45 度線分析と乗数 ── 問題
基礎
- ある閉鎖経済のマクロモデルが Y = C + I + G、C = 30 + 0.5Y、I = 80、G = 40 で表される(Y:国民所得、C:消費、I:投資、G:政府支出)。均衡国民所得はいくらですか。
- 限界消費性向が 0.9 の閉鎖経済(租税は定額)で、政府支出を 50 増やすと、均衡国民所得はいくら増えますか。
- ある閉鎖経済(政府部門なし)で、貯蓄関数が S = −20 + 0.2Y、投資が I = 20 である。均衡国民所得はいくらですか。
- 45 度線分析について、均衡国民所得の決定式 Y = (c₀ + I + G)/(1 − c) の分母 1 − c が表すものとして正しいものはどれですか。 (ア 限界輸入性向(所得の増加分のうち輸入に回る割合) イ 限界税率(所得の増加分のうち租税として徴収される割合) ウ 限界貯蓄性向(所得の増加分のうち消費に回らない割合) エ 平均消費性向(所得全体のうち消費に回っている割合) undefined 限界消費性向(所得の増加分のうち消費に回る割合))
- ある閉鎖経済のマクロモデルが Y = C + I + G、C = 10 + 0.9Y、I = 80、G = 100 で表される(Y:国民所得、C:消費、I:投資、G:政府支出)。均衡国民所得はいくらですか。 (ア 1900 イ 1710 ウ 361 エ 190 undefined 1800)
標準
- 限界消費性向が 0.6 の閉鎖経済で、政府が定額税を 20 増税すると、均衡国民所得はいくら減少しますか(減少額を正の数で答える)。
- 限界消費性向が 0.8 の閉鎖経済で、政府が定額税を 10 増税し、同時に政府支出を 10 増やした(均衡予算)。均衡国民所得はどう変化しますか。 (ア 40 増加する イ 50 増加する ウ 10 増加する エ 20 増加する undefined 0 増加する)
- ある開放経済で、消費関数が C = 40 + 0.7Y、輸入関数が M = 10 + 0.1Y(限界消費性向 0.7、限界輸入性向 0.1)である。輸出が 40 増えると、均衡国民所得はいくら増えますか。
- 限界消費性向が 0.9 の閉鎖経済(政府部門なし)で、投資が 10 増えたとき、均衡における消費はいくら増えますか。
- ある国で国民所得が 400 から 600 に増えたとき、消費は 300 から 400 に増えた。消費関数が直線であるとすると、この国の政府支出乗数はいくらですか。
- 乗数の大きさについて、同じ額の政府支出増加と定額税の減税では、国民所得への効果はどちらが大きいですか。 (ア 政府支出増加のほうが大きい(乗数 1/(1−c) 対 c/(1−c)) イ 限界消費性向が 0.5 より大きければ減税のほうが大きい ウ 限界消費性向が 0.5 より小さければ減税のほうが大きい エ 定額税の減税のほうが大きい undefined どちらも同じ大きさである)
- ある閉鎖経済で C = 40 + 0.8Y、I = 60、G = 40 であり、完全雇用国民所得は 600 である。この経済の状態として妥当なものはどれですか。 (ア 均衡国民所得は 700 で完全雇用水準を上回り、100 のインフレ・ギャップが生じている イ 均衡国民所得は 700 で完全雇用を 100 上回り、20 のインフレ・ギャップがある ウ 均衡国民所得は 700 で、100 のデフレ・ギャップが生じている エ 均衡国民所得は 600 で、完全雇用が達成されている undefined 均衡国民所得は 500 で、20 のデフレ・ギャップが生じている)
- ある閉鎖経済で C = 40 + 0.9Y、I = 100、G = 40 であり、完全雇用国民所得は 2000 である。この経済のデフレ・ギャップ(完全雇用を達成するのに不足している総需要の大きさ)はいくらですか。 (ア 40 イ 2000 ウ 20 エ 1800 undefined 200)
- 限界消費性向が 0.9 の閉鎖経済(租税は定額)で、政府が定額税を 20 減税すると、均衡国民所得はいくら増えますか。 (ア 20 イ 180 ウ 2 エ 18 undefined 200)
- 乗数の大きさに影響する要因に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 均衡予算乗数が 1 になるのは、政府支出の増加と同額の増税が国民所得に与える効果が完全に打ち消し合うからである イ 限界輸入性向が大きいほど、増えた所得が輸入品の購入に漏れるため、政府支出乗数は小さくなる ウ 限界消費性向が大きいほど、増えた所得のうち貯蓄に回る割合が大きくなるため、政府支出乗数は小さくなる エ 所得に比例する税があると、増えた所得の一部が税として吸収されるため、政府支出乗数は定額税の場合より大きくなる undefined 投資が所得に依存して増える(誘発投資がある)場合、乗数は誘発投資がない場合より小さくなる)
