貨幣と金融政策(貨幣乗数・金利) ── 問題
基礎
- 法定準備率が 4% で、銀行は法定準備を除いた預金をすべて貸し出し、貸し出されたお金はすべて銀行に預金として戻るものとする。本源的預金が 50 万円のとき、銀行システム全体で最終的に生まれる預金総額はいくらですか(万円)。
- 法定準備率が 25% で、銀行は法定準備を除いた預金をすべて貸し出し、貸し出されたお金はすべて銀行に預金として戻るものとする。本源的預金 120 万円から、銀行システム全体で新たに創り出される預金(信用創造額)はいくらですか(万円)。
- 毎年 8 万円の利子を永久に支払う債券(コンソル債)がある。市場利子率が 10% のとき、この債券の価格はいくらですか(万円)。
- ケインズの流動性選好説について、投機的動機にもとづく貨幣需要の説明として正しいものはどれですか。 (ア 外国為替の変動に備えて外貨を持つ需要で、為替レートの増加関数である イ 日々の取引の支払いのために貨幣を持つ需要で、所得の増加関数である ウ 不意の支出に備えて貨幣を持つ需要で、所得の増加関数である エ 銀行が貸出のために保有する需要で、預金量の増加関数である undefined 債券価格の下落による損失を避けて資産として貨幣を持つ需要で、利子率の減少関数である)
- 貨幣と金融について、ハイパワードマネー(マネタリーベース)の内容として正しいものはどれですか。 (ア 民間銀行の貸出残高と保有国債の合計 イ 現金通貨と定期性預金と譲渡性預金の合計 ウ 現金通貨と日本銀行当座預金(民間銀行の準備預金)の合計 エ 政府の税収と国債発行額の合計 undefined 現金通貨と民間銀行の預金通貨(要求払預金)の合計)
標準
- ある経済で、民間の現金・預金比率(現金通貨 ÷ 預金通貨)が 0.4、法定準備率が 0.2 であり、銀行は超過準備を持たないものとする。ハイパワードマネーが 150 のとき、マネーストックはいくらですか。
- ある経済で、民間の現金・預金比率が 0.5、法定準備率が 0.05 であり、銀行は超過準備を持たないものとする。中央銀行がマネーストックを 120 増やしたいとき、ハイパワードマネーをいくら増やす必要がありますか。
- 貨幣数量説(フィッシャーの交換方程式 MV = PY)が成り立つ経済で、貨幣供給量 M = 300、貨幣の流通速度 V = 8、実質国民所得 Y = 400 である。物価水準 P はいくらですか。
- 中央銀行が政策金利の引上げを行ったとき、マネーストックと市場利子率への影響の組み合わせとして正しいものはどれですか(他の条件は一定とする)。 (ア マネーストックは増加し、利子率は上昇する イ マネーストックも利子率も変化しない ウ マネーストックは増加し、利子率は低下する エ マネーストックは減少し、利子率は低下する undefined マネーストックは減少し、利子率は上昇する)
- ある経済で、民間の現金・預金比率が 0.2、法定準備率が 0.1 で、銀行は超過準備を持たない。中央銀行が買いオペレーションによりハイパワードマネーを 30 増やしたとき、マネーストックの増加額として正しいものはどれですか。 (ア 150 イ 36 ウ 100 エ 120 undefined 300)
- 金融政策の手段と効果に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 法定準備率を引き下げると、銀行の貸出余力が減って信用創造が縮小し、マネーストックは減る イ 政策金利を引き上げると、銀行の資金調達コストが下がって貸出が増え、マネーストックは増える ウ 中央銀行が売りオペレーションを行うと、市場から資金が吸い上げられてハイパワードマネーが減り、利子率は上昇する エ 中央銀行が買いオペレーションを行うと、ハイパワードマネーが減ってマネーストックが減り、利子率は上昇する undefined 公定歩合は現在も日本銀行の主要な政策金利であり、市場金利はこれに連動して決まる)
発展
- ある経済のマネーストックは 380、そのうち現金通貨は 80 で残りは預金通貨である。法定準備率は 0.2 で、銀行は超過準備を持たないものとする。この経済のハイパワードマネーはいくらですか。
- 民間が現金を保有せず(現金・預金比率 0)、銀行が超過準備を持たない経済で、ハイパワードマネーは 300 で一定である。中央銀行が法定準備率を 10% から 8% に引き下げると、マネーストックはいくら増えますか。
- 貨幣乗数 (c + 1)/(c + r)(c:現金・預金比率、r:法定準備率)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 銀行が法定準備を超える超過準備を積み増しても、法定準備率が変わらなければ貨幣乗数は変化しない イ 法定準備率 r が引き上げられると、銀行が貸し出せる割合が増えるので、貨幣乗数は大きくなる ウ 人々が現金で持つ割合 c が高まると、銀行に戻って貸出の元になるお金が減るので、貨幣乗数は小さくなる エ 現金・預金比率 c がゼロのとき、貨幣乗数は 1 になり、マネーストックはハイパワードマネーと等しくなる undefined 貨幣乗数はハイパワードマネーの大きさに比例して大きくなる)
