労働組合法(労働三権・不当労働行為・団体交渉・労働協約・争議行為) ── 問題
基礎
- 使用者が労働組合に加入しないことを条件として労働者を採用したことは、労働組合法 7 条の不当労働行為のどの類型に当たりますか。 (ア 3 号の経費援助 イ 2 号の団体交渉拒否 ウ 3 号の支配介入 エ 1 号の黄犬契約 undefined 1 号の不利益取扱い)
- 労働組合法または労働関係調整法が定める公益事業で争議行為をする場合に労働委員会などに通知しなければならない時期として正しいものはどれですか。 (ア 14 日前まで イ 3 日前まで ウ 30 日前まで エ 10 日前まで undefined 7 日前まで)
- 労働組合法が労働組合とその活動に与える保護に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働組合法の保護は労働委員会の資格審査を経て法適合組合と認められた組合に限られ、それ以外の団体には憲法 28 条の保障も及ばない イ 労働組合の団体交渉その他の行為で正当なものには刑法 35 条の規定が適用され、争議の目的を達成するために必要であれば一定の実力の行使も正当な行為に含まれる ウ 労働組合の団体交渉その他の行為で正当なものには刑法 35 条の正当行為の規定が適用されるが、いかなる場合においても暴力の行使は正当な行為と解釈されない エ 労働組合法は労働組合と使用者の間の集団的な関係を規律する法律であり、個々の労働者に対する不利益取扱いを禁止する規定は置いていない undefined 使用者は、正当な争議行為によって損害を受けた場合、労働組合に対しては賠償を請求できないが、争議行為に参加した個々の組合員に対しては賠償を請求することができる)
- 労働組合法 2 条の「労働組合」の要件に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政治運動を行う団体は、それが従たる活動にとどまる場合であっても労働組合法上の労働組合とは認められない イ 使用者から最小限の広さの事務所の供与を受けている団体は、そのことをもって使用者の経理上の援助を受けるものには当たらず、労働組合法上の労働組合となりうる ウ 使用者から事務所の供与を受けている団体は、その広さにかかわらず使用者の経理上の援助を受けるものに当たり、労働組合法上の労働組合とは認められない エ 共済事業その他福利事業のみを目的とする団体も、労働者が組織するものであれば労働組合法上の労働組合となる undefined 役員や人事について直接の権限を持つ監督的地位にある労働者の参加を許す団体でも、労働者が主体となっていれば労働組合法上の労働組合となる)
- 労働協約の成立と期間に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名または記名押印することによって効力を生じ、有効期間は 3 年を超えて定めることができない イ 労働協約は、労働基準監督署長に届け出ることによって効力を生じ、有効期間は 5 年を超えて定めることができない ウ 労働協約は、労働組合と使用者が合意すれば口頭でも効力を生じ、有効期間の上限は定められていない エ 3 年を超える有効期間を定めた労働協約は、その全体が無効になる undefined 有効期間の定めのない労働協約は、当事者の一方が相手方に口頭で予告すれば、その日から 30 日で解約される)
標準
- 朝日放送事件(最判平成 7 年 2 月 28 日)に関する最高裁判所の判断として妥当なものはどれですか。 (ア 公務員の地位の特殊性と職務の公共性、勤務条件法定主義、代償措置の存在などを理由に、公務員の争議行為の一律禁止とあおり行為の処罰は憲法 28 条に違反しないとした イ 雇用主以外の事業主でも、労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあれば、その限りで労働組合法 7 条の使用者に当たるとした ウ 労使間の勢力の均衡が破れ使用者側が著しく不利な圧力を受ける場合に、対抗防衛手段として相当と認められるロックアウトは正当であり、使用者はその期間中の賃金支払義務を免れるとした エ ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の組合に加入している者や脱退後に他の組合に加入した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法 90 条により無効であるとした undefined 解雇された労働者にバックペイを命ずる救済命令において、解雇期間中の中間収入を控除するかどうかは労働委員会の合理的な裁量に委ねられるが、控除しないことが合理性を欠く場合は違法になるとした)
