公債と財政赤字 ── 問題
基礎
- ある年度の国の一般会計の歳出総額は 150 兆円で、歳入のうち公債金収入は 45 兆円であった。この年度の公債依存度は何%ですか。
- ある年度の国の一般会計は、歳出総額 120 兆円(うち国債費 20 兆円)、税収等 80 兆円、公債金収入 40 兆円で収支が均衡していた。この年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)はいくらですか(赤字は負の数で答える。単位:兆円)。
- 特例国債の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 東日本大震災の復興事業の財源として発行され、復興特別税などの収入を償還財源にあてる イ 財政法には根拠がなく、経常的な経費の不足を補うために毎年度または複数年度分の特例法を制定して発行される ウ 財政法 4 条ただし書きに基づき、公共事業費・出資金・貸付金の財源に限って発行される エ 満期を迎えた国債の償還資金を調達するために発行され、60 年償還ルールのもとで借換えをくり返しながら償還していく undefined 財政投融資の原資を調達するために発行され、2001 年の財投改革で郵便貯金などの預託制度に代わって導入された)
- 公債の負担に関するモディリアーニの主張として妥当なものはどれですか。 (ア 公債の購入は自発的な取引なので現在世代に負担はなく、償還のために課税される将来の納税者が負担を負う イ 内国債は償還時に国民の間で資金が移るだけなので将来世代の負担にならないが、外国債は国外への資源の流出になるので負担になる ウ 公債が民間の貯蓄を吸収して資本蓄積を減らすため、将来世代が受け取る資本ストックが小さくなる形で負担が生じる エ 公債は将来の増税と同じであり、家計がそれを見越して貯蓄を増やすので、財源が公債でも増税でも消費は変わらない undefined 世代の重なりを考えると、公債を買った世代は老後にそれを売って消費できるので、償還時の税を負う若い世代へ負担が移る)
- 国債の種類に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 財投債は財政投融資の原資を調達するための国債で、その償還は一般会計の税収によってまかなわれる イ 借換債は新たな歳出の財源として発行される国債で、一般会計の公債金収入に計上される ウ 復興債は特例国債の一種として、東日本大震災の前から毎年度継続して発行されてきた国債である エ 特例国債は財政法 4 条ただし書きに基づいて発行され、経常的な経費の不足を補うために使うことができる undefined 建設国債は財政法 4 条ただし書きに基づいて発行され、その使い道は公共事業費・出資金・貸付金に限られる)
標準
- ある年度の国の一般会計は、歳出総額 100 兆円(うち国債費 27 兆円)、税収等 70 兆円で、不足分は公債金でまかなわれている。歳出を変えずにプライマリーバランスを均衡させるには、税収等をあと何兆円増やす必要がありますか。
- ある国の債務残高対 GDP 比は 100%、名目利子率は 3%、名目成長率は 4% で、プライマリーバランスは均衡している。債務残高対 GDP 比の 1 年間の変化が(利子率 − 成長率)× 債務残高対 GDP 比 で近似できるとすると、1 年後の債務残高対 GDP 比は何%になりますか。
- 次の説明にあてはまる財政の指標・条件はどれですか。 「公債金収入を除いた歳入と、国債費を除いた歳出との差」 (ア プライマリーバランス(基礎的財政収支) イ 公債依存度 ウ ドーマーの条件 エ 財政収支 undefined 債務残高対 GDP 比)
- ある年度の国の一般会計は、歳出総額 105 兆円(うち国債費 22 兆円)、税収等 100 兆円で、不足分は公債金 5 兆円でまかなわれている。この年度のプライマリーバランスの状態として正しいものはどれですか。 (ア 均衡 イ 赤字 27 兆円 ウ 赤字 17 兆円 エ 黒字 17 兆円 undefined 赤字 5 兆円)
- ある国の公債残高は 1200 兆円で、平均利率は 3% である。この年のプライマリーバランスは 6 兆円の黒字であった。利払費をすべて公債の利子とすると、この年の財政収支(PB − 利払費)はいくらですか(赤字は負の数で答える。単位:兆円)。
