経済的自由と人身の自由 ── 問題
基礎
- 次の判例について、奈良県ため池条例事件(最大判昭和 38 年)で最高裁が示した結論として妥当なものはどれですか。 (ア 29 条 2 項は財産権の内容を法律で定めると規定しているため、法律の個別の委任なしに条例でため池の堤とうでの耕作を禁止することは 29 条 2 項に反し、耕作者は補償を受けるまでもなく規制に従う義務を負わない イ ため池の堤とうでの耕作の禁止は財産権に対する特別の犠牲にあたるため、条例による規制は許されるが正当な補償が必要である ウ 条例による財産権の規制は法律の個別の委任がある場合に限って許され、本件条例には委任がないため無効である エ ため池の堤とうでの耕作を条例で禁止することは財産権の規制として許され、災害防止のためのこの制限は財産権に内在する制約であるため補償も不要である undefined ため池の堤とうでの耕作の禁止は積極目的の規制であり、明白性の原則に照らして合憲である)
- 人身の自由に関する憲法の条文について、憲法 38 条 3 項の補強法則の内容はどれですか。 (ア 何人も自己に不利益な供述を強要されない イ 被告人は資格を有する弁護人を依頼することができ、自ら依頼できないときは国でこれを付する ウ 自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされず刑罰を科せられない エ 強制・拷問・脅迫による自白や不当に長く抑留・拘禁された後の自白は証拠とすることができない undefined 被告人はすべての証人に対して審問する機会を十分に与えられる)
- 職業選択の自由(22 条 1 項)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 22 条 1 項に「公共の福祉に反しない限り」と定められているのは、職業選択の自由が精神的自由と同じ程度に厳格な審査を受けることを示すためである イ 職業選択の自由に対する規制は、法律によらず行政機関の命令のみで自由に行うことができる ウ 職業選択の自由には、職業を選ぶ自由だけでなく、選んだ職業を遂行する自由(営業の自由)も含まれると解されている エ 職業選択の自由は日本国民にのみ保障され、外国人には性質上一切及ばない undefined 職業選択の自由は職業を選ぶ自由に限られ、営業の自由は 29 条の財産権によって保障される)
- 人身の自由に関する憲法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 何人も、いかなる場合も権限を有する司法官憲が発する令状によらなければ逮捕されず、現行犯として逮捕する場合であっても事前に令状を得ておくことが必要である イ 何人も、犯罪による処罰の場合であっても、その意に反する苦役に服させられることはない ウ 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない エ 住居・書類・所持品の捜索・押収には常に令状が必要であり、適法な逮捕に伴う場合であっても例外は認められない undefined 抑留・拘禁された者は理由の告知を受ける権利をもつが、弁護人に依頼する権利は起訴された後にのみ認められる)
- 居住・移転の自由および外国移住・国籍離脱の自由に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 居住・移転の自由は 22 条 1 項に職業選択の自由と並べて規定された純粋な経済的自由であるため、精神的自由の性格をもつことはなく、その規制は常に緩やかな基準で審査される イ 国籍離脱の自由には、他の国籍を取得せずに無国籍となる自由も含まれると解されている ウ 旅券法に基づく旅券の発給拒否は、いかなる理由によるものであっても海外渡航の自由を侵害し違憲である エ 居住・移転の自由は経済的自由として規定されているが、人身の自由や、知的な接触の機会を確保する精神的自由の性格も併せもつとされる undefined 外国に移住する自由は永住目的の出国に限られ、一時的な海外渡航は憲法上の保障を受けない)
- 刑事手続上の権利に関する憲法の規定の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア すべて刑事事件においては、被告人は公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する イ 強制・拷問・脅迫による自白や、不当に長く抑留・拘禁された後の自白は、他に補強する証拠があればこれを証拠とすることができる ウ 刑事被告人は資格を有する弁護人を依頼することができ、被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する エ 住居・書類・所持品の捜索・押収のための令状は、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所および押収する物を明示していなければならない undefined 何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留または拘禁されない)
