国際マクロ(為替レート・マンデル=フレミング) ── 問題
基礎
- 同じ商品が日本では 280 円、アメリカでは 2 ドルで売られている。購買力平価説にもとづく為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- 現在の為替レートは 1 ドル = 160 円である。今後 1 年間の物価上昇率が日本で 5%、アメリカで 0% と見込まれるとき、相対的購買力平価説にもとづく 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- ある開放経済で、国民所得 Y = 800、消費 C = 480、民間投資 I = 80、政府支出 G = 100、租税 T = 150 である。この経済の経常収支(純輸出)はいくらですか(赤字ならマイナスで答える)。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・物価一定)において、固定相場制のもとで拡張的な財政政策を行ったときの国民所得への効果と、その理由の組み合わせとして妥当なものはどれですか。 (ア 国民所得は増える。利子率の低下で資本が流出して自国通貨安になり、純輸出が増えて所得を押し上げるから イ 国民所得は増えない。利子率の低下による通貨安圧力に対して中央銀行が自国通貨買いの介入を行い、貨幣供給が元の水準に戻るから ウ 国民所得は増えない。利子率の上昇で資本が流入して自国通貨高になり、純輸出が減って財政拡張の効果を打ち消すから エ 国民所得は増える。利子率の上昇による通貨高圧力に対して中央銀行が自国通貨売りの介入を行い、貨幣供給が増えて利子率が元に戻るから undefined 国民所得は増える。利子率の上昇で資本が流入して自国通貨高になり、輸入品が安くなって消費が増えるから)
- 日本の国際収支統計において、発展途上国への食料・医薬品の無償援助が計上される項目として正しいものはどれですか。 (ア 金融収支 イ サービス収支 ウ 第二次所得収支 エ 第一次所得収支 undefined 貿易収支)
- ある開放経済で、民間貯蓄が 400、民間投資が 420、租税が 200、政府支出が 260 である。この経済の経常収支(純輸出)はいくらですか(赤字ならマイナス)。 (ア −20 イ −80 ウ 360 エ 40 undefined 80)
標準
- 現在の為替レートは 1 ドル = 200 円、日本の 1 年物の金利は 7%、アメリカの 1 年物の金利は 6% である。金利平価説(円建てとドル建ての予想収益率が等しい)が成り立つとき、市場で予想されている 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか。
- 日本の企業が 1 個 36000 円の製品を輸出している。為替レートが 1 ドル = 100 円から 1 ドル = 120 円に変化したとき、この製品のドル建て価格(円建て価格は変えないものとする)は何ドルになりますか。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・変動相場制・物価一定)において、貨幣市場の均衡条件が M = 0.4Y − 20r(M:貨幣供給量、Y:国民所得、r:利子率(%))、世界利子率が r<sup>*</sup> = 5% で与えられている。貨幣供給量を 400 から 440 に増やしたとき、均衡国民所得はいくら増えますか。
- 名目為替レートが 1 ドル = 120 円、日本の物価水準が 120、アメリカの物価水準が 2 である。実質為替レート(e × P<sup>*</sup> ÷ P。1 ドルで買えるアメリカの財が日本の財の何単位に相当するか)はいくらですか。
- 不胎化政策の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 自国通貨の減価が貿易収支を改善するための条件で、輸出と輸入の価格弾力性の和が 1 を上回ることを要求する イ 同じ財の価格が両国で等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、物価上昇率の高い国の通貨は減価する ウ 自国と外国の資産の予想収益率が等しくなるように為替レートが決まるという考え方で、金利の低い国の通貨は将来増価すると予想される エ 自国通貨が減価しても、数量の調整に時間がかかるため貿易収支はいったん悪化し、その後に改善するという現象 undefined 為替介入によって生じた国内の貨幣供給量の変化を、国債の売買などによって打ち消す政策)
