社会権・参政権・国務請求権 ── 問題
基礎
- 社会権・参政権・国務請求権に関する判例について、旭川学力テスト事件(最大判昭和 51 年)の判断として妥当なものはどれですか。 (ア 普通教育の教師にも大学の教員と同じように完全な教授の自由が認められ、学力テストは違法である イ 国は必要かつ相当と認められる範囲で教育内容を決定できるが、普通教育の教師に完全な教授の自由は認められない ウ 全国一斉学力テストは教育への不当な支配にあたり、これを阻止した教員の行為は正当行為として無罪になる エ 教育内容を決定する権能はもっぱら親と教師の側にあり、国は教育の条件整備以外に教育内容へ介入できない undefined 教育内容を決定する権能はもっぱら国にあり、普通教育の教師には教授の自由がいっさい認められない)
- 日本国憲法第 15 条が保障している権利として正しいものはどれですか。 (ア 教育を受ける権利 イ 国家賠償請求権 ウ 請願権 エ 公務員の選定罷免権 undefined 生存権)
- 憲法 26 条 2 項の「義務教育は、これを無償とする」の意味について、最高裁判所の判例の立場として妥当なものはどれですか。 (ア 無償の範囲は法律で自由に決められ、授業料を徴収することも憲法上は許される イ 無償とするかどうかは各地方公共団体の条例に委ねられている ウ 授業料・教科書代・給食費・学用品費など就学に必要な費用のすべてを無償にすることを意味する エ 授業料を徴収しないことを意味し、教科書代などまで無償にすることを憲法が要求しているわけではない undefined 授業料と教科書代を無償にすることを意味し、教科書無償は憲法上の要請である)
- 憲法 28 条が保障する労働基本権に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働基本権は公務員には保障されないというのが憲法の明文の規定である イ 勤労の権利と労働三権の 4 つを内容とし、いずれも国に対してのみ主張できる ウ 団結権・団体交渉権・団体行動権の 3 つを内容とし、団体行動権にはストライキなどの争議権が含まれる エ 労働基本権は国に対する自由権にすぎず、使用者との関係には適用されない undefined 団結権・団体交渉権・団体行動権の 3 つを内容とするが、ストライキは 28 条の保障の外にある)
- 社会権の性格に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国家に一定の行為を請求する権利であり、請願権や裁判を受ける権利がこれにあたる イ 国家の干渉を排除して個人の自由を確保する権利であり、18 世紀の市民革命期の人権宣言で確立した ウ 国政に参加する権利であり、選挙権と被選挙権を中心とする エ 国家による積極的な配慮や給付を求める権利であり、20 世紀のワイマール憲法(1919 年)で初めて本格的に規定された undefined 国家からの自由と国家による自由の両方の性格をもたない、純粋に私人間の権利である)
標準
- 生存権(憲法 25 条)の法的性格をめぐる学説のうち、抽象的権利説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 25 条は国の政治的・道義的な目標を宣言したものにすぎず、国民は 25 条を根拠に裁判で権利を主張できない イ 25 条の権利は法律がなくても具体的な権利であり、国が立法を怠っているときは立法不作為の違憲確認を裁判で求めることができる ウ 25 条は私人間にも直接に適用され、国民は使用者や企業に対しても最低限度の生活の保障を裁判で請求できる エ 25 条の権利は法律によって具体化されてはじめて裁判で主張でき、法律がある場合にはその法律と一体で 25 条違反を主張できる undefined 25 条を根拠に、国民は法律がなくても具体的な金額の給付を国に対して直接に裁判で請求することができる)
