選挙制度と投票行動 ── 問題
基礎
- 比例代表制の特徴の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 1 つの選挙区から 1 人を選ぶため死票が多く得票率と議席率のずれが大きいが、二大政党制になりやすく政権が安定しやすい イ 1 つの選挙区から 1 人を選ぶが、有権者は候補者に順位をつけて投票するため死票が少なく少数派も当選しやすい ウ 政党の得票率に比例して議席を配分するため二大政党制になりやすく、単独政権が生まれやすい エ 政党の得票率に比例して議席を配分するため死票が少なく民意を正確に反映するが、多党制になって連立政権が常態化しやすい undefined 1 つの選挙区から複数人を選ぶため同じ政党の候補者どうしが争い、個人後援会による集票が中心になりやすい)
- 投票行動の研究について、フィオリーナの業績評価投票(回顧的投票)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 有権者は各党の将来の公約を細かく比べるのではなく、現政権の過去の業績、とくに経済状況を評価して投票するとし、景気がよければ与党が有利になる経済投票の研究につながった イ 有権者は幼少期に形成された政党帰属意識にしたがって投票し、現政権の業績は投票にほとんど影響しないとして、政党帰属意識の安定性を強調した ウ 有権者は各党の将来の公約を比較し、自分の政策位置に最も近い政党に投票するという将来志向の争点投票を論じ、公約の明確化が投票率を高めるとした エ 有権者の投票は社会的属性で予測でき、選挙キャンペーンで意見を変える人はごく少ないとし、マスメディアの限定効果論の根拠となった undefined 有権者は自分の効用を最大化するため、情報収集のコストに見合わない政治情報は集めないという合理的無知を論じ、投票参加のパラドックスを提起した)
- デュヴェルジェの法則に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 小選挙区制は二大政党制を、比例代表制は多党制をもたらすとするもので、小党の票が死票になる機械的効果と、有権者が当選可能性の高い候補者に票を移す心理的効果によって説明される イ 比例代表制は二大政党制を、小選挙区制は多党制をもたらすとするもので、比例代表制では小党の票が死票になりやすく議席に結びつかないことによって説明される ウ 選挙制度と政党の数には関係がなく、政党の数は宗教や階級といった社会的な対立軸の数だけで決まるとするもので、制度改革による政党数の変化を否定した エ 小選挙区制は二大政党制をもたらすとするもので、その理由は政党の側が候補者の擁立を控えることにあり、有権者の投票行動の変化は理由に含まれない undefined 小選挙区制は二大政党制をもたらすとするもので、この法則は全国レベルで働くため、地域政党が特定の地域で強い国でも全国では二大政党制になるとされる)
- 比例代表制における議席配分の方式に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア サンラグ式は各政党の得票を 1、2、3、…の整数で順に割り、商の大きい順に議席を配分する方式で、ドント式より大政党に有利な結果になる イ 最大剰余法は各政党の得票を 1、2、3、…で割った商をすべて合計し、その合計の大きい順に議席を配分する方式で、北欧諸国で用いられている ウ ドント式は各政党の得票を 1、3、5、…の奇数で順に割り、商の大きい順に議席を配分する方式で、小政党に比較的有利な結果になる エ ドント式は各政党の得票を 1、2、3、…の整数で順に割り、商の大きい順に議席を配分する方式で、日本の衆議院・参議院の比例代表で用いられている undefined ドント式は総票数を定数で割った基数で各政党の得票を割り、整数部分をまず配分して残りを小数部分の大きい順に配分する方式で、日本では用いられていない)
標準
- 日本の選挙制度について、政党助成法に基づく政党交付金の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 国会議員 5 人以上、または直近の国政選挙の得票率が 5%以上の政党に、国民 1 人あたり 100 円を基準とした総額から交付される イ 国会議員 10 人以上の政党にのみ、国民 1 人あたり 250 円を基準とした総額から議員数に比例して交付される ウ 国政選挙に候補者を立てたすべての政治団体に、その選挙での得票数に応じて交付される エ 国会議員 5 人以上、または国会議員 1 人以上で直近の国政選挙の得票率が 2%以上の政党に、国民 1 人あたり 250 円を基準とした総額から交付される undefined 国会議員 1 人以上の政党に、企業・団体からの献金の受取額に応じて上乗せする形で交付される)
