経営学説の流れ(テイラー・ファヨール・人間関係論・バーナード・サイモン) ── 問題
基礎
- 経営学説について、フォードシステムの説明として妥当なものはどれですか。 (ア 作業の進み具合を横棒で示す図表によって工程を管理し、課業の達成者には賞与を支給する イ 動作を基本要素に分解して無駄を省き、唯一最善の作業方法を見いだす ウ 製品を単一車種に絞り、部品の標準化と移動組立法によって大量生産を行い、高賃金と低価格を両立させる エ 計画と執行を分離し、計画部が定めた標準作業を機能別の職長が分担して労働者に指示する undefined 時間研究と動作研究によって課業を定め、達成の有無で賃率を変える差別出来高給制で労働者を動機づける)
- テイラーの科学的管理法が前提とした人間観(人間モデル)として妥当なものはどれですか。 (ア 職場の仲間意識や感情によって動く社会人 イ 状況や欲求によって動機が変わる複雑人 ウ 経済的な報酬によって動く経済人 エ 限られた合理性のもとで満足化の基準で決定する経営人 undefined 自己実現の欲求によって自ら成長しようとする自己実現人)
- テイラーの科学的管理法に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ベルトコンベアによる流れ作業と部品の互換性によって、単一車種の大量生産と高賃金・低価格を実現した イ 経営者の仕事を予測・組織・命令・調整・統制に分け、管理教育の必要性を説いた ウ 労働者の仲間意識や職場の人間関係が生産性を左右することを実験で見いだし、非公式組織の役割を重視した エ 労働者は複数の職長から指示を受けるべきではなく、命令の系統は 1 本に統一すべきだと説いた undefined 職長の経験と勘に頼る成り行き管理と、労働者が申し合わせて作業量を抑える組織的怠業を克服するため、課業を科学的に設定して管理しようとした)
- ファヨールが示した管理活動の 5 つの要素の組み合わせとして正しいものはどれですか。 (ア 予測(計画)・組織・命令・調整・統制 イ 課業・時間研究・動作研究・差別出来高給・機能別職長 ウ 技術・商業・財務・保全・会計 エ 計画・組織・人事・指揮・調整・報告・予算 undefined 共通目的・協働意欲・コミュニケーション・誘因・貢献)
- 人間関係論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 人間を経済的な報酬によって動く経済人としてとらえ、差別出来高給制によって生産性を高めることを重視した イ 人間関係と生産性が結びつかない場合があることを示し、個人の欲求や自己実現に注目する行動科学を確立した ウ 人間の欲求を 5 段階に分け、低次の欲求が満たされると自己実現の欲求が現れると考えた エ 人間を限られた合理性のもとで満足化によって決定する経営人としてとらえ、組織を意思決定の体系とみた undefined 人間を仲間意識や感情によって動く社会人としてとらえ、非公式組織やモラールを高めることが生産性の向上につながると考えた)
標準
- 次の主張をした人物として妥当なものはどれですか。「環境の不確実性が高い産業ほど部門の分化が進み、同時に高い統合を実現した企業の業績がよい」 (ア サイアート=マーチ イ ウッドワード ウ ギルブレス エ ローレンス=ローシュ undefined バーンズ=ストーカー)
- 経営学の用語について、「非公式組織」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 課業を達成した労働者だけで構成され、高い賃率が適用される集団 イ 計画部に所属し、作業の標準を定めて機能別の職長に伝える集団 ウ 事業部ごとに設けられ、利益責任を負って本社から独立して運営される集団 エ 経営者が意図的に定めた職務と権限の体系で、規則と階層にもとづいて命令が上から下へ伝達され、目的達成のために編成された集団 undefined 職場の人間関係から自然に生まれる仲間集団で、独自の規範や作業量の基準をもち、生産性やモラールに影響する)
- コンティンジェンシー理論について、バーンズ=ストーカーの研究の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 組織の意思決定はコンフリクトの準解決や不確実性の回避によって特徴づけられ、環境よりも内部の連合体の力関係で決まるとしたうえで、余裕資源が対立を緩めるとした イ 生産技術を単品生産・大量生産・装置生産に分け、技術の型によって業績のよい企業の組織構造が異なるとした ウ 組織の環境は経営者の戦略的選択によって選び直せるため、環境が一方的に組織を決めるわけではないとした エ 環境の不確実性が高い産業ほど部門の分化が進み、それを高い統合と両立させた企業の業績がよいとした undefined 安定した環境では規則と階層にもとづく機械的組織が、変化の激しい環境では柔軟で水平的な連絡を重視する有機的組織が適合するとした)