発展
- ある閉鎖経済で C = 40 + 0.8Y、I = 100、G = 60 であり、完全雇用国民所得は 1150 である。完全雇用を達成するために必要な政府支出の増加額はいくらですか。
- ある閉鎖経済で、消費関数が C = 60 + 0.8(Y − T)、租税が所得に比例して T = 0.5 × Y で課される(限界消費性向 0.8、税率 0.5)。政府支出を 150 増やすと、均衡国民所得はいくら増えますか。
- ケインズの有効需要の原理と、それ以前の古典派の考え方の対比として妥当なものはどれですか。 (ア ケインズはセイの法則を支持して供給が需要を決めるとし、古典派は総需要の大きさが雇用を決める有効需要の原理を主張した イ 古典派は政府支出による需要創出を重視し、ケインズは価格の伸縮性による自動調整を重視した ウ 古典派はセイの法則により非自発的失業は生じないとし、ケインズは総需要不足で失業を伴う均衡が生じうるとした エ ケインズは貨幣供給量が物価水準を決めると考え、古典派は需要が国民所得を決めると考えた undefined 両者とも完全雇用が自動的に達成されるとした点では一致していた)
- ある閉鎖経済で C = 50 + 0.75(Y − T)、T = 40 + 0.2Y、I = 100、G = 110 である。政府支出を 20 増やしたときの均衡国民所得の増加分として正しいものはどれですか。 (ア 100 イ 20 ウ 60 エ 80 undefined 50)
- ある閉鎖経済(政府部門なし)で、貯蓄関数が S = −10 + 0.4Y、投資が I = 30 である。均衡国民所得と、そのときの消費の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 国民所得 40、消費 10 イ 国民所得 100、消費 70 ウ 国民所得 75、消費 45 エ 国民所得 100、消費 130 undefined 国民所得 50、消費 20)
45 度線分析と乗数 ── 解答
基礎
- 300 Y = 30 + 0.5Y + 80 + 40 → (1 − 0.5)Y = 150 → Y = 150 ÷ 0.5 = 300。45 度線図では、総需要線 C + I + G(切片 150・傾き 0.5)と 45 度線の交点。
- 500 政府支出乗数 = 1/(1 − 0.9) = 10。ΔY = 10 × 50 = 500。最初の 50 の支出が所得になり、その 0.9 倍が消費され、さらにその 0.9 倍が…と波及して合計が 10 倍になる。
- 200 財市場の均衡は S = I。−20 + 0.2Y = 20 → Y = (20 + 20) ÷ 0.2 = 200。消費関数に直すと C = Y − S = 20 + 0.8Y で、Y = C + I から解いても同じ。
- ウ 限界貯蓄性向(所得の増加分のうち消費に回らない割合) 限界貯蓄性向(所得の増加分のうち消費に回らない割合)。
- ア 1900 Y = 10 + 0.9Y + 80 + 100 → (1 − 0.9)Y = 190 → Y = 190 ÷ 0.1 = 1900。独立支出の合計 190 に乗数 1/(1 − 0.9) = 10 を掛けたものと同じ。基礎消費 10 を独立支出に入れ忘れない。
標準
- 30 租税乗数 = −c/(1 − c) = −0.6/(1 − 0.6) = −3/2。ΔY = −3/2 × 20 = −30、つまり 30 減少する。増税は可処分所得を減らし、その 0.6 倍だけ消費が減るところから波及が始まるので、政府支出乗数より c 倍ぶん小さい。
- ウ 10 増加する 政府支出の効果 +5 × 10、増税の効果 −4 × 10。合計は (1/(1−c) − c/(1−c)) × 10 = 1 × 10 = 10。均衡予算乗数は限界消費性向に関係なく 1。
- 100 開放経済の乗数 = 1/(1 − c + m) = 1/(1 − 0.7 + 0.1) = 1/0.4 = 5/2。ΔY = 5/2 × 40 = 100。所得が増えると輸入も増えて需要が海外に漏れるので、閉鎖経済の乗数より小さくなる。
- 90 ΔY = 1/(1 − 0.9) × 10 = 10 × 10 = 100。消費の増加 ΔC = 0.9 × ΔY = 90。ΔY = ΔC + ΔI なので、100 − 10 = 90 と確かめられる。
