県が特定の宗教団体と特別のかかわりをもつという印象を与えるとした ウ 津地鎮祭事件では、国と宗教との完全な分離は不可能であることを前提に、かかわり合いが相当とされる限度を超えるかどうかを判断する枠組みを示した エ 空知太神社事件では、目的効果基準を適用し、市有地の無償提供の目的が宗教的意義をもち効果が宗教への援助になるとして 20 条 3 項違反とした undefined 白山比咩神社事件では、市長が神社の大祭の奉賛会発会式に出席して祝辞を述べたことは社会的儀礼の範囲内で合憲とした)
- 学問の自由に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 学問の自由は学問研究の自由・研究発表の自由・教授の自由を含み、これらを制度的に保障するものとして大学の自治が認められる イ 大学の自治は国立大学にのみ認められる制度であり、私立大学における研究者の人事には及ばない ウ 学問の自由は学問研究の自由と研究発表の自由に限られ、教授の自由は 26 条の教育を受ける権利から導かれる エ 学問研究の自由は内心の自由に属するため、生命倫理に関わる研究であっても法律による規制は一切許されない undefined 大学の自治は憲法に明文で定められており、教授会の権限や学長の選考方法も憲法が直接規定している)
- 市が忠魂碑を移設・再建しその敷地を遺族会に無償貸与した事案(箕面忠魂碑訴訟)について、最高裁判所が用いた判断の仕方と結論として妥当なものはどれですか。 (ア 目的効果基準を適用し、宗教的活動にあたらないとして合憲 イ 政教分離違反の状態を解消するための手段であるとして合憲 ウ 目的効果基準を前面に出さず、施設の性格・経緯・態様・一般人の評価を総合的に判断して 89 条・20 条 1 項後段に反し違憲 エ 目的効果基準を適用し、宗教的活動にあたるとして違憲 undefined 社会的儀礼の範囲内であるとして合憲)
- 思想・良心の自由に関する最高裁判所の判例の趣旨として妥当なものはどれですか。 (ア 高校入試の内申書に学生運動への参加などを記載したことは、生徒の思想・信条そのものを記載したものであり、それを理由に不利益に扱うことを可能にするため 19 条に反する イ 名誉毀損の救済として裁判所が謝罪広告の掲載を命じることは、事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものであっても、良心の自由を侵すものとして 19 条に反する ウ 卒業式で起立し国歌を斉唱するよう命じる職務命令は、慣例上の儀礼的な所作を求めるにすぎないため、思想・良心の自由に対する制約はいかなる意味でも生じない エ 入学式での君が代のピアノ伴奏を命じる職務命令は、音楽教諭の歴史観・世界観そのものを否定するものではなく、伴奏が特定の思想の表明と評価されるものでもないため 19 条に反しない undefined 企業が採用にあたって応募者の思想・信条を調査することは、19 条が私人間にも直接適用されるため、それ自体で違法である)
- 信教の自由に関する最高裁判所の判例の趣旨として妥当なものはどれですか。 (ア 信仰上の理由で剣道実技を拒否した学生を、代替措置を検討することなく原級留置・退学処分にしたことは、信教の自由を直接に侵害するものとして 20 条に反し違憲である イ 宗教法人の解散命令は法人格という世俗的側面を対象とし、信者の宗教上の行為を禁止するものではなく、支障は間接的・事実上のものにとどまるため 20 条に反しない ウ 牧師が警察に追われる少年をかくまって説得し自首させた行為について、最高裁は牧会活動であっても犯人蔵匿罪の成立を免れないとした エ 加持祈祷によって精神疾患のある人を死亡させた僧侶を傷害致死罪で処罰することは、宗教的行為の自由に対する直接の侵害であり、20 条に反して許されない undefined 殉職自衛官を妻の意思に反して護国神社に合祀したことについて、妻の静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送る利益は法的利益として保護され、合祀への協力は違法である)
発展
