担保物権(抵当権を中心に) ── 問題
基礎
- 担保物権の種類について、質権の説明として正しいものはどれですか。 (ア 債務者の総財産を目的とし、一般債権者に先立って弁済を受けられる法定担保物権である イ 法律の要件を満たせば当然に成立し、目的物を占有して弁済まで留め置くことができる法定担保物権である ウ 占有を移さずに不動産を目的として設定され、登記の先後で順位が決まる約定担保物権である エ 当事者の合意と目的物の引渡しによって設定され、債権者が目的物を占有して優先弁済を受ける約定担保物権である undefined 当事者の合意だけで成立し、目的物の引渡しがなくても設定でき、占有改定による設定も第三者への対抗も認められる約定担保物権である)
- A は B に元本 5000 万円を年利 4% で貸し付け、B 所有の甲土地に 1 番抵当権の登記を受けた。甲土地には 2 番抵当権者 C もいる。満期後、3 年分の利息が未払いのまま競売になった場合、A が抵当権によって優先弁済を受けられる額(元本と利息の合計)は最大で何万円ですか。
- 質権に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 動産質権者は、目的物の占有を継続しなければ、その質権を第三者に対抗することができない イ 不動産質権者は目的物を使用収益することができ、あわせて被担保債権の利息も当然に請求できる ウ 質権の設定は当事者の合意だけで効力を生じ、目的物の引渡しは第三者への対抗要件にすぎない エ 質権は動産と不動産を目的とすることができるが、債権などの財産権を目的とすることはできない undefined 弁済期前に、弁済がなければ質物の所有権を質権者に取得させる旨の契約(流質契約)をすることは自由である)
- 先取特権に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不動産の先取特権は、法律上当然に成立する権利なので、登記をしなくても抵当権者に対抗することができる イ 動産の先取特権は、目的動産が第三取得者に引き渡された後であっても、その動産について行使することができる ウ 先取特権は当事者の合意によって設定される約定担保物権であり、当事者間で被担保債権の範囲を自由に定められる エ 一般の先取特権は、共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給の 4 種類の債権について、債務者の総財産の上に成立する undefined 先取特権者が目的物の売却代金に物上代位するには、代金が払い渡された後に差押えをすれば足りる)
標準
- 法定地上権(388 条)について、A は土地と建物の双方に B のため共同抵当権を設定した後、建物を取り壊して新しい建物を建てた。新建物に抵当権は設定されていない。土地の競売で C が買い受けた。新建物のための法定地上権は成立しますか。 (ア 原則として成立しない。ただし C が再築の事実を知っていた場合には、新建物のための法定地上権が成立する イ 成立する。旧建物に法定地上権が成立していたはずなので、新建物もその地上権をそのまま引き継ぐから ウ 成立する。ただし新建物が旧建物と同程度の規模・構造である場合に限って、法定地上権が成立する エ 原則として成立しない。抵当権者は土地と建物全体の価値を把握しており、新建物のために地上権を認めると土地の担保価値が下がるから undefined 成立する。抵当権設定当時に建物が存在し、土地建物が同一所有者だったので、建物が取り壊されて再築されても 4 要件を満たすから)
- 抵当権の効力について、抵当建物の賃料債権について、抵当権者 A の物上代位による差押えと、一般債権者 F の差押えが競合した。優劣はどう決まりますか。 (ア 抵当権者 A が常に優先し、F の差押えの時期は問題にならない イ A の差押命令と F の差押命令のどちらが先に第三債務者に送達されたかの先後で決まる ウ A の抵当権設定登記と、F の差押命令が第三債務者に送達された時の先後で決まる エ 一般債権者 F の差押えが先にされていれば、A は物上代位を一切主張できない undefined A と F は債権額に応じて按分され、どちらが先かは問題にならない)
- 甲不動産には、1 番抵当権者 A(債権額 2000 万円)、2 番抵当権者 B(債権額 1500 万円)、3 番抵当権者 C(債権額 500 万円)の抵当権が登記されている。甲不動産が競売され、費用を差し引いた配当可能額が 4500 万円だったとき、B が配当を受ける額は何万円ですか。