- 他の条件が変わらないとき、日本銀行による大幅な金融緩和が円とドルの為替レートに与える影響として妥当なものはどれですか。 (ア 円安・ドル高になる イ 短期的には円高になるが、長期的には元の水準に戻る ウ 円高・ドル安になる エ 円高になるか円安になるかは、日本の財政収支の状態によって決まる undefined 為替レートは変化しない)
- ある開放経済で、民間貯蓄が 400、民間投資が 320、租税が 200、政府支出が 260 である。この経済の経常収支と対外的な資金の流れに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 経常収支は 140 の赤字であり、民間の貯蓄超過は海外に流出していない イ 経常収支は 20 の黒字であり、国内で使い切れなかった貯蓄が海外に貸し出されている ウ 経常収支は 80 の黒字であり、財政赤字は経常収支に影響しない エ 経常収支は均衡しており、財政赤字と民間の貯蓄超過がちょうど相殺されている undefined 経常収支は 20 の赤字であり、国内で不足する資金を海外からの借入れでまかなっている)
- 現在の為替レートは 1 ドル = 150 円である。今後 1 年間の物価上昇率が日本で 4%、アメリカで 6% と見込まれるとき、相対的購買力平価説にもとづく 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか(為替レートの変化率 ≒ 日本の物価上昇率 − アメリカの物価上昇率 の近似式を用いる)。 (ア 1 ドル = 159 円 イ 1 ドル = 150 円 ウ 1 ドル = 153 円 エ 1 ドル = 147 円 undefined 1 ドル = 148 円)
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・変動相場制・物価一定)において、貨幣市場の均衡条件が M = 0.5Y − 20r(M:貨幣供給量、Y:国民所得、r:利子率(%))、世界利子率が r<sup>*</sup> = 6% で与えられている。貨幣供給量を 200 から 300 に増やしたとき、均衡国民所得はいくら増えますか。 (ア 0 イ 200 ウ 400 エ 320 undefined 50)
- 円安が日本経済に与える影響に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 円安は輸出企業の外貨建て収入の円換算額を減らすため、輸出企業の利益は減少する イ 円安は日本の対外純資産の円換算額を減らすため、第一次所得収支は悪化する ウ 円安は輸出のドル建て価格を下げるが、数量の調整に時間がかかるため、貿易収支は当初悪化してから改善することがある エ 円安は輸入品の円建て価格を下げるので、国内の物価を押し下げ、家計の実質所得を増やして消費を支える undefined 円安になると日本から海外への旅行が割安になり、出国する日本人旅行者が増えて旅行収支を含むサービス収支は大きく改善する)
発展
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・<strong>固定相場制</strong>・物価一定)において、限界消費性向が 0.5、貨幣需要関数が L = 0.2Y − 50r(Y:国民所得、r:利子率(%))である。政府支出を 100 増やしたとき、固定相場を維持するために中央銀行が行う為替介入によって、貨幣供給量はいくら増えますか。
- マンデル=フレミング・モデル(小国・資本移動は完全・物価一定)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 固定相場制のもとで拡張的金融政策を行うと、自国通貨安によって純輸出が増加し、国民所得は大きく増加する イ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、自国通貨高によって純輸出が政府支出の増加分だけ減少し、国民所得は変化しない ウ 固定相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、中央銀行の為替介入によって貨幣供給量が減少するため、国民所得は変化しない エ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、利子率が世界利子率より高い水準にとどまるため、民間投資の減少によって国民所得は変化しない undefined 変動相場制のもとで輸入制限を行うと、純輸出の増加によって国民所得は恒久的に増加する)