- 労働関係調整法が定める仲裁の説明として正しいものはどれですか。 (ア 労働委員会の会長が指名する斡旋員が双方の主張の要点を確かめて解決に努める手続で、関係当事者の一方の申請や労働委員会の職権でも開始される イ 厚生労働大臣が労働委員会の意見を聴いて決定する手続で、決定の公表の日から 30 日間は争議行為をすることができない ウ 公益委員などで構成する委員会が裁定を下す手続で、裁定は書面で作成され、労働協約と同一の効力を持って当事者を拘束する エ 労使公益三者で構成する委員会が調停案を作成して受諾を勧告する手続で、調停案に当事者を拘束する効力はない undefined 内閣総理大臣が中央労働委員会の意見を聴いて決定する手続で、決定の公表の日から 50 日間は争議行為をすることができない)
- 労働組合法上の「労働者」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 最高裁判所は、劇場と出演基本契約を結ぶ合唱団員について、個別の公演ごとに出演を辞退する自由があることを理由に労働組合法上の労働者に当たらないとした イ 労働組合法上の労働者に当たるかどうかは、労働委員会ではなく厚生労働大臣が認定する ウ 労働組合法上の労働者は、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいい、現に使用者に使用されていない失業者も含まれる エ 業務委託契約の形式で就労する者は、契約の形式が雇用でない以上、労働組合法上の労働者に当たることはない undefined 労働組合法上の労働者は、事業に使用され賃金を支払われる者をいい、労働基準法上の労働者と同一の範囲である)
- ユニオン・ショップ協定およびチェック・オフに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働組合からの除名が無効である場合、その除名を理由とするユニオン・ショップ協定に基づく解雇は、客観的に合理的な理由を欠き無効である イ チェック・オフについて労使協定がある場合、個々の組合員が控除の中止を申し出ても、使用者は組合の意向に従って控除を続けることができる ウ ユニオン・ショップ協定は、その組合が事業場の労働者の過半数を代表していなくても、労働組合法 7 条 1 号但書により締結が認められる エ チェック・オフは労働組合の運営に必要な便宜供与であり、労働基準法 24 条の全額払の原則とは無関係に、労働協約があれば実施できる undefined ユニオン・ショップ協定に基づき、協定締結組合を脱退して別の労働組合に加入した労働者を解雇することは、協定の効力として当然に有効である)
- 団体交渉に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 使用者は労働組合からの団体交渉の申入れに応じて交渉の席に着けば足り、交渉における態度や内容が不当労働行為の問題になることはない イ 労働組合の上部団体は組合員を直接雇用する使用者との関係を持たないため、団体交渉の当事者になることはできない ウ 使用者は誠実に交渉する義務を負い、交渉の席に着いても自らの主張の根拠を示さず合意の可能性を探ろうとしない形式的な交渉は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる エ 団体交渉を拒否された労働組合は労働委員会に救済を申し立てることができるが、裁判所に団体交渉を求めうる地位の確認を求めることはできない undefined 会社の合併や新製品の開発などの経営に関する事項は、労働条件に影響を及ぼす場合であっても義務的団交事項になることはない)