- 留置権に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 建物の賃借人は、造作買取請求権を行使した場合、造作代金の支払を受けるまで建物全体を留置することができる イ 留置権者は、債務者の承諾がなくても、留置している物を自由に第三者に賃貸してその賃料を自己の債権に充当することができる ウ 借地上の建物について建物買取請求権を行使した借地人は、代金の支払を受けるまで建物だけでなく敷地も留置することができる エ 不動産の二重譲渡で所有権を取得できなかった第 1 買主は、売主に対する損害賠償債権に基づいて、第 2 買主に対しその不動産を留置できる undefined 留置権者が留置物の占有を失った場合でも、留置権は消滅せず、占有を回復するまで存続する)
- 抵当権の効力が及ぶ範囲に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 抵当権者が利息を請求する権利を有するときは、後順位抵当権者がいる場合でも、未払利息の全額について優先弁済を受けられる イ 抵当権は、抵当地の上に存在する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ ウ 抵当不動産の果実には、被担保債権の不履行の前後を問わず、抵当権設定登記の時から抵当権の効力が及ぶ エ 土地に設定された抵当権の効力は、その土地の上に設定者が建てた建物にも当然に及ぶ undefined 抵当権設定後に抵当不動産に付合した物には、当事者が特に合意しない限り、抵当権の効力は及ばない)
- 抵当権と賃借権の関係に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 抵当権に対抗できない建物の賃借人は、買受人の買受けの時から 1 年間、建物の明渡しを猶予される イ 抵当権設定登記後に設定された建物の賃貸借であっても、期間が 3 年以内の短期賃貸借であれば、賃借人は買受人に対抗できる ウ 抵当権設定登記後に登記された賃借権は、その抵当権を有するすべての抵当権者が同意し、その同意の登記があれば、抵当権者に対抗できる エ 抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権であっても、競売によって当然に消滅し、賃借人は買受人に対抗できない undefined 抵当権に対抗できない土地の賃借人は、競売の買受人が買い受けた時から 6 か月間、土地の明渡しを猶予される)
- 根抵当権に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 元本の確定すべき期日を定めるときは、その日は定めた日から 10 年以内でなければならない イ 元本確定前に被担保債権の範囲を変更するには、後順位抵当権者その他の第三者全員の承諾が必要である ウ 根抵当権は、債務者との間に生じる一切の債権を担保する包括根抵当として設定することができ、被担保債権の範囲を限定する必要はない エ 元本確定前に被担保債権の 1 つが第三者に譲渡されると、根抵当権もその債権に随伴して譲受人に移転する undefined 元本確定前の根抵当権は、極度額の範囲内であれば、利息・損害金について 2 年分という制限を受けずに優先弁済を受けられる)
- 次の事例について、A に留置権が成立するかどうか、民法の規定および判例に照らして妥当なものはどれですか。── A は B から預かった時計を修理した。修理代金の弁済期はまだ 1 か月先だが、B が時計の返還を求めたのに対し、A は代金の支払があるまで返還を拒んでいる。 (ア 成立しない。売主に対する損害賠償債権は、その不動産自体に関して生じた債権ではない イ 成立する。建物に関する債権である以上、建物の明渡しを拒むことができる ウ 成立する。占有者がその物について支出した費用の債権であれば、占有の始まり方は問わない エ 成立しない。債権がまだ弁済期にない undefined 成立しない。占有が不法行為によって始まっている)
- A は B に対する 5400 万円の債権を担保するため、B 所有の甲土地(価額 1600 万円)と乙土地(価額 5600 万円)の双方に 1 番抵当権の設定を受けた。乙土地には C が 2 番抵当権(債権額 1000 万円)を有している。A が甲土地と乙土地を同時に競売し、それぞれ価額どおりの代金で売却されて同時に配当される場合、A が乙土地の代金から配当を受ける額として妥当なものはどれですか(費用は考えない)。 (ア 5400 万円 イ 4200 万円 ウ 3800 万円 エ 5600 万円 undefined 1200 万円)
