労働契約法と雇用関連法(均等法・育児介護休業法・パート有期法・派遣法) ── 問題
基礎
- 育児介護休業法の出生時育児休業(産後パパ育休)を取得できる期間と日数として正しいものはどれですか(2026 年 9 月時点の法令による)。 (ア 子の出生後 8 週間以内に 4 週間まで(分割不可) イ 子の出生後 1 年以内に 4 週間まで(2 回に分割可) ウ 子の出生後 8 週間以内に 8 週間まで(回数制限なし) エ 子の出生後 8 週間以内に 4 週間まで(2 回に分割可) undefined 子の出生後 8 週間以内に 2 週間まで(分割不可))
- 育児介護休業法の子の看護等休暇について、対象となる子の年齢の範囲として正しいものはどれですか(2026 年 9 月時点)。 (ア 小学校就学の始期に達するまでの子 イ 3 歳から小学校就学の始期に達するまでの子 ウ 小学校 3 年生修了までの子 エ 原則として 1 歳に満たない子(保育所に入れないなどの場合は 1 歳 6 か月・2 歳まで延長可) undefined 3 歳に満たない子)
- 労働契約法の性格と適用範囲に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働契約法は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約にも適用される イ 労働契約法は、国家公務員および地方公務員の勤務関係にも適用される ウ 労働契約法に違反した使用者には、労働基準法と同様に労働基準監督署による是正勧告や刑罰が科される エ 労働契約は、労働者と使用者が労働条件を記載した書面を取り交わさなければ成立しない undefined 労働契約法には罰則や監督機関の定めがなく、労働契約は労使が対等の立場における合意に基づいて締結・変更すべきものとされている)
- 男女雇用機会均等法が禁止する差別や不利益取扱いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 妊娠中の女性労働者に対する解雇は、事業主が妊娠を理由とする解雇でないことを証明した場合であっても無効である イ 間接差別として禁止される措置は法律に限定列挙されておらず、性別以外の要件を用いるあらゆる措置が対象になる ウ 労働者の募集・採用に当たり、合理的な理由なく身長・体重・体力を要件とすることは、間接差別として禁止される エ 男女雇用機会均等法は女性に対する差別を禁止する法律であり、男性に対する性別を理由とする差別的取扱いは対象としていない undefined 女性労働者の婚姻を理由とする解雇は、就業規則にその旨の定めがあれば許される)
- 育児介護休業法の育児休業に関する記述として妥当なものはどれですか(2026 年 9 月時点)。 (ア 育児休業は原則として子が 3 歳になるまで取得でき、保育所に入れない場合は小学校就学前まで延長できる イ 育児休業は男女を問わず取得でき、原則として子が 1 歳になるまで、2 回まで分割して取得することができる ウ 育児休業の申出をした労働者に対する不利益取扱いは、解雇の場合に限って禁止されている エ 育児休業を取得できるのは女性労働者に限られ、男性労働者が取得できるのは出生時育児休業(産後パパ育休)だけである undefined 有期雇用労働者は、引き続き雇用された期間が 1 年以上でなければ育児休業を申し出ることができない)
標準
- 広島中央保健生活協同組合事件(最判平成 26 年 10 月 23 日)における最高裁判所の判断として妥当なものはどれですか。 (ア アルバイト職員に賞与を支給しない相違について、正職員の賞与が職務遂行能力・責任に応じた人材確保・定着の目的を持ち、職務内容などに違いがあることから不合理とまではいえないとした イ 長時間労働によるうつ病での自殺について、使用者は業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとし、会社の損害賠償責任を認めた ウ 妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は原則として均等法 9 条 3 項が禁止する不利益取扱いに当たり、労働者の自由な意思に基づく承諾と認める合理的理由が客観的に存在するか、業務上の必要性から降格を避けられない特段の事情がある場合に限り例外を認めた エ 定年後に有期契約で再雇用されたことは「その他の事情」として考慮でき、基本給や賞与の相違は不合理でないが、精勤手当とそれを基礎に含めない超勤手当の相違は不合理だとした undefined 宿直中の従業員が盗賊に殺害された事案で、使用者は労働者が労務提供のため設置する場所・設備などを使用し、または指示のもとに労務を提供する過程で生命・身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負うとした)
