労働基準法①(労働契約・就業規則・賃金) ── 問題
基礎
- 労働基準法が定める平均賃金の算定の基礎となる期間として正しいものはどれですか。 (ア 算定事由の発生した日以前 1 か月間 イ 算定事由の発生した日以前 6 か月間 ウ 算定事由の発生した日以前 2 か月間 エ 算定事由の発生した日以前 3 か月間 undefined 算定事由の発生した日以前 1 年間)
- 労働基準法 24 条の賃金支払の原則のうち、通貨払の原則の例外として認められているものはどれですか。 (ア 過半数組合(過半数代表者)との書面による協定がある場合に通貨以外のもので支払うこと イ 労働者の個別の同意さえあれば通貨以外のもので支払うこと ウ 法令または労働協約に別段の定めがある場合に通貨以外のもので支払うこと エ 労働基準監督署長の許可を受けた場合に通貨以外のもので支払うこと undefined 就業規則に定めがある場合に通貨以外のもので支払うこと)
- 労働基準法の性格と効力に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、労働者がその内容に同意して締結したものである限り、有効である イ 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、契約全体が無効となり、労働者と使用者は労働契約を締結し直さなければならない ウ 労働基準法で定める労働条件の基準は標準的なものであり、労使が合意すればこれを下回る労働条件を定めることも妨げられない エ 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、無効となった部分は同法の基準による undefined 労働基準法の規定に違反した使用者には、行政官庁による是正の勧告や公表の対象になることはあるが、刑罰が科されることはない)
- 労働基準法上の「労働者」「使用者」「賃金」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 「労働者」とは職業の種類を問わず事業に使用される者をいい、賃金が支払われているかどうかは問わない イ 「労働者」に当たるかどうかは契約の名称によって決まり、請負契約や業務委託契約の形式で働く者が労働者に当たることはない ウ 「賃金」とは基本給のみをいい、賞与や退職金は支給基準が就業規則で定められていても賃金には当たらない エ 「使用者」とは事業主だけでなく、事業の経営担当者や、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者をいう undefined 「使用者」とは法人である場合はその法人自体をいい、工場長や人事部長のような従業員が使用者に当たることはない)
- 労働契約の締結に際しての労働条件の明示(労働基準法 15 条)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働条件の明示は口頭で行えば足り、賃金や労働時間についても書面を交付する義務はない イ 有期労働契約を更新する場合の基準は明示事項とされているが、更新回数や通算契約期間の上限は明示事項に含まれない ウ 退職手当や賞与に関する事項は、その定めをするかどうかにかかわらず、常に書面で明示しなければならない エ 明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は 30 日前に予告したうえでなければ労働契約を解除することができない undefined 就業の場所および従事すべき業務については、それらの変更の範囲を含めて書面などにより明示しなければならない)
- 労働基準法 1 条から 7 条までの規定に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 使用者は、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない イ 使用者は、労働者が労働時間中に選挙権の行使を請求した場合、その時間を与えたうえで、その時間に対応する賃金を支払わなければならない ウ 暴行や脅迫によって労働を強制することの禁止に違反した使用者には、30 万円以下の罰金が科される エ 使用者は、労働者の性別を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない undefined 何人も法律に基づいて許される場合であっても、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない)
標準
- ノースウエスト航空事件(最判昭和 62 年 7 月 17 日)に関する最高裁判所の判断として妥当なものはどれですか。 (ア 休業手当の「使用者の責めに帰すべき事由」は民法 536 条 2 項より広いが、組合の一部ストによる他の組合員の休業はこれに当たらない イ 定年延長に伴う賃金減額の合理性を、不利益の程度・必要性・内容の相当性・代償措置・組合との交渉経緯などを総合して判断し、変更を有効とした ウ 就業規則が拘束力を生ずるには、その内容を事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する エ 就業規則による労働条件の不利益変更も、その条項が合理的なものである限り、反対する労働者も拘束する undefined 多数組合が同意していても、高年齢の行員だけに大幅な賃金減額を課す就業規則の変更は合理性を欠き、その部分は拘束力を持たない)
