総則④(時効・条件と期限) ── 問題
基礎
- A は B に対する売買代金債権を有しているが、A は自分がこの債権を行使できることを知らないまま時が過ぎている。この債権について、権利を行使できる時(客観的起算点)から数える。この権利の消滅時効は、起算点から原則として何年で完成しますか。 (ア 5 年 イ 2 年 ウ 20 年 エ 10 年 undefined 3 年)
- 次の法律行為の効力について、民法の規定として妥当なものはどれですか。── A は B に「海の海水がすべてなくなったらこの贈与をなかったことにする」という約束で自分の絵画を贈与した。 (ア 条件の成否が確定するまで効力が生じない イ 無条件の法律行為として有効である ウ 無効である エ 条件付きの法律行為として有効である undefined 相手方が承諾すれば有効となる)
- 取得時効に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 他人の物を賃借して 20 年間占有を続けた者は、賃借人であっても取得時効によりその所有権を取得する イ 取得時効の対象となるのは所有権に限られ、地上権や地役権を時効によって取得することはできない ウ 占有者の善意・無過失は、時効の期間中ずっと継続していることが必要である エ 10 年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に善意であれば、過失があってもその所有権を取得する undefined 20 年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する)
- 消滅時効の期間に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 所有権は、20 年間行使しないときは時効によって消滅する イ 債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から 5 年間、または権利を行使することができる時から 10 年間行使しないときに時効によって消滅する ウ 人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、他の債権と同じく、権利を行使することができる時から 10 年で消滅する エ 確定判決によって確定した権利の消滅時効期間は、その確定の時から 5 年である undefined 債権は、権利を行使することができる時から 10 年間行使しないときに時効によって消滅し、債権者が権利を行使できることを知っていたかどうかは期間に影響しない)
- 期限に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 債務者が破産手続開始の決定を受けても、債権者が期限の利益の喪失を通知するまでは、債務者は期限の利益を主張することができる イ 債務者は、期限の利益を放棄することができるが、それによって相手方の利益を害する場合であっても、相手方に損害を賠償する必要はない ウ 期限は債権者の利益のために定めたものと推定される エ 法律行為に不確定期限を付したときは、その法律行為の効力は期限が到来したことを債務者が知った時から生じる undefined 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたときは、債務者は期限の利益を主張することができない)
標準
- B は、他人 D の所有する土地を、自分の土地だと信じ、そう信じたことに過失なく所有の意思をもって平穏・公然に 5 年間占有した後、この土地を C に売却して引き渡した。C は他人の土地であることを知りながら所有の意思をもって平穏・公然に 1 年間占有を続けている。C が取得時効を援用して所有権を取得できるようになるまで、あと最短で何年必要ですか。 (ア 19 年 イ 14 年 ウ 4 年 エ 15 年 undefined 9 年)
- A は B に対して貸金債権を有しており、その消滅時効の完成が近づいている。このとき、A は B の財産について仮差押えをした。この出来事が時効に与える影響について、民法の規定として妥当なものはどれですか。 (ア 取下げの時から 6 か月間は時効が完成しないが、時効は更新されない イ 仮差押えの手続が終了した時から 6 か月間は時効が完成しないが、時効は更新されない ウ 催告の時から 6 か月間は時効が完成しないが、時効は更新されない エ 時効が更新され、判決確定の時から新たに 10 年の時効が進行を始める undefined 時効が更新され、その時から新たに時効が進行を始める)
- 占有と取得時効に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 所有の意思の有無は占有者の内心によって決まるため、賃借人であっても自分の物と思って占有していれば自主占有となる イ 他主占有者が自主占有者になるには、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示すれば足りず、常に新たな権原によって占有を始めなければならない ウ 占有者は所有の意思をもって、善意・無過失で、平穏に、かつ、公然と占有するものと推定される エ 自己の所有物については、すでに所有権をもっている以上、取得時効を援用することはできない undefined 占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有するものと推定されるが、無過失は推定されない)
