事務管理・不当利得・不法行為 ── 問題
基礎
- 民法の条文について、土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害の責任(717 条)について正しいものはどれですか。 (ア 所有者が必要な注意をしたことを証明したときは、占有者が無過失責任を負う イ 占有者と所有者は常に連帯して責任を負い、どちらも免責されない ウ 占有者・所有者とも、瑕疵を知らなかったことを証明すれば責任を免れる エ 占有者が必要な注意をしたことを証明したときは、所有者が無過失責任を負う undefined 所有者は工作物の設置に過失があるときだけ責任を負う)
- 債務不履行による損害賠償請求権(人の生命・身体の侵害によるものを除く)について、権利を行使することができる時から進行する消滅時効の期間として正しいものはどれですか。 (ア 5 年 イ 10 年 ウ 20 年 エ 3 年 undefined 1 年)
- 事務管理に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 管理者は、管理を始めた後であっても、自分の都合でいつでも管理をやめることができる イ 本人の意思に反することが明らかな場合でも、管理者が本人のためにする意思をもっていれば事務管理は成立する ウ 管理者は、本人の意思を知っているか推知できるときは、その意思に従って管理しなければならない エ 事務管理が成立すると管理者に代理権が生じ、本人の名でした契約の効果は本人に帰属する undefined 管理者は、本人に対して管理の報酬を請求することができる)
- 一般不法行為(709 条)の成立要件に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 損害が発生していなくても、権利の侵害があれば損害賠償請求権が発生する イ 不法行為が成立するには加害者の故意が必要であり、過失による侵害は不法行為にならない ウ 加害者の故意または過失は、債務不履行と同じく加害者の側が自分に過失がなかったことを立証しなければならない エ 加害者に責任能力がなくても、故意または過失があれば加害者本人が賠償責任を負う undefined 加害者の故意または過失は、原則として被害者の側が立証しなければならない)
標準
- 次の判例について、生命侵害における慰謝料請求権の相続に関する最高裁判所の判例の結論として妥当なものはどれですか。 (ア 被害者本人が生前に請求の意思を表明した場合に限り、慰謝料請求権は相続される イ 被害者本人が請求の意思を表明していなくても、慰謝料請求権は当然に相続される ウ 慰謝料請求権は相続されるが、近親者は 711 条による固有の慰謝料を請求できなくなる エ 慰謝料請求権は、被害者が即死した場合には発生しないため相続もされない undefined 慰謝料請求権は一身専属的な権利であるため、相続の対象にならない)
- 次の事例について、民法の規定および判例に照らした結論として妥当なものはどれですか。A と B がそれぞれ別々の工場から汚水を流し、その両方が原因となって C の養魚場の魚が死んだ。A と B の間に共謀や共同の認識はなかった。 (ア A と B のどちらの汚水が原因かを C が証明できなければ、C はいずれにも請求できない イ 共同不法行為が成立するため、A が全額を賠償しても B に求償することはできない ウ A と B の行為は客観的に関連共同しているため共同不法行為が成立し、A・B は連帯して全額の賠償責任を負う エ A と B は共同不法行為者となるが、各自の責任は損害の半額に限られる undefined A と B に共同の認識がない以上、共同不法行為は成立せず、C はそれぞれの寄与分についてのみ請求できる)
- 不当利得の返還に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 法律上の原因がないことを知らずに利益を受けた者は、利益が現に存する限度で返還すればよく、受け取った金銭を生活費に充てた場合には利益は現存しないものとして扱われる イ 法律上の原因がないことを知って利益を受けた者は、受けた利益の全額を返還すれば足り、利息を付ける必要はない ウ 法律上の原因がないことを知らずに利益を受けた者も、受けた利益の全額に利息を付けて返還しなければならない エ 法律上の原因がないことを知らずに利益を受けた者は、利益が現に存する限度で返還すればよく、受け取った金銭を生活費に充てた場合には利益は現存するものとして扱われる undefined 受益者が善意か悪意かにかかわらず、返還の範囲は損失者が実際に受けた損失の額で決まる)