- ある会社が、半年前に退職した元従業員(60 歳未満)を、派遣会社を通じて派遣労働者として受け入れようとした。この行為の法的な評価として妥当なものはどれですか。 (ア 労働者派遣法 40 条の 9 により、離職の日から 1 年を経過するまでは派遣で受け入れることが禁止される イ 合理的な理由がない限り、男女雇用機会均等法 7 条が禁止する間接差別に当たる ウ 労働基準法 3 条が禁止する、社会的身分を理由とする差別的取扱いに当たる エ 男女雇用機会均等法 11 条により、事業主は相談体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない undefined 育児介護休業法 10 条が禁止する、育児休業の申出・取得を理由とする不利益取扱いに当たる)
- 使用者の安全配慮義務に関する最高裁判所の判例および労働契約法の規定の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 安全配慮義務違反による損害賠償は、労災保険の給付が行われる場合にはその全額が免除される イ 電通事件において最高裁判所は、労働者の性格が損害の発生に寄与したとして、大幅な過失相殺を認めた ウ 安全配慮義務は労働契約に明文の特約がある場合に限って生ずる義務であり、特約がなければ使用者は義務を負わない エ 使用者は、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負い、この義務は判例法理を経て労働契約法に明文化された undefined 安全配慮義務は労働者の身体的な安全に関するものであり、長時間労働による精神的な健康の悪化について使用者が責任を負うことはない)
- 配転・出向・転籍に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 転籍は労働契約の相手方が変わるので労働者の個別の同意が必要であるが、出向は就業規則等に根拠があり労働者の利益に配慮した規程が整っていれば個別の同意なしに命ずることができる イ 出向命令が権利の濫用に当たるかどうかについて労働契約法に規定はなく、専ら判例によって判断される ウ 配転・出向・転籍のいずれも、労働者の個別の同意がなければ命ずることができない エ 配転・出向・転籍のいずれも、就業規則に包括的な根拠規定があれば労働者の個別の同意なしに命ずることができる undefined 東亜ペイント事件において最高裁判所は、単身赴任を伴う転勤命令は労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものとして権利濫用に当たるとした)
- 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する最高裁判所の判例(広島中央保健生活協同組合事件 最判平成 26 年 10 月 23 日)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 妊娠中の軽易業務への転換に伴う降格は、業務上の必要性があれば労働者の意思にかかわらず常に許される イ 妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は、原則として均等法 9 条 3 項が禁止する不利益取扱いに当たり、労働者が自由な意思に基づき承諾したと認める合理的な理由が客観的に存在する場合などに限って例外が認められる ウ 降格が不利益取扱いに当たるかどうかは労働者の主観によって決まり、事業主の証明によって覆すことはできない エ 妊娠中の軽易業務への転換に伴う降格は、労働者が同意していれば、同意に至る経緯や不利益の内容を問わず有効である undefined 均等法 9 条 3 項は妊娠中の女性に対する解雇のみを禁止する規定であり、降格は同項の対象にならない)