標準
- 次の事例について、判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。ある法律が、住民の健康被害を防ぐという目的で、特定の業種の新規開業に既存店舗からの距離制限を設けた。開業を拒否された A がこの規制を争った。 (ア 経済的自由の規制はすべて立法府の広い裁量に委ねられるため、目的のいかんを問わず裁判所は合憲性を審査できない イ 消極目的の規制として、規制の必要性・合理性と、より緩やかな手段では目的を達成できないことを立法事実に基づいて審査し、これが認められなければ違憲となる ウ 住民の健康を守ることは福祉国家の理念に基づく積極目的の規制にあたるため、著しく不合理であることが明白な場合に限って違憲となり、健康被害防止という目的が正当である以上は合憲となる エ 職業選択の自由は公共の福祉による制約を受けないため、距離制限はその目的を問わず違憲となる undefined 距離制限は営業の自由の規制であって職業選択の自由の規制ではないため、22 条の問題を生じない)
- 経済的自由と人身の自由の考え方について、海外渡航の自由の憲法上の根拠について判例(帆足計事件)が示した考え方はどれですか。 (ア 22 条 1 項の居住・移転の自由に含まれる イ 憲法上の保障はなく、旅券法によって初めて認められる法律上の自由である ウ 22 条 2 項の外国に移住する自由に含まれる エ 21 条の表現の自由(情報を収集する自由)に含まれる undefined 13 条の幸福追求権から導かれる新しい人権である)
- 経済的自由に関する最高裁判所の判例の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 酒類販売業の免許制について、最高裁は租税の適正かつ確実な賦課徴収という目的から立法府の広い裁量を認め、合憲とした イ 薬局の適正配置規制について、最高裁は許可制という強い規制であることも考慮し、消極目的の規制として違憲とした ウ 公衆浴場の距離制限について、最高裁は昭和 30 年の判決で消極目的の規制として違憲とし、平成元年の判決で積極目的の規制として合憲とした エ 生糸の一元輸入措置について、最高裁は養蚕農家の保護という積極目的の規制として、小売市場事件の基準に照らし合憲とした undefined 司法書士以外の者による登記手続の代理を禁止することについて、最高裁は登記制度の公正・円滑という目的から合憲とした)
- 財産権(29 条)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 29 条 1 項は個人の具体的な財産権を保障するとともに、私有財産制度を制度として保障するものと解されている イ 29 条 3 項の損失補償は、財産権に内在する一般的な制約によって生じた損失についても必要である ウ 財産権の規制は、経済的自由の規制と異なり、その目的が積極的か消極的かにかかわらず常に明白性の原則で審査される エ 29 条 2 項は財産権の内容を法律で定めると規定しているため、条例によって財産権を制限することは許されない undefined 最高裁は、財産権を制限する法律について違憲と判断したことはない)
- 損失補償に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 判例によれば、損失補償は財産権の制限と同時に支払われなければならず、事後の支払いは 29 条 3 項に反する イ 土地収用法事件では、収用の補償額の算定は立法府の広い裁量に委ねられるため、収用の前後で被収用者の財産価値が等しくならず市場価格を大きく下回る額であっても合憲であるとされた ウ 農地改革事件では、正当な補償とは市場価格の全額をいい、これを下回る補償は 29 条 3 項に反するとされた エ 判例によれば、法律に損失補償の規定がない場合、その法律は 29 条 3 項に反して当然に無効となる undefined 農地改革事件では、正当な補償とはその当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいい、常に市場価格と一致することを要しないとされた)
