社会保障と地方財政 ── 問題
基礎
- ある市の基準財政需要額が 1000 億円、標準的な地方税収入が 320 億円である。基準財政収入額には標準的な税収の 75% を算入するものとすると、この市に交付される普通交付税はいくらですか(億円)。
- ある県の基準財政需要額が 2000 億円、基準財政収入額が 2400 億円である。財政力指数(単年度)はいくらですか。
- 公的医療保険で、ある患者の医療費の総額が 26900 円、自己負担割合が 2 割であった。この患者が窓口で支払う自己負担額はいくらですか(円)。高額療養費制度は考えないものとします。
- ある市の生活保護費(保護費の総額)が年間 40 億円であった。生活保護法にもとづく国と地方の負担割合にしたがうと、国が負担する額はいくらですか(億円)。
- 日本の社会保険のうち、雇用保険に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 失業給付や育児休業給付を行い、保険料は事業主と労働者の双方が負担する イ 業務上・通勤による災害を補償し、保険料は全額を事業主が負担する ウ 1961 年に国民皆年金が実現し、基礎年金と厚生年金の 2 階建てで、基礎年金給付費の 2 分の 1 を国庫が負担する エ 1961 年に国民皆保険が実現し、自己負担は現役世代で原則 3 割、75 歳以上は原則 1 割である undefined 2000 年に始まり、市町村が保険者となって、65 歳以上を第 1 号被保険者、40〜64 歳を第 2 号被保険者とする)
- 地方公共団体の歳入のうち、地方交付税の性格の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 一般財源・特定財源のいずれにも分類されない イ 一般財源 ── 依存財源 ウ 特定財源 ── 自主財源 エ 特定財源 ── 依存財源 undefined 一般財源 ── 自主財源)
標準
- 賦課方式の公的年金において、現役世代が 6000 万人で 1 人あたりの平均賃金が 300 万円、受給者が 1500 万人で 1 人あたりの平均年金額が 240 万円である。その年の年金給付をその年の保険料だけでまかなうとき、必要な保険料率(賃金に対する割合)は何 % ですか。
- ある年度の国税収入が、所得税 220000 億円、法人税 100000 億円、酒税 10000 億円、消費税 200000 億円であった。地方交付税の法定率を所得税・法人税の 33.1%、酒税の 50%、消費税の 19.5% とすると、これらから算定される地方交付税の総額はいくらですか(億円)。地方法人税は考えないものとします。
- ある国の国民所得が 500 兆円、租税負担が 75 兆円、社会保障負担(社会保険料)が 45 兆円である。国民負担率は何 % ですか。
- 地方財政における実質赤字比率の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 公営企業会計などを含めた全会計の実質的な赤字を、標準的な財政規模に対して示す比率 イ 地方債残高など将来支払う可能性のある負債の大きさを示す比率で、早期健全化基準のみが設けられている ウ 借入金の返済額(元利償還金など)の重さを示す比率で、3 年度の平均で計算し、財政再生基準もある エ 基準財政収入額を基準財政需要額で割った値で、過去 3 年度の平均をとり、1 以上なら普通交付税が交付されない undefined 一般会計等の実質的な赤字が、標準的な財政規模に対してどれだけの大きさかを示す比率)
- 公的年金の財政方式のうち、「その年の現役世代の保険料でその年の受給者の年金をまかなう、世代間の仕送りのしくみである」という特徴を持つ方式はどれですか。 (ア 完全積立方式と賦課方式の両方に共通する特徴である イ どちらの方式にも当てはまらない ウ 賦課方式 エ 税方式(全額を税でまかなう方式) undefined 積立方式)