- 職場におけるハラスメントに関する事業主の措置義務に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ハラスメントに関する雇用管理上の措置は事業主の努力義務であり、措置を講じなくても法律上の義務違反にはならない イ 労働者がハラスメントについて相談したことを理由とする不利益取扱いを禁止する規定は、法律には設けられていない ウ セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、パワー・ハラスメントの措置義務は、いずれも男女雇用機会均等法に定められている エ セクシュアル・ハラスメントと妊娠・出産等に関するハラスメントの措置義務は男女雇用機会均等法に、パワー・ハラスメントの措置義務は労働施策総合推進法に定められている undefined セクシュアル・ハラスメントの措置義務は女性労働者を保護するためのものであり、男性労働者に対する性的な言動は対象にならない)
- 2025 年 4 月および 10 月に施行された育児介護休業法の改正に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 育児休業の取得状況の公表義務の対象が、常時雇用する労働者が 1,000 人を超える事業主から 3,000 人を超える事業主に縮小された イ 所定外労働の制限(残業免除)を請求できる労働者の範囲が、小学校就学前の子を養育する者から 3 歳未満の子を養育する者に縮小された ウ 子の看護等休暇の対象が小学校 3 年生修了までの子に拡大され、感染症による学級閉鎖や入園式・卒園式などの行事参加も取得事由に加わった エ 3 歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、事業主は始業時刻の変更・テレワークなどの措置のうち 1 つを選んで設ければ足りることになった undefined 3 歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるようにすることが、事業主の法的義務とされた)
- パートタイム・有期雇用労働法 8 条および 9 条に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 8 条は、短時間・有期雇用労働者の待遇を全体として通常の労働者と比較し、総額に不合理な差がなければ個々の手当の相違は問わないとしている イ 8 条および 9 条は有期雇用労働者のみを対象とし、短時間労働者は労働契約法 20 条の対象になる ウ 8 条は、基本給・賞与その他の待遇のそれぞれについて、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情のうち当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な相違を設けることを禁止している エ 9 条は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者について、待遇の相違が不合理でないことを求める規定である undefined 8 条に違反する待遇の相違があった場合、その短時間・有期雇用労働者には通常の労働者の就業規則が当然に適用される)
- 労働者派遣法に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 港湾運送・建設・警備の各業務にも、派遣元が許可を受けていれば労働者派遣を行うことができる イ 派遣元が派遣労働者の待遇を決める方式は派遣先の通常の労働者との均等・均衡による方式に限られ、労使協定によって定めることはできない ウ 派遣先の同一の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間は原則 3 年であるが、過半数労働組合等の意見を聴取すれば 3 年ごとに延長することができる エ 同一の派遣労働者を同一の組織単位で受け入れられる期間は原則 3 年であるが、過半数労働組合等の意見を聴取すれば延長することができる undefined 派遣労働者は派遣先と労働契約を結び、派遣元は派遣先に代わって賃金を支払うにすぎない)
