消費と投資の理論 ── 問題
基礎
- ある家計の消費関数が C = 20 + 0.6Y で表される(C:消費、Y:所得)。所得が 200 のとき、貯蓄はいくらですか。
- ある家計の消費関数が C = 80 + 0.7Y で表される(C:消費、Y:所得)。所得が 400 のとき、平均消費性向は何 % ですか。
- ある企業が 2000 万円の機械を購入すると、1 年後に 2240 万円の収益が得られ、その後この機械は使えなくなる。この投資の限界効率(ケインズの意味での投資の限界効率)は何 % ですか。
- フリードマンの恒常所得仮説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 消費は所得に加えて、預金などすぐに使える資産の保有額によっても決まる イ 消費は将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得に比例し、一時的な所得の変動にはほとんど反応しない ウ 消費は資産と将来の勤労所得を合わせた生涯所得を生涯にわたって均等に配分するように決まる エ 消費は今期の所得で決まり、所得が増えるにつれて平均消費性向は低下する undefined 消費は他人の消費水準や過去の最高所得に影響され、所得が減っても消費はすぐには下がらない)
標準
- ライフサイクル仮説にしたがう個人が、現在 600 万円の資産を持ち、これから 34 年間働いて毎年 600 万円の所得を得た後に引退し、今から 60 年後に死亡する。生涯を通じて毎年同じ額を消費し、遺産は残さないとすると、毎年の消費額は何万円ですか。
- 恒常所得仮説にもとづき、恒常所得 Y<sub>P</sub> が今期の所得 Y<sub>t</sub> と前期の所得 Y<sub>t−1</sub> の加重平均 Y<sub>P</sub> = 0.8Y<sub>t</sub> + 0.2Y<sub>t−1</sub> で決まり、消費が C = 0.8Y<sub>P</sub> で決まるとする。今期の所得が 1000、前期の所得が 600 のとき、今期の消費はいくらですか。
- 利子率が 25% のとき、1 年後に 100、2 年後に 1250 の収益を生む投資案件の収益の割引現在価値はいくらですか。
- 加速度原理にしたがう経済で、資本係数(必要な資本ストック ÷ 生産量)が 3 で一定である。生産量が 500 から 600 に増えたとき、この期の純投資はいくらですか。
- 投資理論のうち、加速度原理の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 資本の限界生産力が資本の使用者費用に等しくなる水準に望ましい資本ストックを決め、その差を埋めるように投資する イ 将来収益の割引現在価値が投資費用に等しくなる割引率を利子率と比べ、割引率のほうが高ければ投資する ウ 必要な資本ストックが生産量に比例するとして、投資は生産量の増加分に資本係数をかけた大きさになる エ 望ましい資本ストックと現在の資本ストックの差のうち、一定の割合だけを今期に埋めるように投資する undefined 企業の市場価値を資本の再取得費用で割った値が 1 を上回れば投資が行われる)
- 資本の使用者費用の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 自分の消費が、まわりの人々の消費水準につられて決まること イ 将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得と、一時的・偶発的な所得を区別する考え方 ウ 利子率・減価償却率・資本財価格の変化率から求められる、資本を 1 単位使うことの費用 エ 長期のデータでは所得が大きく伸びても平均消費性向がほぼ一定であるという実証結果 undefined 所得が減っても、過去に達した最高の消費水準に引きずられて消費がすぐには下がらないこと)
- ケインズ型消費関数 C = C<sub>0</sub> + cY(C<sub>0</sub> > 0、0 < c < 1)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア クズネッツの長期データの分析結果は、この消費関数の含意と一致していた イ 所得が増加すると限界消費性向が低下するため、平均消費性向も低下する ウ 所得が増加しても平均消費性向は変わらず、つねに c に等しい エ 平均消費性向はつねに限界消費性向より小さい undefined 所得が増加すると平均消費性向は低下し、限界消費性向に近づいていく)
発展
- ストック調整原理にしたがう経済で、望ましい資本ストック K<sup>*</sup> は生産量 Y の 4 倍であり、企業は望ましい資本ストックと前期末の資本ストック K<sub>−1</sub> との差のうち 0.4 の割合を今期に投資する。今期の生産量が 800、前期末の資本ストックが 2900 のとき、今期の投資はいくらですか。
- ある企業の株式時価総額が 600 億円、負債が 200 億円で、この企業が保有する資本設備を現在の価格で買いなおすと 1000 億円かかる。トービンの q はいくらですか。
- ある企業が 1,000 万円の設備を購入すると、1 年後に 1,100 万円の収益が得られ、その後この設備は使えなくなる。ケインズの投資の限界効率理論にもとづく判断として妥当なものはどれですか。 (ア この投資の限界効率は 110% であり、利子率がいくらであっても投資が行われる イ 限界効率は将来収益ではなく利子率によって決まるため、利子率が下がると限界効率も下がる ウ この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資が行われる エ 利子率が 12% のとき、収益の割引現在価値は投資費用を上回るので投資が行われる undefined この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資は行われない)
