政治権力と国家(権力の正統性・国家論) ── 問題
基礎
- R. A. ダールの権力・支配に関する主張として妥当なものはどれですか。 (ア アメリカでは政治・経済・軍事の頂点に立つ少数者が一体となって重要な決定を行っているとし、これをパワー・エリートと呼んだ イ 権力を「A が B に、B が本来しないことをさせる」関係と捉え、ニューヘイブン市の調査で争点ごとに影響力を持つ集団が異なることを示した ウ ドイツ社会民主党の分析から、民主的な理念を掲げる組織でも少数の幹部が支配するようになるという寡頭制の鉄則を唱えた エ 権力が服従を得る手段を、感情に訴えるミランダと理性に訴えるクレデンダに分け、国旗や儀式を前者の例とした undefined 支配の正統性の根拠を伝統的・カリスマ的・合法的の 3 つに類型化し、近代国家を正当な物理的暴力の独占を要求する共同体と定義した)
- 政治権力に関する次の概念について、「エリートの周流」を唱えた学者は誰ですか。 (ア モスカ イ ミヘルス ウ ダール エ ラスキ undefined パレート)
- M. ウェーバーの支配の 3 類型について、預言者や革命の英雄への帰依のように、指導者個人の非日常的な資質を根拠とする支配はどれですか。 (ア 合法的支配 イ 家産制的支配 ウ 神権的支配 エ カリスマ的支配 undefined 伝統的支配)
- 権力の捉え方に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 関係説は、権力を所有できる実体とみる立場で、ダールは権力を貨幣にたとえてこれを説明した イ 実体説は、権力を富や武力などの資源として所有できるものとみる立場で、ホッブズやラスウェルがその系譜に位置づけられる ウ 実体説は、争点ごとに影響力を持つ集団が異なるとみる立場で、ミルズのパワー・エリート論がその代表である エ 関係説は、権力を指導者個人の非日常的な資質に求める立場で、ウェーバーがカリスマの概念で示した undefined 実体説は、権力を人と人との関係の中に現れるものとみる立場で、ダールの定義がその代表とされる)
- C. E. メリアムのミランダとクレデンダに関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ミランダは物理的な強制力による服従の調達を指し、クレデンダは経済的な報酬による服従の調達を指す イ ミランダは国旗や儀式のように感情に訴える手段であり、クレデンダは政治理論のように理性に訴える手段である ウ ミランダは伝統的支配における服従の根拠であり、クレデンダはカリスマ的支配における服従の根拠である エ ミランダは決定の場で自分の案を通す力であり、クレデンダは争点を議題に上らせない力である undefined ミランダは政治理論のように理性に訴えて権力を正しいと信じさせる手段であり、クレデンダは国旗や儀式のように感情に訴える手段である)
標準
- アメリカの権力構造をめぐる研究について、人々の認識や欲求そのものを形づくり不満を感じさせない力を「第 3 次元の権力」と呼んだ研究者は誰ですか。 (ア フーコー イ ダール ウ ルークス エ バクラック=バラッツ undefined パーソンズ)
- M. ウェーバーの支配の類型に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ウェーバーは正統性の根拠を感情に訴えるものと理性に訴えるものに二分し、近代国家は後者に依拠するとした イ カリスマ的支配は、昔からの慣習の神聖さを根拠とする支配で、家父長制や世襲の君主がその例である ウ 伝統的支配は、指導者個人の非日常的な資質への帰依を根拠とする支配で、預言者や革命の指導者がその例である エ 合法的支配は、支配者の人格的な魅力を根拠とする支配で、指導者の死とともに危機を迎えやすい undefined 合法的支配は、正しい手続きで定められた規則の正しさを根拠とする支配で、近代の官僚制がその最も純粋な形とされる)
- エリート論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ミルズは、1950 年代のアメリカでは争点ごとに影響力を持つ集団が異なり、社会全体を支配する単一の支配層は存在しないと論じた イ ハンターは、ニューヘイブン市の決定過程を争点法で調べ、少数の経済人が市政を支配していると結論した ウ ミヘルスは、ドイツ社会民主党を分析し、大規模な組織では少数の幹部による支配が避けられないという寡頭制の鉄則を唱えた エ モスカは、策略にたけたキツネ型と力に頼るライオン型のエリートが交互に支配層を占めるというエリートの周流を唱えた undefined パレートは、どんな社会も組織された少数の政治階級と組織されない多数に分かれるとし、支配層は固定して交代しないと論じた)