- 労働安全衛生法のストレスチェック制度に関する記述として妥当なものはどれですか(2026 年 9 月時点)。 (ア ストレスチェックを実施する義務は労働者に課されており、受検を拒んだ労働者は懲戒の対象になる イ ストレスチェックの結果は事業者に直接通知され、事業者はこれをもとに労働者の配置を決めなければならない ウ 高ストレスと判定された労働者は、本人の申出がなくても医師の面接指導を受けることが義務づけられている エ 常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を 1 年以内ごとに 1 回実施しなければならず、結果は本人の同意なく事業者に提供してはならない undefined ストレスチェックは労働者の規模を問わずすべての事業場で実施が義務づけられており、すでに全面施行されている)
発展
- 次のうち、雇用保険の基本手当における正当な理由のない自己都合退職の給付制限期間の説明として正しいものはどれですか(2026 年 9 月時点の制度による)。 (ア 公共職業安定所長が 1 か月以上 3 か月以内で定め、2025 年 4 月から原則 3 か月(5 年間に 3 回以上の自己都合退職は 6 か月) イ 公共職業安定所長が 1 か月以上 3 か月以内で定め、2025 年 4 月から原則 1 か月(5 年間に 3 回以上の自己都合退職は 3 か月) ウ 一律 3 か月であり、公共職業安定所長の裁量はない エ 一律 1 か月であり、5 年間に何回自己都合退職をしても変わらない undefined 公共職業安定所長が 1 か月以上 3 か月以内で定め、2025 年 4 月から原則 2 か月(5 年間に 3 回以上の自己都合退職は 3 か月))
- 正社員と非正規労働者との待遇の相違に関する最高裁判所の判例の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 長澤運輸事件は、定年後の再雇用であることは待遇の相違の不合理性の判断に考慮してはならないとした イ ハマキョウレックス事件は、旧労働契約法 20 条に違反する相違があるときは正社員の就業規則が契約社員にも当然に適用されるとした ウ 大阪医科薬科大学事件はアルバイト職員への賞与の不支給を、メトロコマース事件は契約社員への退職金の不支給を、いずれも不合理とまではいえないとした エ 大阪医科薬科大学事件はアルバイト職員への賞与の不支給を、メトロコマース事件は契約社員への退職金の不支給を、いずれも不合理であるとした undefined 日本郵便事件は、契約社員に扶養手当や年末年始勤務手当を支給しない相違を、長期雇用を前提としない以上不合理でないとした)
- 労働審判制度および個別労働紛争の解決手続に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 労働審判は地方裁判所の労働審判委員会が行い、労働審判に対して 2 週間以内に適法な異議の申立てがあると審判は効力を失い、申立ての時に訴えの提起があったものとみなされる イ 労働審判の対象には、労働組合と使用者との間の団体交渉に関する紛争も含まれる ウ 労働審判委員会は裁判官 3 人の合議体で構成され、労使の実務経験者が加わることはない エ 都道府県労働局の紛争調整委員会によるあっせん案は当事者を拘束し、これに従わない当事者には過料が科される undefined 労働審判は都道府県労働委員会が行い、審判に不服のある当事者は高等裁判所に控訴することができる)
- 労働者災害補償保険法に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 業務災害による休業補償給付は、休業の初日から給付基礎日額の 100 % が支給される イ 労災保険の給付の対象には、業務災害のほか、複数の事業に使用される労働者の負荷を総合して判断する複数業務要因災害と、通勤災害が含まれる ウ 労災保険の給付が行われる場合でも、使用者は労働基準法上の災害補償責任を別に負う エ 労災保険は労働者を常時 5 人以上使用する事業にのみ適用され、それより小規模の事業は任意加入である undefined 通勤の途中で経路を逸脱・中断した場合は、その理由や程度を問わず、その後の経路での災害は通勤災害と認められない)
