所有権・占有権・用益物権 ── 問題
基礎
- A・B・C の 3 人が 1 棟の建物を共有している。次の行為をするために必要な要件として、民法の規定に照らして妥当なものはどれですか。── 雨漏りしている屋根を修繕する (ア 持分の価格の過半数で決する イ 家庭裁判所の許可が必要である ウ 共有者の人数の過半数で決する エ 共有者全員の同意が必要である undefined 各共有者が単独ですることができる)
- A は自分が占有していた自転車について、次の経緯で占有を失った。A が民法 200 条の占有回収の訴えを提起できるかについて、妥当なものはどれですか。── A は自転車を駅前に置き忘れ、B がこれを拾って乗り回している。置き忘れてから 3 か月後に、A は B に対して訴えを起こそうとしている。 (ア 提起できるが、自転車の返還は請求できず損害賠償のみ請求できる イ 提起できる ウ 提起できない(侵奪の事実を知らない特定承継人には提起できない) エ 提起できない(占有を「奪われた」場合に当たらない) undefined 提起できない(侵奪の時から 1 年を経過している))
- 占有の訴えに関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、妨害の停止を請求することはできるが、損害の賠償を請求することはできない イ 占有の訴えは、所有権などの本権をもつ占有者に限って提起することができる ウ 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、妨害の予防と損害の賠償の両方を請求することができる エ 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還および損害の賠償を請求することができる undefined 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から 3 年以内に提起しなければならない)
- 相隣関係に関する民法の規定(2021 年改正後)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、竹木の所有者に催告したにもかかわらず相当の期間内に切除されないときは、土地の所有者は自らその枝を切り取ることができる イ 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は周囲のどの土地でも通行することができ、償金を支払う必要もない ウ 隣地の竹木の根が境界線を越える場合、土地の所有者は竹木の所有者に切除させることができるだけで、自ら切り取ることはできない エ 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、土地の所有者は催告することなく、いつでも自らその枝を切り取ることができる undefined 土地の所有者は、境界付近で塀を築造するために必要な範囲であっても、隣地を使用することはできず、隣地所有者に使用の承諾を請求できるにとどまる)
- 所有権の取得に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 遺失物の拾得者は、公告の手続を経なくても、拾得の時から直ちにその所有権を取得する イ 遺失物は、遺失物法の定めにより公告をした後 6 か月以内にその所有者が判明しないときに、拾得者がその所有権を取得する ウ 埋蔵物は、公告後 3 か月以内に所有者が判明しないときに発見者が所有権を取得し、他人の物の中から発見したときも発見者が単独で取得する エ 所有者のない動産は所有の意思をもって占有することによって所有権を取得するが、所有者のない不動産は国庫に帰属する undefined 所有者のない不動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得することができる)
標準
- A・B・C の 3 人が土地を共有しており、持分の割合は A が 3、B が 4、C が 2 である。共有物分割の協議が調わず、裁判所の命令によりこの土地は競売され、1251 万円で売却された。A が受け取る代金は何万円ですか(競売の費用は考えないものとする)。 (ア 556 万円 イ 834 万円 ウ 973 万円 エ 278 万円 undefined 417 万円)
- 次の占有者について、民法の規定に照らして妥当なものはどれですか。── A は B 所有の機械を、他人の物であることを知ったうえで占有していたが、A の不注意で機械を壊してしまった。この損害の賠償について。 (ア 収取した果実を返還し、消費した果実の代価も償還しなければならない イ 果実を返還する必要はないが、その代価相当額を償還しなければならない ウ 損害の全部を賠償しなければならない エ 滅失によって現に利益を受けている限度で賠償すればよい undefined 収取した果実を取得でき、返還する必要はない)