- 労働協約の効力に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働協約に定める労働条件の基準に違反する労働契約は、その労働契約全体が無効となる イ 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分は協約の基準による ウ 1 つの地域の同種の労働者の大部分が 1 つの労働協約の適用を受けるに至ったときは、行政機関の決定を経ることなく当然にその地域の他の同種の労働者にも協約が適用される エ 労働協約のうち組合事務所の貸与や団体交渉の手続を定めた部分にも、労働契約の内容を直接規律する規範的効力が認められる undefined 1 つの工場事業場の同種の労働者の過半数が 1 つの労働協約の適用を受けるに至ったときは、他の同種の労働者にもその協約が適用される)
- 争議行為の正当性に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働組合の統制を離れた一部の組合員が組合の決定に反して行うストライキも、労働条件の改善を目的とする限り正当な争議行為である イ 争議行為は労務の不提供にとどまるべきであり、使用者の意思を排除して工場を占拠し労働者が自ら経営を行う生産管理は、正当な争議行為とは認められない ウ 労働者が団結して行う行為であれば、国の政策に反対することを目的とするストライキも、労働者の経済的地位に関係する限り正当な争議行為と認められる エ ピケッティングは争議行為の実効性を確保する手段として、実力で就労を阻止する態様のものであっても常に正当と認められる undefined 正当な争議行為に参加した労働者に対しては、ストライキ期間中の賃金を支払わなければならず、賃金カットは不利益取扱いとして許されない)
- 労働委員会による不当労働行為の救済手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 確定した救済命令に使用者が違反した場合、罰則や過料の定めはなく、労働委員会の勧告によって履行を促すにとどまる イ 労働委員会は使用者委員・労働者委員・公益委員で構成され、不当労働行為事件の審査はこれら三者の合議によって行われる ウ 不当労働行為の救済の申立ては労働組合または労働者が行い、行為の日(継続する行為はその終了した日)から 1 年を経過した事件については申立てができない エ 不当労働行為の救済の申立ては使用者も行うことができ、労働組合の行為が不当労働行為に当たるかどうかの判断を求めることができる undefined 都道府県労働委員会の救済命令に不服のある使用者は、中央労働委員会への再審査の申立てと裁判所への取消しの訴えを同時に提起しなければならない)
- 不当労働行為のうち支配介入に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 複数の労働組合が併存する場合、使用者が一方の組合とのみ交渉に応じ他方の組合を冷遇しても、団体交渉権の行使の問題であって支配介入にはならない イ 使用者の言論であっても、組合の運営に対する威嚇や利益誘導を含み、組合の自主的な運営に影響を及ぼすおそれがあるものは支配介入に当たり、組合活動に現実の影響が生じたことは要件ではない ウ 労働組合の運営のために使用者が経費を援助することは組合にとって利益になるので、支配介入とは別に不当労働行為として禁止されてはいない エ 使用者にも言論の自由が保障されているので、使用者が労働組合の方針を批判する声明を出しても支配介入に当たることはない undefined 支配介入が成立するためには、使用者の行為によって組合員の脱退や組合活動の停滞など現実の影響が生じたことが必要である)
発展
- 警察職員の労働三権に関する記述として正しいものはどれですか。 (ア 団結権と争議権は認められているが、団体交渉権は認められていない イ 職員団体を結成して当局と交渉することはできるが、労働協約を締結することはできず、争議行為も禁止されている ウ 労働組合を結成して団体交渉を行い労働協約を締結することもできるが、争議行為は禁止されている エ 団結権・団体交渉権・争議権のいずれも認められていない undefined 団結権・団体交渉権・争議権のすべてが憲法 28 条と労働組合法によって保障されている)
