政治思想(社会契約説〜現代の自由主義と民主主義論) ── 問題
基礎
- ホッブズの政治思想の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 自然状態をおおむね平和なものと描き、人々は生命・自由・財産を守るために政府に権力を信託し、信託に反すれば抵抗できると論じた イ 抽象的な理性で社会を一挙に作りかえる革命を批判し、長い時間をかけて受け継がれた伝統や慣習に知恵が宿ると論じた ウ 国家の権力を立法・執行・司法の 3 つに分け、権力どうしの抑制と均衡によって自由が守られると論じた エ 自然状態の人間は自由で平等だったが私有財産が不平等を生んだとし、各人が一般意志に従う直接民主制を説いた undefined 自然状態を万人の万人に対する闘争と描き、人々は自己保存のために自然権を主権者に全面的に譲渡して国家をつくると論じた)
- 社会契約説に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ロックは、私有財産こそが不平等の原因だとして、財産の共有に基づく直接民主制を説いた イ ロックは、自然状態を万人の万人に対する闘争と描き、絶対的な主権者への服従を説いた ウ ホッブズは、自然状態では人々が互いに争うため、人々は自然権を主権者に譲渡して国家をつくると論じた エ ルソーは、代議制こそが一般意志を実現する最善の制度だとして、イギリスの議会制を高く評価した undefined ホッブズは、政府が人民の信託に反した場合には人民に抵抗権があると論じ、名誉革命を正当化した)
- ルソーの政治思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 一般意志とは各人の私的な意志を足し合わせたものであり、多数決の結果と一致するとした イ 立法・執行・司法の三権を分立させることで、人民の自由が守られるとした ウ 人民が主権をもち、一般意志は代表することができないため、直接民主制が望ましいとした エ 自然状態は権利の保障が不安定であるため、人々は所有権を守るために政府をつくるとした undefined 人民は自然権を主権者に譲渡した以上、主権者の命令に抵抗することは許されないとした)
- バーリンの「二つの自由概念」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 消極的自由を他者からの干渉の不在、積極的自由を自己支配と定義し、積極的自由が強制を正当化しかねないと警告した イ 消極的自由を自己支配、積極的自由を他者からの干渉の不在と定義し、積極的自由を擁護した ウ 消極的自由は経済的自由、積極的自由は精神的自由を指し、後者を優先すべきだとした エ 消極的自由と積極的自由は本質的に同じものであり、区別する意味はないと論じた undefined 消極的自由は古代の自由、積極的自由は近代の自由であり、近代人は積極的自由のみを求めるとした)
標準
- 次の著作の著者は誰ですか。『リヴァイアサン』 (ア ホッブズ イ マキァヴェリ ウ ボダン エ ロック undefined ルソー)
- 政治思想の用語について、ハイエクのいう「自生的秩序」の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 国家が長期の計画を立てて資源を配分することで実現する、理性によって合理的に設計された秩序 イ 法が停止された例外状態の中で、主権者の決断によって新たに打ち立てられる政治的な秩序 ウ 対等な市民が公共の場で互いに理由を示し合い、討議によって合意をつくることで生まれる秩序 エ 市場や言語や法のように、誰かが設計したのではなく人々の営みの中から自然に生まれた秩序 undefined 伝統や慣習をそのまま守ることで維持される秩序で、いかなる改革や変化も認めないとされるもの)
- 権力分立論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ルソーは、一般意志の実現のために立法・執行・司法を厳格に分立させるべきだと論じた イ モンテスキューは、権力を分けると国家が弱体化するとして、立法権への権力集中を説いた ウ ロックは立法権と執行権(および連合権)の分立を説き、立法権が優位に立つと考えた エ ロックは立法・執行・司法の三権分立を説き、司法権の独立を最も重視した undefined モンテスキューは、フランスの絶対王政を理想として『法の精神』で三権分立を論じた)
- バークの政治思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 議員は選挙区の有権者の指示にそのまま従うべき使者であり、独自の判断をしてはならないと論じた イ アメリカ植民地の独立要求は伝統への反逆であるとして、イギリス本国の武力鎮圧を支持した ウ いかなる変化も社会の安定を損なうため、改革は一切行うべきではないと論じた エ フランス革命を批判し、時間をかけて受け継がれた伝統や慣習の中に知恵があるとして、保存するための漸進的な改革を認めた undefined フランス革命を支持し、旧来の身分制度を理性に基づいて一挙に廃止すべきだと論じた)