- 為替レートの決定と変動に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 1 ドル = 150 円から 1 ドル = 130 円への変化は円安であり、日本の輸出企業にとって有利に働く イ 金利平価説によれば、日本の金利がアメリカの金利より低いとき、将来円はドルに対して減価すると予想されている ウ J カーブ効果とは、円安が起きると貿易収支が直ちに改善し、その後しだいに悪化していく現象をいう エ マーシャル=ラーナー条件が満たされないとき、円安は貿易収支を改善させる undefined 購買力平価説によれば、日本の物価上昇率がアメリカより高ければ円はドルに対して減価する)
- 現在の為替レートは 1 ドル = 200 円、日本の 1 年物の金利は 6%、アメリカの 1 年物の金利は 4% である。金利平価説(円建てとドル建ての予想収益率が等しい)が成り立つとき、市場で予想されている 1 年後の為替レートは 1 ドル = 何円ですか(近似式で)。 (ア 1 ドル = 204 円 イ 1 ドル = 208 円 ウ 1 ドル = 202 円 エ 1 ドル = 200 円 undefined 1 ドル = 212 円)
国際マクロ(為替レート・マンデル=フレミング) ── 解答
基礎
- 140 購買力平価説では、同じ商品の値段が両国で等しくなるように為替レートが決まる(一物一価)。e = P/P<sup>*</sup> = 280 ÷ 2 = 140 円。日本の物価が高いほど円安、アメリカの物価が高いほど円高になる。
- 168 購買力平価 e = P/P<sup>*</sup> の両方の物価が動くので、e = 160 × 1.05 ÷ 1 = 168 円。日本の物価上昇率のほうが高いので円の購買力が落ち、円安になる。近似すれば為替レートの変化率 ≒ 日本のインフレ率 − アメリカのインフレ率。
- 140 Y = C + I + G + NX より NX = 800 − 480 − 80 − 100 = 140(黒字)。IS バランスで検算:民間貯蓄 S = Y − T − C = 170、S − I = 90、T − G = 50 → NX = (S − I) + (T − G) = 140。
- エ 国民所得は増える。利子率の上昇による通貨高圧力に対して中央銀行が自国通貨売りの介入を行い、貨幣供給が増えて利子率が元に戻るから 固定相場制のもとで拡張的な財政政策:国民所得は増える。利子率の上昇による通貨高圧力に対して中央銀行が自国通貨売りの介入を行い、貨幣供給が増えて利子率が元に戻るから。固定相場制では財政政策は有効、金融政策は無効。資本移動が完全なので、どの場合も最終的に自国の利子率は世界利子率に戻る。
- ウ 第二次所得収支 発展途上国への食料・医薬品の無償援助は第二次所得収支。対価のない移転は第二次所得収支(経常収支の一部)。
- イ −80 IS バランス:経常収支 =(民間貯蓄 − 民間投資)+(租税 − 政府支出)= (400 − 420) + (200 − 260) = (−20) + (−60) = −80。赤字なので、国内の貯蓄不足を海外からの資金で補っている(対外純資産が減る)。財政赤字(T − G < 0)は経常収支を悪化させる方向に働く(双子の赤字)。
標準
- 202 金利平価:日本の金利 = アメリカの金利 + 予想される円の減価率 → 減価率 = 7 − 6 = 1%。1 年後の予想レート = 200 + 200 × (1)/100 = 202 円。円のほうが金利が高いぶん、円が減価(円安)すると予想されている。
- 300 ドル建て価格 = 円建て価格 ÷ 為替レート。変化前は 36000 ÷ 100 = 360 ドル、変化後は 36000 ÷ 120 = 300 ドル。円安(1 ドルを買うのに必要な円が増えた)なので、海外での販売価格は下がり、輸出には有利。
- 100 資本移動が完全なので、利子率は最終的に世界利子率 5% に戻る。LM に r = 5 を入れると Y = (M + 100) ÷ 0.4。M = 400 なら Y = 1250、M = 440 なら Y = 1350。増加分 = 40 ÷ 0.4 = 100。経路:貨幣供給増 → 利子率低下 → 資本流出 → 円安 → 輸出増で IS も右へ動き、利子率が r<sup>*</sup> に戻るまで所得が増える。
- 2 実質為替レート = 120 × 2 ÷ 120 = 240 ÷ 120 = 2。アメリカの財 1 単位(2 ドル = 240 円)で日本の財(1 単位 120 円)が 2 単位買える。この値が大きいほど日本の財が相対的に安く(実質円安)、輸出競争力が高い。
- undefined 為替介入によって生じた国内の貨幣供給量の変化を、国債の売買などによって打ち消す政策 不胎化政策:為替介入によって生じた国内の貨幣供給量の変化を、国債の売買などによって打ち消す政策。固定相場制で金融政策の独立性を保とうとする手段だが、長続きしにくい。
