一般均衡と厚生経済学(パレート効率) ── 問題
基礎
- 厚生経済学の用語のうち、パレート効率的な配分の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 他の誰かの効用を下げることなしには、誰の効用も上げることができない配分 イ エッジワースの箱の中で 2 人の無差別曲線が接する点をすべてつないだ曲線 ウ 契約曲線のうち、初期保有点と比べて 2 人のどちらも効用が下がらない部分 エ 誰の効用も下げることなく、少なくとも一人の効用を上げることができる配分の変更 undefined 社会の全員の効用の合計が最大になり、所得の分配も最も平等になる配分)
- 社会的厚生関数のうち、ベンサム型(功利主義型)の考え方として妥当なものはどれですか。 (ア 社会の中で最も効用の低い人の効用を社会的厚生とし、それを最大にする配分を最も望ましいとする イ 各人の効用の順位だけを用い、多数決で選ばれた配分を最も望ましいとする ウ 各人の効用の合計を社会的厚生とし、その合計が最大になる配分を最も望ましいとする エ 各人の効用の積を社会的厚生とし、一人でも効用がゼロの人がいれば社会的厚生もゼロになるとする undefined 各人の効用のうち最も高いものを社会的厚生とし、それを最大にする配分を最も望ましいとする)
- パレート効率(パレート最適)に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア パレート効率的な配分は社会に 1 つだけ存在し、それは全員の効用が等しくなる配分である イ ある配分から誰かの効用を上げるために他の誰かの効用を下げなければならないとき、その配分はパレート効率的ではない ウ パレート効率的な配分は一般に無数に存在し、その中には所得分配がきわめて不平等なものも含まれる エ パレート効率的でない配分では、誰かの効用を上げるには他の誰かの効用を下げるしかない undefined パレート効率的な配分では全員の効用の合計が最大になっているため、所得分配も公平になっている)
- 2 人 2 財の交換経済を表すエッジワースの箱に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 契約曲線は 2 人の効用関数の形にかかわらず、つねに箱の対角線になる イ 初期保有点が契約曲線上になくても、交換によって契約曲線上のどの点にも到達できる ウ 箱の中の 1 点は 2 人の間の財の配分を表し、2 人の無差別曲線が接する点ではパレート改善の余地がない エ 2 人の無差別曲線が交わる点はパレート効率的であり、その点をつないだ曲線が契約曲線である undefined 箱の横の長さは A の X 財の消費量、縦の長さは B の Y 財の消費量を表す)
標準
- A と B の 2 人と X 財・Y 財の 2 財からなる交換経済を考える。A の効用関数は U_A = x_A y_A、B の効用関数は U_B = x_B y_B(x、y はそれぞれの X 財・Y 財の消費量)で、X 財の総量は 12、Y 財の総量は 12 である。A が X 財を 6 単位消費するパレート効率的な配分において、A の Y 財の消費量はいくらですか。
- A と B の 2 人と X 財・Y 財の 2 財からなる交換経済で、2 人の効用関数はともに U = xy である。初期保有は A が X 財 10・Y 財 30、B が X 財 5・Y 財 30 である。完全競争の均衡において、Y 財の価格を 1 としたときの X 財の価格はいくらですか。
- 次のうち、厚生経済学の第 1 基本定理の内容として妥当なものはどれですか。 (ア 全員一致の尊重や独裁者の不在などの条件をすべて満たすように個人の選好を社会の選好にまとめる規則は存在しない イ 完全競争市場の均衡は、資源配分の効率性だけでなく所得分配の公平性も同時に実現する ウ 任意のパレート効率的な配分は、初期保有を適切に再分配したうえで市場に任せれば競争均衡として実現できる エ 市場の失敗がなければ、完全競争市場の均衡はパレート効率的な配分になる undefined n 個の市場のうち n − 1 個が均衡していれば、残りの 1 つの市場も自動的に均衡している)