- 労働基本権(憲法 28 条)の保障の範囲について、法律上、公立学校の教員に認められている権利の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 団結権・団体交渉権・団体行動権のすべてが認められる イ 団結権のみ認められ、団体交渉権と団体行動権は認められない ウ 団結権と団体交渉権(労働協約を締結する権利を含む)は認められるが、団体行動権は認められない エ 団結権・団体交渉権・団体行動権のいずれも認められない undefined 団結権と団体交渉権は認められるが、労働協約を締結する権利と団体行動権は認められない)
- 請願権(憲法 16 条)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 請願を受けた官公署は、これを受理して誠実に処理する義務を負うが、請願の内容に回答したり採択したりする義務はない イ 請願を受けた官公署は、一定期間内に請願者に対して書面で回答する義務を負う ウ 請願をしたことを理由に不利益な扱いを受けても、それを禁止する法律の規定はない エ 請願は国会と地方議会に対してのみ行うことができ、行政機関に対しては行えない undefined 請願権は参政権の一種なので、選挙権をもたない未成年者や外国人には認められない)
- 刑事補償請求権(憲法 40 条)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 有罪判決が確定した後に再審で無罪になった者は、刑事補償の対象にならない イ 抑留または拘禁された後に無罪の裁判を受けた者が、法律の定めるところにより国に補償を求める権利である ウ 無罪の裁判を受けた者であれば、抑留・拘禁されていなくても弁護士費用などの補償を求めることができる エ 刑事補償を受けるには、捜査機関に故意または過失があったことを証明しなければならない undefined 抑留または拘禁された後に不起訴処分を受けた者が、憲法 40 条を直接の根拠として国に補償を求める権利である)
- 衆議院議員の定数配分の不均衡(一票の較差)に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 最高裁判所は投票価値の平等を憲法上の要請とは認めず、較差の大きさは司法審査の対象外としている イ 昭和 51 年の大法廷判決は較差約 4.99 倍の定数配分を違憲状態としたが、合理的期間内であるとして違憲とはしなかった ウ 定数配分は国会の立法裁量に属するので、最高裁判所はこれまで衆議院の定数配分を違憲と判断したことがない エ 昭和 51 年の大法廷判決は較差約 4.99 倍の定数配分を違憲としたが、事情判決の法理により選挙自体は無効とせず、違法を宣言するにとどめた undefined 昭和 51 年の大法廷判決は較差約 4.99 倍の定数配分を違憲とし、当該選挙を無効として再選挙を命じた)
- 選挙に関する法律の規制について、最高裁判所の判例の立場として妥当なものはどれですか。 (ア 連座制は、候補者本人に責任のない行為によって当選を無効にするものであり、違憲である イ 選挙権の年齢を 18 歳以上と定めることは、成年者による普通選挙を定めた 15 条 3 項に違反する ウ 在外国民に選挙区選挙の投票を認めないことは、選挙の公正を保つためのやむを得ない制限であり、合憲である エ 戸別訪問の禁止は、有権者が候補者から直接に情報を得る機会を奪うものであり、違憲である undefined 戸別訪問の禁止は、買収など弊害の防止という目的のための合理的な手段であり、合憲である)
- 生活保護に関する記述として、最高裁判所の判例の立場から妥当なものはどれですか。 (ア 外国人にも生活保護法に基づく受給権が法律上認められている イ 生活保護基準の当否は裁判所が全面的に審査でき、行政庁の裁量の余地はない ウ 生活保護の受給権は受給者本人に専属する一身専属の権利であり、相続の対象にならない エ 生活保護の基準は 25 条から直接に導かれるので、法律や告示による具体化は不要である undefined 生活保護の受給権は財産権の一種であり、受給者が死亡すれば相続人が引き継ぐ)
発展