- 国債の消化と償還のしくみに関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 財政法 5 条により、日本銀行が市場で流通している国債を買い入れることは一切禁じられている イ 60 年償還ルールは建設国債だけに適用され、特例国債は発行した翌年度に全額を償還しなければならない ウ 定率繰入は、前年度の税収の 1.6% を一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるしくみである エ 特例国債は 1975 年度に戦後初めて発行され、それ以後一度も途切れることなく毎年度発行されている undefined 国債の日本銀行による引受けは財政法 5 条で原則として禁止されているが、国会の議決を経た金額の範囲内では認められている)
発展
- ある国の債務残高対 GDP 比は 200%、名目利子率は 5%、名目成長率は 1% である。債務残高対 GDP 比を現在の水準に保つために必要なプライマリーバランスの黒字は、GDP の何%ですか(債務残高対 GDP 比の変化 =(利子率 − 成長率)× 債務残高対 GDP 比 − PB 黒字(対 GDP 比) とする)。
- 公債の負担と中立命題に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ブキャナンは、公債の購入は自発的な取引であるから現在世代に負担はなく、償還時に課税される将来世代が負担すると主張した イ ラーナーは、外国債と同じように内国債についても、償還のための課税を通じて将来世代に負担が転嫁されると主張した ウ 中立命題は、家計が借入れのできない流動性制約に直面しているときほど成り立ちやすい エ モディリアーニは、公債の発行は民間の資本蓄積を増やすので、将来世代はむしろ利益を受けると主張した undefined バローの中立命題が成り立つときには、公債発行による減税は家計の消費を増やし、財政政策の効果を高める)
- プライマリーバランスと財政の持続可能性に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア プライマリーバランスが均衡していれば、利払費を含めても債務残高が増えることはない イ プライマリーバランスが均衡しているとき、名目成長率が名目利子率を上回っていれば、債務残高対 GDP 比は低下していく ウ ドーマーの条件によれば、名目利子率が名目成長率を上回っていても、プライマリーバランスが均衡していれば債務残高対 GDP 比は一定に保たれる エ プライマリーバランスは歳入総額から歳出総額を差し引いたものであり、公債金収入も歳入に含めて計算する undefined 債務残高が増加し続けている限り、債務残高対 GDP 比が低下することはない)
公債と財政赤字 ── 解答
基礎
- 30 公債依存度 = 公債金収入 ÷ 歳出総額 × 100 = 45 ÷ 150 × 100 = 30%。歳出の 30% を借金でまかなっているという意味。残りの 70% が税収などでまかなわれている。
- −20 PB =(歳入 − 公債金)−(歳出 − 国債費)= 80 −(120 − 20)= 80 − 100 = −20 兆円。収支が均衡している予算では、PB = 国債費 − 公債金 = 20 − 40 = −20 でも求められる。
- イ 財政法には根拠がなく、経常的な経費の不足を補うために毎年度または複数年度分の特例法を制定して発行される 特例国債は「財政法には根拠がなく、経常的な経費の不足を補うために毎年度または複数年度分の特例法を制定して発行される」。国債は「根拠法」と「使い道」の 2 点で区別する。建設国債は財政法 4 条ただし書き、特例国債は特例法、借換債・財投債は特別会計に関する法律が根拠。
- ウ 公債が民間の貯蓄を吸収して資本蓄積を減らすため、将来世代が受け取る資本ストックが小さくなる形で負担が生じる モディリアーニの主張は「公債が民間の貯蓄を吸収して資本蓄積を減らすため、将来世代が受け取る資本ストックが小さくなる形で負担が生じる」。ラーナーだけが「内国債は負担にならない」(新正統派)で、ブキャナン・モディリアーニ・ボーエンらは理由は違うが「将来世代の負担になる」。バローは公債と増税が等価だという中立命題。
