契約(総論・売買・賃貸借) ── 問題
基礎
- 次の 2 つの債務が同時履行の関係に立つかどうかについて、民法の規定および判例に照らして妥当なものはどれですか。売買契約が解除された場合の、売主の代金返還義務と買主の目的物返還義務について。 (ア 同時履行の関係に立たず、解除の原因を作った当事者がまず返還しなければならない イ 同時履行の関係に立たず、買主がまず目的物を返還しなければ代金の返還を請求できない ウ 同時履行の関係に立つかどうかは、解除が催告解除か無催告解除かによって異なる エ 同時履行の関係に立ち、一方は相手方が返還の提供をするまで自己の返還を拒むことができる undefined 同時履行の関係に立たず、売主がまず代金を返還しなければ目的物の返還を請求できない)
- 賃貸借に関する民法の規定について、賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由によって滅失した場合の賃料についての説明として妥当なものはどれですか。 (ア 賃料は減額されないが、賃借人は賃貸借を解除することができる イ 賃料は、滅失した部分が全体の 2 分の 1 を超える場合に限り、当然に減額される ウ 賃料は、滅失した部分の割合に応じて当然に減額される エ 賃料は、賃借人が減額を請求した時から、滅失した部分の割合に応じて減額される undefined 賃料は、賃貸人が減額に同意した場合に限り、滅失した部分の割合に応じて減額される)
- 契約の解除に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は契約を解除することができない イ 催告期間が経過した時における債務不履行が軽微であっても、債権者は契約を解除することができる ウ 当事者の一方が数人ある場合、契約の解除はそのうちの 1 人から、または 1 人に対してすれば足りる エ 催告による解除をするには、債務者に債務不履行についての帰責事由があることが必要である undefined 債務の全部の履行が不能であるときでも、債権者は相当の期間を定めて催告をした後でなければ契約を解除することができない)
- 契約の成立および定型約款に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 定型約款の変更は、相手方の一般の利益に適合する場合であっても、相手方全員の個別の同意がなければすることができない イ 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する ウ 定型約款の個別の条項は、相手方がその内容を現に認識していなければ、契約の内容とすることができない エ 承諾の期間を定めてした申込みは、申込者が撤回する権利を留保したときを除き、その期間内は撤回することができない undefined 契約の成立には、法令に特別の定めがなくても、書面の作成その他の方式を具備することが必要である)
標準
- 次の事例について、民法の規定および判例に照らした結論として妥当なものはどれですか。A は B から土地を 3,000 万円で買い、解約手付として 300 万円を交付した。その後 A は残代金を用意して B に引渡しと登記を求めたが、B は応じず、翌日 A に 600 万円を現実に提供して契約を解除すると告げた。 (ア B が解除できるかどうかは、B 自身が履行に着手していたかどうかによって定まる イ A はすでに履行に着手しているので、B は手付の倍額を提供しても解除できない ウ B は手付の倍額を現実に提供しているので、A の着手の有無にかかわらず解除できる エ B は解除できるが、A は手付の倍額に加えて履行利益の賠償を請求できる undefined B は解除できず、A は手付を放棄することによってのみ契約関係から離脱できる)
- 次の契約に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。請負について。 (ア 注文者は、請負人が仕事を完成しない間であっても、請負人に債務不履行がなければ契約を解除することができない イ 注文者は、目的物に契約不適合があるときは、不適合を知った時から 5 年以内に請負人に通知すればよい ウ 注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる エ 請負人は、仕事の完成が注文者の責めに帰することができない事由で不能になったときは、可分な部分の給付で注文者が利益を受ける場合であっても報酬を請求することができない undefined 請負人の報酬は仕事の着手と同時に支払わなければならず、完成前でも全額を請求することができる)
- 売買の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の救済に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 買主は、追完の催告をすることなく、直ちに不適合の程度に応じた代金の減額を請求することができる イ 買主は修補・代替物・不足分の引渡しによる追完を請求できるが、売主は不相当な負担を課さなければ別の方法で追完できる ウ 契約不適合を理由とする解除には、不適合について売主に帰責事由があることが必要である エ 買主が損害賠償を請求するには、不適合について売主に帰責事由があることを、請求する買主の側で証明しなければならない undefined 不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときでも、買主は追完を請求することができる)