- 不法原因給付(708 条)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 登記のある建物を贈与した場合、引渡しをすれば登記を移転しなくても 708 条の「給付」があったといえる イ 強行法規に違反する契約に基づく給付は、すべて 708 条の不法原因給付にあたる ウ 愛人関係を維持する目的で建物を贈与し引き渡した場合、贈与者は不当利得としても所有権に基づいても返還を請求できず、建物の所有権は受贈者に帰属する エ 不法の原因が受益者のみにある場合であっても、給付者は返還を請求することができない undefined 愛人関係を維持する目的で建物を贈与し引き渡した場合、贈与者は不当利得としては返還を請求できないが、所有権に基づく返還請求はできる)
- 監督義務者責任(714 条)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 加害者である未成年者に責任能力がない場合、被害者が親権者の監督義務違反を立証しなければ親権者は責任を負わない イ 未成年者に責任能力があれば 714 条は使えないが、監督義務違反と損害に相当因果関係があれば親権者は 709 条で責任を負う ウ 責任能力の有無は年齢で一律に決まり、18 歳未満の者はすべて責任無能力者として扱われる エ 加害者である未成年者に責任能力がある場合でも、監督義務者である親権者は 714 条により責任を負う undefined 加害者である未成年者に責任能力がない場合、親権者は監督義務を怠らなかったことを証明しても責任を免れない)
- 使用者責任(715 条)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 被用者の行為が外形から見て職務の範囲内と認められる場合には、取引の相手方が被用者に権限がないことを知っていたときでも、使用者責任を追及できる イ 使用者が被害者に賠償した場合、使用者は被用者に対して賠償額の全額を求償することができる ウ 被用者が先に被害者に賠償した場合、被用者は使用者に対して求償することができない エ 外形上職務の範囲内とみえる行為でも、相手方が被用者に権限がないことを知っていたか重大な過失で知らなかったときは、使用者責任を追及できない undefined 使用者と被用者の責任は補充的な関係にあり、被害者はまず被用者に請求しなければならない)
- A と B の共同不法行為によって C に 500 万円の損害が生じた。A と B の過失の割合は A : B = 4 : 1 で、C に過失はない。A が C に 500 万円全額を賠償した場合、A が B に対して求償できる額として、民法の規定および判例に照らして妥当なものはどれですか。 (ア 0 万円 イ 400 万円 ウ 50 万円 エ 500 万円 undefined 100 万円)
- 次の事例について、民法の規定に照らした結論として妥当なものはどれですか。── A が B に自宅の改築工事を発注し、B の作業中の過失で隣家の C に損害が生じた。A の注文や指図に過失はなかった。 (ア 注文者 A は、注文または指図について過失がない限り責任を負わない イ 占有者 B が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明したときは、所有者 A が過失の有無を問わず責任を負う ウ A と B は、自分の石が当たったのではないことを証明できなくても、それぞれ損害の半分についてのみ責任を負う エ A と B は、いずれの行為が損害を生じさせたか不明であっても、連帯して損害を賠償する責任を負う undefined 所有者 A は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明すれば責任を負わない)
- 事務管理に関する民法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、管理者は本人に対して費用の償還を一切請求することができない イ 管理者が事務管理にあたって受けた損害については、委任の規定が準用され、本人にその賠償を請求することができる ウ 本人の身体・名誉・財産への急迫の危害を免れさせるための事務管理では、管理者は悪意または重大な過失がなければ損害賠償責任を負わない エ 管理者は、事務管理を始めたことを本人に通知する義務を一切負わず、本人が管理の事実を知ったかどうかにかかわらず費用の償還を請求できる undefined 管理者は、本人が自ら管理できるようになった後も、管理を始めた以上は事務が終了するまで管理を継続しなければならない)
- 名誉毀損と不法行為に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 名誉毀損による損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から 5 年で時効消滅する イ 名誉を毀損された者は、損害賠償を請求することはできるが、謝罪広告などの名誉を回復するのに適当な処分を裁判所に求めることはできない ウ 事実摘示による名誉毀損でも、公共の利害に関する事実を専ら公益目的で摘示し、真実であるか真実と信ずる相当の理由があれば、不法行為とならない エ 判例は、人格権としての名誉権に基づいて出版物の差止めを求めることは、事前抑制にあたるためいかなる場合も認められないとしている undefined 事実の摘示による名誉毀損は、摘示された事実が真実であれば、公益目的の有無を問わず不法行為とならない)