- 資源配分の効率性に関する 3 つの条件のうち、交換の効率の内容として妥当なものはどれですか。 (ア すべての企業の利潤がゼロになり、価格が平均費用の最低点に等しくなっている イ 消費者の限界代替率(MRS)と生産の限界変形率(MRT)が等しく、生産可能性フロンティア上で無差別曲線が接している ウ すべての生産者の間で 2 つの生産要素の技術的限界代替率(MRTS)が等しく、等量曲線が接している エ すべての消費者の所得が等しく、各人が 2 財を同じ量ずつ消費している undefined すべての消費者の間で 2 財の限界代替率(MRS)が等しく、エッジワースの箱で無差別曲線が接している)
- A と B の 2 人が X 財と Y 財を分け合っている。現在の配分において、A の限界代替率(X 財 1 単位を得るために手放してもよい Y 財の量)は 2、B の限界代替率は 1/2 である。この配分に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 2 人の限界代替率は異なるが、それぞれが自分の保有量に満足しているので、この配分はパレート効率的である イ B が A に X 財 1 単位を渡し、A が B に Y 財 1 単位を渡せば 2 人とも効用が上がるので、この配分はパレート効率的ではない ウ B が A に X 財 1 単位を渡し、A が B に Y 財 3 単位を渡せば 2 人とも効用が上がるので、この配分はパレート効率的ではない エ 限界代替率が等しくないので、この配分はエッジワースの箱の契約曲線上にある undefined A が B に X 財 1 単位を渡し、B が A に Y 財 1 単位を渡せば 2 人とも効用が上がるので、この配分はパレート効率的ではない)
- 部分均衡分析と一般均衡分析に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 一般均衡では、n 個の市場すべてについて個別に均衡条件を確かめなければ、均衡かどうかを判定できない イ 一般均衡分析は 1 つの財の市場だけを取り出して分析する方法で、需要曲線と供給曲線の交点を求めることが中心になる ウ 一般均衡は各財の市場が別々の時点で順番に均衡していく状態を指し、同時に均衡することはない エ 部分均衡分析では、ある財の価格の変化が他の財の市場に及ぼす影響まで含めて均衡を求める undefined 部分均衡分析は 1 つの財の市場だけを取り出して他の市場の影響を無視するのに対し、一般均衡分析はすべての市場が同時に均衡する状態を扱う)
発展
- A と B の 2 人と X 財・Y 財の 2 財からなる交換経済を考える。A の効用関数は U_A = x_A² y_A、B の効用関数は U_B = x_B y_B で、X 財の総量は 12、Y 財の総量は 21 である。A が X 財を 3 単位消費するパレート効率的な配分において、A の Y 財の消費量はいくらですか。
- A と B の 2 人と X 財・Y 財の 2 財からなる交換経済で、2 人の効用関数はともに U = xy である。初期保有は A が X 財 11・Y 財 15、B が X 財 3・Y 財 27 である。完全競争の均衡において、A の X 財の消費量はいくらですか。
- 厚生経済学の第 2 基本定理が政府の役割について示唆する内容として妥当なものはどれですか。 (ア パレート効率的な配分は市場では実現できないため、政府が財の配分を直接決めなければならない イ 望ましい所得分配を実現したいなら、一括的な税や補助金で初期保有を再分配したうえで、価格の決定は市場に任せればよい ウ 望ましい所得分配を実現したいなら、生活必需品の価格を規制し、低所得者向けの財に補助金を出して価格を下げればよい エ 初期保有をどのように再分配しても、市場に任せれば同じ配分に到達するので、再分配は意味をもたない undefined 市場の均衡はつねに公平な分配を実現するので、政府は所得の再分配を行う必要がない)