- 労働者が就業規則の内容に個別に合意していないが、使用者は合理的な内容の就業規則を周知させていた場合の法的な扱いとして正しいものはどれですか。 (ア その部分は無効となり、無効となった部分は労働基準法の基準による(労働基準法 13 条) イ 原則として変更できないが、変更後の就業規則を周知させ、かつ変更が諸事情に照らして合理的であれば、変更後の就業規則が労働契約の内容になる(労働契約法 9 条・10 条) ウ 就業規則が合理的な労働条件を定め、労働者に周知されていれば、その就業規則の労働条件が労働契約の内容になる(労働契約法 7 条) エ 就業規則は労働協約に反してはならず、行政官庁はその就業規則の変更を命ずることができる(労働基準法 92 条) undefined その部分は無効となり、無効となった部分は就業規則の基準による(労働契約法 12 条))
- 労働契約の期間(労働基準法 14 条)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 高度の専門的知識を有する労働者との労働契約であれば、その者が就く業務の内容を問わず、契約期間の上限は 5 年になる イ 期間の定めのある労働契約は、労働者の職種や年齢を問わず、一律に 5 年を超える期間について締結してはならない ウ 期間の定めのある労働契約は、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、原則として 3 年を超える期間について締結してはならない エ 満 60 歳以上の労働者との間で締結する期間の定めのある労働契約についても、契約期間の上限は他の労働者と同じく 3 年である undefined ダム建設などの一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約についても、契約期間は 3 年を超えることができない)
- 労働基準法 16 条から 18 条までの規定に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせることはできないが、労働者の委託を受けて貯蓄金を管理することは、労使協定や届出などの要件なしに自由に行うことができる イ 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならないが、労働者の債務不履行によって現実に生じた損害の賠償を請求することは禁止されていない ウ 使用者が労働者の委託を受けて貯蓄金を管理する場合、労働者から返還の請求があっても、あらかじめ定めた期間が経過するまでは返還する義務を負わない エ 使用者は、労働者に対する前借金と賃金を相殺することを、労働者の書面による同意があれば行うことができる undefined 使用者は、労働者の故意または過失によって現実に損害が生じた場合であっても、労働者に対してその損害の賠償を請求することができない)
- 就業規則の作成手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成して行政官庁に届け出なければならず、作成・変更に当たっては過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の意見を聴かなければならない イ 就業規則の作成義務は常時 50 人以上の労働者を使用する使用者に課され、10 人以上 50 人未満の使用者は作成するよう努めなければならない ウ 過半数労働組合が就業規則の変更に反対する意見を述べたときは、使用者はその変更を行政官庁に届け出ることができない エ 常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成しなければならず、作成・変更に当たっては過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の同意を得なければならない undefined 就業規則は事業場ごとではなく企業単位で作成すればよく、労働者数もパートやアルバイトを除いた正社員の数で数える)
- 就業規則の変更による労働条件の不利益変更に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 就業規則の変更による不利益変更は、労働者全員の個別の同意がない限り効力を生じず、変更が合理的な内容であっても反対する労働者を拘束することはない イ 労働者と使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分についても、変更が合理的であれば変更後の就業規則が優先する ウ 使用者は労働者と合意することなく就業規則の変更により労働条件を不利益に変更することは原則としてできないが、変更後の就業規則を周知させ、かつ変更が合理的なものであるときは、変更後の就業規則が労働契約の内容になる エ 事業場の過半数で組織する労働組合が変更に同意していれば、変更の内容や不利益の程度を問わず、その変更は合理的なものと認められる undefined 就業規則の変更が合理的なものであれば、変更後の就業規則を労働者に周知させていなくても、変更後の就業規則が労働契約の内容になる)