- A は自己所有の更地である甲土地に、B のため抵当権を設定して登記した。その後 A は甲土地上に乙建物を建てた。B が抵当権を実行する場合に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア B は甲土地とともに乙建物を競売することができるが、優先弁済を受けられるのは甲土地の代金についてだけである イ B が甲土地を競売した場合、乙建物のために法定地上権が成立し、買受人は乙建物の収去を求めることができない ウ B は甲土地とともに乙建物を競売することができ、甲土地と乙建物の双方の代金から優先弁済を受けることができる エ B は乙建物にも抵当権の効力が及ぶことを理由に、乙建物だけを競売することができる undefined B が競売できるのは甲土地だけであり、乙建物を競売することはできない)
発展
- 抵当不動産の第三取得者の保護に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 抵当不動産を買い受けた第三取得者は、被担保債権について第三者弁済をすることができず、抵当権の実行を待つしかない イ 第三取得者が抵当権消滅請求をした場合、抵当権者はその金額に不服があっても、抵当不動産の競売を申し立てることはできない ウ 第三取得者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三取得者のために消滅する エ 抵当不動産の第三取得者は、抵当権者の同意がなくても、自ら評価した金額を提示して抵当権消滅請求をすることができるが、主たる債務者や保証人も同様に消滅請求できる undefined 第三取得者は、抵当権の実行としての競売において自ら買受人となることができない)
- 譲渡担保に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 譲渡担保の設定者は、弁済期後であっても、譲渡担保権者が清算金を支払うまでは目的物の受戻しを一切主張できない イ 構成部分が変動する集合動産でも、種類・所在場所・量的範囲の指定などで範囲が特定されれば、1 個の集合物として譲渡担保の目的にできる ウ 譲渡担保権者は、債務者が弁済期に弁済しないときは、目的物の価額が被担保債権額を上回っていても、その差額を設定者に清算する義務を負わない エ 動産の譲渡担保は、目的物を現実に引き渡さなければ設定できず、占有改定による対抗要件の具備は認められない undefined 譲渡担保は民法に規定がない担保方法であり、判例は虚偽表示または脱法行為にあたるとしてその効力を認めていない)
- 抵当権に基づく妨害排除に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 抵当権者が不法占有者に妨害排除を請求できるのは、抵当権の実行としての競売手続が開始され、差押えの効力が生じた後に限られる イ 抵当権は目的物の占有を伴わない権利なので、第三者が抵当不動産を不法占有していても、抵当権者は何らの請求もできない ウ 第三者の不法占有で抵当不動産の交換価値の実現が妨げられるときは、所有者の妨害排除請求権を代位行使でき、抵当権に基づく直接の妨害排除請求もできる エ 抵当権者は、不法占有者に対して妨害排除を請求することはできるが、自己への直接の明渡しを求めることはできない undefined 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けた占有者に対しては、抵当権者はいかなる場合でも妨害排除を請求できない)
- 抵当権の消滅に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 抵当権は、被担保債権とは別に、抵当権設定登記の時から 20 年間行使しないときは、債務者との関係でも時効によって消滅する イ 抵当権は、債務者および抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しない ウ 被担保債権が弁済によって消滅しても、抵当権設定登記が抹消されるまでは抵当権は消滅しない エ 抵当権の目的である建物が滅失したときは、抵当権は消滅し、設定者が受け取る火災保険金に抵当権の効力が及ぶことはない undefined 債務者または抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を満たす占有をしたときであっても、抵当権は消滅しない)
- A は B 所有の建物を賃借して居住し、敷金 30 万円を B に差し入れていたが、この建物には A の入居前から C の抵当権設定登記があった。C の抵当権が実行され、D が建物を買い受けた。この事例に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア A は入居時から建物に居住しており、競売手続の開始前から使用収益している以上、賃借権を D に対抗することができる イ A は D に賃借権を対抗できないが、買受けから 6 か月は明渡しを猶予され、その間の使用の対価を D に支払う必要がある ウ A は明渡猶予期間中も賃借人としての地位を保つため、明渡しにあたって D に対して敷金 30 万円の返還を請求することができる エ A が明渡猶予期間中に使用の対価の支払を怠っても、6 か月が経過するまでは D は明渡しを求めることができない undefined A は D に賃借権を対抗できないため、D の買受けの時から直ちに建物を明け渡さなければならず、明渡しの猶予は認められない)