- 公務員の労働基本権の制限に関する最高裁判所の判例の流れとして妥当なものはどれですか。 (ア 都教組事件で「二重のしぼり」による限定解釈を採用し、その立場は全農林警職法事件でも維持された イ 全農林警職法事件は国家公務員についての判断であり、地方公務員については現在も限定解釈の立場が維持されている ウ 全逓東京中郵事件で制限を必要最小限度とし処罰規定を限定解釈したが、全農林警職法事件で判例を変更し、争議行為の一律禁止を合憲とした エ 全農林警職法事件で争議行為の一律禁止を合憲としたが、その後の全逓東京中郵事件で判例を変更し、処罰規定を限定解釈するようになった undefined 全逓東京中郵事件で争議行為の一律禁止を合憲とし、その立場は現在まで変更されていない)
- 裁判を受ける権利(憲法 32 条)と裁判の公開(82 条)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 32 条の裁判を受ける権利は、すべての事件について公開の法廷での対審と判決を保障するので、非公開の家事審判は違憲である イ 行政機関が終審として裁判を行うことは、32 条の裁判を受ける権利を侵害しないので許される ウ 32 条は、当事者が希望する特定の裁判所で裁判を受ける権利を保障している エ 権利義務の存否を確定する純然たる訴訟事件は公開の法廷で審理される必要があるが、家事審判のような非訟事件は公開の対審によらなくてもよい undefined 訴訟費用の負担や出訴期間の制限は、裁判所へのアクセスを妨げるものとして 32 条に違反する)
- 三井美唄炭鉱労組事件(最大判昭和 43 年)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 被選挙権は 44 条によって法律で自由に制限できるので、労働組合の処分の当否は司法審査の対象外である イ 労働組合には組合員に対する統制権がいっさい認められないので、立候補を思いとどまるよう説得することも違法である ウ 立候補の自由は 15 条 1 項の保障が及ぶ重要な権利であり、労働組合が組合員に立候補の取りやめを要求し、従わない者を処分することは統制権の限界を超える エ 立候補の自由は憲法上の権利ではないので、労働組合が組合員の立候補を組合の決定で禁止することも統制権の範囲内である undefined 労働組合が統一候補を決めた場合、組合員は 28 条の団結権に基づいて独自の立候補を控える義務を負う)
社会権・参政権・国務請求権 ── 解答
基礎
- イ 国は必要かつ相当と認められる範囲で教育内容を決定できるが、普通教育の教師に完全な教授の自由は認められない 旭川学力テスト事件(最大判昭和 51 年 5 月 21 日・1976 年)。国家教育権説・国民教育権説のどちらも極端として退け、親・教師・国のそれぞれに一定の権能を認めた。
- エ 公務員の選定罷免権 第 15 条は公務員の選定罷免権を保障している。国務請求権は 16 条(請願)・17 条(国家賠償)・32 条(裁判を受ける権利)・40 条(刑事補償)、社会権は 25 条(生存権)・26 条(教育)・27 条(勤労)・28 条(労働基本権)、参政権は 15 条。
- エ 授業料を徴収しないことを意味し、教科書代などまで無償にすることを憲法が要求しているわけではない 最大判昭和 39 年(1964 年)。無償とは授業料の不徴収の意味。教科書は教科書無償措置法という法律によって無償になっている。
- ウ 団結権・団体交渉権・団体行動権の 3 つを内容とし、団体行動権にはストライキなどの争議権が含まれる 正当な争議行為には刑事免責・民事免責が認められる。28 条は私人間(使用者との関係)にも直接適用されると解されている。公務員の制限は法律によるもので、憲法の明文にはない。
- エ 国家による積極的な配慮や給付を求める権利であり、20 世紀のワイマール憲法(1919 年)で初めて本格的に規定された 社会権は「国家による自由」。自由権は「国家からの自由」、参政権は「国家への自由」、国務請求権は人権を確保するための権利。ワイマール憲法 151 条の「人間に値する生活」が社会権規定の代表例。
標準
- エ 25 条の権利は法律によって具体化されてはじめて裁判で主張でき、法律がある場合にはその法律と一体で 25 条違反を主張できる 抽象的権利説:25 条の権利は法律によって具体化されてはじめて裁判で主張でき、法律がある場合にはその法律と一体で 25 条違反を主張できる。判例(朝日訴訟・堀木訴訟)は 25 条を直接の根拠とする具体的請求権を否定し、通説は抽象的権利説とされる。
