独占・寡占とゲーム理論 ── 問題
基礎
- ある財の市場を独占する企業が直面する需要曲線が P = 32 − Q(P は価格、Q は数量)で、総費用関数が TC = 4Q + 100 である。この企業の利潤を最大にする生産量はいくらですか。
- ある財の市場を独占する企業が直面する需要曲線が P = 34 − Q(P は価格、Q は数量)で、限界費用は生産量によらず 14 で一定である。この企業が設定する価格はいくらですか。
- ゲーム理論における支配戦略の説明として妥当なものはどれですか。 (ア どのプレイヤーも、他のプレイヤーの戦略を所与とすると自分だけ戦略を変えても利得を増やせない状態 イ 他のプレイヤーの戦略を所与としたとき、自分の利得を最大にする戦略 ウ 各プレイヤーが自分の利得だけを考えて支配戦略を選ぶと、全員が協力した場合より悪い結果になる状況 エ すべてのプレイヤーの利得の合計が最大になるように、全員が協調して選ぶ戦略の組み合わせ undefined 他のプレイヤーがどの戦略をとっても、自分にとってつねに最も高い利得をもたらす戦略)
- 独占企業の行動に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 独占企業の供給曲線は限界費用曲線のうち平均可変費用の最低点より上の部分である イ 独占企業は右下がりの需要曲線に直面するため、限界収入は価格より低く、限界収入と限界費用が等しくなる生産量を選ぶ ウ 独占企業は価格支配力をもつため、価格をいくらでも高く設定して利潤を増やすことができる エ 独占企業は完全競争企業と同じく、価格と限界費用が等しくなる生産量を選ぶ undefined 独占企業は需要の価格弾力性が 1 より小さい部分で生産を行う)
- 寡占市場の特徴に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 多数の企業が存在し、各企業は価格に影響を与えられないプライステイカーとして行動する イ 少数の企業が市場を占め、各企業は他社の反応を考慮しながら行動するため、相互依存関係が強い ウ 1 社だけが供給し、需要曲線がそのまま企業の直面する需要曲線になる エ 各企業が差別化された財を供給し、長期には参入によって利潤がゼロになる独占的競争と同じものである undefined 寡占企業は互いの行動を無視して独立に意思決定するため、ゲーム理論の分析対象にはならない)
標準
- ある財の需要曲線が P = 42 − 2Q(P は価格、Q は数量)で、限界費用は生産量によらず 18 で一定である。この市場が完全競争である場合と比べて、1 社が独占する場合に生じる死荷重(厚生損失)はいくらですか。
- ある独占企業が直面する需要の価格弾力性が 4 で一定であり、限界費用が 33 で一定であるとき、利潤を最大にする価格はいくらですか。 (ア 48 イ 44 ウ 37 エ 55 undefined 132)
- 同質の財を生産する企業 1 と企業 2 だけからなる市場の需要曲線が P = 66 − Q(P は価格、Q = q₁ + q₂ は 2 社の生産量の合計)である。企業 1 の限界費用は 8、企業 2 の限界費用は 4 で一定である。両社が相手の生産量を所与として同時に生産量を決めるとき(クールノー均衡)、企業 1 の生産量はいくらですか。
- ある財の市場を独占する企業が直面する需要曲線が P = 147 − 3Q(P は価格、Q は数量)で、総費用関数が TC = 15Q + 10 である。この企業の最大利潤はいくらですか。
- 寡占市場の理論のうち、屈折需要曲線の理論の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 各企業が相手の生産量を所与として自社の生産量を同時に決めるモデルで、均衡は各企業の反応曲線の交点になる イ 各企業が相手の価格を所与として同質財の価格を同時に決めるモデルで、2 社でも均衡価格は限界費用に等しくなる ウ 自社の値上げには他社が追随せず値下げには追随すると各企業が予想するモデルで、費用が変わっても価格が動きにくいことを説明する エ 各企業が生産量を協定して独占と同じ総生産量を実現するモデルで、協定を破る誘因がないため均衡が安定する undefined 先導者が先に生産量を決め、追随者がそれを見て反応関数に従って生産量を決めるモデルで、先導者の方が多く生産する)
- 独占企業の価格差別に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 市場を分割できる場合、需要の価格弾力性が小さい市場ほど高い価格を設定する イ 市場を分割できる場合、需要の価格弾力性が大きい市場ほど高い価格を設定する ウ 価格差別を行うには、買い手の間で転売が自由にできることが必要である エ 価格差別は各市場で価格と平均費用が等しくなるように行われる undefined 完全価格差別(第一種価格差別)が行われると、消費者余剰は最大になる)