- 政教分離に関する最高裁判所の判断の枠組みの変化について、妥当なものはどれですか。 (ア 孔子廟事件では、儒教が宗教にあたらないことを理由に、政教分離の判断枠組みを適用せずに合憲とした イ 愛媛玉串料訴訟では目的効果基準を放棄し、国と宗教のいかなるかかわりも許されないとする完全分離の立場に立った ウ 津地鎮祭事件では施設の性格や一般人の評価を総合的に判断する枠組みが用いられたが、愛媛玉串料訴訟以降は空知太神社事件・孔子廟事件を含めて一貫して目的効果基準が用いられている エ 空知太神社事件は目的効果基準を明示的に変更し、以後の判例では目的効果基準を用いることはできないとした undefined 津地鎮祭事件や愛媛玉串料訴訟では目的効果基準が用いられたが、空知太神社事件や孔子廟事件では、施設の性格や経緯・態様、一般人の評価などを総合的に判断する枠組みが用いられた)
- 東大ポポロ事件(最大判昭和 38 年)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 学生は大学の営造物の利用者として、教授その他の研究者の学問の自由と自治の効果として自由と自治を享有するにすぎず、学生の集会が実社会の政治的社会的活動にあたる場合は大学の自治の保障を受けない イ 警察官が大学の許可なく学内に立ち入ることは大学の自治を侵すため、本件の警察官の立入りは違法であり、これに対する学生の実力行使は正当防衛にあたる ウ 本件の演劇発表会は真に学問的な研究発表のための集会であったが、警察官の情報収集活動は公共の安全のために許容されるとした エ 学生は教授その他の研究者と並ぶ大学の自治の主体であるため、大学公認の学生団体が学内で行う集会は、それが政治的社会的活動にあたる場合であっても内容を問わず大学の自治の保障を受け、警察官の立入りは許されない undefined 大学の自治は施設と学生の管理についてのみ認められ、教授その他の研究者の人事については文部大臣の監督権が優先する)
- 旭川学力テスト事件(最大判昭和 51 年)で最高裁判所が教授の自由について示した内容として妥当なものはどれですか。 (ア 教授の自由は大学の教員にのみ保障され、普通教育の教師には教授の自由はいかなる意味でも認められない イ 普通教育における教育内容の決定権は親と教師のみに属し、国は教育の外的条件の整備にとどまらなければならない ウ 教授の自由は 23 条ではなく 26 条の教育を受ける権利から導かれるため、教師ではなく児童生徒の権利として保障される エ 普通教育の教師にも大学の教員と同じ完全な教授の自由が認められ、国が学習指導要領で教育内容を定めたり全国一斉の学力調査を実施したりすることは、教師の教授の自由を侵害し 23 条に反する undefined 普通教育の教師にも一定の範囲で教授の自由が認められるが、児童生徒に批判能力が乏しいことや教育の機会均等・全国的な水準確保の要請から、完全な教授の自由は認められない)
- 次の事例のうち、最高裁判所の判例の考え方に照らして、憲法または法律に反するとされる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア 県が、神社の例大祭にあたり、玉串料として公金を神社に支出する イ 市が、神社の敷地となっている市有地を、政教分離違反の状態を解消するために町内会に譲与する ウ 市長が、神社の大祭の奉賛会の発会式に出席して祝辞を述べる エ 市が、戦没者の忠魂碑を移設・再建し、その敷地を宗教団体ではない遺族会に無償で貸与する undefined 市が、市体育館の起工式を神職の主宰する地鎮祭として行い、その費用を公金から支出する)
- 学問の自由と大学の自治に関する説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 大学の自治は憲法に明文の規定はないが、23 条の学問の自由を制度的に保障するものとして認められ、教授その他の研究者の人事の自治と、施設および学生の管理の自治をその内容とする イ 大学の自治は国立大学と私立大学のいずれにも認められ、私立大学における研究者の人事にも及ぶ ウ 学問研究の自由は内心の活動に近いため広く保障されるが、遺伝子操作や生命倫理に関わる研究のように、法律による一定の規制が認められる領域もある エ 東大ポポロ事件で最高裁は、学生を教授その他の研究者と並ぶ大学の自治の主体と位置づけ、大学公認の学生団体が学内で行う集会には政治的な内容のものであっても大学の自治の保障が及ぶとした undefined 旭川学力テスト事件で最高裁は、普通教育の教師にも一定の範囲で教授の自由を認めつつ、児童生徒に批判能力が乏しいことや全国的な教育水準確保の要請から、完全な教授の自由は認められないとした)
精神的自由①(思想・良心・信教・学問の自由) ── 解答
基礎