- ある比例代表選挙で、定数は 7 議席、得票は A 党 2400 票・B 党 1300 票・C 党 500 票でした。ドント式で配分すると、A 党の議席は何議席になりますか。 (ア 3 議席 イ 1 議席 ウ 4 議席 エ 2 議席 undefined 5 議席)
- 日本の衆議院で 1994 年の政治改革まで用いられていた中選挙区制に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 1 つの選挙区から 1 人を選ぶ制度で、死票が多く得票率と議席率のずれが大きいと批判されたため、1994 年の政治改革で比例代表制を中心とする制度に移行した イ 1 つの選挙区から原則として 3〜5 人を選び、有権者は定数と同じ数の候補者に投票できる完全連記式であったため、大政党が選挙区の議席を独占しやすいと批判された ウ 1 つの選挙区から原則として 3〜5 人を選ぶ制度で、同じ政党から複数の候補者を立てることは公職選挙法で禁止されていたため、政党間の政策論争が選挙の中心になった エ 政党の得票に比例して全国単位で議席を配分する制度で、小党分立と連立政権の不安定さが批判されたため、1994 年の政治改革で小選挙区制のみの制度に移行した undefined 1 つの選挙区から原則として 3〜5 人を選び、有権者は 1 人の候補者にだけ投票する単記非移譲式であったため、同じ政党の候補者が同じ選挙区で争い、個人後援会や派閥に頼った集票が強まったと批判された)
- 日本の衆議院と参議院の選挙制度の比較に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 衆議院では小選挙区と比例代表の重複立候補が認められていないのに対し、参議院では選挙区と比例代表の重複立候補が認められている イ 衆議院は任期 6 年で 3 年ごとに半数が改選され解散がないのに対し、参議院は任期 4 年で内閣による解散がある ウ 衆議院の被選挙権は 30 歳以上であるのに対し、参議院の被選挙権は 25 歳以上で、衆議院のほうが厳しい年齢要件が課されている エ 衆議院の比例代表は全国 11 ブロックの拘束名簿式であるのに対し、参議院の比例代表は全国 1 単位の非拘束名簿式で、候補者名での投票も認められている undefined 衆議院の比例代表は全国 1 単位の非拘束名簿式であるのに対し、参議院の比例代表は全国 11 ブロックの拘束名簿式で、政党名でのみ投票する)
- 近代選挙の原則と日本国憲法の規定に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 普通選挙は財産や納税額などによって選挙権を制限しない原則で、日本国憲法 15 条 3 項は公務員の選挙について成年者による普通選挙を保障している イ 直接選挙は有権者がまず選挙人を選び、その選挙人が代表者を選ぶ原則で、日本の国政選挙はこの方式をとっている ウ 秘密選挙は 1 人 1 票で各票の価値を等しくする原則で、一票の格差の問題はこの原則に反するかどうかとして争われている エ 平等選挙は投票の秘密を守る原則で、日本国憲法は投票の秘密について明文の規定を置かず、公職選挙法だけがこれを定めている undefined 自由選挙は投票を国民の義務として棄権に罰則を科す原則で、日本でも公職選挙法に棄権に対する過料の規定が置かれている)
- 合理的選択モデルによる投票行動の説明に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ライカーとオードシュックは、投票参加の期待利益を R = PB − C で表し、投票による満足 D を式から取り除くことで投票参加のパラドックスを解決した イ 1 票が選挙結果を左右する確率はきわめて小さいため、コストをかけて政治情報を集めないことは有権者にとって合理的であり、これを合理的無知と呼ぶ ウ 二大政党制のもとでは、両党は自党の熱心な支持者を確保するために政策を左右の両極へ移動させるとされ、これを中位投票者定理と呼ぶ エ 1 票が選挙結果を左右する確率はきわめて大きいため、有権者はコストをかけて政治情報を集めるのが合理的であり、これを合理的無知と呼ぶ undefined 投票に行くコストが利益を上回るにもかかわらず多くの人が投票に行く現象を投票参加のパラドックスと呼び、ダウンズはこれを幼少期に形成される政党帰属意識の強さで説明した)
- 日本の選挙運動と投票に関する制度の記述として妥当なものはどれですか。 (ア 選挙権年齢は 2016 年から 18 歳以上に引き下げられ、同時に衆議院議員の被選挙権年齢も 20 歳以上に引き下げられた イ 戸別訪問は公職選挙法で禁止されており、最高裁判所はこの禁止を合憲と判断している ウ 期日前投票は、投票日当日に投票所へ行けない理由を証明する公的な書類を提出した有権者にのみ認められている エ インターネットを使った選挙運動は 2013 年に解禁され、有権者が電子メールで特定の候補者への投票を依頼することも認められている undefined 戸別訪問は候補者本人が行う場合に限り認められており、運動員による戸別訪問だけが公職選挙法で禁止されている)