- R. A. ダールの多元主義に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 有力者に「誰が影響力を持つか」を尋ねる声価法を用い、経済人を中心とする少数の支配層が地域の決定を握っていることを示した イ 政治・経済・軍事の頂点に立つ人々が学歴や交友を通じて相互に結びつき、国家の重要な決定を独占していると論じた ウ 人々の認識や欲求そのものを形づくる力を権力の第 3 次元と呼び、不満が表面化しないこと自体が権力の表れだと論じた エ 都合の悪い争点を議題に上らせない非決定の力を重視し、決定過程だけを見る研究法では権力の実態は捉えられないと論じた undefined ニューヘイブン市の調査で、都市再開発・公教育・候補者指名の各争点で影響力を持つ人々が異なることを示し、単一のエリート支配を否定した)
- D. イーストンの政治システム論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 政治を「社会に対する価値の権威的配分」と定義し、環境からの決定と政策を入力、要求と支持を出力とし、両者の量的な均衡をシステム存続の条件とした イ 権力の行使を私的な動機の公的目標への転移とその公益の名による合理化として捉え、権力を追求する政治的人間の類型を示した ウ 権力を貨幣にたとえ、政治システムは社会全体の目標達成のために権力を生み出し流通させる非ゼロサム的な仕組みだとした エ 政治を「社会に対する価値の権威的配分」と定義し、要求と支持を入力、決定と政策を出力とし、出力が再び入力に影響するフィードバックの過程を描いた undefined どの国の政治体系も利益表出・利益集約などの共通の機能を果たしているとみる構造機能分析を提唱し、政治文化を未分化型・臣民型・参加型に分けた)
- 国家論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 多元的国家論は、国家を他のすべての団体の上に立つ最高の存在とみる立場で、16 世紀のボダンの主権論がその出発点となった イ マルクス主義の国家論は、国家を階級対立を調停する中立的な機関とみて、階級がなくなった後も国家は存続するとした ウ 夜警国家とは、社会保障や経済政策を通じて国民生活に積極的に関わる国家を指し、ラッサールが理想として掲げた エ イェリネックは国家の三要素を領域・国民・政府とし、国家は法によって拘束されない絶対的な存在であるとした undefined 多元的国家論は、国家を教会・労働組合などと並ぶ団体の一つとみて主権の絶対性を否定する立場で、ラスキらが唱えた)
発展
- 権力の 3 つの次元をめぐる議論に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア ルークスは、ダールの決定に着目する権力観もバクラック=バラッツの非決定に着目する権力観も不十分とし、人々の認識を形づくる力を第 3 次元の権力と呼んだ イ バクラック=バラッツは、近代の権力は学校や工場で人々を規律づける形で社会の隅々に行き渡るとし、これを規律権力と呼んだ ウ ルークスは、権力を人々が共同で行為するときに生まれる力と捉え、一人でも行使できる暴力とは区別すべきだと論じた エ バクラック=バラッツは、争点ごとの決定過程を観察すれば権力の所在は十分に把握できるとして、議題に上らない争点に着目する立場を批判した undefined ダールは、都合の悪い争点を議題に上らせない力こそ権力の本質であるとし、ニューヘイブン市の調査でその存在を実証した)
- 権力と暴力・規律に関する現代の議論の説明として妥当なものはどれですか。 (ア アーレントは、権力と暴力を連続したものと捉え、暴力は権力の最も純粋で強力な形態であると論じた イ パーソンズは、権力を一方が得れば他方が失うゼロサム的なものと捉え、権力の総量は社会ごとに一定であるとした ウ アーレントは、権力を人々が共同で行為するときに生まれる力とし、道具を用いて一人でも行使できる暴力とは本質的に異なるものと位置づけた エ ラスウェルは、権力を貨幣にたとえ、社会全体の目標達成のために生み出される非ゼロサム的な資源であると論じた undefined フーコーは、近代の権力は君主が上から抑えつける形で行使されるものであり、学校や病院のような施設には権力は及ばないと論じた)
- G. アーモンドの構造機能分析に関する説明として妥当なものはどれですか。 (ア 利益表出は主に利益集団が、利益集約は主に政党が担う入力機能であり、規則の制定・適用・裁定が出力機能に当たるとした イ 支配の正統性の根拠を伝統・カリスマ・合法の 3 つに分け、近代の政治体系は合法的支配を基礎とすると論じた ウ 政治システムへの入力を要求と支持、出力を決定と政策とし、フィードバックによる循環としてシステムの持続を説明した エ 政治体系ごとに果たす機能は異なるため、先進国と発展途上国を同じ枠組みで比較することはできないと論じた undefined 利益集約は主に利益集団が、利益表出は主に政党が担う入力機能であり、規則の制定・適用・裁定が出力機能に当たるとした)
