国際マクロ(為替レート・マンデル=フレミング) ── 問題
基礎
- 同じ商品が日本では 800 円、アメリカでは 10 ドルで売られている。購買力平価説にもとづく為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- 現在の為替レートは 1 ドル = 150 円である。今後 1 年間の物価上昇率が日本で 2%、アメリカで 0% と見込まれるとき、相対的購買力平価説にもとづく 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- ある開放経済で、国民所得 Y = 1000、消費 C = 700、民間投資 I = 80、政府支出 G = 80、租税 T = 100 である。この経済の経常収支(純輸出)はいくらですか(赤字ならマイナスで答える)。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・物価一定)において、変動相場制のもとで拡張的な金融政策を行ったときの国民所得への効果と、その理由の組み合わせとして妥当なものはどれですか。 (ア 国民所得は増えない。利子率の上昇で資本が流入して自国通貨高になり、純輸出が減って財政拡張の効果を打ち消すから イ 国民所得は増える。利子率の低下で資本が流出して自国通貨安になり、純輸出が増えて所得を押し上げるから ウ 国民所得は増えない。利子率の低下による通貨安圧力に対して中央銀行が自国通貨買いの介入を行い、貨幣供給が元の水準に戻るから エ 国民所得は増える。利子率の上昇による通貨高圧力に対して中央銀行が自国通貨売りの介入を行い、貨幣供給が増えて利子率が元に戻るから undefined 国民所得は増える。利子率の上昇で資本が流入して自国通貨高になり、輸入品が安くなって消費が増えるから)
- 日本の国際収支統計において、日本企業による海外工場の建設(直接投資)が計上される項目として正しいものはどれですか。 (ア 第一次所得収支 イ サービス収支 ウ 貿易収支 エ 金融収支 undefined 第二次所得収支)
標準
- 現在の為替レートは 1 ドル = 100 円、日本の 1 年物の金利は 6%、アメリカの 1 年物の金利は 5% である。金利平価説(円建てとドル建ての予想収益率が等しい)が成り立つとき、市場で予想されている 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- 日本の企業が 1 個 30000 円の製品を輸出している。為替レートが 1 ドル = 120 円から 1 ドル = 200 円に変化したとき、この製品のドル建て価格(円建て価格は変えないものとする)は何ドルになりますか。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・変動相場制・物価一定)において、貨幣市場の均衡条件が M = 0.5Y − 50r(M:貨幣供給量、Y:国民所得、r:利子率(%))、世界利子率が r<sup>*</sup> = 6% で与えられている。貨幣供給量を 500 から 520 に増やしたとき、均衡国民所得はいくら増えますか。
- 名目為替レートが 1 ドル = 200 円、日本の物価水準が 500、アメリカの物価水準が 5 である。実質為替レート(e × P<sup>*</sup> ÷ P。1 ドルで買えるアメリカの財が日本の財の何単位に相当するか)はいくらですか。
- 金利平価説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 同じ財の価格が両国で等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、物価上昇率の高い国の通貨は減価する イ 自国と外国の資産の予想収益率が等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、金利の低い国の通貨は将来増価すると予想される ウ 為替介入によって生じた国内の貨幣供給量の変化を、国債の売買などによって打ち消す政策 エ 自国通貨が減価しても、数量の調整に時間がかかるため貿易収支はいったん悪化し、その後に改善するという現象 undefined 自国通貨の減価が貿易収支を改善するための条件で、輸出と輸入の価格弾力性の和が 1 を上回ることを要求する)
- 他の条件が変わらないとき、日本の物価上昇率の高まり(購買力平価説による)が円とドルの為替レートに与える影響として妥当なものはどれですか。 (ア 円高になるか円安になるかは、日本の財政収支の状態によって決まる イ 為替レートは変化しない ウ 円安・ドル高になる エ 円高・ドル安になる undefined 短期的には円高になるが、長期的には元の水準に戻る)
