国際貿易(比較優位・関税の効果) ── 問題
基礎
- ある小国の国内需要曲線が D = 202 − 3P、国内供給曲線が S = P − 34(P は価格)で、この財の世界価格は 52 である。この国が自由貿易を行うとき、この財の輸入量はいくらですか。
- ある小国の国内需要曲線が D = 109 − P、国内供給曲線が S = 2P − 29(P は価格)で、この財の世界価格は 30 である。この国が輸入 1 単位あたり 10 の関税を課すとき、政府の関税収入はいくらですか。
- A 国と B 国が小麦と布を生産しており、各財を 1 単位生産するのに必要な労働者数は、A 国が小麦 3 人・布 5 人、B 国が小麦 4 人・布 8 人である。労働だけが生産要素であるとき、比較優位に基づく特化の組み合わせとして妥当なものはどれですか。 (ア A 国が小麦と布の両方を生産し、B 国はどちらにも特化しない イ B 国が小麦と布の両方を生産し、A 国はどちらにも特化しない ウ A 国は小麦に、B 国は布に特化する エ 両国の生産性の差が大きいため、特化しても貿易の利益は生じない undefined A 国は布に、B 国は小麦に特化する)
- リカードの比較優位に基づく貿易の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 2 国 2 財のモデルでは、技術の進んだ国が両方の財に比較優位をもち、遅れた国はどちらの財にも比較優位をもたない イ 一方の国が両方の財に絶対優位をもっている場合、その国は貿易から利益を得られないので自給自足の方が望ましい ウ 各国は労働生産性が最も高い財を生産して輸出すべきであり、生産性が相手国より低い財は生産しても輸出できない エ 比較優位は各財の生産に必要な労働者数を国どうしで直接比べて決まり、機会費用を計算する必要はない undefined 一方の国が両方の財に絶対優位をもっていても、各国が機会費用の小さい財に特化して貿易すれば両国とも利益を得る)
標準
- ある小国の国内需要曲線が D = 117 − 2P、国内供給曲線が S = 2P − 35(P は価格)で、この財の世界価格は 18 である。この国が輸入 1 単位あたり 6 の関税を課すとき、自由貿易の場合と比べて生じる死荷重(厚生損失)はいくらですか。
- ある小国の国内需要曲線が D = 262 − 3P、国内供給曲線が S = 2P − 33(P は価格)で、この財の世界価格は 50 である。この国が輸入 1 単位あたり 2 の関税を課すとき、自由貿易の場合と比べて国内の生産者余剰はいくら増えますか。
- A 国では、小麦 1 単位の生産に労働者 5 人、布 1 単位の生産に労働者 7 人が必要である。労働だけが生産要素で完全雇用が成り立っているとき、A 国が小麦を 1 単位追加で生産するために諦めなければならない布の量(小麦の機会費用)はいくらですか。 (ア 布 5/7 単位 イ 布 12/7 単位 ウ 布 7/5 単位 エ 布 2/7 単位 undefined 布 35 単位)
- A 国では小麦 1 単位の生産に労働者 5 人、布 1 単位の生産に 2 人が必要で、B 国では小麦 1 単位に 7 人、布 1 単位に 2 人が必要である。A 国が小麦を輸出し B 国が布を輸出するとき、小麦 1 単位と交換される布の量として、両国がともに貿易の利益を得られるものはどれですか。 (ア 布 5/2 単位 イ 布 7/2 単位 ウ 布 3 単位 エ 布 5/4 単位 undefined 布 4 単位)
- 国際貿易の理論のうち、リプチンスキーの定理の内容として妥当なものはどれですか。 (ア ある財の相対価格が上がると、その財に集約的に使われる生産要素の実質報酬が上がり、他方の要素の報酬は下がる イ 資本が豊富なはずのアメリカが労働集約的な財を輸出しているという、要素賦存に基づく理論と食い違う実証結果 ウ 各国の労働生産性の違いが比較優位を生み、生産性の低い国も相対的に得意な財に特化すれば貿易の利益を得る エ ある生産要素の量が増えると、その要素を集約的に使う財の生産が増え、もう一方の財の生産は減る undefined 各国は相対的に豊富にもつ生産要素を集約的に使う財に比較優位をもち、労働豊富国は労働集約財を輸出する)
- 貿易政策に関する用語のうち、禁止的関税の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 輸入できる数量に上限を設ける方法で、価格を通じた効果は関税と同じだが、税収にあたる部分は輸入業者の利益になる イ 輸出品に課す税で、国内価格を世界価格より低くして国内の消費者を保護し、輸出量を減らす ウ 将来成長が見込める産業を一時的に保護する政策を正当化する議論で、保護が長引くと非効率が残るという批判がある エ 輸入品に課す税で、国内価格を世界価格より税額分だけ高くし、輸入量を減らして政府に収入をもたらす undefined 国内価格が貿易前の均衡価格以上になるほど高い税率で、輸入をゼロにし、政府の税収も生じなくなる)