発展
- 選挙制度と政党の数に関する理論の記述として妥当なものはどれですか。 (ア レイやサルトーリは、デュヴェルジェの法則には例外がないことを多数の国の実証データで確認し、法則としての地位を確立した イ デュヴェルジェは、小選挙区制の心理的効果とは、当選しそうにない小党の票がすべて死票になって議席に結びつかないことだと説明し、機械的効果とは有権者の戦略投票のことだとした ウ コックスは、定数 M の選挙区では有力な候補者の数が 2M 人に収束するという「M + 1 ルール」を示し、小選挙区では 2 人、定数 3 の選挙区では 6 人の候補者が競合するとした エ コックスは、定数 M の選挙区では有力な候補者の数が M + 1 人に収束するという「M + 1 ルール」を示し、デュヴェルジェの法則を定数が複数の選挙区にも一般化した undefined デュヴェルジェの法則は選挙区レベルではなく全国レベルで働くため、地域政党が一部の地域で強い国でも、全国の政党数は 2 つに収束するとされる)
- 投票行動の研究に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア コロンビア学派は、選挙キャンペーン中にマスメディアの報道によって支持政党を変える有権者が多数を占めることを示し、マスメディアの強力な効果を主張した イ 三宅一郎は、日本の有権者が特定の 1 党だけを排他的に支持する傾向が欧米より強いことを「政党支持の幅」と呼び、無党派層の少なさを説明した ウ ナイらは『変貌するアメリカの投票者』で、1960 年代以降の有権者は教育水準が上がったにもかかわらず争点への関心を失い、政党帰属意識への依存を強めたと論じた エ ミシガン学派は、有権者が政党帰属意識どおりに投票した場合に想定される得票分布をノーマル・ヴォートと呼び、実際の結果とのずれから争点や候補者といった短期的要因の影響を測定した undefined V. O. キーは「有権者は愚かではない」として、有権者は政府の業績ではなく候補者の人柄や外見を基準に合理的に投票していると論じた)
- 各国の選挙制度に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ドイツの連邦議会選挙では小選挙区比例代表並立制がとられ、小選挙区と比例代表の議席を別々に決めて足し合わせるため、小選挙区の結果が全体を左右しやすい イ イギリスの下院選挙は比例代表制をとっており、得票率と議席率のずれが小さいことが二大政党制を支える要因になっている ウ アイルランドの単記移譲式は、有権者が 1 人の候補者にだけ投票し、落選者の票は他の候補者に移されずにすべて死票となる制度である エ ドイツの連邦議会選挙では小選挙区比例代表併用制がとられ、得票率 5%に達しない政党には原則として比例代表の議席を配分しない阻止条項が設けられている undefined フランスの大統領選挙は 1 回の投票で相対多数を得た候補者が当選する制度で、過半数に達しない場合でも決選投票は行われない)
選挙制度と投票行動 ── 解答
基礎
- エ 政党の得票率に比例して議席を配分するため死票が少なく民意を正確に反映するが、多党制になって連立政権が常態化しやすい 政党の得票率に比例して議席を配分するため死票が少なく民意を正確に反映するが、多党制になって連立政権が常態化しやすい。小選挙区制=死票が多い・二大政党、比例代表制=死票が少ない・多党制、併用制=本質は比例(ドイツ)、並立制=別々に足す(日本の衆議院)。
- ア 有権者は各党の将来の公約を細かく比べるのではなく、現政権の過去の業績、とくに経済状況を評価して投票するとし、景気がよければ与党が有利になる経済投票の研究につながった 有権者は各党の将来の公約を細かく比べるのではなく、現政権の過去の業績、とくに経済状況を評価して投票するとし、景気がよければ与党が有利になる経済投票の研究につながった。エリー調査 → コロンビア → 二段階の流れ/『アメリカの投票者』→ ミシガン → 政党帰属意識/『民主主義の経済理論』→ ダウンズ → 中位投票者・合理的無知/フィオリーナ → 業績評価投票。
- ア 小選挙区制は二大政党制を、比例代表制は多党制をもたらすとするもので、小党の票が死票になる機械的効果と、有権者が当選可能性の高い候補者に票を移す心理的効果によって説明される デュヴェルジェの法則。小選挙区制 → 二大政党制、比例代表制 → 多党制。機械的効果(死票で小党が締め出される)と心理的効果(戦略投票)。法則は選挙区レベルで働き、地域政党がある国では全国で 3 党以上になりうる。