担保物権(抵当権を中心に) ── 解答
基礎
- エ 当事者の合意と目的物の引渡しによって設定され、債権者が目的物を占有して優先弁済を受ける約定担保物権である 留置権・先取特権は法定、質権・抵当権は約定。占有するのは留置権と質権。留置権だけ優先弁済権・物上代位性がない。答え:当事者の合意と目的物の引渡しによって設定され、債権者が目的物を占有して優先弁済を受ける約定担保物権である
- 5400 後順位抵当権者 C がいるので、利息は「満期となった最後の 2 年分」しか優先弁済を受けられない(375 条)。5000 + 5000 × 4% × 2 年 = 5400 万円。残り 1 年分の利息は一般債権として請求するしかない。
- ア 動産質権者は、目的物の占有を継続しなければ、その質権を第三者に対抗することができない 動産質は占有継続が対抗要件(352 条)。質権は引渡しが成立要件の要物契約(344 条)で、占有改定は不可(345 条)。不動産質権者は使用収益できる代わりに利息を請求できない(356 条・358 条)。流質契約は禁止(349 条)。債権も質権の目的にできる(362 条)。
- エ 一般の先取特権は、共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給の 4 種類の債権について、債務者の総財産の上に成立する 306 条の 4 種類。動産先取特権は第三取得者への引渡し後は追及できない(333 条)。不動産先取特権は登記が必要(337 条〜)。物上代位は払渡し前の差押えが必要(304 条)。先取特権は法定担保物権。
標準
- エ 原則として成立しない。抵当権者は土地と建物全体の価値を把握しており、新建物のために地上権を認めると土地の担保価値が下がるから 4 要件:①設定当時に建物が存在、②設定当時に土地建物が同一所有者、③一方または双方に抵当権、④競売で所有者が別々。更地(最判昭和 36 年)・設定後に同一人(最判昭和 44 年)・共同抵当後の再築(最判平成 9 年)・土地共有(最判昭和 29 年)は不成立、建物共有(最判昭和 46 年)は成立。答え:原則として成立しない。抵当権者は土地と建物全体の価値を把握しており、新建物のために地上権を認めると土地の担保価値が下がるから
- ウ A の抵当権設定登記と、F の差押命令が第三債務者に送達された時の先後で決まる 賃料への物上代位は可(最判平成元年)、譲渡後も払渡し前なら可(最判平成 10 年 1 月)、転貸賃料は原則不可(最決平成 12 年)、一般債権者との競合は登記と送達の先後(最判平成 10 年 3 月)、借地権は従たる権利として及ぶ(最判昭和 40 年)、設定当時の従物には及ぶ(最判昭和 44 年)。答え:A の抵当権設定登記と、F の差押命令が第三債務者に送達された時の先後で決まる
- 1500 配当は登記の順位どおり。まず 1 番の A が 2000 万円を受け、残り 2500 万円から 2 番の B が債権額 1500 万円を上限に受ける → B は 1500 万円。C はその残りから受ける。
- ウ 借地上の建物について建物買取請求権を行使した借地人は、代金の支払を受けるまで建物だけでなく敷地も留置することができる 造作買取代金は「造作に関して生じた債権」で建物との牽連性がなく建物は留置できない(最判昭和 29 年 1 月 14 日)。建物買取請求権の場合は敷地も留置できる。二重譲渡の損害賠償債権は物との牽連性がない(最判昭和 43 年 11 月 21 日)。承諾なき賃貸は不可(298 条 2 項)、占有喪失で消滅(302 条)。
- イ 抵当権は、抵当地の上に存在する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ 370 条本文。土地と建物は別の不動産なので土地の抵当権は建物に及ばない(389 条の一括競売は別問題)。果実は不履行後のみ(371 条)。利息は最後の 2 年分(375 条)。付加一体物は設定の前後を問わず及ぶ。
- ウ 抵当権設定登記後に登記された賃借権は、その抵当権を有するすべての抵当権者が同意し、その同意の登記があれば、抵当権者に対抗できる 387 条。短期賃貸借保護(旧 395 条)は 2003 年改正で廃止。建物明渡猶予は建物のみで 6 か月(395 条)。土地の賃借人に猶予制度はない。抵当権登記より前に対抗要件を備えた賃借権は買受人に対抗できる。