- 憲法 31 条に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 成田新法事件では、31 条の保障は行政手続にも及ぶため、制限される権利利益の内容や公益の緊急性を問わず、事前の告知・弁解・防御の機会を欠く工作物使用禁止命令は違憲であるとした イ 成田新法事件では、31 条は刑事手続についての規定であるため行政手続には一切及ばないとした ウ 第三者所有物没収事件では、没収は付加刑であって刑罰そのものではないため 31 条の適正手続の保障は及ばないとした エ 第三者所有物没収事件では、所有者である第三者に告知・弁解・防御の機会を与えずにその所有物を没収することは 31 条に反するとし、被告人がこの違憲を主張することも認めた undefined 徳島市公安条例事件では、刑罰法規の明確性は 31 条とは無関係であり、21 条の問題としてのみ判断されるとした)
- 次の判例が用いた判断の枠組み(審査の方法)として妥当なものはどれですか。公衆浴場距離制限事件(最判平成元年 1 月 20 日)で、公衆浴場の適正配置規制の合憲性を判断した枠組み。 (ア 公衆浴場の乱立による衛生上の危険の防止という消極目的の規制とみて、より緩やかな手段では目的を達成できないことを立法事実に基づいて厳しく審査し、昭和 30 年の判決を変更して違憲とする イ 公衆浴場の入浴料金の適正な徴収という財政目的の規制とみて、租税立法と同様の広い裁量を立法府に認める ウ 公衆浴場の距離制限は職業選択の自由ではなく財産権の規制であるとして、29 条 2 項の「公共の福祉」に適合するかどうかを審査する エ 公衆浴場業者の経営の安定を図り国民の保健や環境衛生を確保するという積極的・社会経済政策的な目的の規制とみて、立法府の裁量を尊重し、著しく不合理でない限り合憲とする undefined 公衆浴場の距離制限は職業選択の自由に対する規制であるが、居住・移転の自由の性格も併せもつため、精神的自由と同じ厳格な基準で審査する)
- 損失補償(29 条 3 項)に関する学説・判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 土地収用法事件(最判昭和 48 年)は、農地改革事件と同じく、収用の補償は合理的に算出された相当な額で足り、近傍で同等の代替地を取得できる価格までは要しないとした イ 判例は、正当な補償は財産権の制限や収用と同時に支払われなければならず、事後に支払うことは 29 条 3 項に反するとしている ウ 河川附近地制限令事件(最大判昭和 43 年)は、損失補償の規定を欠く法律は 29 条 3 項に反して無効であるとして、許可を受けずに砂利を採取した被告人を無罪とした エ 完全補償説とは、収用当時の経済状態において合理的に算出された相当な額であれば、市場価格を下回る補償でもよいとする考え方である undefined 補償が必要となるのは特定の人に特別の犠牲を課す場合であり、財産権に内在する一般的な制約によって生じた損失については補償を要しないと解されている)
- 憲法 18 条・31 条に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 18 条が定める「意に反する苦役」からの自由は、奴隷的拘束の禁止と同じく例外のない絶対的な保障であり、犯罪による処罰としても苦役に服させることはできない イ 31 条は刑罰を科す手続を「法律」で定めるよう求めているため、条例で罰則を設けることは、地方自治法による委任があっても 31 条に反して許されないとするのが判例である ウ 31 条は文言上「法律の定める手続」としか書いていないが、手続の適正(告知と聴聞の機会など)や、罪刑法定主義とその内容の適正まで保障に含まれると解されている エ 第三者所有物没収事件(最大判昭和 37 年)は、没収された物の所有者である第三者自身が争っていない以上、被告人が第三者の権利の侵害を理由に違憲を主張することはできないとした undefined 成田新法事件(最大判平成 4 年)は、31 条の保障は刑事手続についてのものであり、行政手続には及ぶ余地がないとしたうえで、行政手続には行政手続法の規律だけが及ぶとした)
発展