- 地方交付税に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国税の一定割合を原資として、財源の不均衡をならし標準的な行政水準を保障するために交付され、使途は地方公共団体の自由である イ 地方公共団体が自ら徴収する自主財源であり、地方税とともに歳入の中心をなす ウ 特別交付税が総額の大部分を占め、普通交付税は災害など特別の事情がある団体にのみ交付される エ 国が使途を定めて交付する特定財源であり、義務教育や生活保護などの経費に充てられる undefined 普通交付税の額は基準財政需要額と標準的な税収の全額との差で決まり、税収が多い団体ほど交付額が減る)
発展
- 賦課方式の公的年金において、現役世代 3000 万人(平均賃金 500 万円)が受給者 1500 万人(平均年金額 120 万円)を支えており、給付はその年の保険料だけでまかなわれている。少子高齢化によって現役世代が 2000 万人に減り、受給者数と 1 人あたりの年金額・賃金が変わらないとき、同じ給付を維持するために必要な保険料率は何 % になりますか。
- 2004〜2006 年度に行われた三位一体の改革に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 国税の法定率を引き上げて地方交付税の総額を増やし、あわせて国庫補助負担金を拡充した イ 消費税を地方消費税として全額地方に移譲し、そのかわりに地方交付税制度を廃止した ウ 地方債の発行を許可制から協議制に改め、あわせて地方財政健全化法を制定した エ 税源移譲の額が国庫補助負担金と地方交付税の削減額を上回ったため、地方の一般財源は大きく増加した undefined 国庫補助負担金の削減、所得税から個人住民税への税源移譲、地方交付税の見直しを一体で進めたが、削減額が税源移譲額を上回ったため地方の一般財源は減少した)
- 日本の社会保障の財政に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 社会保障と税の一体改革では、消費税率の引上げによる増収分を公共事業と防衛費に充てることとされた イ 社会保障給付費の内訳では医療が最大で、財源は全額が国と地方の税でまかなわれている ウ 国民負担率とは租税負担のみを国民所得で割ったものであり、社会保障負担は含まれない エ 生活保護は社会保険の一種であり、保険料を納めた人だけが資産や能力を活用してもなお困窮した場合に給付を受けられる undefined 社会保障給付費の内訳では年金が最大で、財源は社会保険料が最大、次いで国と地方の公費であり、公費部分の増加が国の一般会計の社会保障関係費を押し上げている)
社会保障と地方財政 ── 解答
基礎
- 760 基準財政収入額 = 320 × 0.75 = 240 億円(残り 80 億円は留保財源)。普通交付税 = 基準財政需要額 − 基準財政収入額 = 1000 − 240 = 760 億円。この差がマイナスなら不交付団体になる。
- 1.2 財政力指数 = 基準財政収入額 ÷ 基準財政需要額 = 2400 ÷ 2000 = 1.2。1 以上なので、需要を自前の収入でまかなえる不交付団体になる。実際の指数は過去 3 年度の平均で計算する。
- 5380 自己負担 = 26900 × 2/10 = 5380 円。残りの 21520 円は保険者が医療機関に支払う。2 割は、義務教育就学前の子どもや 70〜74 歳の一般所得者などの割合(2026 年 9 月時点。最新は厚生労働省の資料で確認)。
- 30 生活保護費は国が 4 分の 3、地方(実施機関である市など)が 4 分の 1 を負担する。国の負担 = 40 × 3/4 = 30 億円、地方の負担 = 10 億円。国の負担分は国庫負担金(国庫支出金)として交付される。
- ア 失業給付や育児休業給付を行い、保険料は事業主と労働者の双方が負担する 雇用保険:失業給付や育児休業給付を行い、保険料は事業主と労働者の双方が負担する。保険料率は事業の種類によって異なる(数値は 2026 年 9 月時点。最新は厚生労働省の資料で確認)。
- イ 一般財源 ── 依存財源 地方交付税は一般財源 ── 依存財源。国が集めた国税を配り直すので依存財源だが、使い道は自由なので一般財源。この組み合わせが最も問われやすい。
標準
- 20 必要な保険料総額 = 受給者 × 年金額 = 1500 × 240 = 360000(万人 × 万円)。賃金総額 = 6000 × 300 = 1800000。保険料率 = 360000 ÷ 1800000 = 20%。式を並べかえると(受給者 ÷ 現役 = 1/4)×(年金 ÷ 賃金 = 4/5)= 老年従属人口比率 × 所得代替率 で、どちらかが上がれば保険料率も上がる。