- テイラーとファヨールの違いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア テイラーは命令の一元性を説き、ファヨールは機能ごとに専門の職長を置く機能別職長制を説いた イ テイラーは工場の作業現場を対象に課業と標準作業を定め、ファヨールは経営者・管理者の仕事を対象に管理の要素と原則を示した ウ テイラーは経営者の仕事を対象に管理の要素を示し、ファヨールは工場の作業現場を対象に時間研究と動作研究を行った エ テイラーは職場の人間関係を重視し、ファヨールは経済的誘因による動機づけを重視した undefined テイラーは管理はすべての階層に必要だと説き、ファヨールは管理は経営者だけの仕事だと説いた)
- ホーソン実験に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 継電器組立実験では、休憩や賃金などの条件を元に戻しても生産性が上がり続け、選ばれたという意識や仲間意識が要因だと考えられた イ 面接調査では、従業員の不満の原因はもっぱら賃金水準にあり、人間関係は不満とほとんど関係がないことが分かった ウ バンク配線作業の観察では、出来高給によって労働者が競い合い、非公式の作業基準は形成されないことが分かった エ 実験はテイラーの指導のもとで行われ、時間研究にもとづく課業の設定が生産性を高めることを実証した undefined 照明実験では、照明を暗くすると生産性が明確に低下し、作業条件が生産性を決める最大の要因であることが確認された)
- バーナードの組織論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 非公式組織は公式組織の秩序を乱すものであるため、経営者は非公式組織の形成を抑えるべきだとした イ 組織は誘因が貢献を下回っているときにこそ参加者の努力が引き出され、存続の可能性が高まるとした ウ 命令の権限は発する側の職務上の地位に由来するため、部下が受け入れるかどうかは権限の成立と無関係だとした エ 組織の有効性と能率は同じ概念であり、目的が達成されれば参加者の動機は自動的に満たされるとした undefined 組織の有効性を目的が達成される度合い、能率を参加者の個人的な動機が満たされる度合いとして区別し、組織の存続には両方が必要だとした)
- サイモンの意思決定論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 意思決定は組織の連合体としての性格から、コンフリクトの準解決と不確実性の回避によって特徴づけられるとした イ 意思決定は「何を目指すか」の価値前提と「どうすれば実現できるか」の事実前提からなり、科学的に扱えるのは事実前提であるとした ウ 意思決定は繰り返し起きる定型的なものと新しい問題を扱う非定型的なものに分かれ、非定型的な決定ほど手続きによって処理しやすいとした エ 意思決定はすべての選択肢とその結果を網羅的に比べて最善を選ぶ最適化によって行われ、この人間像を経営人と呼んだ undefined 意思決定の過程は選択活動から始まり、選んだ案の根拠を後から集める情報活動へと進むとした)
- ドラッカーの経営思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 事業の目的は利潤の最大化であり、そのために課業を科学的に設定して労働者の作業を統制すべきだとした イ 事業の目的は顧客の創造であり、そのための基本機能はマーケティングとイノベーションであるとし、目標による管理を提唱した ウ 企業の成長は市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化の 4 つの方向に整理でき、その組み合わせがシナジーを生むとした エ 組織構造は戦略に従うとし、アメリカの大企業が事業部制を採用した過程を歴史的に分析した undefined 経営者の役割は命令と統制にあり、部下が自ら目標を設定することは組織の秩序を乱すとした)
発展