発展
- 特殊な不法行為に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 被用者の失火について使用者責任を問う場合、使用者自身に重大な過失があるかどうかで失火責任法の適用が判断される イ 共同不法行為は、共謀や共同の認識がなくても行為が客観的に関連共同していれば成立し、各自が連帯して全額の賠償責任を負う ウ 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合、共同行為者の間に共謀または共同の認識がなければ共同不法行為は成立しない エ 請負の注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害について、注文や指図に過失がなくても賠償責任を負う undefined 動物の占有者は、動物の種類および性質に従い相当の注意をもって管理したことを証明しても、責任を免れることができない)
- 不法行為における過失相殺(722 条 2 項)に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 被害者の過失を考慮するには被害者に事理弁識能力があれば足り、責任能力までは必要ない イ 被害者の過失を考慮するには被害者に責任能力が必要であり、責任能力のない幼児については過失相殺を行えない ウ 被害者が平均的な体格や体質と異なる身体的特徴をもっていた場合、疾患にあたらなくてもそれを理由に賠償額を減額できる エ 被害者がもともと有していた疾患が損害の拡大に寄与した場合でも、それを理由に賠償額を減額することは一切許されない undefined 裁判所は被害者の過失を考慮して賠償額を減額できるだけでなく、加害者の責任を否定することもできる)
- 不法行為による損害賠償の効果に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 不法行為による損害賠償は原状回復が原則であり、金銭賠償は原状回復が不可能な場合に限られる イ 不法行為による損害賠償債務は、被害者が加害者に履行の請求をした時から履行遅滞となる ウ 不法行為による損害賠償の範囲は、416 条とは無関係に、不法行為と事実的因果関係のあるすべての損害に及ぶ エ 被害者が生命を侵害された場合、被害者の父母・配偶者・子以外の者には固有の慰謝料が認められる余地はない undefined 不法行為による損害賠償債務は、被害者からの催告がなくても損害発生の時から履行遅滞となる)
- 特殊な不当利得(705 条〜707 条)および関連する判例に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 債務が存在しないことを過失によって知らずに弁済した者は、その返還を請求することができない イ 金銭をだまし取られた者は、その金銭で弁済を受けた第三者が善意・無過失であっても、その第三者に不当利得の返還を請求できる ウ 他人の債務を自分の債務と誤信して弁済し、債権者が善意で担保を放棄した場合でも、弁済者は債権者に返還を請求できる エ 弁済期がまだ来ていないことを知りながら弁済した者は、弁済した物の返還を請求することができる undefined 債務が存在しないことを知りながら弁済した者は、その返還を請求することができない)
- 不当利得に関する判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 金銭をだまし取られた者は、その金銭で弁済を受けた第三者が善意・無過失であっても、社会通念上その金銭で利益を受けたといえる以上、第三者に不当利得の返還を請求できる イ 登記された建物を不法な原因のために贈与した場合、引渡しがされていれば、登記を移転していなくても 708 条の給付があったといえる ウ 賃借人の依頼で建物を修繕した請負人は、賃借人が無資力で、所有者が賃借人との関係で対価関係なしに利益を受けたときに限り、所有者に不当利得の返還を請求できる エ 不法原因給付の給付者は、不当利得としては返還を請求できないが、所有権に基づく返還請求はすることができる undefined 建物の賃借人の依頼で修繕をした請負人は、賃借人が無資力であれば、建物の所有者と賃借人の間の契約内容にかかわらず、常に所有者に対して不当利得の返還を請求できる)
- 不法行為による損害賠償に関する民法の規定および判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 将来の逸失利益を一時金で賠償する場合の中間利息の控除は、口頭弁論終結時の法定利率によって行う イ 711 条により固有の慰謝料を請求できる近親者の範囲は被害者の父母・配偶者・子に限られ、判例はこれ以外の者に固有の慰謝料を認めたことはない ウ 被害者が受け取った生命保険金は、損害と同一の原因によって得た利益として、損益相殺により賠償額から控除される エ 判例は、被害者の夫の妹で、長年被害者と同居して世話を受けていた身体障害のある者について、711 条を類推適用して固有の慰謝料請求権を認めた undefined 被害者が身体を害されたが死亡には至らなかった場合、近親者はいかなる場合も固有の慰謝料を請求することができない)
