内閣 ── 問題
基礎
- 内閣の組織について、国務大臣の任命(68 条 1 項)に関する説明として正しいものはどれですか。 (ア 内閣総理大臣が任命し、その全員が国会議員でなければならない イ 内閣総理大臣が任命し、その過半数は衆議院議員の中から選ばなければならない ウ 国会が指名し、天皇が任命する。その 3 分の 2 以上は国会議員でなければならない エ 内閣総理大臣が任命し、その過半数は国会議員の中から選ばなければならない undefined 内閣総理大臣が任命し、国会議員である必要はないが、衆議院の同意が必要である)
- 「法律および政令への連署」は、憲法上、誰の権限として定められていますか。 (ア 内閣総理大臣 イ 主任の国務大臣のみ ウ 天皇 エ 内閣官房長官 undefined 国会の議長)
- 憲法 65 条の「行政権」に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 行政権が内閣に属するとは、内閣総理大臣が単独ですべての行政事務を決定することを意味する イ 65 条は「すべて行政権は内閣に属する」と定めているため、内閣の指揮監督を受けない行政機関を法律で設けることは一切許されない ウ 通説は、行政とは国家作用のうち立法と司法を除いた残りのすべてであるとする控除説をとっており、行政作用の取りこぼしを防げることなどが理由とされる エ 65 条の行政権には、法律を執行する作用だけでなく、国会の権能である法律の制定も含まれる undefined 通説は、行政とは法律を執行する作用に限られるとする積極説をとっており、法律の根拠のない活動は行政に含まれない)
- 内閣総理大臣の権限に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務および外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監督する イ 内閣総理大臣は、最高裁判所の長官を任命し、その他の裁判官を指名する ウ 内閣総理大臣は、国会の承認を得ることなく単独で条約を締結し、また政令を制定することができる エ 内閣総理大臣は、国務大臣を任命するには国会の同意を、罷免するには衆議院の同意を得なければならない undefined 内閣総理大臣は、衆議院の解散を単独で決定することができ、閣議の決定を要しない)
- 内閣の総辞職に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 衆議院で内閣不信任決議案が可決されたときは、内閣は解散の有無にかかわらず直ちに総辞職しなければならない イ 参議院議員通常選挙の後に初めて国会の召集があったときも、内閣は総辞職しなければならない ウ 内閣が総辞職したときは、新たな内閣総理大臣が指名されるまで、衆議院議長が内閣総理大臣の職務を行う エ 衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣はその総選挙が解散によるものか任期満了によるものかを問わず総辞職しなければならない undefined 衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、その総選挙が衆議院の解散によるものである場合に限り内閣は総辞職しなければならず、任期満了による総選挙の後は総辞職の必要がない)
標準
- 内閣の権限と議院内閣制について、総辞職後の内閣の職務(71 条)に関する説明として正しいものはどれですか。 (ア 総辞職した内閣は、最高裁判所長官の指名により職務代行者が定められるまで職務を行う イ 総辞職した内閣は、閣議決定により職務を継続するかどうかを自ら決めることができる ウ 総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う エ 総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が指名されるまで引き続き職務を行うが、指名後は任命前でも職務を行えない undefined 総辞職した内閣は直ちに職務を失い、新内閣が成立するまで衆議院議長が行政権を代行する)
- 次の事例について、憲法の定めや判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。衆議院で内閣不信任決議案が可決されていないにもかかわらず、内閣が 7 条 3 号に基づき衆議院を解散した。この解散の効力について裁判所はどう扱うか。 (ア 解散は法律上の争訟にあたらないため、裁判所は訴えを却下し、一切の判断を示さない イ 7 条 3 号は内閣に解散権を与える規定であるため、裁判所は解散を有効と判断する ウ 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、その有効無効の判断は裁判所の審査権の外にあるとして、判断しない エ 憲法が解散について定めるのは 69 条のみであり、不信任決議がない解散は憲法上の根拠を欠くため、裁判所は解散を無効と判断し、解散によって議員の地位を失った者の歳費請求を認める undefined 解散の効力は選挙の結果によって事後的に確定するため、裁判所は総選挙の後に有効無効を判断する)