- 雇用保険法に関する記述として妥当なものはどれですか(2026 年 9 月時点)。 (ア 育児休業給付金は失業等給付の一種であり、求職者給付に分類される イ 基本手当を受給するには、原則として離職の日以前 2 年間に被保険者期間が通算 12 か月以上あることが必要で、倒産・解雇等による特定受給資格者は離職の日以前 1 年間に通算 6 か月以上で足りる ウ 雇用保険の保険料は労災保険と同じく全額を事業主が負担する エ 基本手当を受給するには、離職の理由を問わず、離職の日以前 1 年間に被保険者期間が通算 6 か月以上あることが必要である undefined 週の所定労働時間が 20 時間以上であっても、雇用見込みが 31 日未満の者は被保険者にならないという要件は 2025 年 4 月に廃止された)
労働契約法と雇用関連法(均等法・育児介護休業法・パート有期法・派遣法) ── 解答
基礎
- エ 子の出生後 8 週間以内に 4 週間まで(2 回に分割可) 育児介護休業法の出生時育児休業(産後パパ育休)を取得できる期間と日数は「子の出生後 8 週間以内に 4 週間まで(2 回に分割可)」。介護休業は通算 93 日・3 回まで(育介法 11 条)、出生時育児休業は出生後 8 週間以内に 4 週間まで・2 回に分割可(9 条の 2)、派遣の個人単位の制限は同一組織単位で 3 年・延長不可(派遣法 35 条の 3・40 条の 3)、労働審判は原則 3 回以内の期日(労働審判法 15 条 2 項)、雇用保険は週 20 時間以上・31 日以上の見込み(雇用保険法 6 条・2028 年 10 月から 10 時間以上に拡大予定)、子の看護等休暇は年 5 日・2 人以上で 10 日(16 条の 2)。
- ウ 小学校 3 年生修了までの子 子の看護等休暇の対象は「小学校 3 年生修了までの子」。育児休業は 1 歳(延長で 1 歳 6 か月・2 歳、パパ・ママ育休プラスで 1 歳 2 か月・5 条)、短時間勤務は 3 歳未満(23 条)、柔軟な働き方の措置は 3 歳から就学前(23 条の 3・2025 年 10 月新設)、所定外労働の制限は 2025 年 4 月から 3 歳未満 → 就学前に拡大(16 条の 8)、子の看護等休暇は 2025 年 4 月から就学前 → 小 3 修了までに拡大(16 条の 2)。
- undefined 労働契約法には罰則や監督機関の定めがなく、労働契約は労使が対等の立場における合意に基づいて締結・変更すべきものとされている 労働契約法 3 条 1 項(合意原則)。同法は民事上の効力を定めるだけで罰則も監督機関もない。国家公務員・地方公務員と、同居の親族のみを使用する場合には適用されない(21 条)。労働契約は合意のみで成立し、書面は成立要件ではない(6 条。4 条 2 項は書面確認の努力規定)。
- ウ 労働者の募集・採用に当たり、合理的な理由なく身長・体重・体力を要件とすることは、間接差別として禁止される 7 条・施行規則 2 条(身長体重体力、転勤要件、転勤経験の 3 つに限定)。2006 年改正で男女双方への差別禁止に転換。婚姻を理由とする解雇は 9 条 2 項で禁止。妊娠中・産後 1 年以内の解雇は原則無効だが、事業主が妊娠等を理由としないことを証明すれば有効(9 条 4 項)。
- イ 育児休業は男女を問わず取得でき、原則として子が 1 歳になるまで、2 回まで分割して取得することができる 5 条。分割取得は 2022 年 10 月から。原則 1 歳まで、延長で 1 歳 6 か月・2 歳まで。10 条は解雇その他の不利益取扱いを広く禁止する。有期雇用労働者の「継続雇用 1 年以上」要件は 2022 年 4 月に廃止され、「1 歳 6 か月までに契約満了が明らかでない」ことだけが要件。
標準
- ウ 妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は原則として均等法 9 条 3 項が禁止する不利益取扱いに当たり、労働者の自由な意思に基づく承諾と認める合理的理由が客観的に存在するか、業務上の必要性から降格を避けられない特段の事情がある場合に限り例外を認めた 広島中央保健生活協同組合事件(最判平成 26 年 10 月 23 日)の判断は「妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は原則として均等法 9 条 3 項が禁止する不利益取扱いに当たり、労働者の自由な意思に基づく承諾と認める合理的理由が客観的に存在するか、業務上の必要性から降格を避けられない特段の事情がある場合に限り例外を認めた」。川義・電通=安全配慮義務(労働契約法 5 条)、東亜ペイント=配転の権利濫用の 3 基準、新日本製鐵=出向は根拠規定と配慮があれば個別同意不要(14 条)、広島中央保健生協=妊娠を契機とする降格は原則違法、ハマキョウレックス・長澤運輸・大阪医科薬科大学=旧労働契約法 20 条(現パート有期法 8 条)の不合理性は待遇ごとに判断。