- 公務員の労働基本権に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 全農林警職法事件は、都教組事件の二重のしぼり論を維持し、違法性の強い争議行為のあおり行為に限って処罰できるとした イ 最高裁判所は、非現業の国家公務員についても労働協約の締結権を認めなければ憲法 28 条に反するとしている ウ 全逓東京中郵事件は、公務員の争議行為を一律に禁止しあおり行為を処罰することを合憲とし、その後の判例もこの立場を維持している エ 都教組事件は、公務員の争議行為の一律禁止を合憲としたうえで、あおり行為の処罰規定を限定解釈する必要はないとした undefined 全農林警職法事件は、公務員の地位の特殊性と職務の公共性、勤務条件が法律・予算で定められること、人事院などの代償措置の存在を理由に、争議行為の一律禁止とあおり行為の処罰を合憲とした)
- 労働協約による労働条件の変更と拡張適用に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 労働協約による賃金や退職金の不利益変更は、組合員の個別の同意がない限り、その組合員を拘束しない イ 労働協約による労働条件の不利益変更を未組織労働者に拡張適用することが、その労働者の受ける不利益の程度・内容や協約の締結経緯などに照らして著しく不合理と認められる特段の事情があるときは、その労働者には拡張適用されない ウ 労働協約の一般的拘束力は法律の規定に基づく効果であるから、未組織労働者にどれほど大きな不利益を与える内容であっても例外なく拡張適用される エ 労働協約の一般的拘束力は、同種の労働者であれば別の労働組合に加入している者にも当然に及ぶとするのが判例・通説である undefined 労働協約による労働条件の不利益変更は、それが特定の組合員をことさら不利益に扱う目的で締結されたものであっても、労働組合の決定である以上その組合員を拘束する)
- 争議行為と賃金、およびロックアウトに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ストライキに参加した労働者は労務を提供していないが、労働組合法により保護される正当な行為を行った以上、その期間の賃金を請求することができる イ ロックアウトは使用者の争議対抗手段として広く認められており、労働組合の争議行為に先立って先制的に行う場合も正当であって賃金支払義務を免れる ウ 労働組合の一部の組合員のストライキによって他の組合員が就労できなくなった場合、使用者は就労できなかった組合員に対して休業手当を支払わなければならない エ 労使間の勢力の均衡が破れ使用者が著しく不利な圧力を受ける場合に、対抗防衛手段として相当と認められるロックアウトは正当であり、使用者はその期間中の賃金支払義務を免れる undefined ストライキ期間中の賃金カットは基本給に限られ、家族手当など生活保障的な手当を削減することは、就業規則や慣行があっても許されない)
- 労働関係調整法上の公益事業と緊急調整に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 公益事業に関する事件について関係当事者が争議行為をするには、少なくとも 10 日前までに労働委員会および厚生労働大臣または都道府県知事に通知しなければならない イ 公益事業とは運輸・郵便・電気通信・水道・電気・ガス・医療・公衆衛生などの事業をいい、これらの事業では争議行為そのものが禁止されている ウ 内閣総理大臣は、国会の承認を経ることなく、期間の制限もなしに任意の事業を公益事業に指定することができる エ 緊急調整の決定は、公益事業に関する事件に限って行うことができ、規模の大きい事件や特別の性質の事業に関する事件は対象にならない undefined 緊急調整は厚生労働大臣が中央労働委員会の意見を聴いて決定し、決定の公表の日から 30 日間は争議行為をすることができない)
労働組合法(労働三権・不当労働行為・団体交渉・労働協約・争議行為) ── 解答
基礎
- エ 1 号の黄犬契約 使用者が労働組合に加入しないことを条件として労働者を採用したことは 7 条「1 号の黄犬契約」。1 号は不利益取扱いと黄犬契約、2 号は団交拒否、3 号は支配介入と経費援助、4 号は労働委員会への申立て等を理由とする報復的不利益取扱い。
- エ 10 日前まで 公益事業で争議行為をする場合に労働委員会などに通知しなければならない時期は「10 日前まで」。協約の有効期間は 3 年(15 条)、無期限協約の解約予告は 90 日前(15 条 4 項)、一般的拘束力は 4 分の 3(17 条)、取消訴訟は 30 日(27 条の 19)、再審査は 15 日(27 条の 15)、申立期間は 1 年(27 条 2 項)、緊急調整中の争議禁止は 50 日(労調法 38 条)、公益事業の予告は 10 日前(労調法 37 条)。
