経済成長理論(ハロッド=ドーマー・ソロー) ── 問題
基礎
- ハロッド=ドーマー・モデルにおいて、貯蓄率が 27%、資本係数(資本ストック ÷ 産出量)が 3 であるとき、保証成長率は何 % ですか。
- 生産関数がコブ=ダグラス型 Y = AK<sup>α</sup>L<sup>1−α</sup> で、資本分配率 α = 0.5 である(Y:産出量、A:技術水準、K:資本、L:労働)。技術進歩率が 3%、資本の増加率が 6%、労働の増加率が 2% のとき、経済成長率は何 % ですか。
- ハロッド=ドーマー・モデルにおいて、貯蓄率が 12% のとき保証成長率が 3% であった。資本係数はいくらですか。
- ハロッド=ドーマー・モデルにおいて、現実成長率が保証成長率を上回っているとき、このモデルで起きるとされることとして妥当なものはどれですか。 (ア 企業は設備不足を感じて投資を増やし、成長率はさらに上昇して均衡から離れていく イ 完全雇用を保ちながら財市場も均衡する成長が続くが、この状態が実現する保証はない ウ 労働力の伸びが設備の伸びに追いつかず、設備過剰による慢性的な不況と失業が生じやすい エ 企業は設備過剰を感じて投資を減らし、成長率はさらに低下して均衡から離れていく undefined 設備の伸びが労働力の伸びに追いつかず、資本不足による景気過熱とインフレが生じやすい)
標準
- ソロー・モデルにおいて、労働 1 人あたりの生産関数が y = √k(y:1 人あたり産出量、k:1 人あたり資本ストック)、貯蓄率が 0.1、人口成長率と資本減耗率の合計が 0.02 である。定常状態における 1 人あたり資本ストック k<sup>*</sup> はいくらですか。
- ソロー・モデルにおいて、労働 1 人あたりの生産関数が y = 4√k(y:1 人あたり産出量、k:1 人あたり資本ストック)、貯蓄率が 0.4、人口成長率が 2%、資本減耗率が 6% である。定常状態における 1 人あたり産出量 y<sup>*</sup> はいくらですか。
- ソロー・モデルにおいて、労働 1 人あたりの生産関数が y = √k(y:1 人あたり産出量、k:1 人あたり資本ストック)、貯蓄率が 0.4、人口成長率と資本減耗率の合計が 0.1 である。今期の 1 人あたり資本ストックが k = 25 のとき、1 人あたり資本ストックの今期の変化 Δk はいくらですか。
- 技術進歩のないソロー・モデルにおいて、人口成長率が上昇したとき、定常状態における 1 人あたり資本ストックと、長期の経済全体の成長率の変化の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 1 人あたり資本ストックは増加し、長期の成長率は変わらない イ 1 人あたり資本ストックは増加し、長期の成長率は上昇する ウ 1 人あたり資本ストックは減少し、長期の成長率は変わらない エ 1 人あたり資本ストックは減少し、長期の成長率は上昇する undefined 1 人あたり資本ストックは減少し、長期の成長率は低下する)
- 経済成長理論における保証成長率の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 労働力人口の増加率(と技術進歩率)で決まる、完全雇用を保ちながら達成できる最大の成長率 イ 定常状態における 1 人あたり消費を最大にする資本ストックの水準で、資本の限界生産力が人口成長率と資本減耗率の和に等しくなる ウ 貯蓄率を資本係数で割った値で、企業が設備をちょうど使い切る状態を保ちながら成長できる率 エ 1 人あたり資本ストックが小さい国ほど成長率が高く、条件が同じ国どうしはやがて同じ所得水準に近づくという考え方 undefined 経済成長率のうち資本と労働の増加で説明できない部分で、技術進歩の指標として使われる)