- 占有の承継と取得時効に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 前主の占有を合わせて主張する場合、前主の占有の瑕疵は承継されないため、前主が悪意でも承継人が善意無過失であれば 10 年で時効が完成する イ 前主の占有を合わせて時効を主張する場合、善意・無過失の有無は最初の占有者の占有開始時について判断する ウ 前主の占有を合わせて時効を主張する場合、善意・無過失の有無は承継人自身の占有開始時について判断する エ 占有の承継人は、前主の占有を合わせて主張しなければならず、自己の占有のみを主張することはできない undefined 相続人は被相続人の占有を承継するが、相続は新たな権原にあたらないため、被相続人の占有が他主占有であれば相続人の占有が自主占有になることはない)
- 消滅時効の起算点に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 確定期限のある債権の消滅時効の客観的起算点は、契約が成立した時である イ 期限の定めのない債権の消滅時効の客観的起算点は、債権が成立した時である ウ 停止条件付きの債権の消滅時効の客観的起算点は、条件の成否にかかわらず、契約が成立した時である エ 不確定期限のある債権の消滅時効の客観的起算点は、債権者が期限の到来を知った時である undefined 期限の定めのない債権の消滅時効の客観的起算点は、債権者が履行を請求した時である)
- 条件に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、公序良俗に反する行為を抑止するものであるため有効である イ 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時から効力を生じ、当事者の意思にかかわらず、その効力を条件成就前にさかのぼらせることはできない ウ 条件付きの権利は、条件の成否が未定である間は、処分し、相続し、または担保に供することができない エ 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる undefined 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときであっても、条件は成就したものとして扱われる)
発展
- 時効の援用に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 保証人は、主たる債務者が援用しない限り、主たる債務の消滅時効を援用することができない イ 時効は、当事者が援用しなくても、期間の経過によって当然に効力を生じ、裁判所は職権でこれを考慮しなければならない ウ 抵当不動産の第三取得者は、抵当権設定者から不動産を取得したにすぎないため、被担保債権の消滅時効を援用することができない エ 物上保証人は、自らは債務を負っていないため、被担保債権の消滅時効を援用することができない undefined 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない)
- 時効利益の放棄および時効完成後の債務の承認に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 消滅時効の完成後に、債務者が時効の完成を知らずに債務を承認した場合、時効の利益を放棄したものと推定され、以後は援用できない イ 主たる債務者が時効の利益を放棄した場合、保証人も主たる債務の消滅時効を援用することができなくなる ウ 時効完成後に債務を承認した債務者は、その後に再び時効期間が経過しても、時効を援用することはできない エ 消滅時効の完成後に、債務者が時効の完成を知らずに債務を承認した場合、その後に債務者がその時効を援用することは信義則上許されない undefined 時効の利益は、時効の完成前であっても、当事者の合意があれば放棄することができる)
- 時効の完成猶予・更新に関する民法の規定の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 時効の更新の事由となる承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと、または権限があることを要しない イ 天災その他避けることのできない事変のため裁判上の請求等の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から 3 か月を経過するまでの間、時効は完成しない ウ 裁判上の請求がされた場合において、確定判決によって権利が確定することなくその事由が終了したときは、その終了の時から 6 か月を経過するまでの間、時効は完成しない エ 催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をしたときは、その催告の時からさらに 6 か月間、時効の完成が猶予される undefined 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、原則として合意の時から 1 年を経過する時まで時効は完成しないが、この合意による完成猶予は通算して 5 年を超えることができない)
総則④(時効・条件と期限) ── 解答
基礎
- エ 10 年 債権は知った時から 5 年・行使できる時から 10 年(166 条 1 項)。不法行為は知った時から 3 年(724 条)、人の生命・身体の侵害なら知った時から 5 年(724 条の 2)。確定判決で確定した権利は 10 年(169 条)。債権・所有権以外の財産権は 20 年(166 条 2 項)。答え:10 年。
- イ 無条件の法律行為として有効である 既成条件(131 条):停止条件がすでに成就なら無条件、不成就確定なら無効。解除条件がすでに成就なら無効。不法条件(132 条)は無効。不能の停止条件は無効、不能の解除条件は無条件(133 条)。債務者の意思のみにかかる停止条件(純粋随意条件)は無効(134 条)。答え:無条件の法律行為として有効である。