- 賃金の全額払の原則と相殺に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 賃金の過払を後の賃金から差し引く調整的相殺は、過払の時期からの期間や金額の多寡にかかわらず、常に全額払の原則に反して許されない イ 労働者の同意に基づく相殺は、その同意が書面によってされていれば、同意に至る経緯を問わず常に有効である ウ 労働者がその自由な意思に基づいて相殺に同意した場合、その同意が自由な意思に基づくと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、その相殺は全額払の原則に反しない エ 労働者による退職金請求権の放棄は、賃金の全額払の原則の趣旨に照らし、労働者の自由な意思に基づくものであっても無効である undefined 使用者が労働者に対して有する債権と賃金との相殺は、労働者の同意の有無や態様を問わず、全額払の原則に反して許されない)
- 平均賃金と休業手当に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額である イ 使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中、平均賃金の 100 分の 80 以上の休業手当を支払わなければならない ウ 賞与のような 3 か月を超える期間ごとに支払われる賃金も、平均賃金の算定の基礎となる賃金の総額に算入される エ 天災地変によって事業の継続が不可能になり労働者を休業させた場合も、使用者は休業手当を支払わなければならない undefined 平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間に支払われた賃金の総額を、その期間中の労働日数で除した金額である)
発展
- 女性であることを理由に管理職への昇進の対象から外したことについて、労働基準法上の評価として正しいものはどれですか。 (ア 国籍を理由とする差別的取扱いであり、均等待遇の原則(3 条)に違反する イ 労働契約の不履行について違約金を定めるものであり、賠償予定の禁止(16 条)に違反する ウ 女性であることを理由とする賃金差別であり、男女同一賃金の原則(4 条)に違反する エ 公民権行使の保障(7 条)は必要な時間の付与を求めるだけで、その時間の賃金を支払う義務まで課してはいないので、違反にならない undefined 労働基準法には性別を理由とする昇進差別を禁止する規定はなく、男女雇用機会均等法(6 条)の問題になる)
- 最低賃金法に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 地域別最低賃金の額の適用に当たっては、精皆勤手当や通勤手当、時間外労働の割増賃金も算入して最低賃金額以上かどうかを判断する イ 最低賃金には地域別最低賃金と特定最低賃金があり、いずれも国会の議決を経て法律の形式で定められる ウ 地域別最低賃金は全国各地域について決定されなければならず、労働者の生計費を考慮するに当たっては生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとされている エ 地域別最低賃金は、産業ごとに労使の申出に基づいて、必要と認められる場合に限って決定される undefined 最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約は、その労働契約全体が無効となる)
- 労働基準法の実効性を確保するしくみに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働基準監督官は事業場への立入りや帳簿の閲覧はできるが、労働基準法違反の罪について司法警察官として捜査を行う権限は与えられていない イ 労働基準法に違反する行為があった場合、罰則の対象となるのは事業主である法人のみであり、違反行為をした工場長などの個人が処罰されることはない ウ 労働基準監督官は、事業場に臨検し、帳簿や書類の提出を求め、使用者や労働者に尋問することができ、労働基準法違反の罪について司法警察官の職務を行う エ 労働者は使用者の労働基準法違反の事実を行政官庁や労働基準監督官に申告することができるが、申告を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止する規定はない undefined 労働基準法の監督機関は厚生労働省と都道府県労働局であり、労働基準監督署は労働災害の認定のみを担当する機関である)
- 労働者性および労働契約の成立に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 自己所有のトラックを持ち込んで運送業務に従事していた運転手について、業務遂行上の指揮監督や時間的拘束が緩く報酬も運送量に応じて決まっていたことなどから、労働基準法上の労働者に当たらないとした イ 自己所有のトラックを持ち込んで運送業務に従事していた運転手について、会社の指示で運送を行い会社の業務に不可欠な労働力であったことから、労働基準法上の労働者に当たるとした ウ 採用内定の通知によっては労働契約はまだ成立しておらず、入社日までは内定者と会社との間に何ら契約関係は存在しないとした エ 試用期間中の労働関係は労働契約の成立前の準備段階であり、本採用の拒否は使用者の自由な判断に委ねられるとした undefined 採用内定によって労働契約が確定的に成立するため、内定取消しは通常の解雇と同一の基準によってのみ許されるとした)