- undefined 元本確定前の根抵当権は、極度額の範囲内であれば、利息・損害金について 2 年分という制限を受けずに優先弁済を受けられる 398 条の 3。包括根抵当は認められない(398 条の 2)。元本確定前は随伴性がない(398 条の 7)。確定期日は 5 年以内(398 条の 6)。被担保債権の範囲・債務者の変更に後順位者の承諾は不要(398 条の 4)。
- エ 成立しない。債権がまだ弁済期にない 成立しない。債権がまだ弁済期にない。留置権(295 条)の要件は、物と債権の牽連性・債権の弁済期到来・占有が不法行為で始まっていないこと(2 項)。建物買取請求(借地借家法 13 条)は敷地も留置できる(最判昭和 35 年 9 月 20 日)が、造作買取請求(同 33 条)では建物を留置できない(最判昭和 29 年 1 月 14 日)。二重譲渡の第 1 買主の損害賠償債権では留置権は認められない(最判昭和 43 年 11 月 21 日)。
- イ 4200 万円 共同抵当の同時配当(392 条 1 項)では、各不動産の価額に応じて債権額を割り付ける。乙土地の負担額 = 5400 × 5600/(1600+5600) = 4200 万円。残りの 1200 万円は甲土地から受ける。乙土地の代金のうち 1400 万円が 2 番抵当権者 C への配当に回る。
- ア B は甲土地とともに乙建物を競売することができるが、優先弁済を受けられるのは甲土地の代金についてだけである 389 条(一括競売)。更地に抵当権を設定した後に建てられた建物には法定地上権が成立しないので(最判昭和 36 年 2 月 10 日)、抵当権者は土地と建物を一括して競売できるが、優先弁済権は土地の代金にしか及ばない。建物の所有者が抵当権者に対抗できる占有権原をもつ場合は一括競売できない(同条 2 項)。
発展
- ウ 第三取得者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三取得者のために消滅する 代価弁済(378 条)。抵当権消滅請求(379 条)は主たる債務者・保証人・その承継人はできない(380 条)。抵当権者は 2 か月以内に競売を申し立てて拒める(383 条・384 条)。第三取得者は弁済について正当な利益を持つので第三者弁済できる(474 条)。第三取得者は買受人になれる(390 条)。
- イ 構成部分が変動する集合動産でも、種類・所在場所・量的範囲の指定などで範囲が特定されれば、1 個の集合物として譲渡担保の目的にできる 集合動産譲渡担保(最判昭和 54 年 2 月 15 日)。譲渡担保権者には清算義務がある(最判昭和 46 年 3 月 25 日)。判例は譲渡担保の効力を認める。設定者は清算金支払(または処分)までは受戻しできる。動産譲渡担保は占有改定で対抗要件を備えられる。
- ウ 第三者の不法占有で抵当不動産の交換価値の実現が妨げられるときは、所有者の妨害排除請求権を代位行使でき、抵当権に基づく直接の妨害排除請求もできる 最大判平成 11 年 11 月 24 日(代位行使)と最判平成 17 年 3 月 10 日(直接請求・自己への明渡し可)。占有権原の設定を受けた者でも、競売手続を妨害する目的で交換価値の実現が妨げられる場合は妨害排除できる。競売開始前でも可。
- イ 抵当権は、債務者および抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しない 396 条。債務者・設定者との関係では抵当権だけが時効消滅することはないが、第三取得者・後順位抵当権者との関係では 166 条 2 項により 20 年で消滅しうる(判例)。債務者・設定者以外の者が抵当不動産を時効取得すると抵当権は消滅する(397 条)。目的物滅失時の保険金には物上代位できる(372 条・304 条)。付従性により被担保債権が消滅すれば抵当権も当然に消滅し、登記の抹消は効力要件ではない。
- イ A は D に賃借権を対抗できないが、買受けから 6 か月は明渡しを猶予され、その間の使用の対価を D に支払う必要がある 395 条。抵当権登記後の建物賃借人(競売手続開始前から使用収益する者)は買受けから 6 か月の明渡猶予を受け、使用の対価を買受人に支払う。1 か月以上の対価の不払いについて相当期間を定めた催告に応じないと猶予は打ち切られる(同条 2 項)。猶予期間中の A は賃借人ではなく占有を許された者にすぎないので、敷金返還を買受人 D に主張できない。2003 年改正前の短期賃貸借保護は廃止されている。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zm-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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