租税の理論と日本の税制 ── 問題
基礎
- 課税所得のうち 200 万円までの部分に 10%、200 万円を超える部分に 20% の税率を適用する超過累進税がある。課税所得が 500 万円の人の税額は何万円ですか。
- 課税所得のうち 400 万円までの部分に 10%、400 万円を超える部分に 20% の税率を適用する超過累進税がある。課税所得が 1000 万円の人の平均税率は何%ですか。
- アダム・スミスが示した租税原則の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 税は所得や資産ではなく消費にのみ課すべきだとし、貯蓄に中立な支出税への一本化を説いた イ 収入の十分性・可動性を先頭に置く 4 大原則・9 原則を示し、国家の役割の拡大を前提に税のあり方を説いた ウ 負担は政府から受けた利益に比例させるべきだとし、累進課税は公平の観点から正当化できないと説いた エ 公平とともに中立性(超過負担の最小化)を挙げ、経済の安定と成長への配慮も含む 7 つの条件を示した undefined 公平・明確・便宜・最小徴税費の 4 原則を示し、納税者の立場から税のあり方を説いた)
- 入湯税の分類として正しいものはどれですか。 (ア 地方税・直接税 イ 地方税・目的税 ウ 国税・間接税 エ 地方税・間接税 undefined 国税・目的税)
- 次の説明にあてはまる考え方はどれですか。 「政府サービスから受ける利益の大きさに応じて税を負担すべきだという考え方。ガソリン税や住民税の均等割がその例」 (ア 水平的公平 イ 応能原則 ウ 中立性 エ 垂直的公平 undefined 応益原則)
標準
- ある税では、所得 300 万円の人の税額が 45 万円、所得 900 万円の人の税額が 180 万円である。この税は次のどれにあたりますか。 (ア 定額税 イ 人頭税 ウ 比例税 エ 累進税 undefined 逆進税)
- ある財の需要の価格弾力性が 1、供給の価格弾力性が 3 である。この財に 1 単位あたり 120 円の従量税を課したとき、買い手が負担する額は 1 単位あたり何円ですか。
- 日本の消費税の税率は、1997 年の改正で何%になりましたか(標準税率)。 (ア 5% イ 7% ウ 10% エ 8% undefined 3%)
- 所得税の限界税率 20% が適用される人が、新たに 30 万円の所得控除を受けられるようになった。この人の所得税の減税額は何万円ですか(控除後も同じ税率区分にとどまるものとする)。
- 租税原則と公平の考え方に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ワグナーの 4 大原則は財政政策上・国民経済上・公正・税務行政上の原則からなり、その中に収入の十分性と可動性が含まれる イ マスグレイブは、税の中立性は公平と両立しないので租税原則から外すべきだとし、公平のみを基準とした ウ 水平的公平とは、支払い能力の異なる人に対して異なる大きさの負担を求めるべきだという考え方である エ アダム・スミスは、税は収入の十分性と可動性を第一の要件とすべきだとし、国家の役割の積極的な拡大を前提に租税原則を整理した undefined 応益原則は、支払い能力の高い人ほど多く負担すべきだという考え方で、累進課税の所得税の根拠となっている)
- 税の転嫁と帰着に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 従量税を売り手に課せば売り手が全額を負担し、買い手に課せば買い手が全額を負担する イ 超過負担は税率に比例して増えるので、税率を 2 倍にすれば超過負担も 2 倍になる ウ ラムゼイ・ルールによれば、需要の価格弾力性が大きい財ほど高い税率を課すことが最も効率的である エ 供給が完全に非弾力的な財に従量税を課すと、税は全額が買い手に転嫁される undefined 需要の価格弾力性が供給の価格弾力性より小さいとき、買い手の負担は売り手の負担より大きくなる)
- 日本の税制について、消費税率 10% のうち、国の消費税と地方消費税の内訳として正しいものはどれですか。(2026 年 9 月時点。最新は財務省・国税庁の資料で確認すること) (ア 国 7.8%・地方 2.2% イ 国 8%・地方 2% ウ 国 6.3%・地方 1.7% エ 国 10%・地方 0% undefined 国 7%・地方 3%)