- 規制目的二分論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 規制目的二分論は判例が確立した基準であり、最高裁はすべての経済的自由の規制をいずれかの目的に分類したうえで審査している イ 薬事法距離制限事件では、消極目的の規制であれば許可制か届出制かといった規制の強さを問わず同じ基準で審査すべきであるとし、許可制という強い規制であることは審査の厳しさに影響しないとした ウ 酒類販売業の免許制について、最高裁は租税の適正かつ確実な賦課徴収という財政目的の規制ととらえ、消極目的・積極目的のいずれにも当てはめずに立法府の広い裁量を認めて合憲とした エ 酒類販売業の免許制について、最高裁は未成年者の飲酒防止という消極目的の規制ととらえ、厳格な合理性の基準で審査したうえで合憲とした undefined 規制目的二分論によれば、積極目的の規制は消極目的の規制よりも厳格に審査されるため、中小企業保護を目的とする規制は違憲とされやすい)
- 刑事手続上の権利に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 緊急逮捕は事前の令状なしに行われるため、事後に令状を求める制度であっても 33 条の令状主義に反し違憲である イ 38 条 3 項の「本人の自白」には公判廷における自白も含まれるため、公判廷で自白した場合でも他の補強証拠がなければ有罪にできない ウ 死刑は人の生命そのものを奪う究極の刑罰である以上、その執行方法が絞首であるか否かを問わず 36 条の残虐な刑罰にあたり、これを定める刑法の規定は違憲である エ 被疑者と弁護人の接見交通について、捜査機関が接見の日時・場所を指定する制度は弁護人依頼権を侵害するため違憲である undefined 刑罰と追徴税(加算税)を併科することは、追徴税が制裁的な意義をもつとしても刑罰とは性質を異にするため、39 条の二重処罰の禁止に反しない)
- 次の事例のうち、最高裁判所の判例の考え方に照らして、憲法に反するとされる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア 条例で、災害を防止するという目的から、ため池の堤とうでの耕作を禁止し、補償をしない イ 法律で、租税の適正かつ確実な賦課徴収という目的から、酒類の販売業を免許制とする ウ 法律で、不良医薬品の供給を防ぐという目的から、薬局の新規開設に既存の薬局からの距離制限を課す エ 法律で、中小小売商を保護するという目的から、小売市場の開設を許可制とし、既存の市場からの距離制限を課す undefined 法律で、証券市場の公正を確保するという目的から、上場会社の役員が短期売買で得た利益を会社に提供させる)
- 川崎民商事件(最大判昭和 47 年)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 35 条・38 条の保障は刑事手続に限らず行政手続にも全面的に及ぶため、行政目的の質問検査であっても裁判官の令状なしに行うことは違憲であり、また検査の相手方には黙秘権が完全に保障されるので検査拒否に罰則を科すことは許されないとした イ 35 条・38 条の保障は刑事手続に限って及ぶため、行政上の質問検査には令状も黙秘権の保障も一切不要であるとした ウ 35 条・38 条の保障は刑事手続以外にも及びうるが、所得税法の質問検査は刑事責任の追及を直接の目的とせず、実質上も刑事責任追及のための資料収集に直結せず、強制の程度も間接的であるため、令状なしの検査と検査拒否への罰則は合憲である エ 質問検査は刑事手続と実質的に同一であるため、検査には裁判官の令状が必要であるが、罰則による間接強制は許されるとした undefined 質問検査に 35 条は及ばないが、検査の結果を刑事手続で証拠として用いることは 38 条に反するとした)
- 次の事例のうち、判例・通説の考え方に照らして、29 条 3 項の損失補償が必要とされる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア 市が、防火地域内の建築物について、法律に基づき屋根や外壁に不燃材料を用いるよう義務づける イ 国が、証券市場の公正を確保するため、上場会社の役員が 6 か月以内の短期売買で得た利益を会社に提供させる ウ 国が、感染症のまん延を防止するため、法律に基づき感染のおそれのある物件の消毒や廃棄を所有者に命じる エ 国が、ダムの建設のために特定の人の所有する土地を収用する undefined 県が、災害を防止するため、条例でため池の堤とうでの耕作を禁止する)
経済的自由と人身の自由 ── 解答
基礎
- エ ため池の堤とうでの耕作を条例で禁止することは財産権の規制として許され、災害防止のためのこの制限は財産権に内在する制約であるため補償も不要である ため池の堤とうでの耕作を条例で禁止することは財産権の規制として許され、災害防止のためのこの制限は財産権に内在する制約であるため補償も不要である。経済的自由の法令違憲判決は薬事法事件と森林法事件の 2 つ。人身の自由では第三者所有物没収事件が違憲判決。