- ア 労働者派遣法 40 条の 9 により、離職の日から 1 年を経過するまでは派遣で受け入れることが禁止される ある会社が、半年前に退職した元従業員(60 歳未満)を、派遣会社を通じて派遣労働者として受け入れようとした。これは「労働者派遣法 40 条の 9 により、離職の日から 1 年を経過するまでは派遣で受け入れることが禁止される」。身長・体重・体力要件は間接差別 3 類型の 1 つ(均等法施行規則 2 条)。セクハラは均等法 11 条、パワハラは労働施策総合推進法 30 条の 2 で、法律が違う。偽装請負は労働契約申込みみなしの 4 類型の 1 つ。離職後 1 年以内の元従業員の派遣受入れは禁止(60 歳以上は除外)。育児休業を理由とする不利益取扱いは男女を問わず禁止。
- エ 使用者は、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負い、この義務は判例法理を経て労働契約法に明文化された 労働契約法 5 条。陸上自衛隊八戸車両整備工場事件(最判昭和 50 年 2 月 25 日)・川義事件(最判昭和 59 年 4 月 10 日)で信義則上の義務として確立し、電通事件(最判平成 12 年 3 月 24 日)は心身の健康を損なわないよう注意する義務を認め、労働者の性格を理由とする過失相殺を否定した。労災保険給付でカバーされない慰謝料などは別に請求できる。
- ア 転籍は労働契約の相手方が変わるので労働者の個別の同意が必要であるが、出向は就業規則等に根拠があり労働者の利益に配慮した規程が整っていれば個別の同意なしに命ずることができる 転籍は民法 625 条 1 項により個別同意が必要。出向は新日本製鐵(日鐵運輸第二)事件(最判平成 15 年 4 月 18 日)と労働契約法 14 条。配転は東亜ペイント事件(最判昭和 61 年 7 月 14 日)で、単身赴任を伴う転勤も通常甘受すべき不利益の範囲内とされた。
- イ 妊娠中の軽易業務への転換を契機とする降格は、原則として均等法 9 条 3 項が禁止する不利益取扱いに当たり、労働者が自由な意思に基づき承諾したと認める合理的な理由が客観的に存在する場合などに限って例外が認められる 広島中央保健生活協同組合事件。9 条 3 項は解雇その他の不利益取扱いを広く禁止する強行規定で、降格も含む。例外は、自由な意思に基づく承諾と認めるに足りる合理的理由が客観的に存在する場合と、業務上の必要性から降格を避けられない特段の事情がある場合に限られる。
- エ セクシュアル・ハラスメントと妊娠・出産等に関するハラスメントの措置義務は男女雇用機会均等法に、パワー・ハラスメントの措置義務は労働施策総合推進法に定められている 均等法 11 条(セクハラ)・11 条の 3(マタハラ)、労働施策総合推進法 30 条の 2(パワハラ)。いずれも「講じなければならない」という法的義務で、相談等を理由とする不利益取扱いも禁止される。セクハラの措置義務は男女双方の労働者を対象とする。
- ウ 子の看護等休暇の対象が小学校 3 年生修了までの子に拡大され、感染症による学級閉鎖や入園式・卒園式などの行事参加も取得事由に加わった 16 条の 2(2025 年 4 月)。残業免除は 3 歳未満から就学前に拡大(16 条の 8)。柔軟な働き方の措置は 5 つのうち 2 つ以上を設け労働者が 1 つを選ぶ(23 条の 3・2025 年 10 月)。公表義務は 1,000 人超から 300 人超に拡大(22 条の 2)。3 歳未満の子のテレワークは努力義務(24 条)。
- ウ 8 条は、基本給・賞与その他の待遇のそれぞれについて、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情のうち当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な相違を設けることを禁止している 8 条(均衡・待遇ごとに判断)。9 条は職務の内容と職務の内容・配置の変更の範囲が同一と見込まれる者への差別的取扱いの禁止(均等)。8 条違反でも正社員の就業規則が当然に適用されるわけではなく損害賠償で救済(ハマキョウレックス事件)。2020 年 4 月に旧労働契約法 20 条を吸収し、短時間・有期の双方を対象とする。