- 課税所得のうち 300 万円までの部分に 10%、300 万円を超える部分に 40% の税率を適用する超過累進税がある。課税所得が 600 万円の人の税額と平均税率の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 税額 150 万円、平均税率 25% イ 税額 240 万円、平均税率 40% ウ 税額 120 万円、平均税率 20% エ 税額 60 万円、平均税率 10% undefined 税額 150 万円、平均税率 40%)
- 所得税の限界税率が 20% の A さんと 40% の B さんがいる。2 人がそれぞれ 10 万円の所得控除を受けた場合と、10 万円の税額控除を受けた場合の減税額に関する記述として妥当なものはどれですか(控除後も同じ税率区分にとどまるものとする)。 (ア 所得控除でも税額控除でも、2 人の減税額はどちらも 10 万円で等しい イ 所得控除ではどちらも 10 万円の減税になり、税額控除では A さん 2 万円・B さん 4 万円の減税になる ウ 所得控除では A さん 2 万円・B さん 4 万円の減税になり、税額控除ではどちらも 10 万円の減税になる エ 所得控除では A さん 2 万円・B さん 4 万円の減税になり、税額控除では A さん 5 万円・B さん 10 万円の減税になる undefined 所得控除では A さん 4 万円・B さん 2 万円の減税になり、税額控除ではどちらも 10 万円の減税になる)
発展
- ある財の需要曲線が P = 100 − 2Q、供給曲線が P = 20 + 2Q で表される(P:価格、Q:数量)。この財に 1 単位あたり 16 の従量税を課したときに生じる超過負担(死荷重)はいくらですか。
- ある財の需要曲線が P = 120 − 4Q、供給曲線が P = 10 + Q で表される(P:価格、Q:数量)。売り手に 1 単位あたり 20 の従量税を課したとき、買い手が支払う価格は課税前と比べていくら上がりますか。
- 日本の税制に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 所得控除による減税額は限界税率が高い人ほど大きく、税額控除による減税額は適用される税率にかかわらず同じ額になる イ 消費税の標準税率 10% はすべて国税であり、地方公共団体には地方交付税を通じてのみ配分される ウ 消費税の税収の使途は法律で定められておらず、一般財源として他の税と同じように自由に使われている エ 日本の所得税は単純累進税率を採用しており、所得が区分の境目を少しでも超えると所得全体に一段高い方の税率が適用される undefined 消費税は小売段階だけで課税される単段階の税であり、製造や卸売の段階では課税されない)
- 課税ベース(何に課税するか)の理論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 日本の所得税はすべての所得を合算して課税する総合課税を例外なく採用しており、分離課税される所得は一つも存在しない イ 人頭税は、所得の高い人ほど負担が重くなるため公平性にすぐれるが、労働意欲をゆがめるので中立性を欠く ウ 負の所得税はフリードマンが提案したもので、高所得者に追加課税をして低所得者の税率をゼロにする制度である エ 包括的所得税の考え方では、一定期間の消費と純資産の増加の合計を所得ととらえ、株式の値上がり益も課税対象に含める undefined 支出税は所得のうち貯蓄に回した部分にも課税するため、貯蓄と消費の選択に対して中立的な税であるとされる)
- ある財の需要の価格弾力性が 2、供給の価格弾力性が 3 である。この財に 1 単位あたり 100 円の従量税を課したとき、買い手の負担と売り手の負担の組み合わせとして正しいものはどれですか(1 単位あたり)。 (ア 買い手 50 円、売り手 50 円 イ 買い手 60 円、売り手 40 円 ウ 買い手 40 円、売り手 60 円 エ 買い手 30 円、売り手 70 円 undefined 買い手 0 円、売り手 100 円)