- 次の事例について、民法の規定および判例の考え方に照らした結論として妥当なものはどれですか。A は自分の甲土地のために、隣接する B 所有の乙土地に通行地役権の設定を受けた。その後 A は、甲土地は手元に残したまま、この通行地役権だけを C に譲渡しようとしている。 (ア この譲渡はできない。地役権は要役地から分離して譲渡することができない イ この譲渡はできる。地役権は物権であり、他の物権と同様に自由に譲渡できる ウ この譲渡は B の承諾があればできる。地役権の譲渡には承役地所有者の承諾が必要である エ この譲渡はできるが、C は登記を備えなければ B に対抗できない undefined この譲渡はできない。地役権は一身専属的な権利であり、いかなる場合も移転しない)
- 占有の訴えと本権の訴えの関係に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 占有の訴えは、所有権に基づく返還請求ができる場合には提起することができない イ 占有の訴えについては、裁判所は本権に関する理由に基づいて裁判をすることができないが、被告が本権に基づく反訴を提起することは妨げられない ウ 占有の訴えと本権の訴えは互いに排斥しあう関係にあり、一方を提起した者は他方を提起することができない エ 占有回収の訴えにおいて占有者が勝訴して物の返還を受けても、いったん失われた占有権は回復しない undefined 占有の訴えが提起された場合、被告は自分が所有者であることを抗弁として主張し、これが認められれば占有の訴えは棄却される)
- 添付に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 他人の動産に工作を加えた者がある場合、原則として加工物の所有権は材料の所有者に帰属するが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは加工者が所有権を取得する イ 他人の動産に工作を加えた場合、加工者が材料の一部を提供したときであっても、工作の価格のみが他人の材料の価格を超えるかどうかで所有権の帰属が決まる ウ 所有者を異にする数個の動産が付合して損傷しなければ分離できなくなったときは、それらの所有者は常に価格の割合で合成物を共有する エ 添付によって所有権を失った者は、所有権を取得した者に対して償金を請求することができない undefined 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得し、賃借権などの権原によってその物を附属させた者がいる場合も同様である)
- 共有物の分割に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができ、分割をしない旨の契約は期間の長短を問わず無効である イ 裁判所による共有物の分割は現物分割に限られ、共有者の 1 人に共有物を取得させて他の共有者に金銭を支払わせる方法によることはできない ウ 裁判所は、現物分割が可能な場合であっても、共有者の請求があれば自由に競売による分割を命じることができる エ 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるが、5 年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができ、この契約は更新することができる undefined 共有物の分割について共有者間に協議が調わない場合、共有者は裁判所に分割を請求することはできず、共有関係を継続するほかない)
- 用益物権に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 地上権の存続期間について設定行為で定めがない場合、地上権は 20 年で消滅する イ 永小作権の存続期間は 10 年以上 30 年以下でなければならない ウ 永小作権は他人の土地において耕作または牧畜をする権利であり、小作料の支払いは永小作権の成立要件ではない エ 地上権者は、他人の土地において工作物または竹木を所有するためその土地を使用する権利を有し、地代の支払いは地上権の成立要件ではない undefined 地役権者は、承役地を自己の土地の便益に供する権利を有し、要役地とは別に地役権のみを譲渡することができる)
発展
- 共有に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 第三者が共有物を不法に占有している場合、各共有者は単独で共有物全部の明渡しを請求できるが、損害賠償についても共有者の 1 人が全額を請求することができる イ 共有者の 1 人が共有物を単独で占有している場合、他の共有者は、その持分の合計が過半数を超えていても、当然にはその占有者に対して共有物の明渡しを請求することができない ウ 共有物を第三者に賃貸している場合に賃借人の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除するには、解除権の不可分性により共有者全員で解除しなければならない エ 共有者の 1 人が死亡して相続人がいない場合、その持分は特別縁故者への財産分与の対象とならず、常に他の共有者に帰属する undefined 共有者の 1 人が持分を放棄した場合、その持分は国庫に帰属する)