- ア 円安・ドル高になる 日本銀行による大幅な金融緩和:金利が下がり、円を売ってドルで運用する動きが増えるので円安。円安・ドル高になる。円を買う動きが増えれば円高、円を売る動きが増えれば円安と考える。
- イ 経常収支は 20 の黒字であり、国内で使い切れなかった貯蓄が海外に貸し出されている 経常収支 = (S − I) + (T − G) = (400 − 320) + (200 − 260) = 80 − 60 = +20(黒字)。民間の貯蓄超過 80 のうち 60 が財政赤字の穴埋めに使われ、残り 20 が海外への貸出(金融収支のプラス=対外純資産の増加)になる。財政赤字が拡大すれば、他が同じなら経常収支は悪化する。
- エ 1 ドル = 147 円 相対的購買力平価では、為替レート(1 ドルの円価格)の変化率 ≒ 日本の物価上昇率 − アメリカの物価上昇率 = 4 − 6 = −2%。よって 150 × (1 + -0.02) = 147 円。アメリカの物価上昇率の方が高いので円高(ドルの購買力が相対的に落ちる)。符号を逆にしない(日本の物価が相対的に上がれば円の価値は下がる)。
- イ 200 資本移動が完全なので利子率は世界利子率 6% に固定される。貨幣市場の均衡 M = 0.5Y − 20 × 6 で Y を解くと、ΔY = ΔM ÷ 0.5 = 100 ÷ 0.5 = 200。金融緩和 → 利子率低下圧力 → 資本流出 → 自国通貨安 → 純輸出増 → 所得増(変動相場制では金融政策が有効)。所得が変わらない(0)のは財政政策の方。
- ウ 円安は輸出のドル建て価格を下げるが、数量の調整に時間がかかるため、貿易収支は当初悪化してから改善することがある 円安(1 ドルの円価格が上がる)では、円建て価格が同じでもドル建て輸出価格は下がり、輸入品の円建て価格は上がる。契約価格や数量がすぐには変わらないため、貿易収支は当初悪化し後に改善する(J カーブ効果)。輸出企業の円換算収入は増え、海外旅行は割高(訪日客には割安)、外貨建ての対外資産の円換算額は増える。
発展
- 40 固定相場制では、政府支出増 → 利子率上昇 → 資本流入 → 円高圧力 → 中央銀行が円売り・ドル買い介入 → 貨幣供給が増えて利子率は世界利子率に戻る。利子率が変わらないので所得は乗数どおり ΔY = 1/(1 − 0.5) × 100 = 2 × 100 = 200 増える。利子率一定のもとで貨幣需要は 0.2 × 200 = 40 増え、介入によって貨幣供給もそれだけ増える。
- イ 変動相場制のもとで拡張的財政政策を行うと、自国通貨高によって純輸出が政府支出の増加分だけ減少し、国民所得は変化しない 変動相場制の財政政策は、利子率上昇 → 資本流入 → 自国通貨高 → 純輸出減少という経路で完全に相殺され、利子率は世界利子率に戻るので国民所得は変わらない(利子率が高止まりして投資が減るのではない)。固定相場制の金融政策は、通貨安圧力に対する自国通貨買い介入で貨幣供給が元に戻るため無効。固定相場制の財政政策は通貨高圧力に対する自国通貨売り介入で貨幣供給が増えるので有効。変動相場制での輸入制限は通貨高を招いて純輸出が元に戻り、国民所得は増えない。
- undefined 購買力平価説によれば、日本の物価上昇率がアメリカより高ければ円はドルに対して減価する 購買力平価説では物価上昇率の高い国の通貨の購買力が落ちるので、その通貨は減価する。金利平価説では金利の低い通貨は将来増価すると予想されることで収益率が等しくなる。1 ドル = 150 円 → 130 円は 1 ドルを買うのに必要な円が減っているので円高で、輸出には不利。J カーブ効果は円安で貿易収支がいったん悪化してから改善する現象。マーシャル=ラーナー条件(輸出と輸入の価格弾力性の和 > 1)が満たされないと、円安はかえって貿易収支を悪化させる。
- ア 1 ドル = 204 円 金利平価:日本の金利 ≒ アメリカの金利 + 予想されるドルの値上がり率。ドルの予想値上がり率 = 6 − 4 = 2% なので、1 年後は 200 × (1 + 0.02) = 204 円。日本の金利の方が高いのでドル高(円安)が予想されて収益率がそろう。金利差の符号を逆にしない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/za-08/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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