- 小国が輸入財に関税を課したときの効果に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国内の生産者余剰は減り、消費者余剰は増えるが、関税収入の分だけ総余剰は増える イ 関税を課すと輸入量が減るため、輸入量に税率を掛けた関税収入は税率を上げるほどつねに増える ウ 国内価格は関税の分だけ上がり、消費者余剰の減少は生産者余剰の増加と関税収入の合計を上回るため、総余剰は減る エ 関税は輸出国の生産者が負担するため、国内価格は変わらず、消費者余剰も生産者余剰も変化しない undefined 国内価格は関税の分だけ上がるが、消費者余剰の減少は生産者余剰の増加と関税収入の合計に等しいため、総余剰は変わらない)
発展
- ある小国の国内需要曲線が D = 153 − P、国内供給曲線が S = 3P − 23(P は価格)で、この財の世界価格は 34 である。この国が関税の代わりに、輸入量を 16 単位に制限する輸入割当を行った。このとき国内価格はいくらになりますか。
- 関税と輸入割当(数量制限)を比べた記述として妥当なものはどれですか。 (ア 輸入割当は輸入量を制限するだけなので、消費者余剰は減るが死荷重は生じない イ 同じ輸入量になるように設定すれば、国内価格・消費者余剰・生産者余剰・死荷重は等しく、関税収入にあたる部分が輸入割当では輸入業者の利益になる ウ 同じ輸入量になるように設定しても、輸入割当は価格を直接動かさないため、関税より消費者余剰の減少が小さく死荷重も小さい エ 関税では政府収入が生じないが、輸入割当では割当枠を政府が管理するため政府収入が必ず生じる undefined 輸入割当では国内価格が世界価格のままなので、国内生産者は保護されず、生産者余剰は自由貿易のときと変わらない)
- 大国(自国の輸入量が世界価格に影響を与える国)が関税を課した場合に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 大国が関税を課すと相手国の余剰も増えるため、世界全体の余剰は増加し、関税は国際的に望ましい政策になる イ 大国であっても小国と同じく世界価格は変わらず、関税の効果は死荷重の発生だけである ウ 大国が関税を課すと世界価格が上がるため、小国の場合よりも消費者余剰の減少が大きくなり、総余剰は必ず減る エ 輸入需要の減少によって世界価格が下がり交易条件が改善するため、自国の総余剰が増える可能性があるが、世界全体の余剰は減る undefined 大国は世界価格を動かせるため、関税を課しても国内価格は変わらず、消費者余剰・生産者余剰ともに変化しない)
国際貿易(比較優位・関税の効果) ── 解答
基礎
- 28 貿易前の均衡は 202 − 3P = P − 34 → P = 59。世界価格 52 はそれより低いので輸入が起きる。小国なので国内価格は世界価格 52 に一致し、需要量 = 202 − 3 × 52 = 46、国内供給量 = 1 × 52 − 34 = 18。輸入量 = 需要量 − 国内供給量 = 46 − 18 = 28。
- 180 関税を課すと国内価格は世界価格 + 関税 = 30 + 10 = 40 になる。需要量 = 109 − 1 × 40 = 69、国内供給量 = 2 × 40 − 29 = 51、輸入量 = 69 − 51 = 18。関税収入 = 関税 × 輸入量 = 10 × 18 = 180。自由貿易のときの輸入量 48 に関税を掛けないこと。
- undefined A 国は布に、B 国は小麦に特化する A 国はどちらの財も少ない労働で作れる(両方に絶対優位)が、特化は比較優位(機会費用)で決める。小麦 1 単位の機会費用は、A 国が布 3/5 = 0.6 単位、B 国が布 4/8 = 0.5 単位。A 国は布に、B 国は小麦に特化する。両方に絶対優位があっても、両方に比較優位をもつことはない。
- undefined 一方の国が両方の財に絶対優位をもっていても、各国が機会費用の小さい財に特化して貿易すれば両国とも利益を得る 比較優位は絶対優位(どちらが少ない労働で作れるか)ではなく、機会費用(自国内で一方の財を作るために諦めるもう一方の財の量)の大小で決まる。2 国 2 財では機会費用が互いに逆数の関係になるので、両方の財に比較優位をもつことはできず、両国とも必ずどちらか一方に比較優位をもつ。
標準