- ある開放経済で、民間貯蓄が 400、民間投資が 320、租税が 200、政府支出が 260 である。この経済の経常収支と対外的な資金の流れに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 経常収支は 140 の赤字であり、民間の貯蓄超過は海外に流出していない イ 経常収支は 20 の黒字であり、国内で使い切れなかった貯蓄が海外に貸し出されている ウ 経常収支は 80 の黒字であり、財政赤字は経常収支に影響しない エ 経常収支は均衡しており、財政赤字と民間の貯蓄超過がちょうど相殺されている undefined 経常収支は 20 の赤字であり、不足する資金を海外から借り入れている)
発展
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・<strong>固定相場制</strong>・物価一定)において、限界消費性向が 0.6、貨幣需要関数が L = 0.5Y − 50r(Y:国民所得、r:利子率(%))である。政府支出を 100 増やしたとき、固定相場を維持するために中央銀行が行う為替介入によって、貨幣供給量はいくら増えますか。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・物価一定)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 固定相場制のもとで拡張的金融政策を行うと、自国通貨安によって純輸出が増加し、国民所得は大きく増加する イ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、自国通貨高によって純輸出が政府支出の増加分だけ減少し、国民所得は変化しない ウ 固定相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、中央銀行の為替介入によって貨幣供給量が減少するため、国民所得は変化しない エ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、利子率が世界利子率より高い水準にとどまるため、民間投資の減少によって国民所得は変化しない undefined 変動相場制のもとで輸入制限を行うと、純輸出の増加によって国民所得は恒久的に増加する)
- 為替レートの決定と変動に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 1 ドル = 150 円から 1 ドル = 130 円への変化は円安であり、日本の輸出企業にとって有利に働く イ 金利平価説によれば、日本の金利がアメリカの金利より低いとき、将来円はドルに対して減価すると予想されている ウ J カーブ効果とは、円安が起きると貿易収支が直ちに改善し、その後しだいに悪化していく現象をいう エ マーシャル=ラーナー条件が満たされないとき、円安は貿易収支を改善させる undefined 購買力平価説によれば、日本の物価上昇率がアメリカより高ければ円はドルに対して減価する)
国際マクロ(為替レート・マンデル=フレミング) ── 解答
基礎
- 80 購買力平価説では、同じ商品の値段が両国で等しくなるように為替レートが決まる(一物一価)。e = P/P<sup>*</sup> = 800 ÷ 10 = 80 円。日本の物価が高いほど円安、アメリカの物価が高いほど円高になる。
- 153 購買力平価 e = P/P<sup>*</sup> の両方の物価が動くので、e = 150 × 1.02 ÷ 1 = 153 円。日本の物価上昇率のほうが高いので円の購買力が落ち、円安になる。近似すれば為替レートの変化率 ≒ 日本のインフレ率 − アメリカのインフレ率。
- 140 Y = C + I + G + NX より NX = 1000 − 700 − 80 − 80 = 140(黒字)。IS バランスで検算:民間貯蓄 S = Y − T − C = 200、S − I = 120、T − G = 20 → NX = (S − I) + (T − G) = 140。
- イ 国民所得は増える。利子率の低下で資本が流出して自国通貨安になり、純輸出が増えて所得を押し上げるから 変動相場制のもとで拡張的な金融政策:国民所得は増える。利子率の低下で資本が流出して自国通貨安になり、純輸出が増えて所得を押し上げるから。変動相場制では財政政策は無効、金融政策は有効。資本移動が完全なので、どの場合も最終的に自国の利子率は世界利子率に戻る。
- エ 金融収支 日本企業による海外工場の建設(直接投資)は金融収支。資産・負債そのものの増減は金融収支。直接投資・証券投資・外貨準備など。
標準