- 消費税の性質と評価に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 消費税は所得に対する負担率が高所得者ほど高くなる累進性をもつため、所得再分配機能が所得税より強い イ 消費税は所得に対する負担率が低所得者ほど高くなる逆進性をもつため、その緩和策として軽減税率や給付付き税額控除が議論される ウ 消費税の税収は景気変動の影響を強く受けるため、所得税や法人税と比べて安定性に欠ける エ 消費税は各取引段階で課税されるが仕入税額控除がないため、取引段階が多いほど税が累積する undefined 消費税は税率が一律であるため、所得に対する負担率もすべての所得階層でまったく等しく、水平的公平と垂直的公平の両方を同時に満たす)
租税の理論と日本の税制 ── 解答
基礎
- 80 超過累進では区分を超えた部分だけに高い税率をかける。200 × 10/100 + (500 − 200) × 20/100 = 20 + 60 = 80 万円。所得全体に 20% をかけた 100 万円ではない。
- 16 税額 = 400 × 10/100 + (1000 − 400) × 20/100 = 160 万円。平均税率 = 税額 ÷ 所得 = 160 ÷ 1000 = 16%。限界税率は 20% で、限界税率 > 平均税率 なので累進になっている。
- undefined 公平・明確・便宜・最小徴税費の 4 原則を示し、納税者の立場から税のあり方を説いた アダム・スミスは「公平・明確・便宜・最小徴税費の 4 原則を示し、納税者の立場から税のあり方を説いた」。スミスは納税者の立場、ワグナーは国家の立場、マスグレイブは公平と効率の両立、と軸を押さえる。
- エ 地方税・間接税 入湯税は地方税・間接税。国税か地方税かは「誰が課すか」、直接税か間接税かは「納税者と担税者が同じか(転嫁を予定しているか)」で分ける。
- undefined 応益原則 この説明は応益原則。応益は「受けた利益」、応能は「支払い能力」。水平的公平は「同じ人に同じ負担」、垂直的公平は「違う人に違う負担」。中立性は「行動をゆがめない」。
標準
- エ 累進税 平均税率で判定する。所得 300 万円:45 ÷ 300 = 15%、所得 900 万円:180 ÷ 900 = 20%。所得が増えたとき平均税率が上がるので累進税。
- 90 帰着は弾力性で決まる。買い手の負担 : 売り手の負担 = 供給の弾力性 : 需要の弾力性 = 3 : 1。買い手 = 120 × 3/(1 + 3) = 90 円、売り手 = 30 円。弾力性が小さい(逃げにくい)側ほど多く負担する。
- ア 5% 消費税は 1989 年に 3% で導入され、1997 年 5%、2014 年 8%、2019 年 10%(飲食料品などは軽減税率 8%)と引き上げられた。1997 年は 5%。
- 6 所得控除は課税所得を 30 万円減らすので、減税額 = 30 × 20/100 = 6 万円。同じ 30 万円でも税額控除なら税額がそのまま 30 万円減る。所得控除の減税額は限界税率が高い人ほど大きい。
- ア ワグナーの 4 大原則は財政政策上・国民経済上・公正・税務行政上の原則からなり、その中に収入の十分性と可動性が含まれる 収入の十分性を先頭に置いたのはワグナー。スミスは公平・明確・便宜・最小徴税費の 4 原則。マスグレイブは公平と中立性(超過負担の最小化)をともに挙げた。累進課税の根拠は応能原則。水平的公平は「同じ能力の人には同じ負担」で、異なる人に異なる負担を求めるのは垂直的公平。
- undefined 需要の価格弾力性が供給の価格弾力性より小さいとき、買い手の負担は売り手の負担より大きくなる 帰着は誰に課税するかではなく弾力性で決まる。弾力性が小さい(逃げにくい)側が多く負担するので、需要の弾力性が小さければ買い手の負担が大きい。供給が完全に非弾力的なら全額売り手の負担。超過負担は税率の 2 乗に比例するので 2 倍なら約 4 倍。ラムゼイ・ルールは弾力性の小さい財ほど高い税率(逆弾力性の命題)。