- 独立行政委員会に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 独立行政委員会は内閣の指揮監督を受けず、その職務について内閣が国会に責任を負うことができないため、65 条および 66 条 3 項に反して違憲であるとするのが通説であり、最高裁も人事院の設置を違憲と判断したことがある イ 独立行政委員会は行政機関であるため、その審決は終審として確定し、裁判所に出訴することはできない ウ 人事院や公正取引委員会のように内閣から独立して職務を行う行政機関は、65 条が行政のすべてを内閣に独占させる趣旨ではないことや、国会による民主的統制が及んでいることなどを理由に、合憲とするのが通説である エ 独立行政委員会は内閣から完全に独立しており、内閣は委員の任命にも予算の編成にも関与できない undefined 独立行政委員会が規則を制定することは国会中心立法の原則に反するため、法律の委任があっても許されない)
- 憲法 73 条が定める内閣の事務に含まれないものはどれですか。 (ア 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること イ 予算を作成して国会に提出すること ウ 法律を誠実に執行し、国務を総理すること エ 大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除および復権を決定すること undefined 最高裁判所長官の指名)
- 議院内閣制に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 議院内閣制の下では、内閣は衆議院と参議院の双方から不信任決議を受ける可能性があり、いずれの場合も 10 日以内に当該議院を解散しなければ総辞職しなければならない イ 議院内閣制とは、行政府の長を国民が直接選挙で選び、行政府が議会の信任に依存せず議会から独立して活動する制度であり、日本国憲法は内閣総理大臣の指名を国会に委ねつつもこの制度を採用している ウ 議院内閣制の本質について、内閣が議会に責任を負う点に本質があるとする均衡本質説と、解散権による議会との均衡に本質があるとする責任本質説がある エ 日本国憲法が議院内閣制を採用している根拠として、内閣の国会に対する連帯責任(66 条 3 項)、国会による内閣総理大臣の指名(67 条)、国務大臣の過半数が国会議員であること(68 条)、衆議院の不信任決議と解散(69 条)などが挙げられる undefined 議院内閣制の下では、内閣は国会に対して責任を負うため、国会は内閣の個々の行政処分を直接取り消すことができる)
- 衆議院の解散に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 通説・実務は、天皇の国事行為である解散(7 条 3 号)について内閣が助言と承認を行うことから、解散の実質的決定権は内閣にあり、69 条の不信任決議があった場合に限らず解散できるとする イ 69 条限定説によれば、内閣は不信任決議の有無にかかわらず、いつでも自由に衆議院を解散できる ウ 苫米地事件で最高裁は、69 条によらない解散は憲法上の根拠を欠くため無効であると判断した エ 解散権の根拠を 7 条に求める説によれば、天皇が自らの判断で衆議院を解散することができる undefined 憲法には内閣の解散権を正面から定めた条文があり、衆議院で不信任の決議案が可決されるか信任の決議案が否決された場合に限って内閣が解散できることが 69 条に明文で定められている)
発展
- 苫米地事件(最大判昭和 35 年)で最高裁判所が示した内容として妥当なものはどれですか。 (ア 衆議院の解散は高度に政治性のある国家行為であるため、一見きわめて明白に違憲無効と認められない限り裁判所の審査になじまないとしたうえで、本件の解散はこれにあたらないとして解散を有効と判断し、歳費の請求を棄却した イ 衆議院の解散は法律上の争訟にあたらないため、訴えは不適法であるとして却下した ウ 衆議院の解散の効力は裁判所が審査できるとしたうえで、7 条 3 号を根拠に内閣に解散権があるとして本件の解散を有効と判断した エ 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、法律上の争訟として有効無効の判断が法律上可能であっても裁判所の審査権の外にあり、その判断は政治部門と最終的には国民の政治判断に委ねられる undefined 衆議院の解散は 69 条の不信任決議があった場合に限られるため、本件の解散は違憲無効であるが、事情判決の法理により選挙の効力は維持されるとした)