- 完全競争市場と資源配分の効率性に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 完全競争では各生産者の技術的限界代替率が要素価格比に等しくなるため、生産者どうしの技術的限界代替率は異なる イ 完全競争ではすべての消費者と生産者が同じ価格比に直面するため、交換・生産・生産物構成の 3 つの効率条件が同時に満たされる ウ 完全競争では交換の効率と生産の効率は満たされるが、生産物構成の効率は政府が生産量を決めなければ満たされない エ 完全競争では各消費者の限界代替率が価格比に等しくなるが、消費者どうしの限界代替率は一般に異なる undefined 完全競争では限界代替率と限界変形率が一致しないため、生産可能性フロンティア上の点は実現しない)
一般均衡と厚生経済学(パレート効率) ── 解答
基礎
- ア 他の誰かの効用を下げることなしには、誰の効用も上げることができない配分 パレート効率的な配分とは、他の誰かの効用を下げることなしには、誰の効用も上げることができない配分。パレート効率は「改善の余地が残っていない」ことだけを言い、公平さや効用の合計とは関係がない。契約曲線上の点はすべてパレート効率的だが、交換によって到達できるのはそのうちコアの部分だけ。
- ウ 各人の効用の合計を社会的厚生とし、その合計が最大になる配分を最も望ましいとする ベンサム型(功利主義型)は、各人の効用の合計を社会的厚生とし、その合計が最大になる配分を最も望ましいとする。ベンサム型は合計なので誰の効用が増えても同じ価値、ロールズ型は最も恵まれない人だけを見る、ナッシュ型は積なので極端な不平等を嫌う。社会的厚生関数は、無数にあるパレート効率的な配分の中から 1 つを選ぶための基準になる。
- ウ パレート効率的な配分は一般に無数に存在し、その中には所得分配がきわめて不平等なものも含まれる パレート効率は「他の誰かを犠牲にしないと改善できない」状態で、契約曲線上のすべての点が当てはまるので無数にある。公平さとは無関係で、一人がすべてを持つ配分も効率的でありうる。選択肢 4 と 5 は効率的な配分と効率的でない配分の説明が逆になっている。
- ウ 箱の中の 1 点は 2 人の間の財の配分を表し、2 人の無差別曲線が接する点ではパレート改善の余地がない 箱の横は X 財の総量、縦は Y 財の総量で、内部の 1 点が「A の消費量(左下から測る)と B の消費量(右上から測る)」を同時に表す。無差別曲線が交わる(接していない)点にはレンズ形の改善領域があるので効率的でない。交換で到達できるのは 2 人とも損をしないコアの範囲。契約曲線が対角線になるのは効用関数の形が 2 人で同じ場合。
標準
- 6 パレート効率的な配分では 2 人の限界代替率が等しい。U = xy の限界代替率は MRS = y/x。資源制約 x_B = 12 − x_A、y_B = 12 − y_A を使うと、y_A/x_A = (12 − y_A)/(12 − x_A) → 12y_A − x_A y_A = 12x_A − x_A y_A → y_A = x_A(契約曲線。効用関数が同じ形なのでエッジワースの箱の対角線になる)。x_A = 6 を代入して y_A = 6。このとき B は X 財 6、Y 財 6 を消費し、MRS はどちらも 1 で等しい。
- 4 U = xy の消費者は所得の半分ずつを各財に使う。X 財の価格を p とすると、A の所得は 10p + 30、X 財の需要は (10p + 30)/(2p)。B も同様に (5p + 30)/(2p)。X 財の市場均衡は需要の合計 = 総量 15 より (15p + 60)/(2p) = 15 → 15p + 60 = 30p → p = 60/15 = 4。ワルラス法則により、X 財の市場が均衡すれば Y 財の市場も均衡している。相対価格は 2 財の総量の比で決まり、初期保有の分け方には依存しない(分け方が変わるのは各人の消費量)。
- エ 市場の失敗がなければ、完全競争市場の均衡はパレート効率的な配分になる 厚生経済学の第 1 基本定理は、市場の失敗がなければ、完全競争市場の均衡はパレート効率的な配分になる。第 1 定理は「市場に任せれば効率的」、第 2 定理は「分配を変えたければ一括的に再分配してから市場に任せる」という向きの違いで見分ける。どちらも公平性を保証するとは言っていない。
