債権総論②(多数当事者の債権債務・債権譲渡・弁済と相殺) ── 問題
基礎
- A・B・C は D に対して連帯債務を負っている。D が A の債務を免除した場合、B・C に対する効力として民法の規定に照らして妥当なものはどれですか。 (ア B・C にも効力が及び、B・C の債務も全額消滅する イ D が免除の意思を B・C にも通知した時から、B・C の債務も消滅する ウ A の負担部分の限度で B・C も債務を免れる エ B・C には効力が及ばず、B・C は依然として全額の債務を負う undefined B・C の債務は消滅しないが、B・C は A に対して求償することができなくなる)
- 通常の保証と連帯保証を比較したとき、主債務者について生じた時効の完成猶予・更新の効力についての説明として妥当なものはどれですか。 (ア 通常の保証人にも連帯保証人にも及ばない イ 通常の保証人にも連帯保証人にも、債権者が保証人に通知した場合に限って及ぶ ウ 通常の保証人にも連帯保証人にも、主債務者について生じた時効の完成猶予・更新の効力が及ぶ エ 通常の保証人には及ばないが、連帯保証人には及ぶ undefined 通常の保証人には及ぶが、連帯保証人には及ばない)
- A・B・C は D に対して 1440 万円の連帯債務を負い、負担部分は A : B : C = 1 : 3 : 4 である。A が D に 1440 万円全額を弁済した場合、A が B に対して求償できる額はいくらですか。 (ア 1080 万円 イ 480 万円 ウ 900 万円 エ 540 万円 undefined 180 万円)
- 保証債務に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 主債務者が債権者に対して相殺権を有するときは、保証人は主債務者に代わってその相殺権を行使することができる イ 保証契約は、書面または電磁的記録によってしなければ、その効力を生じない ウ 保証人の負担が債務の目的または態様において主債務より重いときでも、保証契約は当事者の合意どおりの内容で有効である エ 主債務者が時効の利益を放棄したときは、保証人も主債務の消滅時効を援用することができなくなる undefined 保証契約は、債権者と主債務者の間で締結され、保証人はこれに同意することによって保証債務を負う)
- 弁済に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 弁済者が債権者に対して債務を有する場合、弁済の費用・利息・元本への充当の順序は弁済者が自由に指定することができる イ 債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合でも、債務者は現実の提供をしなければ債務不履行の責任を免れない ウ 弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても弁済をすることができる エ 債務者の親族は、親族であるという理由だけで、弁済をするについて正当な利益を有する第三者にあたる undefined 受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者に対してした弁済は、弁済者が善意であれば過失があっても有効である)
標準
- 次の事例について、民法の規定および判例に照らした結論として妥当なものはどれですか。A は B に対して 100 万円の債務を負っている。A は、B から債権証書を盗んだ C を債権者本人と信じて、C に 100 万円を支払った。A が C を B と信じたことに過失はなかった。 (ア A の弁済は有効であり、A の債務は消滅する イ A の弁済は無効であるが、A は C に支払った額を B に対する債務から差し引くことができる ウ A の弁済は無効であり、A は B に改めて弁済しなければならない エ A の弁済は有効であるが、A の債務は半額の限度でしか消滅しない undefined A の弁済は、B が追認した場合に限り有効になる)
- A は D に対する 1800 万円の債務について、B が保証人、C と E が物上保証人となっている(C の担保不動産の価格は 300 万円、E の担保不動産の価格は 200 万円)。B が D に 1800 万円全額を弁済した場合、B が C の担保不動産について代位できる額はいくらですか。 (ア 360 万円 イ 600 万円 ウ 720 万円 エ 900 万円 undefined 1080 万円)
- 債権譲渡の対抗要件に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 債権の譲渡を債務者に対抗するには譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要であり、債務者以外の第三者に対抗するにはその通知または承諾が確定日付のある証書によってされなければならない イ 債権が二重に譲渡され、いずれも確定日付のある証書で通知がされたときは、通知の到達の先後にかかわらず、証書に記された確定日付の早い方の譲受人が優先する ウ 債権が二重に譲渡され、確定日付のある証書による通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は債権額を等分した額しか債務者に請求できない エ 債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾したときは、譲渡人に対抗することができた事由を譲受人に対抗することができない undefined 債権の譲渡は、譲受人から債務者に対して通知をすれば、債務者に対抗することができる)
- 譲渡制限の意思表示(譲渡制限特約)が付された債権の譲渡に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 譲渡制限特約が付されていても債権譲渡は有効であり、債務者は譲受人の善意・悪意を問わず、譲受人に対して履行しなければならない イ 譲渡制限特約が付された債権の譲受人が悪意であるときは、譲渡人が債務者に譲渡を通知しても、債務者は譲渡人に対する弁済を譲受人に対抗することができない ウ 譲渡制限特約に反する債権譲渡は当事者間でも無効であり、譲受人が特約について善意無過失であっても、債務者の承諾がない限り債権を取得することができない エ 譲渡制限特約が付された預貯金債権が悪意の譲受人に譲渡されたときでも、譲渡は有効であり、銀行は履行を拒むことができるにとどまる undefined 譲渡制限特約が付されていても債権譲渡は有効であるが、特約について悪意または重過失の譲受人に対しては、債務者は履行を拒み、譲渡人に対する弁済をもって対抗することができる)