- 地役権に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 通行地役権は、通路が承役地の所有者によって開設されたものであっても、要役地の所有者が 20 年間継続して通行していれば時効取得することができる イ 要役地の共有者の 1 人が時効によって地役権を取得しても、その効果は他の共有者には及ばない ウ 地役権は物権であるから、承役地が譲渡された場合、地役権者は設定登記を備えていない限り、いかなる事情があっても譲受人に地役権を対抗することができない エ 要役地が数人の共有に属する場合、各共有者は自己の持分について単独で地役権を消滅させることができる undefined 通行地役権の承役地が譲渡された場合、譲渡の時に承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが物理的状況から明らかで、譲受人がそれを認識していたか認識できたときは、譲受人は地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない)
- 共有物の管理に関する民法の規定(2021 年改正後)の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 共有者は、持分の価格の過半数で共有物の管理者を選任し、または解任することができる イ 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う ウ 共有物に変更を加える行為は、その形状または効用の著しい変更を伴わないものであっても、共有者全員の同意がなければすることができない エ 共有者の 1 人が所在不明である場合、裁判所の決定を得れば、その共有者以外の共有者の持分の価格の過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる undefined 共有者が持分の価格の過半数で決することができる賃借権の存続期間は、建物については 3 年、動産については 6 か月が上限である)
所有権・占有権・用益物権 ── 解答
基礎
- undefined 各共有者が単独ですることができる 保存行為(修繕・不法占有者への明渡し請求)は単独(252 条 5 項)。管理行為(建物 3 年以下の賃貸借・管理者の選任・軽微変更)は持分の価格の過半数(252 条 1 項・4 項)。変更行為(売却・建替え)は全員の同意(251 条 1 項)。人数ではなく持分の価格で数える。答え:各共有者が単独ですることができる。
- エ 提起できない(占有を「奪われた」場合に当たらない) 占有回収の訴えは、占有を「奪われた」(侵奪された)ときに、侵奪の時から 1 年以内に提起する(200 条 1 項・201 条 3 項)。だまし取られた・置き忘れた場合は侵奪ではない。侵奪者の特定承継人に対しては、その者が侵奪の事実を知っていたときに限り提起できる(200 条 2 項)。答え:提起できない(占有を「奪われた」場合に当たらない)。
- エ 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還および損害の賠償を請求することができる 200 条 1 項。占有保持の訴えは妨害の停止と損害賠償(198 条)。占有保全の訴えは妨害の予防または損害賠償の担保(199 条。どちらか一方)。占有回収の訴えは侵奪の時から 1 年以内(201 条 3 項)。占有の訴えは本権の有無を問わない。
- ア 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、竹木の所有者に催告したにもかかわらず相当の期間内に切除されないときは、土地の所有者は自らその枝を切り取ることができる 233 条 3 項 1 号。枝は原則として切除させるが、催告に応じない・所有者不明・急迫の事情があれば自ら切除できる。根は最初から自ら切り取れる(4 項)。隣地使用権は「使用できる」権利になった(209 条)。分割で生じた袋地は分割者の土地のみ通行でき、償金は不要(213 条)。
- エ 所有者のない動産は所有の意思をもって占有することによって所有権を取得するが、所有者のない不動産は国庫に帰属する 239 条。遺失物は公告後 3 か月(240 条)、埋蔵物は公告後 6 か月で、他人の物の中から発見したときはその所有者と折半(241 条)。
標準
- undefined 417 万円 持分の合計は 3+4+2 = 9。代金 1251 万円を持分の割合で分けるので、A の取り分は 1251 × 3/9 = 417 万円。共有物分割は現物分割・賠償分割が原則で、それができないときや価格を著しく減少させるおそれがあるときに競売(代金分割)を命じる(258 条)。
- ウ 損害の全部を賠償しなければならない 善意占有者は果実を取得できる(189 条 1 項)が、本権の訴えで敗訴すると起訴時から悪意とみなされる(2 項)。悪意占有者は果実を返還し、消費・損傷・収取を怠った果実の代価を償還する(190 条)。滅失・損傷の賠償は、善意の自主占有者が現存利益、悪意占有者と他主占有者(善意でも)が全部(191 条)。答え:損害の全部を賠償しなければならない。