- エ 学生の集会が真に学問的な研究やその発表のためのものではなく実社会の政治的社会的活動にあたる場合は、大学の学問の自由と自治の保障を受けない 学生の集会が真に学問的な研究やその発表のためのものではなく実社会の政治的社会的活動にあたる場合は、大学の学問の自由と自治の保障を受けない。判例は「事案 → 結論 → 理由づけ」の 3 段で覚える(zh-03 解説の表を参照)。
- ウ 政教分離はそれ自体が個人の権利ではなく、信教の自由を間接的に保障するための制度的保障である 政教分離はそれ自体が個人の権利ではなく、信教の自由を間接的に保障するための制度的保障である。
- エ 高校入試の内申書に生徒の学生運動への参加などを記載したことは、生徒の外部的行為を記載したもので思想・信条そのものを記載したものではなく、19 条に反しない 麹町中学内申書事件(最判昭和 63 年 7 月 15 日)。ピアノ伴奏拒否事件(最判平成 19 年)は職務命令を合憲とした。三菱樹脂事件は間接適用説で雇入れ拒否を当然には違法としない。謝罪広告事件は真相の告白と陳謝の意の表明程度なら合憲。
- undefined 国は宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならず、公金その他の公の財産を宗教上の組織・団体のために支出・利用してはならない 20 条 3 項と 89 条。20 条 1 項後段は宗教団体が特権を受けることと政治上の権力の行使を禁じる。20 条 2 項は宗教上の行為への参加の強制を禁じる。89 条前段は政教分離を財政面から支える規定。
- ウ 信仰の自由は内心にとどまる限り絶対的に保障されるが、宗教的行為の自由は外部的行為であるため、他人の生命・身体などを害する場合には制約を受ける 加持祈祷事件(最大判昭和 38 年)の考え方。宗教的結社の自由と法人格の取得は別で、宗教法人法の要件を満たす必要がある。信教の自由は性質上外国人にも及ぶ。
- ウ 判例は、国と宗教の完全な分離は不可能であることを前提に、国と宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超えるかどうかで違反の有無を判断する立場(限定分離)をとっている 津地鎮祭事件(最大判昭和 52 年)。政教分離は信教の自由を間接的に保障するための制度的保障で、それ自体は権利ではない。だからこそ住民訴訟(愛媛玉串料・空知太)や国家賠償(自衛官合祀)の形で争われる。89 条前段は政教分離を財政面から支える規定。
標準
- イ 職務命令は思想・良心の自由に対する間接的な制約となる面はあるが、式典の秩序確保などの目的と公務員の職務の公共性から必要性・合理性が認められ、19 条に反しない 職務命令は思想・良心の自由に対する間接的な制約となる面はあるが、式典の秩序確保などの目的と公務員の職務の公共性から必要性・合理性が認められ、19 条に反しない。対応する判例:君が代起立斉唱事件(最判平成 23 年)・加持祈祷事件(最大判昭和 38 年)・空知太神社事件(最大判平成 22 年)・箕面忠魂碑訴訟(最判平成 5 年)・オウム真理教解散命令事件(最決平成 8 年)。
- ウ 市が神社の敷地となっている市有地を町内会に譲与したことは、政教分離違反の状態を解消するための手段であり、宗教への援助にあたらず合憲である 市が神社の敷地となっている市有地を町内会に譲与したことは、政教分離違反の状態を解消するための手段であり、宗教への援助にあたらず合憲である。合憲:津地鎮祭・自衛官合祀・箕面・白山比咩・富平(解消手段)。違憲:愛媛玉串料(目的効果基準)・空知太・孔子廟(総合判断)。
- undefined 起立斉唱を命じる職務命令は、個人の歴史観・世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求める点で思想・良心の自由への間接的な制約となる面があるが、必要性・合理性が認められ 19 条に反しない 間接的制約を認めたうえで、式典の秩序確保という目的と公務員の職務の公共性から必要性・合理性を認めた。なお処分については、戒告を超えて減給・停職とするには慎重な考慮が必要とした判例(最判平成 24 年 1 月 16 日)もある。
- ウ 牧師が警察に追われる少年をかくまって説得し自首させた行為について、下級審は牧会活動として正当な業務行為にあたり犯人蔵匿罪は成立しないとした 牧会活動事件(神戸簡判昭和 50 年 2 月 20 日)。加持祈祷事件は処罰を合憲とした。オウム真理教解散命令事件は解散命令を合憲とし、刑事確定は要件ではない。剣道受講拒否事件は代替措置をとっても政教分離に反しないとし、退学処分を裁量権の逸脱・濫用で違法とした(違憲としたのではない)。