- undefined 20 年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する 162 条 1 項。10 年の短期取得時効は占有開始時の善意無過失が必要(2 項)。賃借人は他主占有で取得時効は成立しない。所有権以外の財産権も対象(163 条)。善意無過失は占有開始時に判断する。
- イ 債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から 5 年間、または権利を行使することができる時から 10 年間行使しないときに時効によって消滅する 166 条 1 項。所有権は消滅時効にかからない。人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は客観的起算点から 20 年(167 条)。確定判決で確定した権利は 10 年(169 条)。
- undefined 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたときは、債務者は期限の利益を主張することができない 137 条 2 号。期限の利益は債務者のためと推定(136 条 1 項)。放棄はできるが相手方の利益を害せない(2 項。期限までの利息を払う必要がある)。破産手続開始決定で当然に期限の利益を失う(137 条 1 号)。不確定期限付きの法律行為は期限到来時から効力を生じる(135 条)。
標準
- ウ 4 年 占有の承継人は、自分の占有だけを主張しても、前主の占有を合わせて主張してもよいが、合わせる場合は前主の瑕疵(悪意)も承継する(187 条)。合わせて主張する場合の善意無過失は最初の占有者の占有開始時で判断する(最判昭和 53 年 3 月 6 日)。C 単独では悪意なので 20 年(あと 19 年)だが、B の占有を合わせれば B の開始時に善意無過失なので 10 年(あと 4 年)。答え:あと 4 年。
- イ 仮差押えの手続が終了した時から 6 か月間は時効が完成しないが、時効は更新されない 催告(150 条)・仮差押え(149 条)・訴えの取下げ(147 条 1 項かっこ書)・協議の書面合意(151 条)は完成猶予のみ。承認(152 条。利息の支払いや一部弁済を含む)と確定判決(147 条 2 項)は更新。確定判決で確定した権利の時効は 10 年(169 条)。答え:仮差押えの手続が終了した時から 6 か月間は時効が完成しないが、時効は更新されない。
- undefined 占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有するものと推定されるが、無過失は推定されない 186 条 1 項。無過失は推定されない(最判昭和 46 年 11 月 11 日)。所有の意思は権原の客観的性質で決まる。185 条は「所有の意思の表示」または「新権原」のいずれか。自己の物の時効取得も可(最判昭和 42 年 7 月 21 日)。
- イ 前主の占有を合わせて時効を主張する場合、善意・無過失の有無は最初の占有者の占有開始時について判断する 最判昭和 53 年 3 月 6 日。187 条 1 項により自己の占有のみでも、前主と合わせてでも主張できる。合わせる場合は瑕疵も承継する(2 項)。相続も、相続人が新たに事実的支配を始め所有の意思が認められる事情があれば新権原になりうる(最判昭和 46 年 11 月 30 日)。
- イ 期限の定めのない債権の消滅時効の客観的起算点は、債権が成立した時である 期限の定めのない債権は成立時から行使できる。確定期限付きは期限到来時、不確定期限付きは期限が客観的に到来した時、停止条件付きは条件成就時。「知った時」を基準にするのは主観的起算点(5 年)の方。
- エ 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる 130 条 1 項。不正に成就させた場合は相手方が不成就とみなせる(2 項)。当事者の意思表示で条件成就の効果を成就前にさかのぼらせることができる(127 条 3 項)。条件付権利は処分・相続・保存・担保が可能(129 条)。不法行為をしないことを条件とする法律行為も無効(132 条後段)。
発展
- undefined 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない 最判平成 11 年 10 月 21 日(順位上昇の期待は反射的利益)。保証人・物上保証人・第三取得者は 145 条かっこ書で援用権者と明記。援用は各自が独立にでき(相対効)、裁判所は援用がなければ時効によって裁判できない(145 条)。
- エ 消滅時効の完成後に、債務者が時効の完成を知らずに債務を承認した場合、その後に債務者がその時効を援用することは信義則上許されない 最大判昭和 41 年 4 月 20 日。完成を知らない以上「放棄」ではなく、信義則による援用の制限。完成前の放棄は不可(146 条)。放棄の効果は相対的で保証人は援用できる。承認後に再び時効期間が経過すれば新たな時効を援用できる。
- エ 催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をしたときは、その催告の時からさらに 6 か月間、時効の完成が猶予される 催告による完成猶予中の再度の催告には効力がない(150 条 2 項)。他は 151 条・152 条 2 項・147 条 1 項・161 条のとおり。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zm-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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