- 賃貸人たる地位の移転に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 対抗要件を備えた賃借権の目的である不動産が譲渡されたときは、賃借人の承諾がなければ賃貸人たる地位は譲受人に移転しない イ 賃貸人たる地位の移転を受けた譲受人は、所有権移転登記をしていなくても、賃借人に対して賃料を請求することができる ウ 対抗要件を備えた賃借権の目的である不動産が譲渡されたときは、賃貸人たる地位は賃借人の承諾を要しないで譲受人に移転する エ 対抗要件を備えていない賃借権の目的である不動産が譲渡された場合、賃貸人たる地位を譲受人に移転するには賃借人の承諾が必要である undefined 賃貸人たる地位が譲受人に移転した場合でも、敷金の返還債務は譲渡人に残り、譲受人には承継されない)
- 賃借権の譲渡・転貸に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合、賃貸人は転借人に対して賃料を直接請求することはできず、賃借人を通じてのみ請求できる イ 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは、賃貸人は背信性の有無を問わず常に賃貸借を解除することができる ウ 賃借人の債務不履行により賃貸借が解除された場合、賃貸人は転借人に対してあらかじめ賃料支払の機会を与える催告をしなければ、解除を転借人に対抗できない エ 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負い、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができない undefined 賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除した場合、賃貸人が解除の当時に賃借人の債務不履行による解除権を有していたとしても、その解除を転借人に対抗することはできない)
- 賃貸借終了時の原状回復と敷金に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 賃借人は受取り後に生じた損傷を原状に復する義務を負うが、通常の使用収益による損耗や経年変化については負わない イ 賃貸人は、賃貸借が終了した時点で、賃借物の返還を受けていなくても、敷金の残額を賃借人に返還しなければならない ウ 賃借人が適法に賃借権を譲渡した場合、敷金に関する権利義務は当然に新賃借人に承継される エ 賃借人に通常損耗の補修費用を負担させる特約は、賃借人に一方的に不利であるため、どのような形で合意しても無効である undefined 賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷をすべて原状に復する義務を負い、通常の使用による損耗もこれに含まれる)
- A は B に自己所有の別荘を 2,000 万円で売る契約をした。B が別荘の引渡しを受けた後に、A にも B にも責任のない落雷で別荘が全焼した。この場合の B の代金債務に関する結論として、民法の規定に照らして妥当なものはどれですか。 (ア B は代金の支払を拒むことができるが、A に帰責事由がない以上、契約を解除することはできない イ B は代金の支払を拒むことができ、契約を解除して代金債務を消滅させることもできる ウ B は代金の支払を拒むことができず、A に対して契約不適合を理由とする追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除もできない エ B は契約を解除して代金債務を消滅させることができ、A に対して損害賠償を請求することもできる undefined B の代金債務は当然に消滅し、B は解除の意思表示をしなくても代金を支払う必要がない)
- A は B から建物を賃借して居住している。次の事例についての結論として、民法の規定に照らして妥当なものはどれですか。── 屋根から雨漏りがするようになり、A は B に修繕が必要であることを通知したが、相当の期間が経過しても B は修繕をしない。 (ア A は B に対して直ちにその費用の償還を請求することができる イ A は賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り、B の選択に従って支出額または増価額の償還を請求することができる ウ A は B の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使することによってのみ、C に妨害の停止を求めることができる エ A は賃貸借の終了時に、A の選択に従って支出額または増価額の償還を請求することができる undefined A は自ら修繕をすることができる)
- A は B から土地を「300 平方メートル」として 1 平方メートルあたり 10 万円、合計 3,000 万円で買い受けたが、引渡し後に測量したところ実際には 270 平方メートルしかなかった。この事例に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア A は不足分の引渡しを受けられないとき、催告の上で代金減額を請求でき、この請求に「知った時から 1 年以内の通知」の制限はない イ A は不足を知った時から 1 年以内に B に通知しなければ、数量の不足を理由とする代金減額請求も損害賠償請求もすることができない ウ 数量の不適合は売主の担保責任の対象にならないため、A は B に対して何らの請求もすることができない エ A は B に帰責事由がある場合に限り、不足の割合に応じた代金の減額を請求することができる undefined A は数量の不適合を理由に契約を解除することはできず、代金減額請求または損害賠償請求によるほかない)