- ウ 自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされず刑罰を科せられない 自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされず刑罰を科せられない。31 条〜39 条は条文番号と内容の対応がそのまま問われる。
- ウ 職業選択の自由には、職業を選ぶ自由だけでなく、選んだ職業を遂行する自由(営業の自由)も含まれると解されている 営業の自由は 22 条 1 項に含まれる(通説・判例)。「公共の福祉に反しない限り」の文言は、経済的自由が政策的規制を広く受けることを予定したものと説明される。
- ウ 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない 33 条。35 条は 33 条の場合(適法な逮捕に伴う捜索・押収)を例外とする。18 条は犯罪による処罰の場合を除く。34 条は抑留・拘禁の段階で弁護人依頼権を保障する。
- エ 居住・移転の自由は経済的自由として規定されているが、人身の自由や、知的な接触の機会を確保する精神的自由の性格も併せもつとされる 国籍離脱の自由は無国籍になる自由を含まない。海外渡航の自由は 22 条 2 項に含まれ(帆足計事件)、「著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害するおそれ」がある者への発給拒否は合憲とされた。
- イ 強制・拷問・脅迫による自白や、不当に長く抑留・拘禁された後の自白は、他に補強する証拠があればこれを証拠とすることができる 38 条 2 項は、強制・拷問・脅迫による自白や不当に長い抑留・拘禁の後の自白を「証拠とすることができない」と定める(自白法則)。補強証拠があっても証拠にできない。「本人の自白だけでは有罪にできない」のは 3 項の補強法則で、別の話。他の 4 つは 34 条・35 条・37 条 1 項・37 条 3 項のとおり。
標準
- イ 消極目的の規制として、規制の必要性・合理性と、より緩やかな手段では目的を達成できないことを立法事実に基づいて審査し、これが認められなければ違憲となる 消極目的の規制として、規制の必要性・合理性と、より緩やかな手段では目的を達成できないことを立法事実に基づいて審査し、これが認められなければ違憲となる。対応する判例:薬事法距離制限事件(最大判昭和 50 年)・河川附近地制限令事件(最大判昭和 43 年)・川崎民商事件(最大判昭和 47 年)・高田事件(最大判昭和 47 年)・検察官上訴と一事不再理(最大判昭和 25 年)。
- ウ 22 条 2 項の外国に移住する自由に含まれる 22 条 2 項の外国に移住する自由に含まれる。
- ウ 公衆浴場の距離制限について、最高裁は昭和 30 年の判決で消極目的の規制として違憲とし、平成元年の判決で積極目的の規制として合憲とした 公衆浴場の距離制限は昭和 30 年・平成元年のいずれも合憲。昭和 30 年は消極目的(衛生)で合憲、平成元年は積極目的または両目的の併有で合憲とした。
- ア 29 条 1 項は個人の具体的な財産権を保障するとともに、私有財産制度を制度として保障するものと解されている 条例による制限は奈良県ため池条例事件で認められた。内在的制約には補償不要。森林法共有林事件(最大判昭和 62 年)は財産権規制を違憲とした法令違憲判決で、目的の分類を問わず必要性・合理性を審査した。
- undefined 農地改革事件では、正当な補償とはその当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいい、常に市場価格と一致することを要しないとされた 農地改革事件(最大判昭和 28 年)は相当補償説。土地収用法事件(最判昭和 48 年)は完全な補償を要求。補償は同時である必要はない(最大判昭和 24 年)。補償規定がなくても 29 条 3 項を直接の根拠に請求できるので法律は違憲でない(河川附近地制限令事件)。
- エ 第三者所有物没収事件では、所有者である第三者に告知・弁解・防御の機会を与えずにその所有物を没収することは 31 条に反するとし、被告人がこの違憲を主張することも認めた 第三者所有物没収事件(最大判昭和 37 年 11 月 28 日)。成田新法事件は行政手続にも及びうるとしつつ総合較量で合憲。徳島市公安条例事件は明確性を 31 条の問題として扱った。
