貨幣と金融政策(貨幣乗数・金利) ── 問題
基礎
- 法定準備率が 2% で、銀行は法定準備を除いた預金をすべて貸し出し、貸し出されたお金はすべて銀行に預金として戻るものとする。本源的預金が 400 万円のとき、銀行システム全体で最終的に生まれる預金総額はいくらですか(万円)。
- 法定準備率が 4% で、銀行は法定準備を除いた預金をすべて貸し出し、貸し出されたお金はすべて銀行に預金として戻るものとする。本源的預金 250 万円から、銀行システム全体で新たに創り出される預金(信用創造額)はいくらですか(万円)。
- 毎年 4 万円の利子を永久に支払う債券(コンソル債)がある。市場利子率が 4% のとき、この債券の価格はいくらですか(万円)。
- ケインズの流動性選好説について、利子率が上昇したときの貨幣需要の変化として正しいものはどれですか。 (ア 予備的需要が減るが投機的需要が増えるので、貨幣需要全体は変わらない イ 貨幣を持つ機会費用が小さくなるので、投機的需要が増え貨幣需要全体は増加する ウ 貨幣需要は所得だけで決まるので、利子率が変わっても変化しない エ 取引需要が増えるので、貨幣需要全体は増加する undefined 貨幣を持つ機会費用が大きくなるので、投機的需要が減り貨幣需要全体は減少する)
- 貨幣と金融について、現在の日本銀行の金融調節の中心となっている手段として正しいものはどれですか。 (ア 預金準備率の頻繁な変更 イ 民間銀行への貸出量の直接割当(窓口指導) ウ 公定歩合(基準割引率および基準貸付利率)の頻繁な変更による誘導 エ 公開市場操作(国債などの売買)による短期金利の誘導 undefined 政府への直接の貸付けによる資金供給)
- 法定準備率が 20% で、銀行は法定準備を除いた預金をすべて貸し出し、貸し出されたお金はすべて銀行に預金として戻るものとする。本源的預金 300 万円から、銀行システム全体で新たに創り出される預金(信用創造額)はいくらですか。 (ア 1800 万円 イ 60 万円 ウ 1500 万円 エ 1200 万円 undefined 240 万円)
標準
- ある経済で、民間の現金・預金比率(現金通貨 ÷ 預金通貨)が 0.2、法定準備率が 0.2 であり、銀行は超過準備を持たないものとする。ハイパワードマネーが 150 のとき、マネーストックはいくらですか。
- ある経済で、民間の現金・預金比率が 0.2、法定準備率が 0.05 であり、銀行は超過準備を持たないものとする。中央銀行がマネーストックを 240 増やしたいとき、ハイパワードマネーをいくら増やす必要がありますか。
- 貨幣数量説(フィッシャーの交換方程式 MV = PY)が成り立つ経済で、貨幣供給量 M = 600、貨幣の流通速度 V = 5、実質国民所得 Y = 600 である。物価水準 P はいくらですか。
- 中央銀行が法定準備率の引上げを行ったとき、マネーストックと市場利子率への影響の組み合わせとして正しいものはどれですか(他の条件は一定とする)。 (ア マネーストックは増加し、利子率は上昇する イ マネーストックは減少し、利子率は低下する ウ マネーストックは減少し、利子率は上昇する エ マネーストックは増加し、利子率は低下する undefined マネーストックも利子率も変化しない)
- ある経済で、民間の現金・預金比率が 0.2、法定準備率が 0.1 で、銀行は超過準備を持たない。中央銀行が買いオペレーションによりハイパワードマネーを 30 増やしたとき、マネーストックの増加額として正しいものはどれですか。 (ア 150 イ 36 ウ 100 エ 120 undefined 300)
- 金融政策の手段と効果に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 法定準備率を引き下げると、銀行の貸出余力が減って信用創造が縮小し、マネーストックは減る イ 政策金利を引き上げると、銀行の資金調達コストが下がって貸出が増え、マネーストックは増える ウ 中央銀行が売りオペレーションを行うと、市場から資金が吸い上げられてハイパワードマネーが減り、利子率は上昇する エ 中央銀行が買いオペレーションを行うと、ハイパワードマネーが減って信用創造を通じてマネーストックも減り、利子率は上昇する undefined 公定歩合は現在も日本銀行の主要な政策金利であり、市場金利はこれに連動して決まる)
- ある経済で、民間の現金・預金比率(現金通貨 ÷ 預金通貨)が 0.5、法定準備率が 0.25 であり、銀行は超過準備を持たないものとする。この経済の貨幣乗数(マネーストック ÷ ハイパワードマネー)はいくらですか。 (ア 2 イ 2/3 ウ 6 エ 0.5 undefined 4/3)
- 毎年 4 万円の利子を永久に支払う債券(コンソル債)がある。市場利子率が 2% から 20% に上昇したとき、この債券の価格はいくら変化しますか(万円)。 (ア 180 万円 イ 20 万円 ウ −72 万円 エ 72 万円 undefined −180 万円)