- undefined すべての消費者の間で 2 財の限界代替率(MRS)が等しく、エッジワースの箱で無差別曲線が接している 交換の効率とは、すべての消費者の間で 2 財の限界代替率(MRS)が等しく、エッジワースの箱で無差別曲線が接している。完全競争ではすべての消費者と生産者が同じ価格比に直面するので、MRS = 価格比 = MRTS の関係を通じて 3 つの条件が同時に満たされる。
- イ B が A に X 財 1 単位を渡し、A が B に Y 財 1 単位を渡せば 2 人とも効用が上がるので、この配分はパレート効率的ではない A は X 財 1 単位に Y 財 2 単位まで払ってよいと思い、B は X 財 1 単位を Y 財 1/2 単位以上で手放してよいと思っている。X 財は A の方が相対的に高く評価しているので、B から A へ X 財を渡し、見返りの Y 財を 1/2 と 2 の間(たとえば 1 単位)にすれば 2 人とも得をする。3 単位では A が損をする。MRS が異なる配分は契約曲線上にない。
- undefined 部分均衡分析は 1 つの財の市場だけを取り出して他の市場の影響を無視するのに対し、一般均衡分析はすべての市場が同時に均衡する状態を扱う 部分均衡は「他の事情は一定」として 1 つの市場だけを見る方法で、ze-01 から ze-07 までの需要・供給の分析がこれにあたる。一般均衡は全市場の相互依存を含めて同時に均衡を求める方法(ワルラス)。ワルラス法則により、n − 1 個の市場が均衡していれば残りの 1 つも均衡するので、すべてを個別に確かめる必要はない。
発展
- 3 A の限界代替率は MRS_A = MU_x/MU_y = 2x_A y_A / x_A² = 2y_A/x_A、B の限界代替率は MRS_B = y_B/x_B。パレート効率の条件 MRS_A = MRS_B に資源制約 x_B = 12 − x_A、y_B = 21 − y_A を入れて 2y_A/x_A = (21 − y_A)/(12 − x_A) → 2y_A(12 − x_A) = x_A(21 − y_A) → y_A(2 × 12 − x_A) = 21x_A → y_A = 21x_A/(24 − x_A)。x_A = 3 を代入して y_A = 21 × 3 ÷ 21 = 3。効用関数の形が違うので契約曲線は対角線にならない。
- 8 まず均衡価格を求める。U = xy なら各財に所得の半分を使うので、X 財の価格を p(Y 財の価格は 1)とすると X 財の需要の合計は (14p + 42)/(2p)。これが総量 14 に等しいので p = 42/14 = 3。A の所得は 3 × 11 + 15 = 48、X 財への支出はその半分 24、価格 3 で割って x_A = 8。B の消費は 14 − 8 = 6 で、A と B の需要を足すと総量 14 に一致する。
- イ 望ましい所得分配を実現したいなら、一括的な税や補助金で初期保有を再分配したうえで、価格の決定は市場に任せればよい 第 2 定理は、どのパレート効率的な配分も、初期保有を適切に配り直せば競争均衡として実現できると言う。したがって「効率」は市場に、「公平」は一括的な再分配に、と役割を分けられる。価格規制や個別財への補助金は価格比を歪め、MRS が人によって違ってしまうので効率を損なう。再分配を変えれば到達する配分も変わる。
- イ 完全競争ではすべての消費者と生産者が同じ価格比に直面するため、交換・生産・生産物構成の 3 つの効率条件が同時に満たされる 消費者は MRS = P_X/P_Y、生産者は MRTS = w/r、利潤最大化から MRT = P_X/P_Y。全員が同じ価格に直面するので、MRS は消費者間で等しく(交換の効率)、MRTS は生産者間で等しく(生産の効率)、MRS = MRT(生産物構成の効率)となる。これが厚生経済学の第 1 定理の中身。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/ze-08/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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