- 請負に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 注文者の帰責事由によらず仕事が完成できなくなっても、既にした仕事の可分な部分の給付で注文者が利益を受けるときは、請負人はその割合に応じて報酬を請求できる イ 請負の報酬は仕事の完成前に支払わなければならず、請負人は報酬の支払を受けるまで仕事に着手する義務を負わない ウ 注文者は、請負人が仕事を完成した後であっても、損害を賠償すればいつでも契約を解除することができる エ 仕事の目的物の引渡しを要する場合、報酬は仕事の完成の時に支払わなければならず、目的物の引渡しと同時履行の関係には立たない undefined 仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合、注文者は不適合を知った時から 5 年以内に請負人にその旨を通知しなければ、修補・損害賠償・解除の請求ができなくなる)
発展
- 売買契約における手付に関する民法の規定および判例の説明として妥当でないものはどれですか。 (ア 手付による解除がされた場合、解除された相手方は、手付の額を超える損害が生じていても、その賠償を請求することができない イ 買主が手付を交付した場合、売主は、買主が履行に着手した後であっても、自らが履行に着手していなければ、手付の倍額を現実に提供して契約を解除することができる ウ 手付の交付があった場合、当事者の一方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除することができる エ 判例は、履行の着手とは、客観的に外部から認識できるような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合をいうとする undefined 判例は、自ら履行に着手した当事者であっても、相手方が履行に着手していない間は、手付による解除をすることができるとする)
- 契約の解除の効果に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 解除後に目的不動産を買い受けた第三者と解除者との関係は、545 条 1 項ただし書によって処理され、第三者は登記がなくても保護される イ 解除前に目的不動産を買い受けた第三者は、解除原因について善意か悪意かを問わず 545 条 1 項ただし書で保護されるが、登記を備える必要がある ウ 解除前に目的不動産を買い受けた第三者は、解除原因について善意である場合に限り、登記の有無を問わず保護される エ 解除権を有する者が故意に契約の目的物を著しく損傷したときでも、解除権は消滅しない undefined 解除によって金銭を返還するときは、その金銭を受領した時からではなく、解除の意思表示の時から利息を付さなければならない)
- 次の事例のうち、民法の規定および判例に照らして、A の請求が認められる可能性がもっとも高いものはどれですか。 (ア A は B から建物を借りていたが、A の過失で失火し建物の一部が焼失した。A は焼失部分の割合に応じた賃料の減額を B に請求する イ A は B に建物を賃貸していたが、B が A に無断で C に転貸した。C は B の妻で、婚姻前から B とともにその建物に居住しており、使用状況は転貸の前後で変わらない。A は無断転貸を理由に賃貸借を解除し、C に明渡しを請求する ウ A は B から建物を買い、引渡しを受けた。引渡しの 3 か月後に雨漏りが契約内容に適合しない欠陥によるものと判明し、A は直ちに B に通知した上で、相当の期間を定めて修補を催告したが B は応じない。A は代金の減額を請求する エ A は B から建物を借りて敷金を差し入れていたが、賃貸借が終了した。A は、敷金の返還を受けるまでは建物の明渡しを拒むことができると主張して、B に対し明渡しに先立つ敷金の返還を請求する undefined A は B から土地を買い、契約と同時に手付を交付した。その後 B が履行に着手する前に、A は自ら残代金の支払の準備をして B に履行を求めたが、B が応じないので、A は手付を放棄せず、手付の返還と損害賠償を B に請求する)
- A は自己所有の建物を B に賃貸し、B は A の承諾を得て C に転貸した。その後、B が賃料を滞納したため、A は B との賃貸借を債務不履行を理由に解除した。この事例に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア A・B 間の賃貸借が解除されても B・C 間の転貸借は影響を受けず、C は B との転貸借の期間が満了するまで建物を使用することができる イ A は解除にあたって C に賃料支払の機会を与える催告をする必要はなく、B・C 間の転貸借は、A が C に建物の返還を請求した時に履行不能により終了する ウ A は B の債務不履行を理由に解除したのであるから、613 条 3 項本文により、その解除を C に対抗することができない エ A は解除にあたって、C に対しても B の滞納賃料を支払う機会を与えるよう催告しなければ、解除を C に対抗することができない undefined A・B 間の賃貸借が解除された時点で B・C 間の転貸借も当然に終了し、C はその時点以降の建物の使用について A に対して不法行為責任を負う)
