政党と利益集団 ── 問題
基礎
- 政党の型について、大衆政党(近代組織政党)の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 制限選挙の時代に見られた型で、地方の名望家が議員となって緩やかに結びつき、党員は少なく組織は選挙のときだけ動くもので、ウェーバーが論じた イ 普通選挙の時代に現れた型で、少数のエリートが議会内で緩やかに結びつき、党員や党費に頼らないもので、ミヘルスが論じた ウ 1960 年代以降に現れた型で、特定の階級に頼らずイデオロギーを薄めてあらゆる層の票を集めようとするもので、キルヒハイマーが論じた エ 普通選挙の時代に現れた型で、多数の党員と党費、常設の組織を基盤とし、労働者政党に典型的に見られるもので、デュヴェルジェが論じた undefined 主要政党が政党助成などの国家の資源を分け合い、国家に組み込まれて新規参入を締め出す型で、カッツとメアが論じた)
- イギリスとアメリカの政党を調べ、選挙のための組織(コーカス・マシーン)が党内民主主義を失わせると批判した学者は誰ですか。 (ア ウェーバー イ オストロゴルスキー ウ バーク エ デュヴェルジェ undefined ミヘルス)
- 政党と利益集団(圧力団体)の違いに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政党は候補者を立てずに議員に働きかけるのに対し、利益集団は独自の候補者を立てて選挙を戦い、議席の獲得をめざす イ 政党は政権の獲得をめざして候補者を立てて選挙を戦うのに対し、利益集団は政権をめざさず、政党や議員・官僚に働きかけて特定の利益を政策に反映させようとする ウ 政党は特定の分野の利益だけを政策に反映させようとするのに対し、利益集団は政権の獲得をめざしてあらゆる分野の包括的な政策を掲げる エ 政党は政権を担っても政策の結果に責任を負わないのに対し、利益集団は政策の結果について政治的責任を負う undefined 政党も利益集団も政権の獲得をめざす点では同じであり、両者の違いは国からの公的な助成を受けられるかどうかにある)
- 政党の機能に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 社会のばらばらな要求をまとめて綱領や公約という政策の束にする利益集約は、政党に固有の機能とされ、利益集団の主な機能である利益表出と区別される イ 政党の機能は選挙で候補者を立てることに限られ、政策の形成や国民への争点の提示は官僚と利益集団が担う ウ 候補者を発掘して政治家を育て供給する政治的リクルートメントは、利益集団の主な機能であり、政党はこれを担わない エ 国民に政治の争点を伝えて政治への態度を形づくる政治的社会化は、マスメディアだけの機能であり、政党の機能には含まれない undefined 社会の要求を政治の場に持ち出す利益表出は政党に固有の機能とされ、それを政策の束にまとめる利益集約は利益集団の主な機能とされる)
標準
- サルトーリの政党制の分類について、穏健な多党制の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 3〜5 の政党がイデオロギーの距離の小さい中で競争し、連立政権が安定して運営される型で、ドイツが例とされる イ 形式的には複数の政党が存在するが、支配政党以外は衛星政党にとどまり、選挙による政権交代がありえない型である ウ 6〜8 の政党が左右の両極に反体制政党を抱えて競争し、中央の政党が政権を担うが不安定な型で、ワイマール共和国が例とされる エ 2 つの大政党が単独政権をめざして競争し、交互に政権を担う型で、イギリスが例とされる undefined 3〜5 の政党が競争するが、左右の両極に体制に反対する政党があるため遠心的競争が働き、政権が不安定になる型である)
- 利益集団の理論について、ローウィの学説の説明として妥当なものはどれですか。 (ア 『集合行為論』で、集団が獲得する利益は公共財であるため合理的な個人はただ乗りを選び、大きな集団ほど組織されにくいとした イ 『自由主義の終焉』で、利益集団の自由な競争こそが公共の利益を実現する最良の方法だとして、政府の介入を減らすべきだとした ウ 『統治するのはだれか』で、政策分野ごとに影響力をもつ集団が異なることを示し、一部のエリートが全体を支配するという見方を批判した エ 『自由主義の終焉』で、利益集団の要求をそのまま受け入れて政策が決まるアメリカの状態を利益集団自由主義と呼んで批判し、公共の利益を法律で明確にすべきだとした undefined 『政治過程論』で、共通の利益をもつ人々は組織化されていなくても潜在集団として存在するとした)