政治権力と国家(権力の正統性・国家論) ── 解答
基礎
- イ 権力を「A が B に、B が本来しないことをさせる」関係と捉え、ニューヘイブン市の調査で争点ごとに影響力を持つ集団が異なることを示した R. A. ダールの主張は「権力を「A が B に、B が本来しないことをさせる」関係と捉え、ニューヘイブン市の調査で争点ごとに影響力を持つ集団が異なることを示した」。ほかの選択肢はそれぞれ別の学者の主張である。
- undefined パレート 答えはパレート。人名と概念の対応を表で確認しておく。
- エ カリスマ的支配 カリスマ的支配。伝統=慣習、カリスマ=個人の資質、合法=規則、と根拠で見分ける。
- イ 実体説は、権力を富や武力などの資源として所有できるものとみる立場で、ホッブズやラスウェルがその系譜に位置づけられる 権力を「もの」とみるのが実体説(ホッブズ・ラスウェル・ミルズ)、「関係」とみるのが関係説(ダール・パーソンズ)。貨幣のたとえはパーソンズ、多元主義はダールで、ミルズはエリート論。
- イ ミランダは国旗や儀式のように感情に訴える手段であり、クレデンダは政治理論のように理性に訴える手段である ミランダ=感情・象徴(国旗・国歌・記念日・儀式)、クレデンダ=理性・理論(イデオロギー・憲法理念)。選択肢 4 はウェーバー、5 はダールとバクラック=バラッツの区別。
標準
- ウ ルークス 答えはルークス。「誰が・どこで・どの方法で・何を結論したか」の 4 点を 1 行で言えるようにする。
- undefined 合法的支配は、正しい手続きで定められた規則の正しさを根拠とする支配で、近代の官僚制がその最も純粋な形とされる 伝統=慣習、カリスマ=個人の資質、合法=規則。選択肢 2 と 3 は伝統的支配とカリスマ的支配の説明が入れかわっている。5 はメリアムのミランダ・クレデンダ。
- ウ ミヘルスは、ドイツ社会民主党を分析し、大規模な組織では少数の幹部による支配が避けられないという寡頭制の鉄則を唱えた パレート=エリートの周流(支配層は入れかわる)、モスカ=政治階級、ミヘルス=寡頭制の鉄則。ミルズはパワー・エリート論(エリート支配)で、多元主義はダール。ハンターはアトランタ・声価法。
- undefined ニューヘイブン市の調査で、都市再開発・公教育・候補者指名の各争点で影響力を持つ人々が異なることを示し、単一のエリート支配を否定した ダールは『統治するのはだれか』で争点法を用い多元主義を確認した。2 はハンター、3 はバクラック=バラッツ、4 はミルズ、5 はルークス。
- エ 政治を「社会に対する価値の権威的配分」と定義し、要求と支持を入力、決定と政策を出力とし、出力が再び入力に影響するフィードバックの過程を描いた 入力=要求と支持、出力=決定・政策。選択肢 2 は入力と出力が逆。3 はアーモンド、4 はパーソンズ、5 はラスウェル。
- undefined 多元的国家論は、国家を教会・労働組合などと並ぶ団体の一つとみて主権の絶対性を否定する立場で、ラスキらが唱えた 一元的国家論(ボダン・ヘーゲル)と多元的国家論(ラスキら)は逆。マルクス主義では国家は支配階級の道具で階級消滅とともに死滅する。夜警国家は最小限の国家への皮肉。三要素は領域・国民・主権で、イェリネックは自己拘束説。
発展
- ア ルークスは、ダールの決定に着目する権力観もバクラック=バラッツの非決定に着目する権力観も不十分とし、人々の認識を形づくる力を第 3 次元の権力と呼んだ 第 1 次元=ダール(決定)、第 2 次元=バクラック=バラッツ(非決定)、第 3 次元=ルークス(認識の形成)。4 はアーレント、5 はフーコー。
- ウ アーレントは、権力を人々が共同で行為するときに生まれる力とし、道具を用いて一人でも行使できる暴力とは本質的に異なるものと位置づけた アーレントは権力と暴力を区別した。フーコーは規律権力が学校・工場・病院など社会の隅々に及ぶとした。パーソンズは非ゼロサム的な権力観(貨幣のたとえ)で、ラスウェルは政治的人間の分析。
- ア 利益表出は主に利益集団が、利益集約は主に政党が担う入力機能であり、規則の制定・適用・裁定が出力機能に当たるとした 利益表出=利益集団、利益集約=政党。アーモンドはすべての政治体系に共通の機能があるとして比較を可能にした。4 はイーストン、5 はウェーバー。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-01/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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