- 日本銀行の金融政策に関する記述として妥当なものはどれですか(2026 年 9 月時点。最新の状況は日本銀行の公表で確認すること)。 (ア マイナス金利政策は 2016 年に導入され、2026 年 9 月時点でも継続されている イ 日本銀行の金融政策の目標は、消費者物価の前年比上昇率 0% を安定的に維持することである ウ 公開市場操作は財務省が国債を発行する際に行うものであり、日本銀行の金融調節の手段ではない エ 政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)で、2024 年 3 月のマイナス金利解除後は段階的に引き上げられている undefined 政策金利は公定歩合であり、日本銀行が民間銀行に貸し出す際の金利を直接操作することで金融市場を調節している)
発展
- ある経済のマネーストックは 1100、そのうち現金通貨は 100 で残りは預金通貨である。法定準備率は 0.2 で、銀行は超過準備を持たないものとする。この経済のハイパワードマネーはいくらですか。
- 民間が現金を保有せず(現金・預金比率 0)、銀行が超過準備を持たない経済で、ハイパワードマネーは 300 で一定である。中央銀行が法定準備率を 25% から 5% に引き下げると、マネーストックはいくら増えますか。
- 貨幣乗数 (c + 1)/(c + r)(c:現金・預金比率、r:法定準備率)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 銀行が法定準備を超える超過準備を積み増しても、法定準備率が変わらなければ貨幣乗数は変化しない イ 法定準備率 r が引き上げられると、銀行が貸し出せる割合が増えるので、貨幣乗数は大きくなる ウ 人々が現金で持つ割合 c が高まると、銀行に戻って貸出の元になるお金が減るので、貨幣乗数は小さくなる エ 現金・預金比率 c がゼロのとき、貨幣乗数は 1 になり、マネーストックはハイパワードマネーと等しくなる undefined 貨幣乗数はハイパワードマネーの大きさに比例して大きくなる)
- 貨幣数量説(MV = PY)が成り立ち、貨幣の流通速度 V が一定の経済で、貨幣供給量 M が年 8% 増え、実質国民所得 Y が年 3% 成長している。物価上昇率はおよそ年何 % ですか(近似式で)。 (ア −5% イ 5% ウ 8% エ 3% undefined 11%)
- 貨幣市場の均衡に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 名目貨幣供給量が一定のまま物価水準が上昇すると、貨幣の取引需要が減るため均衡利子率は低下する イ 利子率が上がると債券価格が上がり、人々は値上がりを期待して貨幣より債券を選ぶので、投機的動機の貨幣需要は増える ウ 名目貨幣供給量が一定のまま物価水準が上昇すると、実質貨幣供給量が減って貨幣市場の均衡利子率は上昇する エ 国民所得が増えると取引動機の貨幣需要が減るため、貨幣供給量が一定なら均衡利子率は低下する undefined 貨幣需要の利子弾力性が無限大の状態(流動性のわな)では、貨幣供給を増やすと利子率が大きく低下する)
貨幣と金融政策(貨幣乗数・金利) ── 解答
基礎
- 20000 預金総額 = 本源的預金 ÷ 準備率 = 400 ÷ 0.02 = 20000 万円。最初の 400 が 400 → 400 × (1 − 0.02) → … と貸出と預金を繰り返した合計。このうち新たに創り出された預金(信用創造額)は 20000 − 400 = 19600 万円。
- 6000 預金総額 = 250 ÷ 0.04 = 6250 万円。信用創造額はそこから本源的預金を引いた 6250 − 250 = 6000 万円。式で書くと 本源的預金 × (1 − r)/r = 250 × 0.96/0.04。「預金総額」と「創り出された預金」を混同しない。
- 100 永久に利子を払う債券の価格 = 年利子 ÷ 利子率 = 4 ÷ 0.04 = 100 万円(毎年の利子の割引現在価値の合計)。利子率が上がると分母が大きくなるので、債券価格は下がる。
- undefined 貨幣を持つ機会費用が大きくなるので、投機的需要が減り貨幣需要全体は減少する 貨幣を持つ機会費用が大きくなるので、投機的需要が減り貨幣需要全体は減少する。
- エ 公開市場操作(国債などの売買)による短期金利の誘導 公開市場操作(国債などの売買)による短期金利の誘導。
- エ 1200 万円 預金総額 = 本源的預金 ÷ 準備率 = 300 ÷ 0.2 = 1500 万円。このうち最初の 300 万円は元からあった預金なので、新たに創られた預金は 1500 − 300 = 1200 万円(= 本源的預金 × (1 − 0.2)/0.2)。預金総額と信用創造額を取り違えない。
標準
- 450 貨幣乗数 = (c + 1)/(c + r) = (0.2 + 1)/(0.2 + 0.2) = 1.2/0.4 = 3。マネーストック = 乗数 × ハイパワードマネー = 3 × 150 = 450。M = C + D、H = C + rD で、C = cD を代入して比をとると乗数の式になる。