- 契約総論に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 契約上の地位の譲渡は、譲渡人と譲受人の合意だけで効力を生じ、契約の相手方の承諾を要しない イ 当事者の一方が数人ある場合、契約の解除はその 1 人からすることができ、解除権が 1 人について消滅しても他の者の解除権には影響しない ウ 解除権を有する者が過失によって契約の目的物を著しく損傷したときは、解除権を有することを知らなかった場合であっても、解除権は消滅する エ 第三者のためにする契約は、契約の成立時に第三者が現に存在していなければ効力を生じないため、胎児や設立前の法人を受益者とすることはできない undefined 第三者のためにする契約において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する)
契約(総論・売買・賃貸借) ── 解答
基礎
- エ 同時履行の関係に立ち、一方は相手方が返還の提供をするまで自己の返還を拒むことができる 同時履行の関係に立ち、一方は相手方が返還の提供をするまで自己の返還を拒むことができる。受取証書は 486 条(同時履行)、債権証書は 487 条(弁済が先)、敷金は 622 条の 2 と最判昭和 49 年 9 月 2 日(明渡しが先)、解除の原状回復は 546 条(同時履行)、抵当権の抹消登記は最判昭和 57 年 1 月 19 日(弁済が先)。
- ウ 賃料は、滅失した部分の割合に応じて当然に減額される 賃料は、滅失した部分の割合に応じて当然に減額される。存続期間は 604 条(改正で 20 年から 50 年に)、費用償還は 608 条、一部滅失の当然減額は 611 条 1 項、解約申入れは 617 条、敷金の充当は 622 条の 2 第 2 項。
- ア 債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は契約を解除することができない 543 条。解除に債務者の帰責事由は不要(2020 年改正)。全部不能なら無催告解除(542 条 1 項 1 号)。軽微な不履行では催告解除できない(541 条ただし書)。解除権は不可分で全員から・全員に対して行う(544 条 1 項)。
- エ 承諾の期間を定めてした申込みは、申込者が撤回する権利を留保したときを除き、その期間内は撤回することができない 523 条 1 項。承諾の効力発生は到達主義(97 条 1 項。改正で発信主義を廃止)。契約は方式の具備を要しないのが原則(522 条 2 項)。定型約款は、合意または事前の表示があれば個別条項に合意したものとみなされる(548 条の 2)。相手方の一般の利益に適合する変更は個別同意なくできる(548 条の 4)。
標準
- イ A はすでに履行に着手しているので、B は手付の倍額を提供しても解除できない A はすでに履行に着手しているので、B は手付の倍額を提供しても解除できない。手付解除は相手方の履行着手後は不可(557 条 1 項)、種類・品質の不適合は知った時から 1 年以内の通知が必要(566 条)、双方無責の履行不能は履行拒絶権と帰責事由不要の解除(536 条 1 項・542 条 1 項 1 号)、無断譲渡と信頼関係破壊の法理(最判昭和 28 年 9 月 25 日)、合意解除は転借人に対抗不可(613 条 3 項)。
- ウ 注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる 注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。贈与は 550 条、使用貸借は 597 条 3 項(諾成契約・通常の必要費は借主負担)、消費貸借は 587 条の 2、請負は 641 条(割合的報酬は 634 条・通知は 1 年)、委任は 644 条(無償でも善管注意・651 条で各当事者はいつでも解除・653 条で双方の死亡で終了)。
- イ 買主は修補・代替物・不足分の引渡しによる追完を請求できるが、売主は不相当な負担を課さなければ別の方法で追完できる 562 条 1 項ただし書。代金減額は原則として相当期間を定めた追完の催告が先(563 条 1 項)。損害賠償は 415 条によるので免責事由の立証は売主側。買主に帰責事由があれば追完請求不可(562 条 2 項)。解除に帰責事由は不要(564 条・541 条・542 条)。
- ウ 対抗要件を備えた賃借権の目的である不動産が譲渡されたときは、賃貸人たる地位は賃借人の承諾を要しないで譲受人に移転する 605 条の 2 第 1 項。賃料請求には所有権移転登記が必要(同条 3 項)。敷金返還債務・費用償還債務は譲受人が承継(同条 4 項)。対抗要件のない賃借権でも、譲渡人と譲受人の合意で地位を移転でき、賃借人の承諾は不要(605 条の 3)。
- エ 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負い、賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができない 613 条 1 項。賃貸人は転借人に直接賃料を請求できる。債務不履行解除の場合、転借人への催告は不要(最判平成 6 年 7 月 18 日)。合意解除は転借人に対抗できないが、解除当時に債務不履行による解除権があれば対抗できる(613 条 3 項ただし書)。無断転貸でも背信性がなければ解除できない(最判昭和 28 年 9 月 25 日)。
- ア 賃借人は受取り後に生じた損傷を原状に復する義務を負うが、通常の使用収益による損耗や経年変化については負わない 621 条。通常損耗の補修を賃借人に負わせる特約は、その旨が具体的に明記されるなど明確に合意されていれば有効(最判平成 17 年 12 月 16 日)。敷金の返還は賃借物の返還を受けた時(622 条の 2 第 1 項 1 号)。賃借権の適法な譲渡では敷金は新賃借人に承継されず、旧賃借人に返還される(同項 2 号)。