- 72 自由貿易では価格 18、需要量 81、国内供給量 1、輸入量 80。関税後は価格 24、需要量 69、国内供給量 13、輸入量 56。死荷重は 2 つの三角形。生産の歪み = 国内供給の増加 (13 − 1) × 関税 6 ÷ 2 = 36、消費の歪み = 需要の減少 (81 − 69) × 6 ÷ 2 = 36。合計 72。まとめて 関税 × 輸入量の減少 ÷ 2 = 6 × (80 − 56) ÷ 2 としてもよい。
- 138 生産者余剰は供給曲線と価格線の間の面積。価格が 50 から 52 に上がると、国内供給量は 67 から 71 に増える。増加分は台形 = (上底 67 + 下底 71) × 高さ 2 ÷ 2 = 138。消費者余剰の減少 218 のうち、この 138 が生産者へ、関税収入 70 が政府へ移り、残り 10 が死荷重になる。
- ア 布 5/7 単位 小麦 1 単位には 5 人が要る。その 5 人を布の生産から引き抜くと、布は 1 人あたり 1/7 単位作れるので、失う布は 5/7 単位(= 5/7)。機会費用は「自国の 2 つの数字の比」で、労働投入量の表なら(その財の投入量)÷(もう一方の財の投入量)。逆にすると布の機会費用(小麦 7/5 単位)になる。
- ウ 布 3 単位 小麦 1 単位の機会費用は A 国が布 5/2 単位、B 国が布 7/2 単位。交換比率がこの間(5/2 より大きく 7/2 より小さい)なら、A 国は自国で作るより多くの布を手に入れられ、B 国は自国で作るより少ない布で小麦を手に入れられる。3 はその範囲に入る。5/2 や 7/2 そのものでは一方の国に利益がなく、範囲の外では一方が損をする。
- エ ある生産要素の量が増えると、その要素を集約的に使う財の生産が増え、もう一方の財の生産は減る リプチンスキーの定理は、ある生産要素の量が増えると、その要素を集約的に使う財の生産が増え、もう一方の財の生産は減る。リカードは技術(労働生産性)の差、ヘクシャー=オリーンは生産要素の賦存量の差に比較優位の源泉を求めた。レオンチェフの逆説はヘクシャー=オリーンに対する反証として、ストルパー=サミュエルソンとリプチンスキーはその枠組みから導かれる定理として、セットで問われる。
- undefined 国内価格が貿易前の均衡価格以上になるほど高い税率で、輸入をゼロにし、政府の税収も生じなくなる 禁止的関税とは、国内価格が貿易前の均衡価格以上になるほど高い税率で、輸入をゼロにし、政府の税収も生じなくなる。関税と輸入割当は同じ輸入量なら消費者余剰・生産者余剰・死荷重が等しく、違いは政府収入か輸入業者のレントか。禁止的関税は輸入をなくすので、それ以上税率を上げても何も変わらない。
- ウ 国内価格は関税の分だけ上がり、消費者余剰の減少は生産者余剰の増加と関税収入の合計を上回るため、総余剰は減る 小国は世界価格に影響を与えないので、関税は国内価格をそのまま押し上げる。消費者の損失のうち、生産者余剰の増加と関税収入に移る分を除いた残り(生産の歪みと消費の歪みの 2 つの三角形)が死荷重。関税収入は税率が高すぎると輸入がゼロになって消える(禁止的関税)ので、つねに増えるわけではない。
発展
- 40 輸入量 = 需要量 − 国内供給量 = (153 − P) − (3P − 23) = 176 − 4P。これが 16 になる価格は 176 − 4P = 16 → P = 40。自由貿易の価格 34 より 6 高く、輸入 1 単位あたり 6 の関税を課したときと同じ価格になる。関税なら政府に入る 6 × 16 = 96 が、輸入割当では輸入業者の利益(レント)になる。
- イ 同じ輸入量になるように設定すれば、国内価格・消費者余剰・生産者余剰・死荷重は等しく、関税収入にあたる部分が輸入割当では輸入業者の利益になる 輸入割当で輸入量を制限すると、国内の超過需要によって国内価格が上がり、同じ輸入量にする関税と同じ価格になる。したがって余剰の変化も死荷重も同じ。違いは、関税なら政府に入る「(国内価格 − 世界価格)× 輸入量」が、割当では安く輸入して高く売る輸入業者のレントになる点。割当枠を政府が競売にかければ関税と同じになる。
- エ 輸入需要の減少によって世界価格が下がり交易条件が改善するため、自国の総余剰が増える可能性があるが、世界全体の余剰は減る 大国が関税で輸入を減らすと、世界市場で需要が減って世界価格が下がる。輸入品を以前より安く手に入れられる(交易条件の改善)分が死荷重を上回れば、自国の総余剰は増えうる。ただし相手国(輸出国)の損失の方が大きく、世界全体では損。小国は世界価格に影響しないので、この効果はない。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/ze-07/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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