- サイアート=マーチの『企業の行動理論』に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 企業は単一の目標である利潤最大化を追求する主体であり、部門間の目標の対立は最高経営者の裁定によって完全に解消されるとした イ 企業は問題が起きる前に幅広く解決策を探索し、問題の発生場所とは無関係に最善の案を選ぶとした ウ 企業は長期の予測にもとづいて不確実性に正面から対処し、短期的な対応や業界慣行に頼ることは避けるとした エ 部門ごとの目標の対立は完全には解消されず、問題を順番に処理することで対立を一時的に和らげながら意思決定が進むとした undefined 組織の余裕資源は非能率の表れであるため、組織スラックをなくすほど環境変化への適応力が高まるとした)
- 経営学説の展開の順序に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア コンティンジェンシー理論が唯一最善の組織を示したのに対し、科学的管理法がそれを否定し、その後人間関係論と近代組織論が登場した イ バーナードとサイモンの近代組織論が最初に成立し、それを批判する形で科学的管理法と人間関係論が同時期に登場した ウ 科学的管理法の経済人モデルに対して人間関係論が社会人モデルを示し、その後バーナードとサイモンの近代組織論を経て、1960 年代にコンティンジェンシー理論が登場した エ ファヨールの管理過程論がホーソン実験の結果を踏まえて成立し、その後テイラーが科学的管理法によってこれを体系化した undefined 人間関係論の社会人モデルに対して科学的管理法が経済人モデルを示し、その後コンティンジェンシー理論を経て、1960 年代にバーナードの組織論が登場した)
- フォードシステムに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 作業者が製品のところまで移動して組み立てる方式を採用し、作業者の自律性と多能工化を重視した イ 賃金を抑えて製品価格を引き下げることで市場を拡大し、利益を再投資して生産設備を増強した ウ 労働者を機能別の職長のもとに配置し、時間研究にもとづく差別出来高給制によって作業量を引き上げた エ 製品を T 型の単一車種に絞り、部品の標準化と互換性を確保したうえで移動組立法を導入し、大量生産による低価格と高賃金の両立をめざした undefined 多品種の製品を少量ずつ生産する体制を採用し、顧客の多様な要望に応じて仕様を変えることで高い利益率を実現した)
- バーナードとサイモンの組織均衡論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 組織の存続は経営者の命令の強さによって決まり、参加者の誘因と貢献の関係は存続に影響しない イ 組織の均衡は各部門の予算配分が等しいときに達成され、参加者の動機は均衡と無関係である ウ 組織が参加者に提供する誘因が参加者の貢献と等しいかそれを上回っているとき、参加者は組織への参加を続け、組織は存続する エ 組織は環境の不確実性に応じて分化と統合を等しく進めることで均衡に達し、参加者の貢献は環境によって決まる undefined 組織が参加者に提供する誘因が参加者の貢献を下回っているときほど、参加者は貢献を増やして組織の存続に努める)
経営学説の流れ(テイラー・ファヨール・人間関係論・バーナード・サイモン) ── 解答
基礎
- ウ 製品を単一車種に絞り、部品の標準化と移動組立法によって大量生産を行い、高賃金と低価格を両立させる 製品を単一車種に絞り、部品の標準化と移動組立法によって大量生産を行い、高賃金と低価格を両立させる。人名とキーワードを 1 対 1 で結びつけて覚える(zo-01 解説 7 節)。
- ウ 経済的な報酬によって動く経済人 経済的な報酬によって動く経済人。経済人(科学的管理法)→ 社会人(人間関係論)→ 経営人(近代組織論)の順に人間観が広がった。
- undefined 職長の経験と勘に頼る成り行き管理と、労働者が申し合わせて作業量を抑える組織的怠業を克服するため、課業を科学的に設定して管理しようとした テイラー『科学的管理法の原理』(1911 年)。成り行き管理と組織的怠業への対策として課業管理を提唱した。選択肢 2 はホーソン実験、3 はファヨール、4 はフォード、5 は命令の一元性(ファヨール)で、テイラーは機能別職長制(複数の職長)を唱えた。
- ア 予測(計画)・組織・命令・調整・統制 ファヨールの管理の 5 要素。選択肢 2 はギューリックの POSDCoRB、3 はファヨールが挙げた企業の 6 活動のうち管理を除いたもの、4 はテイラー、5 はバーナードの概念。
- undefined 人間を仲間意識や感情によって動く社会人としてとらえ、非公式組織やモラールを高めることが生産性の向上につながると考えた 人間関係論=社会人モデル。選択肢 2 は科学的管理法、3 はサイモン、4 はマズロー(zo-02)、5 は人間関係論への批判から生まれた行動科学の側の説明。
