消費と投資の理論 ── 問題
基礎
- ある家計の消費関数が C = 20 + 0.9Y で表される(C:消費、Y:所得)。所得が 300 のとき、貯蓄はいくらですか。
- ある家計の消費関数が C = 20 + 0.9Y で表される(C:消費、Y:所得)。所得が 400 のとき、平均消費性向は何 % ですか。
- ある企業が 100 万円の機械を購入すると、1 年後に 109 万円の収益が得られ、その後この機械は使えなくなる。この投資の限界効率(ケインズの意味での投資の限界効率)は何 % ですか。
- モディリアーニのライフサイクル仮説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 消費は将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得に比例し、一時的な所得の変動にはほとんど反応しない イ 消費は他人の消費水準や過去の最高所得に影響され、所得が減っても消費はすぐには下がらない ウ 消費は所得に加えて、預金などすぐに使える資産の保有額によっても決まる エ 消費は今期の所得で決まり、所得が増えるにつれて平均消費性向は低下する undefined 消費は資産と将来の勤労所得を合わせた生涯所得を生涯にわたって均等に配分するように決まる)
- ある家計の消費関数が C = 60 + 0.6Y で表される(C:消費、Y:所得)。所得が 2000 のとき、平均消費性向と限界消費性向の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 平均消費性向 63%、限界消費性向 40% イ 平均消費性向 63%、限界消費性向 63% ウ 平均消費性向 37%、限界消費性向 60% エ 平均消費性向 60%、限界消費性向 63% undefined 平均消費性向 63%、限界消費性向 60%)
標準
- ライフサイクル仮説にしたがう個人が、現在 400 万円の資産を持ち、これから 29 年間働いて毎年 400 万円の所得を得た後に引退し、今から 40 年後に死亡する。生涯を通じて毎年同じ額を消費し、遺産は残さないとすると、毎年の消費額は何万円ですか。
- 恒常所得仮説にもとづき、恒常所得 Y<sub>P</sub> が今期の所得 Y<sub>t</sub> と前期の所得 Y<sub>t−1</sub> の加重平均 Y<sub>P</sub> = 0.8Y<sub>t</sub> + 0.2Y<sub>t−1</sub> で決まり、消費が C = 0.9Y<sub>P</sub> で決まるとする。今期の所得が 800、前期の所得が 900 のとき、今期の消費はいくらですか。
- 利子率が 10% のとき、1 年後に 220、2 年後に 484 の収益を生む投資案件の収益の割引現在価値はいくらですか。
- 加速度原理にしたがう経済で、資本係数(必要な資本ストック ÷ 生産量)が 4 で一定である。生産量が 800 から 820 に増えたとき、この期の純投資はいくらですか。
- 投資理論のうち、ヨルゲンソンの新古典派投資理論の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 望ましい資本ストックと現在の資本ストックの差のうち、一定の割合だけを今期に埋めるように投資する イ 資本の限界生産力が資本の使用者費用に等しくなる水準に望ましい資本ストックを決め、その差を埋めるように投資する ウ 企業の市場価値を資本の再取得費用で割った値が 1 を上回れば投資が行われる エ 必要な資本ストックが生産量に比例するとして、投資は生産量の増加分に資本係数をかけた大きさになる undefined 将来収益の割引現在価値が投資費用に等しくなる割引率を利子率と比べ、割引率のほうが高ければ投資する)
- 恒常所得と変動所得の区別の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 長期のデータでは所得が大きく伸びても平均消費性向がほぼ一定であるという実証結果 イ 利子率・減価償却率・資本財価格の変化率から求められる、資本を 1 単位使うことの費用 ウ 自分の消費が、まわりの人々の消費水準につられて決まること エ 所得が減っても、過去に達した最高の消費水準に引きずられて消費がすぐには下がらないこと undefined 将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得と、一時的・偶発的な所得を区別する考え方)