- デュヴェルジェの政党論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 政党の組織を、党員の規模ではなくイデオロギーの距離によって分類し、政党制を一党制からアトム化政党制までの 7 つの型に分けた イ 政党の組織を、少数のエリートによる緩やかな組織である幹部政党と、多数の党員を基盤とする大衆政党に分け、政党の起源についても議会内の議員の集まりから生まれた院内起源政党と、労働組合などの外部団体が作った院外起源政党を区別した ウ 政党の組織を、少数のエリートによる緩やかな組織である大衆政党と、多数の党員を基盤とする幹部政党に分け、労働者政党は幹部政党の典型だとした エ 政党の起源について、労働組合などの外部団体が作った政党を院内起源政党、議会内の議員の集まりから生まれた政党を院外起源政党と呼び、保守党や自由党を院外起源政党の例とした undefined 特定の階級に頼らずあらゆる層の票を集める包括政党の出現を論じ、大衆政党の時代は 1960 年代に終わったとした)
- ミヘルスの「寡頭制の鉄則」に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア ドイツ社会民主党の研究に基づき、民主的な組織をめざす政党であっても、組織が大きくなると専門的な指導者が必要になり、指導者が地位を守ろうとし、大衆も指導者に従いたがるため、少数の幹部による支配が生じるとした イ イギリスとアメリカの政党の研究に基づき、選挙のための組織であるコーカスやマシーンが党員を統制し、党内民主主義を失わせると批判した ウ アメリカの都市の研究に基づき、経済・政治・軍事の指導者が一体となったパワー・エリートが政策を支配しているとした エ ドイツ社会民主党の研究に基づき、労働者政党は党員の直接参加によって党内民主主義を維持できるため、寡頭制は保守政党にだけ生じるとした undefined 民主的な組織では指導者の交代が頻繁に起こるため、組織が大きくなるほど少数支配は生じにくくなるとした)
- オルソンの集合行為論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 少数の大企業からなる業界団体は 1 人あたりの利益が小さいため組織されにくく、多数の消費者からなる集団のほうが組織されやすい イ 集団が獲得する減税や補助金などの利益は公共財であり、活動に参加しなかった人も利益を受けられるため、合理的な個人はただ乗りを選び、組織の維持には参加者だけに与えられる選択的誘因が必要になる ウ 集団が獲得する利益は参加者だけが受け取れる私的財であるため、共通の利益をもつ人々は自発的に組織化され、集団が大きいほど圧力も強くなる エ 利益集団の要求をそのまま受け入れて政策が決まる状態を利益集団自由主義と呼び、公共の利益を法律で明確にすべきだとした undefined 共通の利益をもつ人々は組織化されていなくても潜在集団として存在し、利益が脅かされると自動的に組織化されるため、ただ乗りの問題は生じない)
- 多元主義とネオ・コーポラティズムの比較に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 多元主義の代表的な論者はシュミッターとレームブルッフであり、ネオ・コーポラティズムの代表的な論者はダールとトルーマンである イ 多元主義は業界ごとの頂上団体が国家と交渉して政策を決める仕組みでアメリカを典型とするのに対し、ネオ・コーポラティズムは多数の集団が自由に競争する仕組みで北欧が典型とされる ウ 多元主義は多数の集団が自由に競争しその均衡で政策が決まると考えアメリカを典型とするのに対し、ネオ・コーポラティズムは業界ごとの頂上団体が国家と交渉して政策を決める仕組みで、スウェーデンやオーストリアが典型とされる エ 多元主義もネオ・コーポラティズムも、国家が利益集団の活動を禁止し、政策を官僚だけで決める仕組みを指す点で共通する undefined ネオ・コーポラティズムは戦前のイタリアで見られた国家主導のコーポラティズムと同じものであり、労働組合は政策決定から排除される)
- アメリカと日本の利益集団政治に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア アメリカでは議会・裁判所・官庁の 3 者が結びついて政策を左右する鉄の三角形が指摘され、利益集団は裁判所を通じてのみ政策に影響を与える イ 日本の利益集団は選挙での組織票や献金を通じて政党に働きかけることはなく、行政機関への陳情だけを行う ウ アメリカではロビイストの活動が法律で全面的に禁止されており、利益集団は政治活動委員会(PAC)を通じた献金だけで政策に影響を与える エ アメリカでは特定の政策分野で議会の委員会・官庁・利益集団の 3 者が結びついて政策を左右する鉄の三角形が指摘され、日本ではこれに当たるものとして族議員・省庁・業界団体の結びつきが指摘される undefined 日本の族議員とは、特定の地域の出身者だけで構成される議員集団のことで、政策分野ごとの専門性はもたない)