- 消費理論と経済政策の関係に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ケインズの絶対所得仮説によれば、一時的な減税は消費に影響せず、恒久的な減税だけが消費を増やす イ 相対所得仮説によれば、所得が減少すると消費は所得と同じ割合で直ちに減少する ウ 恒常所得仮説によれば、1 年限りの一時的な減税は変動所得を増やすだけなので、消費はほとんど増えない エ ライフサイクル仮説によれば、高齢者の割合が高まると経済全体の貯蓄率は上昇する undefined 恒常所得仮説によれば、恒久的な減税と一時的な減税は消費に同じ大きさの効果を持つ)
消費と投資の理論 ── 解答
基礎
- 60 消費 = 20 + 0.6 × 200 = 140。貯蓄 = 所得 − 消費 = 200 − 140 = 60。貯蓄関数で書けば S = −20 + 0.4Y(限界貯蓄性向 = 1 − 限界消費性向)。
- 90 消費 = 80 + 0.7 × 400 = 360。平均消費性向 = C/Y = 360 ÷ 400 = 90%。限界消費性向は 70% で一定だが、基礎消費 80 があるぶん平均消費性向のほうが大きく、所得が増えるほど限界消費性向に近づいていく。
- 12 限界効率 m は、2000 = 2240 ÷ (1 + m) を満たす割引率。2240 ÷ 2000 = 1 + m → m = 12%(2000 万円の投資が 1 年で 240 万円の収益を生む利回り)。利子率が 11% なら限界効率のほうが高いので投資し、14% なら投資しない。
- イ 消費は将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得に比例し、一時的な所得の変動にはほとんど反応しない フリードマンの恒常所得仮説:消費は将来にわたって続くと見込まれる平均的な所得に比例し、一時的な所得の変動にはほとんど反応しない。一時的な減税は変動所得なので消費をあまり増やさない。
標準
- 350 生涯に使えるお金 = 資産 + 勤労所得の合計 = 600 + 600 × 34 = 21000 万円。これを 60 年で均等に使うので、毎年の消費 = 21000 ÷ 60 = 350 万円。働く間は毎年 600 − 350 = 250 万円を貯蓄し、引退後の 26 年間は取り崩す。
- 736 恒常所得 Y<sub>P</sub> = 0.8 × 1000 + 0.2 × 600 = 800 + 120 = 920。消費 = 0.8 × 920 = 736。今期の所得が増えても恒常所得は一部しか増えないので、消費の増え方はケインズ型より小さい。
- 880 1 年後の 100 は (1 + 25/100) = 1.25 で 1 回割って 80。2 年後の 1250 は 1.25 で 2 回(1.5625)割って 800。現在価値 = 80 + 800 = 880。投資費用がこれより小さければ投資する(限界効率 > 利子率 と同じ判断)。
- 300 必要な資本は生産量の 3 倍。生産 500 のとき 1500、600 のとき 1800 なので、増やすべき資本 = 1800 − 1500 = 300。式で書けば I = v × ΔY = 3 × 100 = 300。投資は生産の水準ではなく増加分で決まる。
- ウ 必要な資本ストックが生産量に比例するとして、投資は生産量の増加分に資本係数をかけた大きさになる 加速度原理:必要な資本ストックが生産量に比例するとして、投資は生産量の増加分に資本係数をかけた大きさになる。生産の水準ではなく増加分で決まるので、投資は景気より大きく振れる。
- ウ 利子率・減価償却率・資本財価格の変化率から求められる、資本を 1 単位使うことの費用 資本の使用者費用:利子率・減価償却率・資本財価格の変化率から求められる、資本を 1 単位使うことの費用。ヨルゲンソンの新古典派投資理論。資本の限界生産力がこれに等しくなる水準が望ましい資本ストック。
- undefined 所得が増加すると平均消費性向は低下し、限界消費性向に近づいていく 平均消費性向 = C/Y = C<sub>0</sub>/Y + c なので、Y が大きくなるほど C<sub>0</sub>/Y が小さくなり、c に近づきながら低下する。限界消費性向 c は一定で、C<sub>0</sub> > 0 だから平均消費性向はつねに限界消費性向より大きい。クズネッツは長期では平均消費性向がほぼ一定であることを示し、これがケインズ型と食い違ったため消費関数論争が起きた。
発展
- 120 望ましい資本ストック K<sup>*</sup> = 4 × 800 = 3200。差 = 3200 − 2900 = 300。そのうち 0.4 だけ今期に埋めるので I = 0.4 × 300 = 120。調整速度が 1 なら加速度原理と同じで 300 全部を今期に投資する。
- 0.8 企業の市場価値 = 株式時価総額 + 負債 = 600 + 200 = 800 億円。q = 市場価値 ÷ 再取得費用 = 800 ÷ 1000 = 0.8。1 より小さいので、新しく設備を作るより既存の企業を買うほうが安い → 投資は行われない。
- ウ この投資の限界効率は 10% であり、利子率が 8% なら投資が行われる 1,000 = 1,100 ÷ (1 + m) → m = 0.1 = 10%。限界効率 10% > 利子率 8% なら投資する。利子率 12% なら現在価値は 1,100 ÷ 1.12 ≒ 982 万円で費用 1,000 万円を下回るので投資しない。限界効率は将来収益と投資費用から決まるもので、利子率とは独立に決まり、両者を比べて投資を判断する。
- ウ 恒常所得仮説によれば、1 年限りの一時的な減税は変動所得を増やすだけなので、消費はほとんど増えない 恒常所得仮説では消費は恒常所得に比例するので、一時的な減税(変動所得)は消費をほとんど増やさず、恒久的な減税だけが消費を増やす。ケインズ型では今期の所得が増えればそのぶん消費が増えるので、一時的な減税でも消費は増える。ライフサイクル仮説では高齢者は貯蓄を取り崩すので、高齢者の割合が高まると経済全体の貯蓄率は下がる。相対所得仮説ではラチェット効果により所得が減っても消費はすぐには下がらない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-06/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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