- ケインズ型消費関数 C = C<sub>0</sub> + cY(C<sub>0</sub> > 0、0 < c < 1)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア クズネッツの長期データの分析結果は、この消費関数の含意と一致していた イ 所得が増加すると限界消費性向が低下するため、平均消費性向も低下する ウ 所得が増加しても平均消費性向は変わらず、つねに c に等しい エ 平均消費性向はつねに限界消費性向より小さい undefined 所得が増加すると平均消費性向は低下し、限界消費性向に近づいていく)
- ライフサイクル仮説にしたがう個人が、現在 400 万円の資産を持ち、これから 30 年間働いて毎年 600 万円の所得を得た後に引退し、今から 40 年後に死亡する。生涯を通じて毎年同じ額を消費し、遺産は残さないとすると、毎年の消費額は何万円ですか。 (ア 460 万円 イ 600 万円 ウ 1840 万円 エ 450 万円 undefined 613 万円)
- 加速度原理にしたがう経済で、資本係数(必要な資本ストック ÷ 生産量)が 3 で一定である。生産量が 100 から 120 に増えたとき、この期の純投資はいくらですか。 (ア 360 イ 40 ウ 300 エ 30 undefined 60)
- 消費理論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア クズネッツは米国の長期の時系列データから、所得が増えるにつれて平均消費性向がしだいに低下し続けることを見いだした イ ケインズの絶対所得仮説では、所得が増えると平均消費性向は上昇するとされる ウ デューゼンベリーの相対所得仮説では、過去の最高所得の影響(ラチェット効果)で、所得が減っても消費は下がりにくい エ モディリアーニのライフサイクル仮説では、消費は今期の所得だけで決まり、資産や将来の所得は影響しない undefined フリードマンの恒常所得仮説では、一時的な所得の増加は恒常所得を大きく高めるので、消費を大きく増やす)
発展
- ストック調整原理にしたがう経済で、望ましい資本ストック K<sup>*</sup> は生産量 Y の 4 倍であり、企業は望ましい資本ストックと前期末の資本ストック K<sub>−1</sub> との差のうち 0.4 の割合を今期に投資する。今期の生産量が 800、前期末の資本ストックが 3150 のとき、今期の投資はいくらですか。
- ある企業の株式時価総額が 500 億円、負債が 300 億円で、この企業が保有する資本設備を現在の価格で買いなおすと 1000 億円かかる。トービンの q はいくらですか。
- ある企業が 1,000 万円の設備を購入すると、1 年後に 1,100 万円の収益が得られ、その後この設備は使えなくなる。ケインズの投資の限界効率理論にもとづく判断として妥当なものはどれですか。 (ア この投資の限界効率は 110% であり、利子率がいくらであっても投資が行われる イ 限界効率は将来収益ではなく利子率によって決まるため、利子率が下がると限界効率も下がる ウ この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資が行われる エ 利子率が 12% のとき、収益の割引現在価値は投資費用を上回るので投資が行われる undefined この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資は行われない)
- 消費理論と経済政策の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ケインズの絶対所得仮説によれば、一時的な減税は消費にまったく影響せず、恒久的な減税だけが消費を増やす イ 相対所得仮説によれば、所得が減少すると消費は所得と同じ割合で直ちに減少する ウ 恒常所得仮説によれば、1 年限りの一時的な減税は変動所得を増やすだけなので、消費はほとんど増えない エ ライフサイクル仮説によれば、高齢者の割合が高まると経済全体の貯蓄率は上昇する undefined 恒常所得仮説によれば、恒久的な減税と一時的な減税は消費に同じ大きさの効果を持つ)