- undefined 建設国債は財政法 4 条ただし書きに基づいて発行され、その使い道は公共事業費・出資金・貸付金に限られる 財政法 4 条ただし書きが認めるのは建設国債だけで、特例国債は別に特例法を制定して発行する。借換債は満期を迎えた国債の償還資金を調達するもので、一般会計の公債金には計上されない。財投債は財政投融資の貸付先からの回収金で償還される。復興債は 2011 年の東日本大震災を受けて設けられた。
標準
- 3 PB を均衡させる条件は 税収等 = 歳出 − 国債費 = 100 − 27 = 73 兆円。現在の税収等 70 兆円との差 3 兆円が必要な増収額。公債金 30 兆円のうち国債費 27 兆円を超える部分と同じ。
- 99 Δb = (r − g) × b = (3 − 4)/100 × 100 = −1 ポイント。1 年後は 100 + (−1) = 99%。成長率が利子率を上回っているので、PB が均衡していれば比率は下がっていく(収束)。
- ア プライマリーバランス(基礎的財政収支) この説明はプライマリーバランス(基礎的財政収支)。公債依存度は「歳出のうち借金の割合」、PB は「政策的経費を税収でまかなえているか」、財政収支は PB から利払費を引いたもの、債務残高対 GDP 比は「経済の規模に対する借金の大きさ」、ドーマーの条件は「r と g の大小」。
- エ 黒字 17 兆円 PB = 税収等 − 政策的経費(歳出 − 国債費)= 100 −(105 − 22)= 100 − 83 → 黒字 17 兆円。公債金 5 兆円と国債費 22 兆円を比べても同じで、公債金のほうが大きければ赤字、小さければ黒字。歳入不足 5 兆円をそのまま PB 赤字と読むのが典型的な間違い。
- −30 利払費 = 1200 × 3/100 = 36 兆円。財政収支 = PB − 利払費 = 6 − 36 = −30 兆円。PB が黒字でも、利払費のほうが大きければ財政収支は赤字で、債務残高は増える。
- undefined 国債の日本銀行による引受けは財政法 5 条で原則として禁止されているが、国会の議決を経た金額の範囲内では認められている 財政法 5 条が禁じるのは日銀による引受け(直接購入)で、市場からの買入れ(買いオペ)は禁止の対象ではない。ただし書きにより国会の議決を経た範囲での引受けは可能。60 年償還ルールは特例国債にも適用される。定率繰入は前年度期首の国債残高の 1.6%(60 分の 1)。特例国債は 1965 年度の補正予算で初めて発行され、1990〜1993 年度は発行されなかった。
発展
- 8 比率を一定に保つには Δb = 0、つまり PB 黒字 = (r − g) × b = (5 − 1)/100 × 200 = 8%(対 GDP 比)。利子率が成長率を上回る分だけ、毎年この黒字を出し続けなければ比率は上がっていく。
- ア ブキャナンは、公債の購入は自発的な取引であるから現在世代に負担はなく、償還時に課税される将来世代が負担すると主張した ラーナーは内国債は将来世代の負担にならないとした(外国債は負担になる)。モディリアーニは公債が資本蓄積を減らすことで将来世代に負担が生じるとした。中立命題が成り立てば減税分は将来の増税に備えて貯蓄されるので消費は変わらず、財政政策は無効になる。流動性制約がある家計は目先の減税を使ってしまうので、中立命題は成り立ちにくくなる。
- イ プライマリーバランスが均衡しているとき、名目成長率が名目利子率を上回っていれば、債務残高対 GDP 比は低下していく PB が均衡していても利払費の分だけ新たに借りるので債務残高は増える。それでも名目 GDP の伸び(g)が利子率(r)を上回れば対 GDP 比は下がる(ドーマーの条件)。r > g なら PB 均衡では比率は上がり続け、一定に保つには (r − g) × b の PB 黒字が必要。PB は公債金収入と国債費を除いて計算する。債務残高が増えても GDP がそれ以上に増えれば比率は下がる。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/zf-03/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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