- ウ 労働組合の団体交渉その他の行為で正当なものには刑法 35 条の正当行為の規定が適用されるが、いかなる場合においても暴力の行使は正当な行為と解釈されない 1 条 2 項。民事免責(8 条)は組合と組合員の両方に及ぶ。7 条 1 号は個々の労働者への不利益取扱いを禁止。法適合組合でない組合にも憲法 28 条の保障と民事・刑事免責は及び、労働組合法上の手続(救済申立て等)が使えないだけ。
- イ 使用者から最小限の広さの事務所の供与を受けている団体は、そのことをもって使用者の経理上の援助を受けるものには当たらず、労働組合法上の労働組合となりうる 2 条但書 2 号の例外(最小限の広さの事務所の供与・福利基金への寄附・労働時間中の有給での協議交渉)。1 号は利益代表者の参加を許す団体を除外。3 号は共済のみ、4 号は「主として」政治運動を目的とする団体を除外する。
- ア 労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名または記名押印することによって効力を生じ、有効期間は 3 年を超えて定めることができない 14 条・15 条。3 年を超える定めは 3 年の定めとみなされる。期間の定めのない協約は、署名または記名押印した文書で 90 日前に予告して解約できる。行政官庁への届出は効力要件ではない。
標準
- イ 雇用主以外の事業主でも、労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあれば、その限りで労働組合法 7 条の使用者に当たるとした 朝日放送事件(最判平成 7 年 2 月 28 日)の判断は「雇用主以外の事業主でも、労働者の基本的な労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあれば、その限りで労働組合法 7 条の使用者に当たるとした」。全農林警職法=一律禁止合憲、三井倉庫港運=ユニオン・ショップの別組合員への解雇義務は無効、朝日放送=使用者概念の拡張、丸島水門=防衛的ロックアウトは正当、第二鳩タクシー=救済命令の裁量、御國ハイヤー=車両占有は正当性なし、都南自動車教習所=書面のない合意に規範的効力なし、プリマハム=社長声明は支配介入。
- ウ 公益委員などで構成する委員会が裁定を下す手続で、裁定は書面で作成され、労働協約と同一の効力を持って当事者を拘束する 仲裁は「公益委員などで構成する委員会が裁定を下す手続で、裁定は書面で作成され、労働協約と同一の効力を持って当事者を拘束する」。斡旋は一方の申請・職権でも開始、調停案は拘束せず、仲裁裁定は労働協約と同一の効力(34 条)、緊急調整は内閣総理大臣の決定で 50 日間争議禁止(35 条の 2・38 条)。
- ウ 労働組合法上の労働者は、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいい、現に使用者に使用されていない失業者も含まれる 3 条。労働基準法 9 条より広い。新国立劇場運営財団事件(最判平成 23 年 4 月 12 日)は合唱団員を、INAX メンテナンス事件(同日)は業務委託の修理技術者を、事業組織への組み込み・契約内容の一方的決定・報酬の労務対価性などから労働者と認めた。
- ア 労働組合からの除名が無効である場合、その除名を理由とするユニオン・ショップ協定に基づく解雇は、客観的に合理的な理由を欠き無効である 日本食塩製造事件(最判昭和 50 年 4 月 25 日)。7 条 1 号但書は過半数代表組合に限る。別組合加入者への解雇義務部分は無効(三井倉庫港運事件)。チェック・オフには 24 条の労使協定(済生会中央病院事件)と組合員個々の委任(エッソ石油事件)が必要。
- ウ 使用者は誠実に交渉する義務を負い、交渉の席に着いても自らの主張の根拠を示さず合意の可能性を探ろうとしない形式的な交渉は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる 誠実交渉義務。経営事項も労働条件に関係する限り義務的団交事項。上部団体も当事者になれる。団交を求める地位の確認訴訟は認められる(国鉄事件 最判平成 3 年 4 月 23 日)。