- 共犯の容疑者 A と B が別々に取り調べを受けている。2 人とも黙秘すればそれぞれ懲役 2 年、2 人とも自白すればそれぞれ懲役 5 年、一方だけが自白すれば自白した方は釈放(0 年)、黙秘した方は懲役 10 年になる。2 人は相談できない。このゲームに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 一方が自白し他方が黙秘する組み合わせがナッシュ均衡になる イ このゲームには支配戦略が存在せず、ナッシュ均衡も存在しない ウ 2 人とも黙秘する組み合わせがナッシュ均衡であり、それは 2 人にとって最も望ましい結果でもある エ 相手がどちらを選んでも自白した方が自分の刑は軽くなるので、両者が自白する組み合わせがナッシュ均衡になる undefined 両者が自白する組み合わせはナッシュ均衡であり、かつパレート最適でもある)
発展
- 同質の財を生産する企業 1 と企業 2 だけからなる市場の需要曲線が P = 22 − Q(P は価格、Q = q₁ + q₂)で、両社の限界費用はともに 6 で一定である。企業 1 が先に生産量を決め、企業 2 がそれを見てから生産量を決めるとき(シュタッケルベルク均衡)、追随者である企業 2 の生産量はいくらですか。
- ある公益事業の需要曲線が P = 35 − Q(P は価格、Q は数量)で、総費用関数が TC = 13Q + 85(限界費用 13 で一定、固定費用 85)である自然独占の状態にある。政府が価格を平均費用に等しくするよう規制する(平均費用価格形成原理)とき、生産量はいくらになりますか。
- 平均費用が生産量とともに低下し続ける自然独占(電力・水道など)に対する価格規制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 限界費用価格形成原理は資源配分の効率性を達成するが、平均費用が限界費用を上回るため企業に赤字が生じる イ 自然独占では規模の経済が働かないため、多数の企業が競争する方が費用は低くなる ウ 限界費用価格形成原理では価格が平均費用に等しくなるため、企業の赤字は生じない エ 平均費用価格形成原理は資源配分の効率性を達成し、かつ企業の赤字も生じない undefined 平均費用価格形成原理のもとでは、独占企業が自由に価格を決めた場合より死荷重が大きくなる)
独占・寡占とゲーム理論 ── 解答
基礎
- 14 独占企業の利潤最大化条件は 限界収入 = 限界費用(MR = MC)。総収入 = (32 − Q)Q = 32Q − Q² なので MR = 32 − 2Q(需要曲線と切片が同じで傾きが 2 倍)。MC = 4。32 − 2Q = 4 → Q = 14。P = MC で解くと完全競争の生産量 28 になってしまうので注意。
- 24 MR = 34 − 2Q = MC = 14 → Q = 10。価格は需要曲線に戻して P = 34 − 1 × 10 = 24。独占価格は限界費用 14 より高く、その差 24 − 14 = 10 が独占の上乗せ分。MR = MC の値(14)をそのまま価格にしないこと。
- undefined 他のプレイヤーがどの戦略をとっても、自分にとってつねに最も高い利得をもたらす戦略 支配戦略とは、他のプレイヤーがどの戦略をとっても、自分にとってつねに最も高い利得をもたらす戦略。ナッシュ均衡は「全員が互いに最適反応をとっている状態」で、支配戦略の組み合わせはナッシュ均衡になるが、逆はいえない。囚人のジレンマは、ナッシュ均衡がパレート最適でない代表例。
- イ 独占企業は右下がりの需要曲線に直面するため、限界収入は価格より低く、限界収入と限界費用が等しくなる生産量を選ぶ 独占企業も需要曲線の制約は受ける(価格を上げれば売れる量が減る)。1 単位多く売るには価格を下げる必要があるので MR < P。利潤最大化は MR = MC。価格と生産量の一対一の対応がないため独占企業に供給曲線はない。MR > 0 となる弾力的な部分(弾力性 > 1)で生産する。
- イ 少数の企業が市場を占め、各企業は他社の反応を考慮しながら行動するため、相互依存関係が強い 寡占は「少数」「相互依存」「参入障壁」が特徴。自社の価格や生産量が他社の利潤に影響し、他社の反応が自社に返ってくるため、ゲーム理論(相手の行動を読む分析)が使われる。多数のプライステイカーは完全競争、1 社は独占、差別化された多数は独占的競争。
標準