- 弁済による代位に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 保証人と物上保証人がいる場合、両者の間の代位の割合は、保証人の保証額と物上保証人の担保不動産の価格に応じて定まる イ 債権の一部について代位弁済がされたときは、代位者は債権者の同意がなくても、単独でその債権に付された担保権を実行することができる ウ 保証人は、あらかじめ抵当不動産を取得していた第三取得者に対して、債権者に代位して全額について抵当権を行使することができる エ 弁済をするについて正当な利益を有しない者が弁済によって債権者に代位するには、債権者の承諾を得なければならない undefined 第三取得者は、保証人に対して、債権者に代位して、保証債務の履行を求めることができる)
- 相殺に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 相殺の効力は、相殺の意思表示が相手方に到達した時から将来に向かって生じる イ 人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務を負う者は、その債務を受働債権として相殺をもって債権者に対抗することができない ウ 相殺の意思表示には、条件を付けることはできないが、期限を付けることはできる エ 自働債権の弁済期が到来していなくても、受働債権の弁済期が到来していれば、相殺する側が期限の利益を放棄して相殺することができる undefined 当事者間で相殺を禁止する特約がされていても、その特約はいかなる第三者にも対抗することができない)
発展
- 差押えと相殺、債権譲渡と相殺に関する民法の規定の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に他人から取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできない イ 債権譲渡の債務者は、対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、それが譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じたものであるときは、相殺をもって譲受人に対抗することができる ウ 債権譲渡の債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって、譲受人に対抗することができる エ 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる undefined 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺であっても、その債権の弁済期が差し押さえられた債権の弁済期より後に到来するときは、相殺をもって差押債権者に対抗することができない)
- 2020 年 4 月施行の改正民法における個人保証人の保護に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 個人が保証人となる根保証契約は、極度額を定めなければその効力を生じない イ 債権者は、保証人の請求があっても、主債務者の同意がなければ主債務の履行状況に関する情報を保証人に提供することができない ウ 事業のために負担した貸金債務を個人が保証する場合、保証契約の締結後 1 か月以内に公正証書で保証意思を表示しなければ、保証契約は無効となる エ 事業のために負担した貸金債務について、主債務者である法人の取締役が保証人となる場合にも、公正証書による保証意思の表示が必要である undefined 主債務者が事業のための債務について個人に保証を委託するときの情報提供義務に違反した場合、保証人は債権者の善意・悪意にかかわらず保証契約を取り消すことができる)
- 次の事例のうち、民法の規定および判例に照らして、A の主張が認められる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア A は B を故意に殴ってけがをさせ、B に対して不法行為による損害賠償債務を負っている。A は B に対する貸金債権をもって、この損害賠償債務と相殺すると主張した イ A は B に対する債務について、B からあらかじめ受領を拒む旨を告げられていたにもかかわらず、何らの提供もしなかった。A は債務不履行の責任を負わないと主張した ウ A・B は C に対して連帯債務を負っている。C が B の債務を免除したので、A は自己の債務も B の負担部分の限度で消滅したと主張した エ A は B の C に対する債務の連帯保証人である。C が A に対して履行を請求してから 5 年以上が経過した後、A は主債務の消滅時効が完成したとして、これを援用した undefined A は B から B の D に対する債権を譲り受け、A 自身が D に譲渡の通知をした。D がその後 B に弁済したので、A は D に対して、通知後の弁済は自分に対抗できないと主張した)
債権総論②(多数当事者の債権債務・債権譲渡・弁済と相殺) ── 解答
基礎
- エ B・C には効力が及ばず、B・C は依然として全額の債務を負う B・C には効力が及ばず、B・C は依然として全額の債務を負う。連帯債務は相対的効力が原則(441 条)で、絶対的効力があるのは更改(438 条)・相殺(439 条 1 項)・混同(440 条)と弁済など。反対債権をもつ債務者が相殺を援用しない間は、他の債務者はその負担部分の限度で履行を拒める(439 条 2 項)。
- ウ 通常の保証人にも連帯保証人にも、主債務者について生じた時効の完成猶予・更新の効力が及ぶ 通常の保証人にも連帯保証人にも、主債務者について生じた時効の完成猶予・更新の効力が及ぶ。催告の抗弁(452 条)・検索の抗弁(453 条)は連帯保証人にはない(454 条)。分別の利益は 456 条。連帯保証人への請求は 458 条が 441 条を準用するため主債務者に及ばない。主債務者に生じた完成猶予・更新は 457 条 1 項により保証人に及ぶ。