- イ 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分は協約の基準による 16 条(規範的効力)。事業場単位の一般的拘束力は 4 分の 3 以上(17 条)。地域的拘束力は労働委員会の決議と厚生労働大臣または知事の決定が必要(18 条)。組合事務所や団交手続の定めは債務的部分で、契約としての効力しかない。
- イ 争議行為は労務の不提供にとどまるべきであり、使用者の意思を排除して工場を占拠し労働者が自ら経営を行う生産管理は、正当な争議行為とは認められない 山田鋼業事件(最大判昭和 25 年 11 月 15 日)。政治ストは目的の点で正当性を欠く。山猫ストは主体の点で正当でない。スト中の賃金は請求できない(ノーワーク・ノーペイ)。ピケッティングは平和的説得の範囲に限られる(朝日新聞西部本社事件)。
- ウ 不当労働行為の救済の申立ては労働組合または労働者が行い、行為の日(継続する行為はその終了した日)から 1 年を経過した事件については申立てができない 27 条 2 項。申立人は組合と労働者だけ。審査は公益委員が行い労使委員は参与する(24 条)。再審査(15 日以内)と取消訴訟(30 日以内)はいずれかを選ぶ。確定命令違反は過料(32 条)、確定判決で支持された命令違反は刑罰(28 条)。
- イ 使用者の言論であっても、組合の運営に対する威嚇や利益誘導を含み、組合の自主的な運営に影響を及ぼすおそれがあるものは支配介入に当たり、組合活動に現実の影響が生じたことは要件ではない プリマハム事件(最判昭和 57 年 9 月 10 日)・山岡内燃機事件(最判昭和 29 年 5 月 28 日)。併存組合に対しては中立保持義務があり、差別的な扱いは支配介入になりうる(日産自動車事件 最判昭和 60 年 4 月 23 日)。経費援助は 7 条 3 号で禁止。
発展
- エ 団結権・団体交渉権・争議権のいずれも認められていない 警察職員は「団結権・団体交渉権・争議権のいずれも認められていない」。警察・消防・自衛隊・海上保安庁・刑事施設の職員は三権すべてなし。非現業公務員は職員団体による交渉は可だが協約締結権なし。現業(行政執行法人・地方公営企業)は協約締結可。争議権はすべての公務員に認められない(全農林警職法事件で合憲)。
- undefined 全農林警職法事件は、公務員の地位の特殊性と職務の公共性、勤務条件が法律・予算で定められること、人事院などの代償措置の存在を理由に、争議行為の一律禁止とあおり行為の処罰を合憲とした 最大判昭和 48 年 4 月 25 日。全逓東京中郵事件(最大判昭和 41 年 10 月 26 日)は制限を必要最小限度とする立場、都教組事件(最大判昭和 44 年 4 月 2 日)は二重のしぼり論をとり、全農林警職法事件がこれらを変更した。非現業公務員に協約締結権がないことは合憲とされている。
- イ 労働協約による労働条件の不利益変更を未組織労働者に拡張適用することが、その労働者の受ける不利益の程度・内容や協約の締結経緯などに照らして著しく不合理と認められる特段の事情があるときは、その労働者には拡張適用されない 朝日火災海上保険(高田)事件(最判平成 8 年 3 月 26 日)。組合員については、組合の目的を逸脱して締結された場合でない限り不利益変更も拘束する(朝日火災海上保険(石堂)事件 最判平成 9 年 3 月 27 日)。別組合員には 17 条の拡張適用は及ばないと解されている。
- エ 労使間の勢力の均衡が破れ使用者が著しく不利な圧力を受ける場合に、対抗防衛手段として相当と認められるロックアウトは正当であり、使用者はその期間中の賃金支払義務を免れる 丸島水門事件(最判昭和 50 年 4 月 25 日)。先制的・攻撃的ロックアウトは正当性を欠く。スト参加者はノーワーク・ノーペイ。部分ストで就労できなかった組合員に休業手当は不要(ノースウエスト航空事件)。家族手当のカットも就業規則・慣行に基づけば可(三菱重工長崎造船所事件 最判昭和 56 年 9 月 18 日)。
- ア 公益事業に関する事件について関係当事者が争議行為をするには、少なくとも 10 日前までに労働委員会および厚生労働大臣または都道府県知事に通知しなければならない 37 条。公益事業でも争議行為は禁止されず、予告が必要なだけ。緊急調整は内閣総理大臣が中労委の意見を聴いて決定し、50 日間争議禁止(35 条の 2・38 条)。公益事業の指定は国会の承認を経て 1 年以内の期間を限る(8 条 2 項)。
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