- ある企業の株式時価総額が 350 億円、負債が 50 億円で、この企業が保有する資本設備を現在の価格で買いなおすと 500 億円かかる。トービンの q の値と、この理論にもとづく投資の判断の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア q = 0.7、投資を行わない イ q = 0.8、投資を行わない ウ q = 0.6、投資を行わない エ q = 0.8、投資を増やす undefined q = 0.7、投資を増やす)
消費と投資の理論 ── 解答
基礎
- 10 消費 = 20 + 0.9 × 300 = 290。貯蓄 = 所得 − 消費 = 300 − 290 = 10。貯蓄関数で書けば S = −20 + 0.1Y(限界貯蓄性向 = 1 − 限界消費性向)。
- 95 消費 = 20 + 0.9 × 400 = 380。平均消費性向 = C/Y = 380 ÷ 400 = 95%。限界消費性向は 90% で一定だが、基礎消費 20 があるぶん平均消費性向のほうが大きく、所得が増えるほど限界消費性向に近づいていく。
- 9 限界効率 m は、100 = 109 ÷ (1 + m) を満たす割引率。109 ÷ 100 = 1 + m → m = 9%(100 万円の投資が 1 年で 9 万円の収益を生む利回り)。利子率が 8% なら限界効率のほうが高いので投資し、11% なら投資しない。
- undefined 消費は資産と将来の勤労所得を合わせた生涯所得を生涯にわたって均等に配分するように決まる モディリアーニのライフサイクル仮説:消費は資産と将来の勤労所得を合わせた生涯所得を生涯にわたって均等に配分するように決まる。若いうちは借入れ、中年で貯蓄、老後に取り崩す。経済全体では平均消費性向が一定になる。
- undefined 平均消費性向 63%、限界消費性向 60% 消費 = 60 + 0.6 × 2000 = 1260。平均消費性向 APC = C/Y = 1260 ÷ 2000 = 63%。限界消費性向 MPC は所得 1 単位の増加に対する消費の増加分で、消費関数の傾き 0.6 = 60%。よって 平均消費性向 63%、限界消費性向 60%。基礎消費 60 があるため APC > MPC で、所得が増えるほど APC は下がって MPC に近づく。
標準
- 300 生涯に使えるお金 = 資産 + 勤労所得の合計 = 400 + 400 × 29 = 12000 万円。これを 40 年で均等に使うので、毎年の消費 = 12000 ÷ 40 = 300 万円。働く間は毎年 400 − 300 = 100 万円を貯蓄し、引退後の 11 年間は取り崩す。
- 738 恒常所得 Y<sub>P</sub> = 0.8 × 800 + 0.2 × 900 = 640 + 180 = 820。消費 = 0.9 × 820 = 738。今期の所得が減っても恒常所得は一部しか減らないので、消費はケインズ型ほど落ち込まない。
- 600 1 年後の 220 は (1 + 10/100) = 1.1 で 1 回割って 200。2 年後の 484 は 1.1 で 2 回(1.21)割って 400。現在価値 = 200 + 400 = 600。投資費用がこれより小さければ投資する(限界効率 > 利子率 と同じ判断)。
- 80 必要な資本は生産量の 4 倍。生産 800 のとき 3200、820 のとき 3280 なので、増やすべき資本 = 3280 − 3200 = 80。式で書けば I = v × ΔY = 4 × 20 = 80。投資は生産の水準ではなく増加分で決まる。
- イ 資本の限界生産力が資本の使用者費用に等しくなる水準に望ましい資本ストックを決め、その差を埋めるように投資する ヨルゲンソンの新古典派投資理論:資本の限界生産力が資本の使用者費用に等しくなる水準に望ましい資本ストックを決め、その差を埋めるように投資する。利子率の上昇は使用者費用を上げ、望ましい資本ストックを減らして投資を減らす。
- undefined 将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得と、一時的・偶発的な所得を区別する考え方 恒常所得と変動所得の区別:将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得と、一時的・偶発的な所得を区別する考え方。フリードマンの恒常所得仮説。消費は恒常所得に比例し、変動所得はほとんど貯蓄に回る。