- 就業規則の内容と効力に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 就業規則で減給の制裁を定める場合、1 回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超えず、総額が一賃金支払期の賃金総額の 10 分の 1 を超えない範囲でなければならない イ 退職に関する事項は就業規則に常に記載しなければならないが、解雇の事由は労働契約書に記載すれば足り、就業規則の記載事項ではない ウ 労働契約で定める労働条件が就業規則の基準を下回る場合でも、労働者がその労働契約に合意していれば労働契約の定めが優先する エ 就業規則は法令に反してはならないが、労働協約は労働組合と使用者の合意にすぎないので、就業規則が労働協約に反していても効力に影響はない undefined 就業規則で減給の制裁を定める場合、1 回の額が平均賃金の 1 日分を超えず、総額が一賃金支払期の賃金総額の 2 分の 1 を超えない範囲でなければならない)
労働基準法①(労働契約・就業規則・賃金) ── 解答
基礎
- エ 算定事由の発生した日以前 3 か月間 平均賃金の算定の基礎となる期間は「算定事由の発生した日以前 3 か月間」。就業規則は 89 条(常時 10 人以上)、契約期間は 14 条(原則 3 年・高度専門職と 60 歳以上は 5 年)、休業手当は 26 条(60 % 以上)、平均賃金は 12 条(3 か月間の賃金総額 ÷ 総日数)、帰郷旅費は 15 条 3 項(14 日以内)。
- ウ 法令または労働協約に別段の定めがある場合に通貨以外のもので支払うこと 通貨払の原則の例外は「法令または労働協約に別段の定めがある場合に通貨以外のもので支払うこと」。通貨払の例外は法令・労働協約(労使協定ではない)、全額払の例外は法令・労使協定、直接払は使者は可・代理人は不可、毎月 1 回以上・一定期日払の例外は臨時の賃金・賞与など。
- エ 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、無効となった部分は同法の基準による 13 条(強行的・直律的効力)。基準は「最低のもの」(1 条 2 項)で、労働者の同意があっても下回れない。違反には 117 条〜121 条の罰則がある。
- エ 「使用者」とは事業主だけでなく、事業の経営担当者や、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者をいう 10 条。労働者性(9 条)は契約の形式ではなく使用従属性の実態で判断する。賃金(11 条)は名称を問わず労働の対償として支払われるすべてのもので、支給基準の定まった賞与・退職金も含む。労働者は「賃金を支払われる者」であることが要件。
- undefined 就業の場所および従事すべき業務については、それらの変更の範囲を含めて書面などにより明示しなければならない 施行規則 5 条(2024 年 4 月 1 日施行の改正で就業場所・業務の変更の範囲、更新上限、無期転換申込機会などが追加)。賃金・労働時間などは書面(希望があれば FAX・電子メール等)で明示。事実と相違すれば即時解除できる(15 条 2 項)。退職手当・賞与は「定めをする場合」の明示事項。
- ア 使用者は、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない 3 条(国籍・信条・社会的身分)。性別は 4 条(女性の賃金差別)と均等法の問題。7 条は時間の付与義務で賃金支払義務はない。5 条違反は 1 年以上 10 年以下の拘禁刑または 20 万円以上 300 万円以下の罰金(117 条)。6 条は「法律に基づいて許される場合の外」と定める。
標準
- ア 休業手当の「使用者の責めに帰すべき事由」は民法 536 条 2 項より広いが、組合の一部ストによる他の組合員の休業はこれに当たらない ノースウエスト航空事件(最判昭和 62 年 7 月 17 日)の判断は「休業手当の「使用者の責めに帰すべき事由」は民法 536 条 2 項より広いが、組合の一部ストによる他の組合員の休業はこれに当たらない」。秋北バス=反対者も拘束、第四銀行=合理性の判断要素、みちのく銀行=特定層への不利益で合理性否定、フジ興産=周知が要件、ノースウエスト航空=26 条は民法より広い、横浜南労基署長=持込運転手は労働者でない、大日本印刷=内定は始期付・解約権留保付労働契約。
- ウ 就業規則が合理的な労働条件を定め、労働者に周知されていれば、その就業規則の労働条件が労働契約の内容になる(労働契約法 7 条) 労働者が就業規則の内容に個別に合意していないが、使用者は合理的な内容の就業規則を周知させていた場合は「就業規則が合理的な労働条件を定め、労働者に周知されていれば、その就業規則の労働条件が労働契約の内容になる(労働契約法 7 条)」。効力の順位は 法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約。労基法 13 条と労働契約法 12 条は「達しない部分だけ無効・基準に置きかわる」構造で、契約全体が無効になるのではない。
- ウ 期間の定めのある労働契約は、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、原則として 3 年を超える期間について締結してはならない 14 条。原則 3 年、高度の専門的知識等を有する労働者(その知識等を必要とする業務に就く者に限る)と満 60 歳以上の労働者は 5 年。一定の事業の完了に必要な期間を定める契約は上限の対象外。
- イ 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならないが、労働者の債務不履行によって現実に生じた損害の賠償を請求することは禁止されていない 16 条(賠償予定の禁止)は額の予定・違約金を禁じるだけで実損害の賠償請求は可。17 条の前借金相殺は同意があっても禁止。18 条は強制貯金を禁じ、任意の委託管理は労使協定・届出・利子付与などの要件付きで可。返還請求には遅滞なく応じる義務がある(18 条 5 項)。