- ア 国 7.8%・地方 2.2% 国 7.8%・地方 2.2%。2025 年度決算(概数)は消費税 26.0 兆円 > 所得税 25.3 兆円 > 法人税 21.7 兆円。消費税 10% は国 7.8% + 地方消費税 2.2%(軽減 8% は 6.24% + 1.76%)。所得税は 5・10・20・23・33・40・45% の 7 段階。防衛特別法人税は 2026 年 4 月、防衛特別所得税(1%)は 2027 年 1 月から。
- ア 税額 150 万円、平均税率 25% 超過累進なので、300 万円までは 10%、それを超える 300 万円には 40%:300 × 0.1 + 300 × 0.4 = 30 + 120 = 150 万円。平均税率 = 150 ÷ 600 = 25%。限界税率は 40% で平均税率より高い(累進の特徴)。所得全体に 40% をかける(単純累進)と 240 万円になり誤り。
- ウ 所得控除では A さん 2 万円・B さん 4 万円の減税になり、税額控除ではどちらも 10 万円の減税になる 所得控除は課税所得を減らすので、減税額 = 控除額 × 限界税率(A:10 × 0.2 = 2 万円、B:10 × 0.4 = 4 万円)となり高所得者ほど有利。税額控除は税額から直接差し引くので誰でも同じ 10 万円。給付付き税額控除は、税額が控除額に満たない低所得者に差額を給付する仕組み。
発展
- 32 課税前の取引量 Q0 = (100 − 20)/(2 + 2) = 20。課税後は買い手価格と売り手価格の差が 16 になるので Q1 = (100 − 20 − 16)/(2 + 2) = 16。死荷重 = 1/2 × 税 × 取引量の減少 = 1/2 × 16 × 4 = 32。税を 2 倍にすると死荷重は 4 倍になる。
- 16 課税後の供給曲線は P = 10 + 20 + Q に上へ平行移動する。需要と連立して Q1 = (120 − 10 − 20)/(4 + 1) = 18、買い手価格 = 120 − 4 × 18 = 48。課税前の価格 32 より 16 上がる。買い手の負担 = 税 × 需要の傾き/(需要の傾き + 供給の傾き) = 20 × 4/5。残りの 4 は売り手の負担。
- ア 所得控除による減税額は限界税率が高い人ほど大きく、税額控除による減税額は適用される税率にかかわらず同じ額になる 標準税率 10% のうち 2.2% は地方消費税(地方税)。所得税は超過累進で、区分を超えた部分だけに高い税率がかかる。消費税は多段階課税で、仕入税額控除により税の累積を防いでいる。消費税の使途は社会保障 4 経費(年金・医療・介護・少子化対策)に充てると法律で定められている。
- エ 包括的所得税の考え方では、一定期間の消費と純資産の増加の合計を所得ととらえ、株式の値上がり益も課税対象に含める ヘイグ=サイモンズの包括的所得概念では、消費 + 純資産の増加を所得とみなし、キャピタルゲインも含めて総合課税するのが理想とされる。支出税は消費にだけ課税し貯蓄には課税しないので貯蓄に中立。人頭税は誰でも同額で中立性は高いが公平性を欠く。日本の所得税は総合課税が原則だが、利子・株式譲渡益などは分離課税。負の所得税は一定所得以下の人に給付を行うしくみで、税と社会保障給付を一体化する提案。
- イ 買い手 60 円、売り手 40 円 税の負担は 買い手 : 売り手 = 供給の弾力性 : 需要の弾力性 = 3 : 2(弾力性の小さい=逃げにくい側が多く負担する)。買い手 = 100 × 3/5 = 60 円、売り手 = 100 × 2/5 = 40 円。よって 買い手 60 円、売り手 40 円。弾力性の比を逆にしない。
- イ 消費税は所得に対する負担率が低所得者ほど高くなる逆進性をもつため、その緩和策として軽減税率や給付付き税額控除が議論される 消費税の税率は一律だが、低所得者ほど所得のうち消費に回す割合が高いので、所得に対する負担率は低所得者ほど高くなる(逆進性)。仕入税額控除で累積は防がれる(多段階課税だが累積しない)。税収は景気に左右されにくく安定的で、これが消費税の長所とされる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/zf-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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