- トクヴィルの政治思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 多数の暴政を防ぐには強力な中央政府が必要であり、地方自治や結社は分裂を招くとして否定した イ アメリカの民主政治は宗教から完全に切り離されており、それが自由を支えていると評価した ウ 平等化を歴史の避けがたい流れと見つつ、多数の暴政や民主的専制を防ぐものとして自発的結社や地方自治を重視した エ 平等化は一時的な現象であり、やがて貴族制が復活してアメリカの民主政治は崩壊すると予測した undefined 民主政治のもとでは市民の政治参加が高まり続けるため、専制の危険は生じないと論じた)
- J. S. ミルの政治思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 代議制は市民を政治から遠ざけるため、直接民主制に移行すべきだと論じた イ 自然権と社会契約の理論を用いて、抵抗権に基づく革命の正当性を論じた ウ 個人の自由への干渉が正当化されるのは他人への危害を防ぐ場合に限られるとし、少数意見を守るために比例代表制を支持した エ 有権者はすべて平等に 1 票をもつべきであり、教育の程度による票の差は認められないとした undefined 個人の自由は社会全体の幸福のために制限されるべきであり、多数者の意見に従うことが市民の義務だとした)
- ダールのポリアーキー論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 公的異議申立てだけが高く包括性の低い体制を包括的抑圧体制、その逆を競争的寡頭体制と呼んだ イ ポリアーキーを分類する 2 つの軸は自由と平等であり、両方が高い体制が社会主義体制だとした ウ 理想としての民主主義を実現した体制をポリアーキーと呼び、それ以外の体制はすべて独裁だとした エ 理想としての民主主義と区別して、公的異議申立てと包括性の両方が高い現実の体制をポリアーキーと呼んだ undefined ポリアーキーの条件として、単一の政党による安定した政権運営と、統一された情報源を挙げた)
発展
- 次の主張に最も近い立場・思想家はどれですか。「社会を理性の設計図どおりに一挙に作りかえようとする試みは、先人が積み上げた知恵を捨てることになり、かえって混乱と専制を招く」 (ア バークの保守主義 イ ルソーの人民主権論 ウ ロールズのリベラリズム エ ハーバーマスの熟議民主主義 undefined ベンサムの功利主義)
- シュミットの政治思想に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 民主主義とは指導者の地位をめぐる競争的なエリートを人民が投票で選ぶ手続きにすぎないとした イ 例外状態においても法の支配は貫かれなければならず、主権者は憲法の枠内でのみ決定できると論じた ウ 大衆社会における孤立した個人が全体主義の土壌になるとし、人間の営みを労働・仕事・活動に分けた エ 政治の本質を利害の調整に求め、討論を通じて対立を解消していく議会制こそが民主主義の核心だと論じた undefined 政治の本質を友と敵の区別に求め、討論による合意を建前とする議会主義と同一性を原理とする民主主義は別物だとして、自由主義的議会制を批判した)
- ロールズの正義論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 格差原理によれば、社会的・経済的な不平等はいかなる場合も許されず、結果の完全な平等が正義の要請だとした イ 原初状態で無知のヴェールをかぶった人々は、社会全体の幸福の総量を最大にする功利主義の原理を選ぶとした ウ 人は共同体の価値に埋め込まれた存在であり、正義は共同体ごとの共通善によって定まるとした エ 個人の権利を絶対視し、国家の役割は保護と契約の履行に限られる最小国家こそ正義にかなうとした undefined 原初状態で無知のヴェールをかぶった人々が選ぶ原理として、平等な自由の原理と、公正な機会均等原理および格差原理を導き、第 1 原理が第 2 原理に優先するとした)
- 現代の民主主義論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア マクファーソンは、自由民主主義は参加的な段階から防御的な段階へと後退してきたと整理した イ レイプハルトは、言語や宗教で分断された社会では民主主義は成立しえないとし、多数決型民主主義への移行を説いた ウ ペイトマンは、シュンペーター流のエリート民主主義を批判し、職場や地域での日常的な参加が市民を育てるとする参加民主主義を唱えた エ ハーバーマスは、公共圏での討議は合意に至らず対立を深めるだけだとして、指導者の決断による政治を擁護した undefined シュンペーターは、民主主義の本質は人民の意志の直接の実現にあるとし、エリートによる競争的な選抜を批判した)
政治思想(社会契約説〜現代の自由主義と民主主義論) ── 解答
基礎
- undefined 自然状態を万人の万人に対する闘争と描き、人々は自己保存のために自然権を主権者に全面的に譲渡して国家をつくると論じた 自然状態を万人の万人に対する闘争と描き、人々は自己保存のために自然権を主権者に全面的に譲渡して国家をつくると論じた。ほかの選択肢は別の思想家の主張。人物名を隠して「誰の主張か」を先に当てる練習をする。