- ア 常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成して行政官庁に届け出なければならず、作成・変更に当たっては過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の意見を聴かなければならない 89 条・90 条。意見聴取であって同意は不要。反対意見でも意見書を添付して届け出れば足りる。10 人は事業場単位で、パート・アルバイトも含めて数える。
- ウ 使用者は労働者と合意することなく就業規則の変更により労働条件を不利益に変更することは原則としてできないが、変更後の就業規則を周知させ、かつ変更が合理的なものであるときは、変更後の就業規則が労働契約の内容になる 労働契約法 9 条・10 条(秋北バス事件・第四銀行事件の法理を条文化)。周知と合理性の両方が要件。過半数組合の同意は考慮要素の 1 つにすぎない(みちのく銀行事件)。個別に「変更されない」と合意した部分は 10 条但書で除外される。
- ウ 労働者がその自由な意思に基づいて相殺に同意した場合、その同意が自由な意思に基づくと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、その相殺は全額払の原則に反しない 日新製鋼事件(最判平成 2 年 11 月 26 日)。調整的相殺は時期の接着・額の相当性などの条件で許される(福島県教組事件 最判昭和 44 年 12 月 18 日)。退職金請求権の放棄も自由な意思に基づけば有効(シンガー・ソーイング・メシーン事件 最判昭和 48 年 1 月 19 日)。書面の有無ではなく自由な意思の有無を客観的に判断する。
- ア 平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前 3 か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額である 12 条。総日数(暦日数)で割る。労働日数で割った額の 60 % は日給・時間給などの最低保障。休業手当(26 条)は 60 % 以上で、天災地変など使用者の責めに帰すべき事由でない休業は対象外。臨時の賃金・3 か月を超える期間ごとの賃金は総額に算入しない。
発展
- undefined 労働基準法には性別を理由とする昇進差別を禁止する規定はなく、男女雇用機会均等法(6 条)の問題になる 女性であることを理由に管理職への昇進の対象から外したことは「労働基準法には性別を理由とする昇進差別を禁止する規定はなく、男女雇用機会均等法(6 条)の問題になる」。3 条は国籍・信条・社会的身分、4 条は女性の賃金差別だけを扱い、性別による昇進差別は均等法。7 条は時間の付与義務で賃金は不問。16 条は額の予定・違約金の禁止。18 条 1 項は強制貯金を禁じるが、2 項以下の要件を満たす任意の委託管理は可。
- ウ 地域別最低賃金は全国各地域について決定されなければならず、労働者の生計費を考慮するに当たっては生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとされている 最低賃金法 9 条。地域別最低賃金は厚生労働大臣または都道府県労働局長が最低賃金審議会の意見を聴いて決定する(10 条)。達しない部分だけ無効になり最低賃金と同じ定めとみなされる(4 条 2 項)。精皆勤手当・通勤手当・家族手当・割増賃金・賞与などは算入しない。産業別に労使の申出で決めるのは特定最低賃金(15 条)。
- ウ 労働基準監督官は、事業場に臨検し、帳簿や書類の提出を求め、使用者や労働者に尋問することができ、労働基準法違反の罪について司法警察官の職務を行う 101 条・102 条。違反行為をした者(行為者)が罰せられ、事業主も両罰規定(121 条)で罰金刑を受ける。申告を理由とする不利益取扱いは禁止(104 条 2 項)。監督機関は労働基準局・都道府県労働局・労働基準監督署(97 条)。
- ア 自己所有のトラックを持ち込んで運送業務に従事していた運転手について、業務遂行上の指揮監督や時間的拘束が緩く報酬も運送量に応じて決まっていたことなどから、労働基準法上の労働者に当たらないとした 横浜南労働基準監督署長事件(最判平成 8 年 11 月 28 日)。採用内定は始期付・解約権留保付の労働契約の成立で、内定取消しは留保解約権の趣旨に照らし客観的に合理的で社会通念上相当な事由に限られる(大日本印刷事件 最判昭和 54 年 7 月 20 日)。試用期間も解約権留保付の労働契約で、本採用拒否は通常の解雇より広く認められるが無制限ではない(三菱樹脂事件 最大判昭和 48 年 12 月 12 日)。
- ア 就業規則で減給の制裁を定める場合、1 回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超えず、総額が一賃金支払期の賃金総額の 10 分の 1 を超えない範囲でなければならない 91 条。就業規則は法令・労働協約に反してはならず(92 条)、反する場合は行政官庁が変更を命じられる。退職に関する事項は解雇の事由を含めて絶対的必要記載事項(89 条 3 号)。就業規則の基準を下回る労働契約の部分は無効で就業規則の基準による(労働契約法 12 条)。
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