- undefined 所得が増加すると平均消費性向は低下し、限界消費性向に近づいていく 平均消費性向 = C/Y = C<sub>0</sub>/Y + c なので、Y が大きくなるほど C<sub>0</sub>/Y が小さくなり、c に近づきながら低下する。限界消費性向 c は一定で、C<sub>0</sub> > 0 だから平均消費性向はつねに限界消費性向より大きい。クズネッツは長期では平均消費性向がほぼ一定であることを示し、これがケインズ型と食い違ったため消費関数論争が起きた。
- ア 460 万円 生涯に使えるお金 = 資産 + 勤労所得の合計 = 400 + 600 × 30 = 18400 万円。これを 40 年で均等に使うので、毎年の消費 = 18400 ÷ 40 = 460 万円。働く間は毎年 600 − 460 = 140 万円を貯蓄し、引退後の 10 年間は取り崩す。働く年数 30 で割らない(消費するのは生涯 40 年)。
- undefined 60 必要な資本ストックは 資本係数 × 生産量。100 のとき 300、120 のとき 360。純投資 = 資本ストックの増加分 = 360 − 300 = 3 × (120 − 100) = 60。投資は生産量の水準ではなく変化分に比例する(3 × 120 = 360 は資本ストックであって投資ではない)。
- ウ デューゼンベリーの相対所得仮説では、過去の最高所得の影響(ラチェット効果)で、所得が減っても消費は下がりにくい クズネッツは長期では平均消費性向がほぼ一定であることを見いだし、短期のケインズ型消費関数(APC が所得とともに低下)との矛盾(消費関数論争)を生んだ。これを説明したのがデューゼンベリー(相対所得・ラチェット効果)、フリードマン(恒常所得:一時的所得は消費にほとんど回らない)、モディリアーニ(ライフサイクル:生涯所得と資産で決まる)。
発展
- 20 望ましい資本ストック K<sup>*</sup> = 4 × 800 = 3200。差 = 3200 − 3150 = 50。そのうち 0.4 だけ今期に埋めるので I = 0.4 × 50 = 20。調整速度が 1 なら加速度原理と同じで 50 全部を今期に投資する。
- 0.8 企業の市場価値 = 株式時価総額 + 負債 = 500 + 300 = 800 億円。q = 市場価値 ÷ 再取得費用 = 800 ÷ 1000 = 0.8。1 より小さいので、新しく設備を作るより既存の企業を買うほうが安い → 投資は行われない。
- ウ この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資が行われる 1,000 = 1,100 ÷ (1 + m) → m = 0.1 = 10%。限界効率 10% > 利子率 8% なら投資する。利子率 12% なら現在価値は 1,100 ÷ 1.12 ≒ 982 万円で費用 1,000 万円を下回るので投資しない。限界効率は将来収益と投資費用から決まるもので、利子率とは独立に決まり、両者を比べて投資を判断する。
- ウ 恒常所得仮説によれば、1 年限りの一時的な減税は変動所得を増やすだけなので、消費はほとんど増えない 恒常所得仮説では消費は恒常所得に比例するので、一時的な減税(変動所得)は消費をほとんど増やさず、恒久的な減税だけが消費を増やす。ケインズ型では今期の所得が増えればそのぶん消費が増えるので、一時的な減税でも消費は増える。ライフサイクル仮説では高齢者は貯蓄を取り崩すので、高齢者の割合が高まると経済全体の貯蓄率は下がる。相対所得仮説ではラチェット効果により所得が減っても消費はすぐには下がらない。
- イ q = 0.8、投資を行わない 企業の市場価値 = 株式時価総額 + 負債 = 350 + 50 = 400 億円。q = 市場価値 ÷ 再取得費用 = 400 ÷ 500 = 0.8。1 より小さいので、新しく設備を作るより既存の企業を買うほうが安い → 投資は行われない。よって q = 0.8、投資を行わない。負債を足し忘れて株式時価総額だけで割らない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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