- ウ ホッブズは、自然状態では人々が互いに争うため、人々は自然権を主権者に譲渡して国家をつくると論じた ホッブズ『リヴァイアサン』の主張。「万人の万人に対する闘争」と全面譲渡はホッブズ、信託と抵抗権はロック、私有財産批判と直接民主制はルソー。ルソーは代議制を批判した。
- ウ 人民が主権をもち、一般意志は代表することができないため、直接民主制が望ましいとした ルソー『社会契約論』。一般意志は公共の利益をめざす意志で、私的意志の総和である全体意志とは区別される。抵抗を否定するのはホッブズ、三権分立はモンテスキュー、所有権と政府はロック。
- ア 消極的自由を他者からの干渉の不在、積極的自由を自己支配と定義し、積極的自由が強制を正当化しかねないと警告した バーリン「二つの自由概念」(1958)。消極的自由=「〜からの自由」、積極的自由=「〜への自由」。積極的自由は「真の自己」の名で強制を正当化する危険があるとして、消極的自由を擁護した。
標準
- ア ホッブズ 『リヴァイアサン』の著者はホッブズ。著書名は年代順に一本の線にして覚える(zp-02 解説「覚え方の型」)。
- エ 市場や言語や法のように、誰かが設計したのではなく人々の営みの中から自然に生まれた秩序 市場や言語や法のように、誰かが設計したのではなく人々の営みの中から自然に生まれた秩序。対になる用語(消極的⇄積極的自由、一般意志⇄全体意志、ロールズ⇄ノージック)と入れかえた誤答に注意。
- ウ ロックは立法権と執行権(および連合権)の分立を説き、立法権が優位に立つと考えた ロックの権力分立は立法権優位の二権的なもので、司法権を独立させる三権分立はモンテスキュー『法の精神』。モンテスキューはイギリスの制度を理想化して描いた。ルソーは主権(立法権)の不可分性を説いた。
- エ フランス革命を批判し、時間をかけて受け継がれた伝統や慣習の中に知恵があるとして、保存するための漸進的な改革を認めた バーク『フランス革命の省察』。保守主義は「保存するための改革」を認める。ブリストル演説では議員を国民全体の代表(独自の判断をもつ)と位置づけた。アメリカ植民地の主張には理解を示した。
- ウ 平等化を歴史の避けがたい流れと見つつ、多数の暴政や民主的専制を防ぐものとして自発的結社や地方自治を重視した トクヴィル『アメリカのデモクラシー』。多数の暴政・民主的専制の危険を指摘し、自発的結社・地方自治・陪審制・宗教が防波堤になるとした。中央集権化と政治的無関心の結びつきを警戒した。
- ウ 個人の自由への干渉が正当化されるのは他人への危害を防ぐ場合に限られるとし、少数意見を守るために比例代表制を支持した ミル『自由論』の他者危害原理と『代議制統治論』。代議制を最善の統治形態としつつ、多数の専制への歯止めとして比例代表制と複数投票制を論じた。自然権・社会契約はベンサム以来の功利主義が退けた考え方。
- エ 理想としての民主主義と区別して、公的異議申立てと包括性の両方が高い現実の体制をポリアーキーと呼んだ ダール『ポリアーキー』(1971)。2 軸は公的異議申立て(自由化)と包括性(参加)。自由化だけ高いのが競争的寡頭体制、包括性だけ高いのが包括的抑圧体制。条件には結社の自由・複数の情報源などが含まれる。
発展
- ア バークの保守主義 バークの保守主義の主張。キーワード(権原・無知のヴェール・負荷なき自己への批判・競争的エリート・参加・伝統・討議)から立場を特定する。
- undefined 政治の本質を友と敵の区別に求め、討論による合意を建前とする議会主義と同一性を原理とする民主主義は別物だとして、自由主義的議会制を批判した シュミット『政治的なものの概念』『現代議会主義の精神史的状況』。例外状態において決断する者が主権者だとする決断主義。労働・仕事・活動はアーレント、競争的エリート民主主義はシュンペーター。
- undefined 原初状態で無知のヴェールをかぶった人々が選ぶ原理として、平等な自由の原理と、公正な機会均等原理および格差原理を導き、第 1 原理が第 2 原理に優先するとした ロールズ『正義論』(1971)。格差原理は「最も不遇な人の利益になる不平等」を認める。功利主義批判が出発点。最小国家はノージック、共通善はコミュニタリアニズム。
- ウ ペイトマンは、シュンペーター流のエリート民主主義を批判し、職場や地域での日常的な参加が市民を育てるとする参加民主主義を唱えた ペイトマン『参加と民主主義理論』。シュンペーターはエリート間の競争と投票による選抜を民主主義の本質とした。ハーバーマスは討議による合意形成を重視。レイプハルトは分断社会でもエリート間協調で安定する多極共存型民主主義を示した。マクファーソンの 4 段階は防御的→発展的→均衡的→参加的。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-02/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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