- エ 公衆浴場業者の経営の安定を図り国民の保健や環境衛生を確保するという積極的・社会経済政策的な目的の規制とみて、立法府の裁量を尊重し、著しく不合理でない限り合憲とする 公衆浴場業者の経営の安定を図り国民の保健や環境衛生を確保するという積極的・社会経済政策的な目的の規制とみて、立法府の裁量を尊重し、著しく不合理でない限り合憲とする。経済的自由の判例は「目的(積極/消極/財政)→ 基準(明白性の原則/厳格な合理性)→ 結論」の順で覚える。財産権の規制(森林法・証券取引法)は目的の公共性と手段の必要性・合理性を審査する枠組みで、規制目的二分論をそのまま当てはめてはいない。川崎民商事件の枠組みと、成田新法事件の「権利利益と公益の総合衡量」(31 条)を混同しないこと。
- undefined 補償が必要となるのは特定の人に特別の犠牲を課す場合であり、財産権に内在する一般的な制約によって生じた損失については補償を要しないと解されている 特別の犠牲=補償が必要、内在的制約=不要(奈良県ため池条例事件)。完全補償説は市場価格の全額、相当補償説は合理的に算出された相当な額で、完全補償説の説明の肢は両説を入れかえている。補償の時期は収用と同時である必要はない(最大判昭和 24 年)。河川附近地制限令事件は、29 条 3 項を直接の根拠に補償を請求できる余地があるので法律は違憲でないとした(無罪にしたのではない)。土地収用法事件は完全な補償(代替地を取得できる価格)を要するとし、相当補償でよいとした農地改革事件と結論の方向が違う。
- ウ 31 条は文言上「法律の定める手続」としか書いていないが、手続の適正(告知と聴聞の機会など)や、罪刑法定主義とその内容の適正まで保障に含まれると解されている 31 条は「手続の法定・手続の適正・実体の法定・実体の適正」の 4 つを含むと読むのが通説・判例。条例の罰則は、条例が住民の代表機関の制定する自主法であることから、法律の授権が相当な程度に具体的で限定されていれば足りる(大阪市売春取締条例事件・zh-10)。成田新法事件は 31 条の保障が行政手続にも及ぶと解すべき場合があるとした。第三者所有物没収事件は被告人による違憲の主張を認めた。18 条は「犯罪による処罰の場合を除いて」意に反する苦役を禁じており、奴隷的拘束の禁止だけが絶対的。
発展
- ウ 酒類販売業の免許制について、最高裁は租税の適正かつ確実な賦課徴収という財政目的の規制ととらえ、消極目的・積極目的のいずれにも当てはめずに立法府の広い裁量を認めて合憲とした 酒類販売免許制事件(最判平成 4 年 12 月 15 日)。積極目的の審査のほうが緩やか。薬事法事件は許可制という強い規制であることも重視した。財政目的など二分論に当てはまらない規制もある。
- undefined 刑罰と追徴税(加算税)を併科することは、追徴税が制裁的な意義をもつとしても刑罰とは性質を異にするため、39 条の二重処罰の禁止に反しない 最大判昭和 33 年 4 月 30 日。死刑は残虐な刑罰にあたらない(最大判昭和 23 年)。緊急逮捕は合憲(最大判昭和 30 年)。公判廷の自白は 38 条 3 項の自白に含まれない(最大判昭和 23 年 7 月 29 日)。接見指定制度は合憲(最大判平成 11 年)。
- ウ 法律で、不良医薬品の供給を防ぐという目的から、薬局の新規開設に既存の薬局からの距離制限を課す 薬事法距離制限事件(最大判昭和 50 年)で違憲とされた類型。他は小売市場事件・奈良県ため池条例事件・酒類販売免許制事件・証券取引法事件でいずれも合憲。
- ウ 35 条・38 条の保障は刑事手続以外にも及びうるが、所得税法の質問検査は刑事責任の追及を直接の目的とせず、実質上も刑事責任追及のための資料収集に直結せず、強制の程度も間接的であるため、令状なしの検査と検査拒否への罰則は合憲である 行政手続にも 35 条・38 条が及びうることを認めた点と、本件では合憲とした結論の両方を押さえる。成田新法事件(31 条)と対にして覚える。
- エ 国が、ダムの建設のために特定の人の所有する土地を収用する 補償が必要なのは、特定の人に「特別の犠牲」を課す場合。公共事業のための土地収用はその典型で、土地収用法が補償を定めている。ため池条例(内在する制約・補償不要)、感染症予防のための消毒・廃棄、建築規制(防火)はいずれも社会生活上当然に受忍すべき一般的な制約で、通説は補償不要とする。インサイダー取引規制(最大判平成 14 年)は財産権の規制として合憲とされたもので、補償の問題ではない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zh-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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