発展
- サルトーリが分極的多党制の特徴としてあげたものに関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 形式的には複数の政党が存在するが、支配政党以外は衛星政党にとどまり、選挙による政権交代がありえない イ 野党が政権に就く見込みをもって現実的な公約を掲げる責任ある野党として行動するため、政権交代が円滑に行われる ウ 政党の数は 3〜5 にとどまり、イデオロギーの距離が小さいため、どの政党の組み合わせでも連立政権を組むことができる エ 体制そのものに反対する反体制政党が左右の両極に存在し、各党が中央ではなく両極に向かって票を奪い合う遠心的競争が働くため、中央の政党が政権を担うものの不安定になりやすい undefined すべての政党が体制を支持し、各党が中央の有権者に向かって寄っていく求心的競争が働くため、連立政権が安定して運営される)
- トルーマンの集団理論に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 共通の利益をもつ人々は組織化されていなくても潜在集団として存在し、社会の変化で利益が脅かされると組織化されるとし、また人が複数の集団に重なって所属する重複的メンバーシップのために 1 つの集団の要求が極端になりにくいとした イ 共通の利益をもつ人々であっても、活動に参加しなくても利益を受けられるため組織化されにくく、組織の維持には選択的誘因が必要だとした ウ 人は 1 つの集団だけに排他的に所属するため、集団の要求は極端になりやすく、集団間の対立を国家が強制的に調整する必要があるとした エ 政治を集団の相互作用として捉える見方を初めて示し、『統治の過程』で制度や理念を重視する従来の政治学を批判した undefined 利益集団の圧力によって政策が決まる状態を批判し、公共の利益を法律で明確に定めることで利益集団の影響を排除すべきだとした)
- 日本の利益集団と政策決定に関する記述として妥当なものはどれですか。 (ア 日本の政策決定は、政府・経営者団体・労働組合の三者協議によって賃金や社会保障が決まる点で、スウェーデンと同じ典型的なネオ・コーポラティズムとされる イ 日本の利益集団は、生産者の利益を守るセクター団体だけで構成され、環境や人権などの価値を推進する団体は利益集団に含まれない ウ 日本の政策決定は、労働組合が頂上団体として政策決定に十分に加わっていない点で北欧型と異なるとされ、「労働なきコーポラティズム」と評されることがある エ 日本では利益集団が政党に献金することが法律で全面的に禁止されているため、利益集団は選挙での組織票だけで政党に働きかける undefined 日本の族議員は官庁と業界団体の間を取り持つ役割をもたず、政党の方針にしたがって投票するだけの存在である)
政党と利益集団 ── 解答
基礎
- エ 普通選挙の時代に現れた型で、多数の党員と党費、常設の組織を基盤とし、労働者政党に典型的に見られるもので、デュヴェルジェが論じた 普通選挙の時代に現れた型で、多数の党員と党費、常設の組織を基盤とし、労働者政党に典型的に見られるもので、デュヴェルジェが論じた。名望家(ウェーバー)→ 大衆(デュヴェルジェ)→ 包括(キルヒハイマー)→ カルテル(カッツとメア)の順。選挙プロフェッショナル政党はパネビアンコ。
- イ オストロゴルスキー イギリスとアメリカの政党を調べ、選挙のための組織(コーカス・マシーン)が党内民主主義を失わせると批判した学者は誰ですか。── オストロゴルスキー。
- イ 政党は政権の獲得をめざして候補者を立てて選挙を戦うのに対し、利益集団は政権をめざさず、政党や議員・官僚に働きかけて特定の利益を政策に反映させようとする 政党=政権の獲得・包括的な政策・候補者を立てる・結果に責任を負う。利益集団=政権をめざさない・部分的な利益・候補者を立てず働きかける・責任を負わない。
- ア 社会のばらばらな要求をまとめて綱領や公約という政策の束にする利益集約は、政党に固有の機能とされ、利益集団の主な機能である利益表出と区別される 利益表出(要求を持ち出す)=利益集団にもある機能。利益集約(要求をまとめる)=政党に固有。ほかに政治的リクルートメント・政治的社会化。
標準