- ソロー・モデルにおいて、労働 1 人あたりの生産関数が y = √k(y:1 人あたり産出量、k:1 人あたり資本ストック)、貯蓄率が 0.3、人口成長率が 2%、資本減耗率が 4% である。定常状態における 1 人あたり資本ストック k<sup>*</sup>、1 人あたり産出量 y<sup>*</sup>、1 人あたり消費 c<sup>*</sup> の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア k<sup>*</sup> = 25、y<sup>*</sup> = 5、c<sup>*</sup> = 3.5 イ k<sup>*</sup> = 225、y<sup>*</sup> = 15、c<sup>*</sup> = 10.5 ウ k<sup>*</sup> = 5、y<sup>*</sup> = 2.5、c<sup>*</sup> = 1.75 エ k<sup>*</sup> = 25、y<sup>*</sup> = 5、c<sup>*</sup> = 1.5 undefined k<sup>*</sup> = 100、y<sup>*</sup> = 10、c<sup>*</sup> = 7)
発展
- ソロー・モデルにおいて、労働 1 人あたりの生産関数が y = √k(y:1 人あたり産出量、k:1 人あたり資本ストック)、人口成長率と資本減耗率の合計が 0.25 である。定常状態における 1 人あたり消費を最大にする(黄金律の)1 人あたり資本ストックはいくらですか。
- 生産関数がコブ=ダグラス型 Y = AK<sup>α</sup>L<sup>1−α</sup> で、資本分配率 α = 0.5 である。ある期間の経済成長率が 8%、資本の増加率が 8%、労働の増加率が 2% であったとき、成長会計にもとづく全要素生産性(技術水準 A)の上昇率は何 % ですか。
- ハロッド=ドーマー・モデルとソロー・モデルの比較に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ハロッド=ドーマー・モデルでは保証成長率と自然成長率はつねに一致するが、ソロー・モデルでは一致しない イ ソロー・モデルは資本係数を固定と仮定するため成長経路が不安定になるのに対し、ハロッド=ドーマー・モデルは資本と労働の代替を認めるため経済は均衡成長に収束する ウ 両モデルとも、貯蓄率の上昇は長期の経済成長率を恒久的に高めるという結論で一致している エ ハロッド=ドーマー・モデルは資本係数を固定と仮定するため成長経路が不安定になるのに対し、ソロー・モデルは資本と労働の代替を認めるため経済は定常状態に収束する undefined ソロー・モデルでは技術進歩がなくても 1 人あたり所得は定常状態で成長し続けるが、ハロッド=ドーマー・モデルでは成長しない)
- 内生的成長理論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 内生的成長理論によれば、条件のいかんにかかわらずすべての国の 1 人あたり所得は同じ水準に収束する イ AK モデルはソロー・モデルと同じく、貯蓄率の上昇は所得水準を高めるだけで長期の成長率には影響しないと結論づける ウ 内生的成長理論は技術進歩率をモデルの外から与えるため、外生的成長理論とも呼ばれる エ ローマーは、知識には外部性がなく市場に任せれば研究開発は最適な水準になるため、政府の支援は不要であると論じた undefined AK モデルでは資本の収穫逓減が生じないため、貯蓄率が高いほど長期の経済成長率も高くなる)
経済成長理論(ハロッド=ドーマー・ソロー) ── 解答
基礎
- 9 保証成長率 G<sub>w</sub> = s/v = 0.27 ÷ 3 = 9%。貯蓄 sY が投資になって資本が増え、資本係数 v のもとで産出が sY/v 増えるので、産出の成長率は s/v になる。
- 7 成長率 = 技術進歩率 + α × 資本の増加率 + (1 − α) × 労働の増加率 = 3 + 0.5 × 6 + 0.5 × 2 = 3 + 3 + 1 = 7%。資本分配率は資本の増加率にかける。
- 4 保証成長率 G<sub>w</sub> = s/v なので v = s/G<sub>w</sub> = 0.12 ÷ 0.03 = 4。資本係数 4 とは、産出 1 単位を生むのに資本 4 単位が必要という意味。
- ア 企業は設備不足を感じて投資を増やし、成長率はさらに上昇して均衡から離れていく 現実成長率が保証成長率を上回っているとき:企業は設備不足を感じて投資を増やし、成長率はさらに上昇して均衡から離れていく。現実成長率と保証成長率のずれが拡大していくのが不安定性原理(ナイフ・エッジ)。
標準