- エ 空知太神社事件では、目的効果基準を適用し、市有地の無償提供の目的が宗教的意義をもち効果が宗教への援助になるとして 20 条 3 項違反とした 空知太神社事件(最大判平成 22 年 1 月 20 日)は目的効果基準を前面に出さず、施設の性格・経緯・態様・一般人の評価を総合判断して 89 条・20 条 1 項後段違反とした。他の肢は各判例のとおり。
- ア 学問の自由は学問研究の自由・研究発表の自由・教授の自由を含み、これらを制度的に保障するものとして大学の自治が認められる 23 条。大学の自治は明文はないが 23 条から導かれる制度的保障と解されている。研究の自由も、他者の権利や生命倫理との関係で一定の規制が認められる。国立・私立を問わない。
- ア 目的効果基準を適用し、宗教的活動にあたらないとして合憲 市が忠魂碑を移設・再建しその敷地を遺族会に無償貸与した事案(箕面忠魂碑訴訟)は、目的効果基準を適用し、宗教的活動にあたらないとして合憲。政教分離の判例は「目的効果基準で合憲(津・箕面・自衛官合祀)→ 目的効果基準で違憲(愛媛)→ 総合判断で違憲(空知太・孔子廟)」の 3 段階。富平は解消手段、白山は社会的儀礼。
- エ 入学式での君が代のピアノ伴奏を命じる職務命令は、音楽教諭の歴史観・世界観そのものを否定するものではなく、伴奏が特定の思想の表明と評価されるものでもないため 19 条に反しない 君が代ピアノ伴奏拒否事件(最判平成 19 年 2 月 27 日)。謝罪広告事件は合憲。麹町中学内申書事件は外部的行為の記載で 19 条に反しない。起立斉唱事件は「間接的な制約となる面がある」と認めたうえで合憲。三菱樹脂事件は間接適用説。
- イ 宗教法人の解散命令は法人格という世俗的側面を対象とし、信者の宗教上の行為を禁止するものではなく、支障は間接的・事実上のものにとどまるため 20 条に反しない オウム真理教解散命令事件(最決平成 8 年 1 月 30 日)。加持祈祷事件は処罰を合憲とした。剣道受講拒否事件は裁量権の逸脱・濫用で違法(違憲ではない)。自衛官合祀訴訟は妻の利益を法的利益と認めなかった。牧会活動事件は下級審(神戸簡裁)の無罪判決で、最高裁判例ではない。
発展
- undefined 津地鎮祭事件や愛媛玉串料訴訟では目的効果基準が用いられたが、空知太神社事件や孔子廟事件では、施設の性格や経緯・態様、一般人の評価などを総合的に判断する枠組みが用いられた 空知太神社事件・孔子廟事件は目的効果基準を正面から使わず総合判断で違憲としたが、目的効果基準を明示的に否定・変更したわけではない。愛媛玉串料訴訟は目的効果基準で違憲とした。
- ア 学生は大学の営造物の利用者として、教授その他の研究者の学問の自由と自治の効果として自由と自治を享有するにすぎず、学生の集会が実社会の政治的社会的活動にあたる場合は大学の自治の保障を受けない 学生を「営造物の利用者」と位置づけ、本件集会は実社会の政治的社会的活動にあたるとして、警察官の立入りは大学の自治を侵さないとした。人事の自治も大学の自治の中心的内容である。
- undefined 普通教育の教師にも一定の範囲で教授の自由が認められるが、児童生徒に批判能力が乏しいことや教育の機会均等・全国的な水準確保の要請から、完全な教授の自由は認められない 国民の教育権説と国家の教育権説のいずれも極端で採用できないとし、国も必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できるとした(折衷的な立場)。教育を受ける権利の側面は zh-06 で扱う。
- ア 県が、神社の例大祭にあたり、玉串料として公金を神社に支出する 愛媛玉串料訴訟(最大判平成 9 年)で違憲とされた類型。他の肢は津地鎮祭事件・富平神社事件・白山比咩神社事件・箕面忠魂碑訴訟でいずれも合憲とされた。
- エ 東大ポポロ事件で最高裁は、学生を教授その他の研究者と並ぶ大学の自治の主体と位置づけ、大学公認の学生団体が学内で行う集会には政治的な内容のものであっても大学の自治の保障が及ぶとした 東大ポポロ事件(最大判昭和 38 年 5 月 22 日)は、学生を「営造物の利用者」と位置づけ、教授などの学問の自由と自治の効果として自由と自治を享有するにすぎないとし、実社会の政治的社会的活動にあたる集会は大学の自治の保障を受けないとした。他の肢は妥当。
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