- ロッキード事件丸紅ルート(最大判平成 7 年)で最高裁判所が内閣総理大臣の職務権限について示した内容として妥当なものはどれですか。 (ア 内閣総理大臣の職務権限は憲法 72 条に列挙された事項に限られ、民間企業に関わる事項への関与は一切職務権限に含まれない イ 内閣総理大臣は行政各部を直接指揮監督する権限をもたず、各省大臣を通じてのみ行政に関与できるため、運輸大臣への働きかけは職務権限に属しない ウ 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合でも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導・助言等の指示を与える権限をもつ エ 内閣総理大臣の行政各部への指示は、事前に国会の承認を得た場合に限って職務権限に属する undefined 内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督は、内閣法 6 条のとおり閣議にかけて決定した方針に基づいて行うものに限られるため、閣議決定のない事項について運輸大臣に働きかけを行うことは、指導・助言の形をとっても職務権限に属しない)
- 内閣に関する説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 内閣は、天皇の国事行為について助言と承認を行い、その責任を負う イ 内閣は、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる ウ 閣議の議決は慣行上全員一致によるものとされ、内閣総理大臣は閣議を主宰する エ 国務大臣は在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されず、退任後も当該犯罪について訴追されることはない undefined 内閣総理大臣は国会議員の中から指名されるため、参議院議員が内閣総理大臣に指名されることも憲法上は可能である)
- 次の記述のうち、憲法または内閣法の定めに照らして正しいものはどれですか。 (ア 内閣総理大臣の臨時代理は、内閣総理大臣と同一の権限をもつため、国務大臣の罷免や衆議院の解散を自らの判断で行うことができる イ 国務大臣の過半数が国会議員でなくなったときは、「内閣総理大臣が欠けたとき」に準じて、内閣は直ちに総辞職しなければならない ウ 内閣総理大臣が病気のため一時的に職務を行えないときは、あらかじめ指定された国務大臣が臨時にその職務を行い、内閣は総辞職しない エ 内閣総理大臣が国会議員を辞職したときも、次の国会の召集までは内閣総理大臣の地位にとどまることができる undefined 内閣総理大臣が病気のため一時的に職務を行えないときは、「内閣総理大臣が欠けたとき」にあたるため、内閣は総辞職しなければならない)
内閣 ── 解答
基礎
- エ 内閣総理大臣が任命し、その過半数は国会議員の中から選ばなければならない 内閣総理大臣が任命し、その過半数は国会議員の中から選ばなければならない。内閣の組織は「首長・文民・過半数・任意罷免」の 4 語で 66 条〜68 条を思い出す。
- ア 内閣総理大臣 法律および政令への連署は内閣総理大臣の権限。首相の権限は「任免(68 条)・議案提出・報告・指揮監督(72 条)・連署(74 条)・訴追同意(75 条)」、内閣の権限は 73 条と 6 条 2 項(最高裁長官の指名)など。
- ウ 通説は、行政とは国家作用のうち立法と司法を除いた残りのすべてであるとする控除説をとっており、行政作用の取りこぼしを防げることなどが理由とされる 控除説。65 条には 41 条の「唯一」や 76 条の「すべて」に相当する語がなく、独立行政委員会を認める根拠の一つとされる。
- ア 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務および外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監督する 72 条。最高裁長官は内閣が指名し天皇が任命、その他の裁判官は内閣が任命(6 条 2 項・79 条・80 条)。条約締結・政令制定は内閣の権限(73 条)。解散は閣議決定を経て 7 条の助言と承認により行う。大臣の任免に国会の同意は不要。