- 36 完全競争なら P = MC より 42 − 2Q = 18 → Q = 12。独占なら MR = MC より 42 − 4Q = 18 → Q = 6、P = 30。死荷重は、失われた取引量 12 − 6 = 6 を底辺、独占価格と限界費用の差 30 − 18 = 12 を高さとする三角形。6 × 12 ÷ 2 = 36。
- イ 44 独占企業の価格設定は ラーナーの独占度 (P − MC)/P = 1/ε で表せる(MR = P(1 − 1/ε) = MC から導ける)。(P − 33)/P = 1/4 → 4P − 132 = P → P = 132/3 = 44。弾力性が大きいほど独占度は小さく、価格は限界費用に近づく。
- 18 企業 1 の利潤 = (66 − q₁ − q₂)q₁ − 8q₁。q₁ で微分して 0 とおくと 66 − 2q₁ − q₂ = 8(企業 1 の反応関数)。同様に企業 2 は 66 − q₁ − 2q₂ = 4。連立して q₁ = 18、q₂ = 22。市場全体は 40、価格は 26。限界費用の低い方が多く生産する。
- 1442 MR = 147 − 6Q = MC = 15 → Q = 22、P = 147 − 3 × 22 = 81。総収入 = 81 × 22 = 1782、総費用 = 15 × 22 + 10 = 340。利潤 = 1782 − 340 = 1442。(P − MC)× Q − F = 66 × 22 − 10 と計算してもよい。
- ウ 自社の値上げには他社が追随せず値下げには追随すると各企業が予想するモデルで、費用が変わっても価格が動きにくいことを説明する 屈折需要曲線の理論は、自社の値上げには他社が追随せず値下げには追随すると各企業が予想するモデルで、費用が変わっても価格が動きにくいことを説明する。クールノーとベルトランは「同時に決める」点で同じだが、決める変数が生産量か価格かで結果が大きく違う。シュタッケルベルクは「順番に決める」。屈折需要曲線は価格の硬直性を説明する理論で、均衡水準そのものは説明しない。
- ア 市場を分割できる場合、需要の価格弾力性が小さい市場ほど高い価格を設定する 各市場で MR = MC とし、MR = P(1 − 1/ε) なので弾力性の小さい(値上げしても逃げにくい)市場ほど価格が高くなる。転売が可能だと安い市場で買って高い市場で売られるため差別が崩れる。完全価格差別では消費者余剰はすべて企業に移り、死荷重はゼロになる。
- エ 相手がどちらを選んでも自白した方が自分の刑は軽くなるので、両者が自白する組み合わせがナッシュ均衡になる 相手が黙秘なら自白(0 年 < 2 年)、相手が自白でも自白(5 年 < 10 年)なので、自白は支配戦略。両者自白(5 年、5 年)がナッシュ均衡だが、両者黙秘(2 年、2 年)の方が 2 人ともよいので、この均衡はパレート最適ではない。これが囚人のジレンマ。
発展
- 4 追随者(企業 2)は企業 1 の q₁ を見て反応関数 q₂ = (22 − 6 − q₁)/2 に従う。先導者(企業 1)はこれを見越して利潤 (22 − q₁ − q₂ − 6)q₁ = (22 − 6 − q₁)q₁/2 を最大化し、q₁ = (22 − 6)/2 = 8。すると q₂ = (22 − 6 − 8)/2 = 4。追随者である企業 2 の生産量は 4。先導者はクールノー均衡(各 16/3)より多く、追随者は少なく生産する。
- 17 平均費用 AC = 13 + 85/Q。P = AC より 35 − Q = 13 + 85/Q → Q² − 22Q + 85 = 0 → (Q − 17)(Q − 5) = 0。需要曲線と平均費用曲線は 2 点で交わるが、生産量が多く価格が低い方(Q = 17、P = 18)が採用される。限界費用価格形成(P = 13)なら Q = 22 で効率的だが、固定費用 85 の分だけ赤字になる。
- ア 限界費用価格形成原理は資源配分の効率性を達成するが、平均費用が限界費用を上回るため企業に赤字が生じる 平均費用が右下がりのとき限界費用は平均費用より下にある。P = MC なら効率的だが P < AC で赤字(補助金が必要)。P = AC なら赤字はないが P > MC なので死荷重が少し残る。ただし規制なしの独占(MR = MC)よりは死荷重は小さい。自然独占は規模の経済が大きいため 1 社の方が費用が低い。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/ze-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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