- ア この譲渡はできない。地役権は要役地から分離して譲渡することができない この譲渡はできない。地役権は要役地から分離して譲渡することができない。地役権の付従性(281 条)。通行地役権の時効取得は継続かつ表現で、要役地所有者が通路を開設したことが必要(283 条・最判昭和 30 年 12 月 26 日)。地上権の譲渡は自由で、地代は要素ではない(265 条)。承役地譲受人が通路の使用を認識し、または認識できたときは登記なくして対抗できる(最判平成 10 年 2 月 13 日)。
- イ 占有の訴えについては、裁判所は本権に関する理由に基づいて裁判をすることができないが、被告が本権に基づく反訴を提起することは妨げられない 202 条 2 項。本権に基づく反訴は認められる(最判昭和 40 年 3 月 4 日)。占有の訴えと本権の訴えは互いに妨げない(202 条 1 項)。占有回収の訴えで勝訴して物を取り戻せば占有は失われなかったものとされる(203 条ただし書)。
- ア 他人の動産に工作を加えた者がある場合、原則として加工物の所有権は材料の所有者に帰属するが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは加工者が所有権を取得する 246 条 1 項。権原によって附属させた物は附属させた者の所有のまま(242 条ただし書。ただし独立性のない増築部分は付合する)。動産の付合は主たる動産の所有者が取得し、主従の区別ができないときに共有(243 条・244 条)。加工者が材料を提供した場合はその材料の価格と工作の価格を合算する(246 条 2 項)。償金請求は 248 条。
- エ 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるが、5 年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができ、この契約は更新することができる 256 条。裁判所は現物分割・賠償分割(全面的価格賠償。最判平成 8 年 10 月 31 日を 2021 年改正で明文化)を命じ、それができないとき、または価格を著しく減少させるおそれがあるときに競売を命じる(258 条)。
- エ 地上権者は、他人の土地において工作物または竹木を所有するためその土地を使用する権利を有し、地代の支払いは地上権の成立要件ではない 265 条。永小作権は小作料の支払いが要素(270 条)。地上権の存続期間の定めがなく慣習もないときは裁判所が 20 年以上 50 年以下で定める(268 条 2 項)。地役権は要役地と分離して譲渡できない(281 条 2 項)。永小作権の存続期間は 20 年以上 50 年以下(278 条)。
発展
- イ 共有者の 1 人が共有物を単独で占有している場合、他の共有者は、その持分の合計が過半数を超えていても、当然にはその占有者に対して共有物の明渡しを請求することができない 最判昭和 41 年 5 月 19 日。第三者への損害賠償請求は持分の割合に限る(最判昭和 51 年 9 月 7 日)。持分の放棄は他の共有者に帰属(255 条)。共有物の賃貸借の解除は持分価格の過半数(最判昭和 39 年 2 月 25 日)。相続人不存在の場合は特別縁故者への分与が優先(最判平成元年 11 月 24 日)。
- undefined 通行地役権の承役地が譲渡された場合、譲渡の時に承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが物理的状況から明らかで、譲受人がそれを認識していたか認識できたときは、譲受人は地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない 最判平成 10 年 2 月 13 日。不可分性により共有者の 1 人は自己の持分についてだけ地役権を消滅させられない(282 条 1 項)。時効取得には要役地所有者が通路を開設したことが必要(最判昭和 30 年 12 月 26 日)。共有者の 1 人が時効取得すれば他の共有者も取得する(284 条 1 項)。
- ウ 共有物に変更を加える行為は、その形状または効用の著しい変更を伴わないものであっても、共有者全員の同意がなければすることができない 軽微変更(形状・効用の著しい変更を伴わないもの)は持分の価格の過半数で決することができる(251 条 1 項かっこ書・252 条 1 項)。他は 252 条 2 項・4 項・249 条 2 項・252 条 1 項のとおり。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zm-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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