事務管理・不当利得・不法行為 ── 解答
基礎
- エ 占有者が必要な注意をしたことを証明したときは、所有者が無過失責任を負う 占有者が必要な注意をしたことを証明したときは、所有者が無過失責任を負う。条文の「誰が・何を証明すれば免れるか」を表で整理しておく(zm-11 解説の表を参照)。
- イ 10 年 債務不履行による損害賠償請求権(人の生命・身体の侵害によるものを除く)について、権利を行使することができる時から進行する消滅時効は 10 年。不法行為は「知った時から 3 年(生命・身体は 5 年)・行為時から 20 年」、債務不履行は「知った時から 5 年・行使できる時から 10 年(生命・身体は 20 年)」。
- ウ 管理者は、本人の意思を知っているか推知できるときは、その意思に従って管理しなければならない 697 条 2 項。管理を始めたら本人や相続人が管理できるようになるまで継続しなければならず(700 条)、報酬請求権はない。代理権も生じない(最判昭和 36 年 11 月 30 日)。本人の意思に反することが明らかなときは事務管理は成立しない。
- undefined 加害者の故意または過失は、原則として被害者の側が立証しなければならない 709 条。故意・過失の立証責任は被害者側にある(債務不履行では債務者が免責事由を立証するのと逆)。責任能力(712 条・713 条)は要件であり、責任無能力者本人は責任を負わない。損害の発生も要件。
標準
- イ 被害者本人が請求の意思を表明していなくても、慰謝料請求権は当然に相続される 被害者本人が請求の意思を表明していなくても、慰謝料請求権は当然に相続される。判例は「結論」と「理由づけ」をセットで覚える。
- ウ A と B の行為は客観的に関連共同しているため共同不法行為が成立し、A・B は連帯して全額の賠償責任を負う A と B の行為は客観的に関連共同しているため共同不法行為が成立し、A・B は連帯して全額の賠償責任を負う。「契約があるか → なければ事務管理・不当利得・不法行為のどれか → 誰が加害者か」の順で条文を選ぶ。
- エ 法律上の原因がないことを知らずに利益を受けた者は、利益が現に存する限度で返還すればよく、受け取った金銭を生活費に充てた場合には利益は現存するものとして扱われる 703 条・704 条。善意の受益者は現存利益、悪意の受益者は利息を付けて返還し、なお損害があれば賠償する。生活費に充てた場合は自分の財産の減少を免れているので現存し、遊興費に浪費した場合は現存しないというのが判例の考え方。
- ウ 愛人関係を維持する目的で建物を贈与し引き渡した場合、贈与者は不当利得としても所有権に基づいても返還を請求できず、建物の所有権は受贈者に帰属する 最大判昭和 45 年 10 月 21 日。返還請求ができない結果、所有権は反射的に受益者に帰属する。不法の原因が受益者のみにあるときは請求できる(708 条ただし書)。既登記建物は登記の移転まで必要(最判昭和 46 年 10 月 28 日)。「不法」は公序良俗に反する醜悪なものを指し、強行法規違反がすべて含まれるわけではない。
- イ 未成年者に責任能力があれば 714 条は使えないが、監督義務違反と損害に相当因果関係があれば親権者は 709 条で責任を負う 最判昭和 49 年 3 月 22 日。714 条は責任無能力者の場合の規定で、監督義務を怠らなかったことを証明すれば免責される中間責任(立証責任は監督義務者側)。責任能力はおおむね 12 歳前後を目安に個別に判断される。
- エ 外形上職務の範囲内とみえる行為でも、相手方が被用者に権限がないことを知っていたか重大な過失で知らなかったときは、使用者責任を追及できない 最判昭和 42 年 11 月 2 日(相手方の悪意・重過失)。使用者から被用者への求償は信義則上相当な限度に制限され(最判昭和 51 年 7 月 8 日)、被用者から使用者への逆求償も認められる(最判令和 2 年 2 月 28 日)。使用者と被用者の責任は連帯の関係で、被害者はどちらにも全額を請求できる。
- undefined 100 万円 共同不法行為者は被害者に対して連帯して全額の責任を負う(719 条)が、内部では過失の割合に応じて負担する。B の負担部分 = 500 × 1/5 = 100 万円。C に過失がないので過失相殺は問題にならない。
- ア 注文者 A は、注文または指図について過失がない限り責任を負わない 注文者 A は、注文または指図について過失がない限り責任を負わない。工作物責任(717 条)は占有者が第一次的に中間責任を負い、占有者が免責されれば所有者が無過失責任を負う。動物占有者責任(718 条)は中間責任。注文者は注文・指図に過失がある場合のみ責任(716 条)。加害者不明の共同不法行為(719 条 1 項後段)は連帯責任。正当防衛(720 条 1 項)は他人の不法行為に対する防衛、緊急避難(同条 2 項)は他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合に限られる。