- 101 金利平価:日本の金利 = アメリカの金利 + 予想される円の減価率 → 減価率 = 6 − 5 = 1%。1 年後の予想レート = 100 + 100 × (1)/100 = 101 円。円のほうが金利が高いぶん、円が減価(円安)すると予想されている。
- 150 ドル建て価格 = 円建て価格 ÷ 為替レート。変化前は 30000 ÷ 120 = 250 ドル、変化後は 30000 ÷ 200 = 150 ドル。円安(1 ドルを買うのに必要な円が増えた)なので、海外での販売価格は下がり、輸出には有利。
- 40 資本移動が完全なので、利子率は最終的に世界利子率 6% に戻る。LM に r = 6 を入れると Y = (M + 300) ÷ 0.5。M = 500 なら Y = 1600、M = 520 なら Y = 1640。増加分 = 20 ÷ 0.5 = 40。経路:貨幣供給増 → 利子率低下 → 資本流出 → 円安 → 輸出増で IS も右へ動き、利子率が r<sup>*</sup> に戻るまで所得が増える。
- 2 実質為替レート = 200 × 5 ÷ 500 = 1000 ÷ 500 = 2。アメリカの財 1 単位(5 ドル = 1000 円)で日本の財(1 単位 500 円)が 2 単位買える。この値が大きいほど日本の財が相対的に安く(実質円安)、輸出競争力が高い。
- イ 自国と外国の資産の予想収益率が等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、金利の低い国の通貨は将来増価すると予想される 金利平価説:自国と外国の資産の予想収益率が等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、金利の低い国の通貨は将来増価すると予想される。短期の為替レートの説明に使われる。自国金利 = 外国金利 + 予想減価率。
- ウ 円安・ドル高になる 日本の物価上昇率の高まり(購買力平価説による):円の購買力が下がるので、購買力平価では円安。円安・ドル高になる。円を買う動きが増えれば円高、円を売る動きが増えれば円安と考える。
- イ 経常収支は 20 の黒字であり、国内で使い切れなかった貯蓄が海外に貸し出されている 経常収支 = (S − I) + (T − G) = (400 − 320) + (200 − 260) = 80 − 60 = +20(黒字)。民間の貯蓄超過 80 のうち 60 が財政赤字の穴埋めに使われ、残り 20 が海外への貸出(金融収支のプラス=対外純資産の増加)になる。財政赤字が拡大すれば、他が同じなら経常収支は悪化する。
発展
- 125 固定相場制では、政府支出増 → 利子率上昇 → 資本流入 → 円高圧力 → 中央銀行が円売り・ドル買い介入 → 貨幣供給が増えて利子率は世界利子率に戻る。利子率が変わらないので所得は乗数どおり ΔY = 1/(1 − 0.6) × 100 = 5/2 × 100 = 250 増える。利子率一定のもとで貨幣需要は 0.5 × 250 = 125 増え、介入によって貨幣供給もそれだけ増える。
- イ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、自国通貨高によって純輸出が政府支出の増加分だけ減少し、国民所得は変化しない 変動相場制の財政政策は、利子率上昇 → 資本流入 → 自国通貨高 → 純輸出減少という経路で完全に相殺され、利子率は世界利子率に戻るので国民所得は変わらない(利子率が高止まりして投資が減るのではない)。固定相場制の金融政策は、通貨安圧力に対する自国通貨買い介入で貨幣供給が元に戻るため無効。固定相場制の財政政策は通貨高圧力に対する自国通貨売り介入で貨幣供給が増えるので有効。変動相場制での輸入制限は通貨高を招いて純輸出が元に戻り、国民所得は増えない。
- undefined 購買力平価説によれば、日本の物価上昇率がアメリカより高ければ円はドルに対して減価する 購買力平価説では物価上昇率の高い国の通貨の購買力が落ちるので、その通貨は減価する。金利平価説では金利の低い通貨は将来増価すると予想されることで収益率が等しくなる。1 ドル = 150 円 → 130 円は 1 ドルを買うのに必要な円が減っているので円高で、輸出には不利。J カーブ効果は円安で貿易収支がいったん悪化してから改善する現象。マーシャル=ラーナー条件(輸出と輸入の価格弾力性の和 > 1)が満たされないと、円安はかえって貿易収支を悪化させる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-08/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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