- 149920 所得税・法人税分 = (220000 + 100000) × 0.331 = 320000 × 0.331 = 105920。酒税分 = 10000 × 0.5 = 5000。消費税分 = 200000 × 0.195 = 39000。合計 149920 億円。法定率は 2026 年 9 月時点のもので、最新は総務省の資料で確認する。
- 24 国民負担率 =(租税負担 + 社会保障負担)÷ 国民所得 = (75 + 45) ÷ 500 = 120 ÷ 500 = 24%。租税負担率 15% + 社会保障負担率 9% に分けて見ることもある。これに財政赤字を加えたものが潜在的国民負担率。
- undefined 一般会計等の実質的な赤字が、標準的な財政規模に対してどれだけの大きさかを示す比率 実質赤字比率:一般会計等の実質的な赤字が、標準的な財政規模に対してどれだけの大きさかを示す比率。地方財政健全化法の 4 つの健全化判断比率の 1 つ。
- ウ 賦課方式 「その年の現役世代の保険料でその年の受給者の年金をまかなう、世代間の仕送りのしくみである」のは賦課方式。日本の公的年金は賦課方式を基本とし、一定の積立金を持って運用している。少子高齢化への弱さに対しては、2004 年改正で保険料上限の固定とマクロ経済スライドを導入した。
- ア 国税の一定割合を原資として、財源の不均衡をならし標準的な行政水準を保障するために交付され、使途は地方公共団体の自由である 地方交付税は所得税・法人税・酒税・消費税の一定割合と地方法人税の全額を原資とし、財源調整と財源保障を目的に交付される一般財源(使途自由)である。国が集めて配り直すので依存財源。使途を定めるのは国庫支出金。普通交付税 = 基準財政需要額 − 基準財政収入額で、基準財政収入額には標準税収の 75% を算入する(25% は留保財源)。普通交付税が総額の 94%、特別交付税が 6%。
発展
- 18 減る前の保険料率 = 1500 × 120 ÷ (3000 × 500) = 12%。減った後は賃金総額が 2000 × 500 = 1000000 になるので、必要な保険料率 = 180000 ÷ 1000000 = 18%。現役が減った割合の逆数だけ率が上がる(12 × 3000/2000 = 18)。この負担増を避けるため、2004 年改正では保険料の上限を固定し、マクロ経済スライドで給付のほうを調整することにした。
- undefined 国庫補助負担金の削減、所得税から個人住民税への税源移譲、地方交付税の見直しを一体で進めたが、削減額が税源移譲額を上回ったため地方の一般財源は減少した 三位一体の改革は「地方にできることは地方に」を掲げ、国庫補助負担金の削減(約 4.7 兆円)、税源移譲(約 3 兆円。個人住民税所得割を 10% の比例税率に)、地方交付税の見直し(約 5.1 兆円の抑制)を一体で進めた。税源移譲より削減額が大きく、地方の一般財源はむしろ減り、団体間の格差が広がったという批判がある。地方債の協議制移行(2006 年度)や地方財政健全化法(2007 年制定)は別の改革。
- undefined 社会保障給付費の内訳では年金が最大で、財源は社会保険料が最大、次いで国と地方の公費であり、公費部分の増加が国の一般会計の社会保障関係費を押し上げている 社会保障給付費は年金が最大(4 割前後)で、次いで医療、福祉その他の順。財源は社会保険料が最大で、次いで公費。公費の増加が国の一般会計で最大の歳出項目である社会保障関係費を押し上げている。生活保護は保険料を財源としない公的扶助で、全額公費(国 4 分の 3・地方 4 分の 1)。一体改革では消費税の増収分を社会保障 4 経費(年金・医療・介護・少子化対策)に充てる。国民負担率は租税負担と社会保障負担の合計を国民所得で割ったもの。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/zf-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
📄 紙で解くなら プリント(レベルと問題数を選べます)。このページをそのまま印刷しても各レベル 10 問と解答が出ます。