- エ 540 万円 連帯債務者の 1 人が弁済したときは、他の債務者に対して各自の負担部分の割合に応じて求償できる(442 条 1 項)。B の負担部分は 1440 × 3/(1+3+4) = 540 万円。頭数で 3 等分するのではない。
- イ 保証契約は、書面または電磁的記録によってしなければ、その効力を生じない 446 条 2 項・3 項。保証契約の当事者は債権者と保証人。保証人の負担が主債務より重いときは主債務の限度に減縮される(448 条)。主債務者の相殺権については、保証人はそれを行使できるのではなく、履行を拒絶できる(457 条 3 項)。時効の利益の放棄は相対効で、保証人は援用できる。
- ウ 弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても弁済をすることができる 474 条 2 項の反対解釈。正当な利益とは法律上の利害関係(物上保証人・第三取得者など)で、親族・友人は含まれない。478 条は善意かつ無過失が必要。受領拒絶があらかじめ明らかなら口頭の提供で足りる(493 条ただし書)。費用→利息→元本の順序は当事者の指定で変えられない(489 条)。
標準
- ア A の弁済は有効であり、A の債務は消滅する A の弁済は有効であり、A の債務は消滅する。二重譲渡は確定日付のある通知の到達の先後(最判昭和 49 年 3 月 7 日)、譲渡制限特約は 466 条 2 項・3 項、正当な利益のない第三者の弁済は 474 条 2 項、受領権者としての外観を有する者への弁済は 478 条、差押えと相殺は 511 条 1 項(無制限説)による。
- ウ 720 万円 保証人と物上保証人の間では、まず頭数(B・C・E の 3 人)で等分し、B の負担は 1800 ÷ 3 = 600 万円。残りの 1200 万円を物上保証人 C・E がそれぞれの不動産の価格 300 : 200 で按分する(501 条 3 項 4 号)。C の分は 1200 × 300/(300+200) = 720 万円。
- ア 債権の譲渡を債務者に対抗するには譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要であり、債務者以外の第三者に対抗するにはその通知または承諾が確定日付のある証書によってされなければならない 467 条 1 項・2 項。通知は譲渡人がする。二重譲渡の優劣は確定日付のある通知の到達の先後(最判昭和 49 年 3 月 7 日)。同時到達なら各譲受人は全額を請求できる(最判昭和 55 年 1 月 11 日)。異議をとどめない承諾による抗弁の切断は 2020 年改正で廃止された。
- undefined 譲渡制限特約が付されていても債権譲渡は有効であるが、特約について悪意または重過失の譲受人に対しては、債務者は履行を拒み、譲渡人に対する弁済をもって対抗することができる 466 条 2 項・3 項。改正前の「無効(善意無重過失の譲受人には対抗不可)」から「有効・履行拒絶」に変わった。預貯金債権は例外で、悪意・重過失の譲受人には譲渡自体の無効を対抗できる(466 条の 5)。
- ウ 保証人は、あらかじめ抵当不動産を取得していた第三取得者に対して、債権者に代位して全額について抵当権を行使することができる 501 条 3 項 1 号(第三取得者は保証人に代位できない)の反面、保証人は第三取得者に全額代位できる。正当な利益のない者の代位に債権者の承諾は不要になったが、対抗要件(467 条)が必要(500 条)。保証人と物上保証人は頭数で等分(501 条 3 項 4 号)。一部弁済の代位は債権者の同意を得て債権者とともに行使する(502 条 1 項)。
- イ 人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務を負う者は、その債務を受働債権として相殺をもって債権者に対抗することができない 509 条 2 号。悪意による不法行為の損害賠償債務も同じ(1 号)。相殺の意思表示には条件も期限も付けられない(506 条 1 項)。自働債権は弁済期到来が必要で、受働債権は期限の利益を放棄できる。相殺は相殺適状時にさかのぼって効力を生じる(506 条 2 項)。相殺禁止特約は悪意・重過失の第三者に対抗できる(505 条 2 項)。
発展
- undefined 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺であっても、その債権の弁済期が差し押さえられた債権の弁済期より後に到来するときは、相殺をもって差押債権者に対抗することができない 511 条 1 項後段は、差押え前に取得した債権であれば弁済期の先後を問わず相殺を対抗できるとする無制限説(最大判昭和 45 年 6 月 24 日)を明文化した。他の肢は 511 条 2 項・469 条 1 項・469 条 2 項 2 号・511 条 2 項ただし書のとおり。
- ア 個人が保証人となる根保証契約は、極度額を定めなければその効力を生じない 465 条の 2。公正証書は契約締結前 1 か月以内に作成する(465 条の 6)。取締役・過半数株主などは公正証書不要(465 条の 9)。情報提供義務違反による取消しは、債権者がその事実を知りまたは知ることができたときに限る(465 条の 10 第 2 項)。履行状況の情報提供は委託を受けた保証人の請求があれば主債務者の同意なく行う義務(458 条の 2)。
- エ A は B の C に対する債務の連帯保証人である。C が A に対して履行を請求してから 5 年以上が経過した後、A は主債務の消滅時効が完成したとして、これを援用した 連帯保証人への履行の請求は主債務者に及ばない(458 条・441 条)ので、主債務の時効は請求によっては更新されず、保証人は主債務の時効を援用できる(145 条)。免除は相対効(441 条)。譲受人からの通知は対抗要件にならない。故意の暴行は悪意による不法行為で、加害者側からの相殺は禁止(509 条 1 号)。受領拒絶があっても口頭の提供は必要(493 条ただし書)。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zm-09/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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