- 50 貨幣乗数 = (0.2 + 1)/(0.2 + 0.05) = 24/5。ΔM = 乗数 × ΔH なので ΔH = ΔM ÷ 乗数 = 240 ÷ 24/5 = 50。買いオペで国債を 50 買えば、日銀当座預金がその分増え、信用創造を通じてマネーストックが 240 増える。
- 5 MV = PY → P = MV/Y = 600 × 5 ÷ 600 = 3000 ÷ 600 = 5。V と Y が一定なら、M を 2 倍の 1200 にすれば P も 2 倍の 10 になる(貨幣の中立性)。ケンブリッジ方程式 M = kPY で書けば k = 1/V = 1/5。
- ウ マネーストックは減少し、利子率は上昇する 法定準備率の引上げは金融引き締めの手段。準備率の引上げは貨幣乗数 1/r を小さくする。マネーストックは減少し、利子率は上昇する(LM 曲線で言えば金融引き締めは LM を左へ動かす)。
- エ 120 貨幣乗数 = (c + 1)/(c + r) = 1.2/0.3 = 4。ΔM = 4 × 30 = 120。300 は現金保有を無視して 1/r = 10 倍にした誤り。
- ウ 中央銀行が売りオペレーションを行うと、市場から資金が吸い上げられてハイパワードマネーが減り、利子率は上昇する 売りオペは引き締め(H 減少・利子率上昇)、買いオペは緩和(H 増加・利子率低下)。準備率引下げは乗数を大きくしてマネーストックを増やす。政策金利の引上げは引き締め。公定歩合は 2006 年に「基準割引率および基準貸付利率」と名称が変わり、現在の調節の中心は公開市場操作による短期金利の誘導。
- ア 2 貨幣乗数 = (c + 1)/(c + r) = (0.5 + 1)/(0.5 + 0.25) = 1.5/0.75 = 2。民間が現金を持たない(c = 0)ときだけ 1/r = 4 になる。分子と分母を逆にしない。
- undefined −180 万円 コンソル債の価格 = 毎年の利子 ÷ 利子率。利子率 2% のとき 4 ÷ 0.02 = 200 万円、20% のとき 4 ÷ 0.2 = 20 万円。変化は 20 − 200 = −180 万円(利子率の上昇で債券価格は下がる)。符号を逆にしない。
- エ 政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)で、2024 年 3 月のマイナス金利解除後は段階的に引き上げられている 現在の政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)で、公開市場操作(オペ)で誘導する。マイナス金利は 2016 年 1 月決定・2024 年 3 月に解除され、その後 0.25%(2024 年 7 月)→ 0.5%(2025 年 1 月)→ 0.75%(2025 年 12 月)→ 1.0%(2026 年 6 月)→ 1.25%(2026 年 9 月)と引き上げられた。物価安定の目標は消費者物価の前年比 2%(2013 年 1 月)。公定歩合は現在「基準貸付利率」と呼ばれ、政策金利ではない。
発展
- 300 預金通貨 D = 1100 − 100 = 1000。法定準備 R = rD = 0.2 × 1000 = 200。ハイパワードマネー H = 現金通貨 + 準備 = 100 + 200 = 300。現金・預金比率 c = 100/1000 = 1/10 で、貨幣乗数 M/H = 11/3 になっていることも確かめられる。
- 4800 現金保有がないとき貨幣乗数 = 1/r。引下げ前は 1/25% = 4 倍で M = 1200、引下げ後は 20 倍で M = 6000。増加分は 6000 − 1200 = 4800。準備率の引下げは、ハイパワードマネーを変えずにマネーストックを増やす金融緩和の手段。
- ウ 人々が現金で持つ割合 c が高まると、銀行に戻って貸出の元になるお金が減るので、貨幣乗数は小さくなる c が上がると分母・分子とも増えるが、r < 1 なので乗数は小さくなる(c → ∞ で 1 に近づく)。r の引上げは乗数を小さくする。超過準備は実質的な準備率を高めるので乗数は小さくなる。c = 0 なら乗数は 1/r で 1 より大きい。乗数は c と r で決まり、H の大きさには依存しない。
- イ 5% MV = PY を変化率で書くと(V 一定)M の増加率 = P の上昇率 + Y の成長率。よって物価上昇率 = 8 − 3 = 5%。貨幣の増加のうち実質成長で吸収される 3% を除いた分が物価に回る。足し算にしない。
- ウ 名目貨幣供給量が一定のまま物価水準が上昇すると、実質貨幣供給量が減って貨幣市場の均衡利子率は上昇する 貨幣市場の均衡は M/P = L(Y, r)。物価上昇は実質貨幣供給 M/P を減らすので、超過需要を解消するために利子率が上がる(LM 曲線の左シフト)。所得の増加は取引需要を増やして利子率を上げる。利子率上昇は債券価格の下落を意味し、投機的動機の貨幣需要は減る。流動性のわなでは貨幣供給を増やしても利子率は下がらない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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