貨幣と金融政策(貨幣乗数・金利) ── 解答
基礎
- 1250 預金総額 = 本源的預金 ÷ 準備率 = 50 ÷ 0.04 = 1250 万円。最初の 50 が 50 → 50 × (1 − 0.04) → … と貸出と預金を繰り返した合計。このうち新たに創り出された預金(信用創造額)は 1250 − 50 = 1200 万円。
- 360 預金総額 = 120 ÷ 0.25 = 480 万円。信用創造額はそこから本源的預金を引いた 480 − 120 = 360 万円。式で書くと 本源的預金 × (1 − r)/r = 120 × 0.75/0.25。「預金総額」と「創り出された預金」を混同しない。
- 80 永久に利子を払う債券の価格 = 年利子 ÷ 利子率 = 8 ÷ 0.1 = 80 万円(毎年の利子の割引現在価値の合計)。利子率が上がると分母が大きくなるので、債券価格は下がる。
- undefined 債券価格の下落による損失を避けて資産として貨幣を持つ需要で、利子率の減少関数である 債券価格の下落による損失を避けて資産として貨幣を持つ需要で、利子率の減少関数である。
- ウ 現金通貨と日本銀行当座預金(民間銀行の準備預金)の合計 現金通貨と日本銀行当座預金(民間銀行の準備預金)の合計。
標準
- 350 貨幣乗数 = (c + 1)/(c + r) = (0.4 + 1)/(0.4 + 0.2) = 1.4/0.6 = 7/3。マネーストック = 乗数 × ハイパワードマネー = 7/3 × 150 = 350。M = C + D、H = C + rD で、C = cD を代入して比をとると乗数の式になる。
- 44 貨幣乗数 = (0.5 + 1)/(0.5 + 0.05) = 30/11。ΔM = 乗数 × ΔH なので ΔH = ΔM ÷ 乗数 = 120 ÷ 30/11 = 44。買いオペで国債を 44 買えば、日銀当座預金がその分増え、信用創造を通じてマネーストックが 120 増える。
- 6 MV = PY → P = MV/Y = 300 × 8 ÷ 400 = 2400 ÷ 400 = 6。V と Y が一定なら、M を 2 倍の 600 にすれば P も 2 倍の 12 になる(貨幣の中立性)。ケンブリッジ方程式 M = kPY で書けば k = 1/V = 1/8。
- undefined マネーストックは減少し、利子率は上昇する 政策金利の引上げは金融引き締めの手段。政策金利の引上げは銀行の資金調達コストを上げて貸出を減らす。マネーストックは減少し、利子率は上昇する(LM 曲線で言えば金融引き締めは LM を左へ動かす)。
- エ 120 貨幣乗数 = (c + 1)/(c + r) = 1.2/0.3 = 4。ΔM = 4 × 30 = 120。300 は現金保有を無視して 1/r = 10 倍にした誤り。
- ウ 中央銀行が売りオペレーションを行うと、市場から資金が吸い上げられてハイパワードマネーが減り、利子率は上昇する 売りオペは引き締め(H 減少・利子率上昇)、買いオペは緩和(H 増加・利子率低下)。準備率引下げは乗数を大きくしてマネーストックを増やす。政策金利の引上げは引き締め。公定歩合は 2006 年に「基準割引率および基準貸付利率」と名称が変わり、現在の調節の中心は公開市場操作による短期金利の誘導。
発展
- 140 預金通貨 D = 380 − 80 = 300。法定準備 R = rD = 0.2 × 300 = 60。ハイパワードマネー H = 現金通貨 + 準備 = 80 + 60 = 140。現金・預金比率 c = 80/300 = 4/15 で、貨幣乗数 M/H = 19/7 になっていることも確かめられる。
- 750 現金保有がないとき貨幣乗数 = 1/r。引下げ前は 1/10% = 10 倍で M = 3000、引下げ後は 25/2 倍で M = 3750。増加分は 3750 − 3000 = 750。準備率の引下げは、ハイパワードマネーを変えずにマネーストックを増やす金融緩和の手段。
- ウ 人々が現金で持つ割合 c が高まると、銀行に戻って貸出の元になるお金が減るので、貨幣乗数は小さくなる c が上がると分母・分子とも増えるが、r < 1 なので乗数は小さくなる(c → ∞ で 1 に近づく)。r の引上げは乗数を小さくする。超過準備は実質的な準備率を高めるので乗数は小さくなる。c = 0 なら乗数は 1/r で 1 より大きい。乗数は c と r で決まり、H の大きさには依存しない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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