- ウ B は代金の支払を拒むことができず、A に対して契約不適合を理由とする追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除もできない B は代金の支払を拒むことができず、A に対して契約不適合を理由とする追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除もできない。双方無責の不能は危険負担(536 条 1 項)で買主は支払を拒め、帰責事由不要の解除(542 条 1 項 1 号)で代金債務を消せる。債権者(買主)有責なら支払拒絶も解除もできない(536 条 2 項・543 条)。債務者(売主)有責なら解除と損害賠償(415 条)。引渡し後の滅失、および契約に適合する提供を買主が受領拒絶した後の滅失は、危険が買主に移転している(567 条)。
- undefined A は自ら修繕をすることができる A は自ら修繕をすることができる。賃貸人は修繕義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由による損傷は除く(606 条 1 項)。通知後相当期間内に修繕されないとき、または急迫の事情があるときは賃借人が自ら修繕できる(607 条の 2)。必要費は直ちに、有益費は終了時に賃貸人の選択で償還(608 条)。対抗要件を備えた賃借人は自ら妨害停止・返還を請求できる(605 条の 4)。全部滅失で賃貸借は終了する(616 条の 2)。
- ア A は不足分の引渡しを受けられないとき、催告の上で代金減額を請求でき、この請求に「知った時から 1 年以内の通知」の制限はない 562〜564 条は種類・品質・数量の不適合に共通に適用され、追完(不足分の引渡し)・代金減額・損害賠償・解除ができる。566 条の「知った時から 1 年以内の通知」は種類・品質の不適合だけの制限で、数量・権利の不適合には適用されず、一般の消滅時効(166 条)だけがかかる。代金減額請求に売主の帰責事由は不要。
- ア 注文者の帰責事由によらず仕事が完成できなくなっても、既にした仕事の可分な部分の給付で注文者が利益を受けるときは、請負人はその割合に応じて報酬を請求できる 634 条(割合的報酬。2020 年改正で明文化)。報酬は仕事完成後の後払いで、引渡しを要するときは引渡しと同時履行(633 条)。目的物の不適合は注文者が知った時から 1 年以内の通知が必要(637 条)。注文者の任意解除は仕事完成前に限る(641 条)。
発展
- イ 買主が手付を交付した場合、売主は、買主が履行に着手した後であっても、自らが履行に着手していなければ、手付の倍額を現実に提供して契約を解除することができる 557 条 1 項ただし書は「相手方が契約の履行に着手した後」は解除できないとする。買主が着手していれば、売主は自分の着手の有無にかかわらず解除できない。他の肢は 557 条 1 項・2 項と最大判昭和 40 年 11 月 24 日のとおり。
- イ 解除前に目的不動産を買い受けた第三者は、解除原因について善意か悪意かを問わず 545 条 1 項ただし書で保護されるが、登記を備える必要がある 最判昭和 33 年 6 月 14 日。解除後の第三者は 177 条の対抗問題(最判昭和 35 年 11 月 29 日)。金銭には受領の時からの利息を付す(545 条 2 項)。解除権者が故意・過失で目的物を著しく損傷したときは解除権は消滅する(548 条。解除権を有することを知らなかったときを除く)。
- ウ A は B から建物を買い、引渡しを受けた。引渡しの 3 か月後に雨漏りが契約内容に適合しない欠陥によるものと判明し、A は直ちに B に通知した上で、相当の期間を定めて修補を催告したが B は応じない。A は代金の減額を請求する 563 条 1 項の代金減額請求の要件(催告後に追完なし)を満たし、1 年以内の通知もある。妻への転貸は背信性がない類型で解除できない。手付解除は買主の放棄によるもので、放棄しない返還請求は認められない(債務不履行解除なら別の構成が必要)。賃借人の帰責事由による一部滅失では当然減額されない(611 条 1 項)。敷金返還は明渡しが先で同時履行にならない。
- イ A は解除にあたって C に賃料支払の機会を与える催告をする必要はなく、B・C 間の転貸借は、A が C に建物の返還を請求した時に履行不能により終了する 最判平成 6 年 7 月 18 日(転借人への催告は不要)・最判平成 9 年 2 月 25 日(転貸借は賃貸人が転借人に返還を請求した時に履行不能で終了)。613 条 3 項本文が転借人に対抗できないとするのは合意解除であり、債務不履行解除には適用されない。
- undefined 第三者のためにする契約において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する 537 条 3 項。第三者は契約時に存在していなくてもよい(同条 2 項)。契約上の地位の移転には相手方の承諾が必要(539 条の 2)。解除権者が目的物を著しく損傷したときは解除権が消滅するが、解除権を有することを知らなかったときは消滅しない(548 条)。解除権は全員から・全員に対して行使し、1 人について消滅すれば他の者についても消滅する(544 条)。
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