- ウ 本人の身体・名誉・財産への急迫の危害を免れさせるための事務管理では、管理者は悪意または重大な過失がなければ損害賠償責任を負わない 緊急事務管理(698 条)。管理者は遅滞なく本人に通知する義務を負う(699 条)。本人の意思に反して管理したときは現存利益の限度で費用償還を請求できる(702 条 3 項)。管理の継続義務は本人・相続人・法定代理人が管理できるようになるまで(700 条)。事務管理には委任の 650 条 3 項(受任者の損害賠償請求)は準用されておらず、管理者は損害の賠償を請求できない。
- ウ 事実摘示による名誉毀損でも、公共の利害に関する事実を専ら公益目的で摘示し、真実であるか真実と信ずる相当の理由があれば、不法行為とならない 最判昭和 41 年 6 月 23 日。公共性・公益目的・真実性(または相当性)の 3 要件。723 条により謝罪広告などの名誉回復処分を命じることができる。北方ジャーナル事件(最大判昭和 61 年 6 月 11 日)は、名誉権に基づく事前差止めを厳格な要件のもとで例外的に認めた。名誉毀損は生命・身体の侵害ではないので 724 条の 3 年(および 20 年)が適用される。
発展
- イ 共同不法行為は、共謀や共同の認識がなくても行為が客観的に関連共同していれば成立し、各自が連帯して全額の賠償責任を負う 719 条・客観的関連共同説。注文者は注文・指図に過失があるときのみ責任を負う(716 条)。動物占有者は相当の注意をもって管理したことを証明すれば免責(718 条)。被用者の失火は被用者に重過失があるかで判断する(最判昭和 42 年 6 月 30 日)。
- ア 被害者の過失を考慮するには被害者に事理弁識能力があれば足り、責任能力までは必要ない 最大判昭和 39 年 6 月 24 日(事理弁識能力で足りる)。722 条 2 項は任意的で額の減額のみ(責任の否定は不可)。疾患などの素因は 722 条 2 項の類推で斟酌できるが(最判平成 4 年 6 月 25 日)、疾患にあたらない通常の体格・体質は考慮できない(最判平成 8 年 10 月 29 日)。
- undefined 不法行為による損害賠償債務は、被害者からの催告がなくても損害発生の時から履行遅滞となる 最判昭和 37 年 9 月 4 日。金銭賠償が原則(722 条 1 項 → 417 条)で、名誉毀損の原状回復(723 条)が例外。711 条の父母・配偶者・子以外にも類推で固有の慰謝料を認めた判例がある(最判昭和 49 年 12 月 17 日)。賠償範囲は 416 条の類推適用で相当因果関係の範囲に限られる。
- undefined 債務が存在しないことを知りながら弁済した者は、その返還を請求することができない 705 条(非債弁済)。知らなかった場合は過失があっても請求できる。期限前の弁済は返還請求できない(706 条)。他人の債務の弁済で債権者が善意で担保を放棄したときは請求できず、債務者に求償する(707 条)。騙取金銭による弁済は、受領者に悪意または重過失がある場合に限り返還請求できる(最判昭和 49 年 9 月 26 日)。
- ウ 賃借人の依頼で建物を修繕した請負人は、賃借人が無資力で、所有者が賃借人との関係で対価関係なしに利益を受けたときに限り、所有者に不当利得の返還を請求できる 転用物訴権に関する最判平成 7 年 9 月 19 日。所有者が賃借人との契約で対価関係なしに利益を受けた場合に限り不当利得が成立する。騙取金銭による弁済は、受領者に悪意または重過失があるときに限り不当利得になる(最判昭和 49 年 9 月 26 日)。既登記建物の「給付」には登記の移転が必要(最判昭和 46 年 10 月 28 日)。不法原因給付では所有権に基づく返還請求もできず、所有権は受益者に帰属する(最大判昭和 45 年 10 月 21 日)。
- エ 判例は、被害者の夫の妹で、長年被害者と同居して世話を受けていた身体障害のある者について、711 条を類推適用して固有の慰謝料請求権を認めた 最判昭和 49 年 12 月 17 日。死亡に至らない傷害でも、死亡に比肩する精神的苦痛を受けた近親者は 709 条・710 条により固有の慰謝料を請求できる(最判昭和 33 年 8 月 5 日)。中間利息の控除は損害賠償請求権が生じた時点の法定利率による(722 条 1 項・417 条の 2)。生命保険金は保険料の対価であり損益相殺の対象にならない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zm-11/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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