標準
- エ ローレンス=ローシュ ローレンス=ローシュ。主張から人名を引けるようにしておくと、人名をすり替えた誤答を切れる。
- undefined 職場の人間関係から自然に生まれる仲間集団で、独自の規範や作業量の基準をもち、生産性やモラールに影響する 職場の人間関係から自然に生まれる仲間集団で、独自の規範や作業量の基準をもち、生産性やモラールに影響する。
- undefined 安定した環境では規則と階層にもとづく機械的組織が、変化の激しい環境では柔軟で水平的な連絡を重視する有機的組織が適合するとした 安定した環境では規則と階層にもとづく機械的組織が、変化の激しい環境では柔軟で水平的な連絡を重視する有機的組織が適合するとした。コンティンジェンシー理論は「唯一最善はない」が核心。研究者ごとに「何に適合するか(環境・技術・不確実性)」を区別する。
- イ テイラーは工場の作業現場を対象に課業と標準作業を定め、ファヨールは経営者・管理者の仕事を対象に管理の要素と原則を示した テイラー=現場の作業の科学化、ファヨール=管理者の仕事の体系化。命令の一元性はファヨールの原則、機能別職長制はテイラーの制度で、選択肢 3 は逆。ファヨールは管理はすべての階層に必要で上位ほど比重が大きいとした。
- ア 継電器組立実験では、休憩や賃金などの条件を元に戻しても生産性が上がり続け、選ばれたという意識や仲間意識が要因だと考えられた ホーソン実験(1924〜32 年、ウェスタン・エレクトリック社、メイヨー・レスリスバーガー)。照明を暗くしても生産性は下がらず、バンク配線作業では非公式の作業基準が見つかり、面接調査では感情・人間関係が不満の原因だと分かった。
- undefined 組織の有効性を目的が達成される度合い、能率を参加者の個人的な動機が満たされる度合いとして区別し、組織の存続には両方が必要だとした バーナード『経営者の役割』(1938 年)。有効性(目的達成)と能率(個人動機の満足)の区別、非公式組織は公式組織を助けるとした点、組織均衡(誘因≧貢献で存続)、権限受容説がポイント。選択肢 2〜5 はそれぞれ逆の記述。
- イ 意思決定は「何を目指すか」の価値前提と「どうすれば実現できるか」の事実前提からなり、科学的に扱えるのは事実前提であるとした サイモン『経営行動』(1947 年)。価値前提と事実前提の区別。経営人は最適化ではなく満足化。非定型的意思決定は手続き化しにくい。過程は情報活動 → 設計活動 → 選択活動の順。選択肢 5 はサイアート=マーチ。
- イ 事業の目的は顧客の創造であり、そのための基本機能はマーケティングとイノベーションであるとし、目標による管理を提唱した ドラッカー『現代の経営』(1954 年)。顧客の創造・目標による管理(MBO)。選択肢 4 はアンゾフ、5 はチャンドラー(いずれも zo-03)。
発展
- エ 部門ごとの目標の対立は完全には解消されず、問題を順番に処理することで対立を一時的に和らげながら意思決定が進むとした サイアート=マーチ(1963 年)。企業は連合体で、コンフリクトの準解決・不確実性の回避・問題志向の探索・組織学習が特徴。組織スラックは対立を緩め環境変化への備えになる。選択肢 2〜5 はいずれも逆。
- ウ 科学的管理法の経済人モデルに対して人間関係論が社会人モデルを示し、その後バーナードとサイモンの近代組織論を経て、1960 年代にコンティンジェンシー理論が登場した 1910 年代 科学的管理法・管理過程論 → 1920〜30 年代 ホーソン実験・人間関係論 → 1938 年 バーナード・1947 年 サイモン → 1960 年代 コンティンジェンシー理論。年代順の骨組みを押さえる。
- エ 製品を T 型の単一車種に絞り、部品の標準化と互換性を確保したうえで移動組立法を導入し、大量生産による低価格と高賃金の両立をめざした フォードシステム=単一化・標準化・移動組立法・大量生産・高賃金低価格(日給 5 ドル)。作業者は動かず製品が流れてくる。差別出来高給制はテイラー。
- ウ 組織が参加者に提供する誘因が参加者の貢献と等しいかそれを上回っているとき、参加者は組織への参加を続け、組織は存続する 誘因≧貢献 → 参加継続・組織存続。バーナードが示しサイモン・マーチが精密化した(バーナード=サイモン理論)。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/keizai/zo-01/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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