- エ ドント式は各政党の得票を 1、2、3、…の整数で順に割り、商の大きい順に議席を配分する方式で、日本の衆議院・参議院の比例代表で用いられている ドント式=1、2、3、…で割る(日本)。サンラグ式=奇数で割る(小政党に比較的有利)。最大剰余法=基数で割って整数部分を配分、残りは小数部分の大きい順。
標準
- エ 国会議員 5 人以上、または国会議員 1 人以上で直近の国政選挙の得票率が 2%以上の政党に、国民 1 人あたり 250 円を基準とした総額から交付される 国会議員 5 人以上、または国会議員 1 人以上で直近の国政選挙の得票率が 2%以上の政党に、国民 1 人あたり 250 円を基準とした総額から交付される。衆議院=拘束名簿・11 ブロック、参議院=非拘束名簿・全国 1 単位(特定枠あり)。定数などは 2026 年 9 月時点。
- ウ 4 議席 各党の得票を 1、2、3、…で順に割り、商の大きい順に 7 個を選ぶ。A 党の商:2400・1200・800・600・480・400・342.9/B 党の商:1300・650・433.3・325・260・216.7・185.7/C 党の商:500・250・166.7・125・100・83.3・71.4。大きい順に 7 個選ぶと A 党の商が 4 個入るので、A 党 4 議席(B 党 2 議席・C 党 1 議席)。
- undefined 1 つの選挙区から原則として 3〜5 人を選び、有権者は 1 人の候補者にだけ投票する単記非移譲式であったため、同じ政党の候補者が同じ選挙区で争い、個人後援会や派閥に頼った集票が強まったと批判された 中選挙区制=大選挙区制の一種(定数 3〜5)・単記非移譲式。同一政党の候補者間競争 → 後援会・派閥・利益誘導。1994 年に小選挙区比例代表並立制へ。
- エ 衆議院の比例代表は全国 11 ブロックの拘束名簿式であるのに対し、参議院の比例代表は全国 1 単位の非拘束名簿式で、候補者名での投票も認められている 衆議院=並立制・拘束名簿・11 ブロック・重複立候補あり・任期 4 年・被選挙権 25 歳。参議院=選挙区+非拘束名簿の全国比例・重複立候補なし・任期 6 年半数改選・被選挙権 30 歳。
- ア 普通選挙は財産や納税額などによって選挙権を制限しない原則で、日本国憲法 15 条 3 項は公務員の選挙について成年者による普通選挙を保障している 普通(15 条 3 項)・平等(14 条・44 条ただし書)・直接・秘密(15 条 4 項)・自由。一票の格差は平等選挙の問題。日本には棄権への罰則はない(自由選挙)。
- イ 1 票が選挙結果を左右する確率はきわめて小さいため、コストをかけて政治情報を集めないことは有権者にとって合理的であり、これを合理的無知と呼ぶ ダウンズ:合理的無知・中位投票者定理(両党の政策は真ん中に寄る)・投票参加のパラドックス。ライカーとオードシュックは D(投票自体の満足)を加えた R = PB − C + D で説明した。
- イ 戸別訪問は公職選挙法で禁止されており、最高裁判所はこの禁止を合憲と判断している 戸別訪問は全面禁止(合憲)。ネット選挙運動は 2013 年解禁だが有権者のメールでの投票依頼は不可。期日前投票は宣誓書で足りる。被選挙権年齢は引き下げられていない(衆 25 歳・参 30 歳)。
発展
- エ コックスは、定数 M の選挙区では有力な候補者の数が M + 1 人に収束するという「M + 1 ルール」を示し、デュヴェルジェの法則を定数が複数の選挙区にも一般化した コックスの M + 1 ルール(小選挙区 2 人・旧中選挙区 4〜6 人)。機械的効果=死票で小党が締め出される、心理的効果=戦略投票。法則は選挙区レベルで働き、例外も検討されている。
- エ ミシガン学派は、有権者が政党帰属意識どおりに投票した場合に想定される得票分布をノーマル・ヴォートと呼び、実際の結果とのずれから争点や候補者といった短期的要因の影響を測定した ノーマル・ヴォート=ミシガン学派。コロンビア学派は限定効果(補強)。ナイらは争点投票の増加。キーは業績への評価による投票。三宅の「政党支持の幅」は複数政党を支持対象とすること。
- エ ドイツの連邦議会選挙では小選挙区比例代表併用制がとられ、得票率 5%に達しない政党には原則として比例代表の議席を配分しない阻止条項が設けられている ドイツ=併用制+5%阻止条項。フランス大統領選=二回投票制(上位 2 人の決選)。アイルランド=単記移譲式(順位をつけて票を移す)。イギリス下院=小選挙区制。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-04/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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