- undefined 団結権と団体交渉権は認められるが、労働協約を締結する権利と団体行動権は認められない 公立学校の教員は、団結権と団体交渉権は認められるが、労働協約を締結する権利と団体行動権は認められない。警察・消防・自衛隊・海上保安庁・刑事施設の職員は三権すべてが制限され、一般の公務員は争議行為が禁止される(全農林警職法事件で合憲)。現業の公務員は労働協約を結べるが争議行為はできない。
- ア 請願を受けた官公署は、これを受理して誠実に処理する義務を負うが、請願の内容に回答したり採択したりする義務はない 請願法 5 条は「受理し誠実に処理しなければならない」と定めるが、回答義務は課していない。請願は誰でも(未成年者・外国人も)、国・地方公共団体のあらゆる機関に対してできる。請願を理由とする差別待遇は 16 条が禁止している。
- イ 抑留または拘禁された後に無罪の裁判を受けた者が、法律の定めるところにより国に補償を求める権利である 40 条は抑留・拘禁と無罪の裁判の両方が要件。故意・過失は不要(国家賠償請求権とは別の制度で、両方を請求することもできる)。不起訴の場合は法務省の被疑者補償規程による。再審無罪も対象になる。
- エ 昭和 51 年の大法廷判決は較差約 4.99 倍の定数配分を違憲としたが、事情判決の法理により選挙自体は無効とせず、違法を宣言するにとどめた 最大判昭和 51 年 4 月 14 日(1976 年)。投票価値の平等は 14 条の要請。行政事件訴訟法 31 条の事情判決の考え方を借りて選挙を有効とした。昭和 60 年(約 4.40 倍)も同じ。「違憲状態」判決は平成に入ってからの衆院・参院の判決に多い。
- undefined 戸別訪問の禁止は、買収など弊害の防止という目的のための合理的な手段であり、合憲である 戸別訪問禁止は最判昭和 56 年(1981 年)で合憲。連座制も合憲(最判平成 9 年)。在外選挙権の制限は違憲(最大判平成 17 年)。選挙権年齢の 18 歳への引き下げは 2015 年の公職選挙法改正(2016 年施行)で、成年年齢とは別に法律で定められる。
- ウ 生活保護の受給権は受給者本人に専属する一身専属の権利であり、相続の対象にならない 朝日訴訟(最大判昭和 42 年)で受給権の一身専属性が述べられた。外国人については、生活保護法上の受給権はなく、行政措置としての保護にとどまるとされた(最判平成 26 年)。
発展
- ウ 全逓東京中郵事件で制限を必要最小限度とし処罰規定を限定解釈したが、全農林警職法事件で判例を変更し、争議行為の一律禁止を合憲とした 全逓東京中郵(昭和 41 年)→ 都教組(昭和 44 年、二重のしぼり)→ 全農林警職法(昭和 48 年、判例変更・一律禁止合憲)。地方公務員についても岩手教組学テ事件(昭和 51 年)で全農林の立場が確認された。
- エ 権利義務の存否を確定する純然たる訴訟事件は公開の法廷で審理される必要があるが、家事審判のような非訟事件は公開の対審によらなくてもよい 最大決昭和 35 年(1960 年)・最大決昭和 40 年(1965 年)。32 条の「裁判所」は憲法上の裁判所を指し、特定の裁判所を選ぶ権利までは含まない。行政機関の終審裁判は 76 条 2 項が禁止している(前審としてなら可)。
- ウ 立候補の自由は 15 条 1 項の保障が及ぶ重要な権利であり、労働組合が組合員に立候補の取りやめを要求し、従わない者を処分することは統制権の限界を超える 組合は統一候補を立て、組合員に説得・勧告することまでは許されるが、それを超える処分は違法。被選挙権(立候補の自由)に憲法の明文はないが、15 条 1 項の保障が及ぶとした。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zh-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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