- エ 衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣はその総選挙が解散によるものか任期満了によるものかを問わず総辞職しなければならない 70 条後段。参議院の通常選挙は総辞職の理由にならない。総辞職後は新首相の任命まで従前の内閣が職務を行う(71 条)。不信任決議には 10 日以内の解散で対抗できる(69 条)。
標準
- ウ 総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う 総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。総辞職は「不信任 10 日・首相欠缺・総選挙後初の召集」の 3 つ。
- ウ 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、その有効無効の判断は裁判所の審査権の外にあるとして、判断しない 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、その有効無効の判断は裁判所の審査権の外にあるとして、判断しない。対応する判例・条文:ロッキード事件丸紅ルート(最大判平成 7 年)・67 条と 70 条・内閣法の臨時代理・69 条・苫米地事件(最大判昭和 35 年)。
- ウ 人事院や公正取引委員会のように内閣から独立して職務を行う行政機関は、65 条が行政のすべてを内閣に独占させる趣旨ではないことや、国会による民主的統制が及んでいることなどを理由に、合憲とするのが通説である 内閣は委員の任命権・予算編成権を通じて一定の統制を保ち、委員任命に国会の同意が必要とされるなど国会の統制も及ぶ。審決には裁判所への出訴が認められる(76 条 2 項後段)。
- undefined 最高裁判所長官の指名 最高裁長官の指名は 6 条 2 項に定められた内閣の権限で、73 条の列挙には含まれない。73 条は執行・外交・条約・官吏・予算・政令・恩赦の 7 号。
- エ 日本国憲法が議院内閣制を採用している根拠として、内閣の国会に対する連帯責任(66 条 3 項)、国会による内閣総理大臣の指名(67 条)、国務大臣の過半数が国会議員であること(68 条)、衆議院の不信任決議と解散(69 条)などが挙げられる 行政府の長を国民が直接選ぶのは大統領制。責任本質説と均衡本質説の説明が入れかわっている肢に注意。不信任決議は衆議院のみで、参議院に解散はない。
- ア 通説・実務は、天皇の国事行為である解散(7 条 3 号)について内閣が助言と承認を行うことから、解散の実質的決定権は内閣にあり、69 条の不信任決議があった場合に限らず解散できるとする 7 条説が通説・実務。天皇は国政に関する権能をもたないので実質的決定権は内閣にある。苫米地事件(最大判昭和 35 年)は統治行為論により有効無効の判断をしなかった。
発展
- エ 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、法律上の争訟として有効無効の判断が法律上可能であっても裁判所の審査権の外にあり、その判断は政治部門と最終的には国民の政治判断に委ねられる 統治行為論。砂川事件の「一見きわめて明白に違憲無効」という留保をつけていない点が特徴。訴え自体は法律上の争訟であることを前提にしつつ、審査権の外にあるとした。
- ウ 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合でも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導・助言等の指示を与える権限をもつ 72 条の「指揮監督」を、内閣法 6 条の「閣議にかけて決定した方針に基づく」指揮監督より広くとらえ、指導・助言等の指示も職務権限に含めた。
- エ 国務大臣は在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されず、退任後も当該犯罪について訴追されることはない 75 条ただし書は「訴追の権利は、害されない」と定めており、在任中は時効が停止し、退任後は訴追できる。他の肢は 67 条・内閣法・3 条・87 条のとおり。
- ウ 内閣総理大臣が病気のため一時的に職務を行えないときは、あらかじめ指定された国務大臣が臨時にその職務を行い、内閣は総辞職しない 内閣法 9 条の臨時代理。大臣の過半数要件を欠いた場合は新たに国会議員を任命して回復すればよい。臨時代理は大臣の罷免・解散など首相の一身専属的な権限は行使できないと解されている。首相が議員を辞職すれば「内閣総理大臣が欠けたとき」にあたり、70 条により総辞職。
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