- 25 定常状態の条件は s f(k) = (n + δ)k。0.1√k = 0.02k → 両辺を √k で割って 0.1 = 0.02√k → √k = 5 → k<sup>*</sup> = 25。このとき 1 人あたり産出は y<sup>*</sup> = √25 = 5。
- 80 定常状態:s f(k) = (n + δ)k → 0.4 × 4√k = 0.08k → √k = 0.4 × 4 ÷ 0.08 = 20 → k<sup>*</sup> = 400。y<sup>*</sup> = 4 × √400 = 4 × 20 = 80。
- −0.5 Δk = s f(k) − (n + δ)k。1 人あたり投資 = 0.4 × √25 = 0.4 × 5 = 2。目減り分 = 0.1 × 25 = 2.5。Δk = 2 − 2.5 = −0.5。投資が目減り分を下回るので k は減り、定常状態に向かって小さくなる。
- エ 1 人あたり資本ストックは減少し、長期の成長率は上昇する 人口成長率が上昇したとき:1 人あたり資本ストックは減少し、長期の成長率は上昇する。(n + δ)k の直線が急になって k<sup>*</sup> は下がる。経済全体の長期成長率は n に等しいので上がる。
- ウ 貯蓄率を資本係数で割った値で、企業が設備をちょうど使い切る状態を保ちながら成長できる率 保証成長率:貯蓄率を資本係数で割った値で、企業が設備をちょうど使い切る状態を保ちながら成長できる率。ハロッド=ドーマー・モデル。G<sub>w</sub> = s/v。
- ア k<sup>*</sup> = 25、y<sup>*</sup> = 5、c<sup>*</sup> = 3.5 定常状態の条件 s f(k) = (n + δ)k より 0.3√k = 0.06k → √k = 5 → k<sup>*</sup> = 25、y<sup>*</sup> = 5。消費は貯蓄を除いた分なので c<sup>*</sup> = (1 − 0.3) × 5 = 3.5。検算:投資 0.3 × 5 = 1.5 = 0.06 × 25(目減り分)で Δk = 0。
発展
- 4 黄金律の条件は f′(k) = n + δ。y = √k の限界生産力は f′(k) = 1/(2√k) なので、1/(2√k) = 0.25 → √k = 2 → k = 4。このとき y = 2、必要な貯蓄率は s = (n + δ)k/y = 0.25 × 4 ÷ 2 = 0.5。
- 3 成長率 = 技術進歩率 + α × 資本の増加率 + (1 − α) × 労働の増加率。資本の寄与 = 0.5 × 8 = 4、労働の寄与 = 0.5 × 2 = 1。技術進歩率 = 8 − 4 − 1 = 3%。成長率から要素の寄与を引いた残りなので「ソロー残差」と呼ばれる。
- エ ハロッド=ドーマー・モデルは資本係数を固定と仮定するため成長経路が不安定になるのに対し、ソロー・モデルは資本と労働の代替を認めるため経済は定常状態に収束する ハロッド=ドーマーは資本係数固定(資本と労働は代替不可)を仮定するため、現実成長率が保証成長率からずれると拡大する不安定性(ナイフ・エッジ)が生じ、保証成長率 s/v と自然成長率 n が一致する保証もない。ソローは資本と労働が代替できる生産関数を置き、資本係数が調整されて定常状態に収束する。ソローでは貯蓄率は所得水準を変えるだけで長期成長率は変えず、技術進歩がなければ 1 人あたり所得は定常状態で一定になる。
- undefined AK モデルでは資本の収穫逓減が生じないため、貯蓄率が高いほど長期の経済成長率も高くなる Y = AK では資本を増やしても限界生産力が下がらないので、貯蓄率が高いほど資本蓄積が続き、長期の成長率も高くなる(ソローと逆の結論)。ローマーは知識の外部性(他の企業にも広がる)のために市場では研究開発が過少になるとし、政府の支援に根拠を与えた。技術進歩を外から与えるのはソロー・モデル(外生的成長理論)で、内生的成長理論は技術進歩をモデルの中で説明する。内生的成長理論では収穫逓減がないため、貧しい国が豊かな国に追いつくという収束は必ずしも成り立たない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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