- 2 限界消費性向 c = ΔC/ΔY = (400 − 300) ÷ (600 − 400) = 100/200 = 1/2。乗数 = 1/(1 − c) = 2。
- ア 政府支出増加のほうが大きい(乗数 1/(1−c) 対 c/(1−c)) 政府支出増加のほうが大きい(乗数 1/(1−c) 対 c/(1−c))。
- イ 均衡国民所得は 700 で完全雇用を 100 上回り、20 のインフレ・ギャップがある Y = (40 + 60 + 40)/(1 − 0.8) = 140/0.2 = 700。完全雇用 600 を 100 超えている。ギャップは「完全雇用水準での総需要の超過分」なので、所得の差 100 に (1 − c) = 0.2 を掛けた 20 がインフレ・ギャップ。所得の差 100 そのものをギャップと呼ばないことに注意。
- ウ 20 均衡国民所得は Y = (40 + 100 + 40) ÷ (1 − 0.9) = 1800 で、完全雇用水準 2000 を 200 下回っている。デフレ・ギャップは Y = 2000 における総需要の不足分:2000 − (40 + 0.9 × 2000 + 100 + 40) = 20。所得の差 200 に (1 − 0.9) を掛けた値で、所得の差そのものではない。ギャップ 20 だけ政府支出を増やせば(乗数 10 倍で所得が 200 増えて)完全雇用になる。
- イ 180 減税乗数は c/(1 − c) = 0.9 ÷ 0.1 = 9。ΔY = 9 × 20 = 180。減税分のうち貯蓄に回る (1 − 0.9) × 20 = 2 は需要にならないので、同額の政府支出増加(乗数 1/(1 − c)、ΔY = 200)より効果が小さい。
- イ 限界輸入性向が大きいほど、増えた所得が輸入品の購入に漏れるため、政府支出乗数は小さくなる 乗数は 1 ÷(所得の増加のうち国内の需要に戻らない割合)。貯蓄・税・輸入への漏れが大きいほど小さい:閉鎖経済 1/(1 − c)、比例税 1/(1 − c(1 − t))、輸入 1/(1 − c + m)。誘発投資は逆に漏れを減らすので乗数を大きくする。均衡予算乗数が 1 なのは、政府支出の効果 1/(1 − c) と増税の効果 −c/(1 − c) の差がちょうど 1 になるためで、打ち消し合うわけではない。
発展
- 30 現在の均衡 Y = (40 + 100 + 60) ÷ 0.2 = 1000。完全雇用 1150 との差 150 を乗数 5 で割る:ΔG = 150 ÷ 5 = 30。この 30 が、完全雇用水準での総需要の不足分(デフレ・ギャップ)にあたる。
- 250 比例税があると乗数は 1/(1 − c(1 − t)) = 1/(1 − 0.8 × (1 − 0.5)) = 1 ÷ (3/5) = 5/3。ΔY = 5/3 × 150 = 250。所得が増えても一部が税で吸い上げられ消費に回らないので、税のない場合の 1/(1 − c) より小さい(ビルト・イン・スタビライザー)。
- ウ 古典派はセイの法則により非自発的失業は生じないとし、ケインズは総需要不足で失業を伴う均衡が生じうるとした 古典派は価格・賃金が伸縮的に動いて市場が自動的に均衡し、供給された分は需要される(セイの法則)と考えた。ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936 年)で、賃金の下方硬直性などから総需要不足による過少雇用均衡が生じうるとし、政府支出で有効需要を補う政策を導いた。
- undefined 50 可処分所得 Y − T = 0.8Y − 40。C = 50 + 0.75(0.8Y − 40) = 20 + 0.6Y。乗数 = 1/(1 − 0.6) = 2.5。ΔY = 2.5 × 20 = 50。定額税の部分(40)は乗数の大きさには関係せず、比例税率 0.2 が乗数を 1/(1 − 0.75) = 4 から 2.5 に下げている。
- イ 国民所得 100、消費 70 均衡条件は 貯蓄 = 投資(政府部門も海外もないとき)。−10 + 0.4Y = 30 → Y = 40 ÷ 0.4 = 100。消費 = Y − S = 100 − 30 = 70(消費関数 C = 10 + 0.6Y からも同じ)。よって 国民所得 100、消費 70。貯蓄関数の符号(−10)を取り違えない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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