- ア 3〜5 の政党がイデオロギーの距離の小さい中で競争し、連立政権が安定して運営される型で、ドイツが例とされる 3〜5 の政党がイデオロギーの距離の小さい中で競争し、連立政権が安定して運営される型で、ドイツが例とされる。競争なし=一党制・ヘゲモニー政党制。競争あり=一党優位・二大政党・穏健な多党・分極的多党・原子化。
- エ 『自由主義の終焉』で、利益集団の要求をそのまま受け入れて政策が決まるアメリカの状態を利益集団自由主義と呼んで批判し、公共の利益を法律で明確にすべきだとした 『自由主義の終焉』で、利益集団の要求をそのまま受け入れて政策が決まるアメリカの状態を利益集団自由主義と呼んで批判し、公共の利益を法律で明確にすべきだとした。ベントレー(集団の相互作用)→ トルーマン(潜在集団)→ オルソン(ただ乗り・選択的誘因)→ ローウィ(利益集団自由主義の批判)。ダール=多元主義、シュミッター=ネオ・コーポラティズム。
- イ 政党の組織を、少数のエリートによる緩やかな組織である幹部政党と、多数の党員を基盤とする大衆政党に分け、政党の起源についても議会内の議員の集まりから生まれた院内起源政党と、労働組合などの外部団体が作った院外起源政党を区別した デュヴェルジェ=幹部政党/大衆政党、院内起源(保守党・自由党)/院外起源(労働党)。7 分類はサルトーリ、包括政党はキルヒハイマー。
- ア ドイツ社会民主党の研究に基づき、民主的な組織をめざす政党であっても、組織が大きくなると専門的な指導者が必要になり、指導者が地位を守ろうとし、大衆も指導者に従いたがるため、少数の幹部による支配が生じるとした ミヘルス『政党社会学』(1911 年)。組織の要因(専門的指導者の必要)・指導者の心理・大衆の心理から、どんな組織も寡頭制に向かう。コーカス批判はオストロゴルスキー、パワー・エリートはミルズ。
- イ 集団が獲得する減税や補助金などの利益は公共財であり、活動に参加しなかった人も利益を受けられるため、合理的な個人はただ乗りを選び、組織の維持には参加者だけに与えられる選択的誘因が必要になる オルソン『集合行為論』(1965 年)。公共財 → ただ乗り → 大集団は組織されにくい。小集団ほど組織されやすい。選択的誘因(共済・情報など)で維持。潜在集団はトルーマン、利益集団自由主義はローウィ。
- ウ 多元主義は多数の集団が自由に競争しその均衡で政策が決まると考えアメリカを典型とするのに対し、ネオ・コーポラティズムは業界ごとの頂上団体が国家と交渉して政策を決める仕組みで、スウェーデンやオーストリアが典型とされる 多元主義(ダール・トルーマン)=自由な競争・アメリカ。ネオ・コーポラティズム(シュミッター・レームブルッフ)=頂上団体・政労使・北欧。戦前の国家コーポラティズムとは区別する。
- エ アメリカでは特定の政策分野で議会の委員会・官庁・利益集団の 3 者が結びついて政策を左右する鉄の三角形が指摘され、日本ではこれに当たるものとして族議員・省庁・業界団体の結びつきが指摘される 鉄の三角形=議会の委員会・官庁・利益集団。日本=族議員・省庁・業界団体。ロビイストは登録制で活動が認められている。族議員は政策分野ごとに通じた議員。
発展
- エ 体制そのものに反対する反体制政党が左右の両極に存在し、各党が中央ではなく両極に向かって票を奪い合う遠心的競争が働くため、中央の政党が政権を担うものの不安定になりやすい 分極的多党制=反体制政党・双方向の反対・遠心的競争・無責任な野党。穏健な多党制=求心的競争・安定した連立。衛星政党はヘゲモニー政党制。
- ア 共通の利益をもつ人々は組織化されていなくても潜在集団として存在し、社会の変化で利益が脅かされると組織化されるとし、また人が複数の集団に重なって所属する重複的メンバーシップのために 1 つの集団の要求が極端になりにくいとした トルーマン『政治過程論』(1951 年)=潜在集団・攪乱理論・重複的メンバーシップ。選択的誘因はオルソン、集団の相互作用の出発点はベントレー、利益集団自由主義の批判はローウィ。
- ウ 日本の政策決定は、労働組合が頂上団体として政策決定に十分に加わっていない点で北欧型と異なるとされ、「労働なきコーポラティズム」と評されることがある 「労働なきコーポラティズム」(ペンペルと恒川)。セクター団体と価値推進団体(辻中豊ら)。献金は政治資金規正法の規制のもとで認められている部分がある。族議員は官庁と業界の仲介役。
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/seiji/zp-05/test/ / 問題は毎回の表示で数が変わります。印刷したものはその一例です。
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