- ウ 派遣先の同一の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間は原則 3 年であるが、過半数労働組合等の意見を聴取すれば 3 年ごとに延長することができる 40 条の 2(事業所単位)。個人単位(40 条の 3)は延長不可。労働契約は派遣元との間にあり、派遣先は指揮命令のみ(2 条)。港湾運送・建設・警備・医療関係(一部)は派遣禁止業務(4 条)。待遇決定は派遣先均等・均衡方式(30 条の 3)と労使協定方式(30 条の 4)のいずれか。
- エ 常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を 1 年以内ごとに 1 回実施しなければならず、結果は本人の同意なく事業者に提供してはならない 66 条の 10。結果は本人に通知され、同意なく事業者に提供できない。面接指導は高ストレス者の申出により行い、申出を理由とする不利益取扱いは禁止。50 人未満の事業場は当分の間努力義務(附則 4 条)で、全事業場への義務化は 2025 年 5 月公布の改正法で決まったが施行日は政令で定める(2026 年 9 月時点で未施行)。労働者に受検義務はない。
発展
- イ 公共職業安定所長が 1 か月以上 3 か月以内で定め、2025 年 4 月から原則 1 か月(5 年間に 3 回以上の自己都合退職は 3 か月) 雇用保険の基本手当における正当な理由のない自己都合退職の給付制限期間の説明は「公共職業安定所長が 1 か月以上 3 か月以内で定め、2025 年 4 月から原則 1 か月(5 年間に 3 回以上の自己都合退職は 3 か月)」。労災保険料は全額事業主負担(雇用保険は労使双方)。通勤の逸脱・中断(労災保険法 7 条 3 項)は日常生活上必要な行為の例外がある。休業補償給付は 4 日目から 60 %(14 条・最初の 3 日は使用者の休業補償)。待期は 7 日(雇用保険法 21 条)、自己都合の給付制限は 33 条(運用は 2025 年 4 月から原則 1 か月)、育児休業給付金は 67 % → 50 %(61 条の 7)。
- ウ 大阪医科薬科大学事件はアルバイト職員への賞与の不支給を、メトロコマース事件は契約社員への退職金の不支給を、いずれも不合理とまではいえないとした 最判令和 2 年 10 月 13 日(2 件)。日本郵便事件(最判令和 2 年 10 月 15 日)は扶養手当・年末年始勤務手当・夏期冬期休暇などの相違を不合理とした。長澤運輸事件は定年後再雇用を「その他の事情」として考慮できるとした。ハマキョウレックス事件は補充的効力を否定し損害賠償で救済した。
- ア 労働審判は地方裁判所の労働審判委員会が行い、労働審判に対して 2 週間以内に適法な異議の申立てがあると審判は効力を失い、申立ての時に訴えの提起があったものとみなされる 労働審判法 21 条・22 条。労働審判委員会は労働審判官(裁判官)1 人と労働審判員 2 人で構成され、原則 3 回以内の期日で審理する(15 条)。異議がなければ裁判上の和解と同一の効力。あっせん案に拘束力はない。対象は個別労働関係民事紛争で、集団的労使紛争は含まない。
- イ 労災保険の給付の対象には、業務災害のほか、複数の事業に使用される労働者の負荷を総合して判断する複数業務要因災害と、通勤災害が含まれる 7 条 1 項(複数業務要因災害は 2020 年 9 月創設)。労働者を 1 人でも使用する事業は原則強制適用。日常生活上必要な行為をやむを得ず最小限度で行う逸脱・中断は、その間を除き通勤に復帰する(7 条 3 項)。給付が行われる場合、使用者は労基法上の補償責任を免れる(労基法 84 条)。休業補償給付は 4 日目から 60 %(14 条)。
- イ 基本手当を受給するには、原則として離職の日以前 2 年間に被保険者期間が通算 12 か月以上あることが必要で、倒産・解雇等による特定受給資格者は離職の日以前 1 年間に通算 6 か月以上で足りる 13 条。保険料は労使双方が負担(雇用保険二事業分は事業主のみ)。育児休業給付は 2020 年 4 月から失業等給付とは別の独立した給付(10 条)。被保険者要件は週 20 時間以上・31 日以上の見込み(6 条)で、2028 年 10 月から週 10 時間以上に拡大予定。
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